「人手が足りないのに、採用コストと定着リスクを考えると求人を出せない」――そんな悩みを抱える中小企業の経営者・人事担当者に知ってほしいのが、特定求職者雇用開発助成金(通称:特開金/とっかいきん)です。
特開金は、60歳以上の高年齢者・障害者・母子家庭の母などをハローワーク等の紹介で継続雇用した事業主に、国が1人あたり最大240万円を支給する厚生労働省の助成金です。設備投資の補助金と違い、費用の立替えは不要。採用して雇い続けるという事実に対して、6か月ごとに分けて支給されます。
ただし2026年度(令和8年度)は、制度が大きく動いた年でもあります。成長分野等人材確保・育成コースが令和8年3月31日で廃止され、4月以降の申請は賃金台帳の提出が必須に。さらに令和8年5月1日以降の紹介分から、60歳以上の方は「ハローワーク等で個別支援を受けていること」が新たな要件になりました。
この記事では、特開金の全4コースの支給額、どのコースに当たるかの判定方法、令和8年度の変更点、共通要件、申請期限と入金までの流れを、厚生労働省の公表資料(2026年10月28日時点)に沿って整理します。
▼▼▼日々配信中!無料メルマガ登録はこちら▼▼▼
メルマガ会員登録する
この記事の目次
特定求職者雇用開発助成金(特開金)とは?1人最大240万円を国が支給する採用助成金
特定求職者雇用開発助成金とは、就職が特に困難な求職者を、ハローワーク等の紹介で継続雇用する労働者として雇い入れた事業主に対し、1人あたり最大240万円を支給する厚生労働省の助成金です。財源は事業主が負担する雇用保険料(雇用保険二事業)で、申請窓口は事業所を管轄する都道府県労働局またはハローワークです。
- 支給額:1人あたり最大240万円(中小企業・重度障害者等を週30時間以上で雇用した場合)
- コース:特定就職困難者/発達障害者・難治性疾患患者雇用開発/中高年層安定雇用支援/生活保護受給者等雇用開発の4コース
- 雇入れ経路:ハローワーク等の紹介に限る(自社HP・求人サイト・縁故は対象外)
- 支給方法:6か月を1期として、2期〜6期に分けて支給
- 申請期限:各支給対象期の末日の翌日から2か月以内
- 申請窓口:事業所を管轄する労働局・ハローワーク(電子申請も可)
| 特定求職者雇用開発助成金の基本情報 | |
|---|---|
| 正式名称(略称) | 特定求職者雇用開発助成金(特開金) |
| 所管 | 厚生労働省 |
| 申請窓口 | 事業所を管轄する都道府県労働局・ハローワーク |
| 財源 | 雇用保険二事業(事業主負担の雇用保険料) |
| 対象事業主 | 雇用保険の適用事業主 |
| コース数 | 4コース(令和8年4月1日以降) |
| 支給額 | 1人あたり30万円〜240万円(コース・区分・企業規模で異なる) |
| 助成対象期間 | 1年〜3年 |
| 支給方法 | 6か月ごとの支給対象期に区切り、期ごとに申請・支給 |
「特会金」「とくかいきん」「特別雇用開発助成金」も同じ制度?
はい、いずれも特定求職者雇用開発助成金を指していると考えてよいでしょう。正式な略称は「特開金(とっかいきん)」で、実務では「とくかいきん」と読まれることもあります。検索では「特会金」「特別開発雇用助成金」「特定雇用開発助成金」「雇用開発助成金」といった表記も見られますが、これらの名称の国の助成金は現在ありません。
「特定求職者」を雇い入れた事業主に厚生労働省が支給している助成金は、本助成金です。労働局やハローワークに問い合わせる際は「特開金」または正式名称で伝えると確実です。
助成金を受け取るのは企業?働く本人?
特開金を受け取るのは、労働者を雇い入れた事業主(企業・個人事業主)です。雇われる本人に支給されるお金ではありません。「50歳以上で60万円もらえる給付金」といった情報を見かけることがありますが、特開金の60万円は、60歳以上の方や中高年層を雇い入れた企業に支給される額です。
求職中の方が自分で受け取れるお金を探している場合は、職業訓練中に月10万円を受け取れる求職者支援制度や、早期に再就職した場合の再就職手当などが該当します。
「特定求職者」とは?助成金と求職者支援制度で意味が違う
「特定求職者」という言葉は、制度によって指す人が異なります。特開金でいう特定求職者は「高年齢者・障害者・母子家庭の母など就職が特に困難な求職者」のことです。一方、求職者支援制度(職業訓練の実施等による特定求職者の就職の支援に関する法律)でいう特定求職者は「雇用保険を受けられず、職業訓練などの支援が必要とハローワークが認めた求職者」を指します。| 比較項目 | 特開金の「特定求職者」 | 求職者支援制度の「特定求職者」 |
|---|---|---|
| どんな人か | 高年齢者・障害者・母子家庭の母など就職が特に困難な求職者 | 雇用保険の被保険者・受給資格者でなく、職業訓練等の支援が必要とハローワークが認めた求職者 |
| お金を受け取る人 | 雇い入れた事業主 | 求職者本人(職業訓練受講給付金 月10万円など) |
| 根拠 | 雇用保険法・雇用保険法施行規則 | 職業訓練の実施等による特定求職者の就職の支援に関する法律 |
特開金の対象になる「特定求職者」は4つのグループ
特開金の対象になる求職者は、次の4つのグループに分けられます。グループごとに申請するコースが異なります。
- 高年齢者・障害者・ひとり親など:60歳以上の方、身体・知的・精神障害者、母子家庭の母・父子家庭の父、ウクライナ避難民、補完的保護対象者など(特定就職困難者コース)
- 障害者手帳のない発達障害者・難病患者(発達障害者・難治性疾患患者雇用開発コース)
- 35歳以上60歳未満で正規雇用の経験が乏しい方(中高年層安定雇用支援コース)
- 生活保護受給者・生活困窮者(生活保護受給者等雇用開発コース)
なお、雇用保険の失業給付でいう「就職困難者」(障害者など、基本手当の給付日数が長くなる方)も、特開金の特定求職者とは別の概念です。両者の違いは特定就職困難者コースの解説記事で詳しく整理しています。
特開金は全4コース|支給額はいくら?
令和8年度の特開金は4コースで、最も高額なのは特定就職困難者コースの重度障害者等の区分(中小企業で240万円)です。60歳以上の方・母子家庭の母等、中高年層、生活保護受給者等の雇入れは、中小企業で60万円が上限となります。
上のグラフは、中小企業が週30時間以上の労働者として雇い入れた場合の最大支給額です。週20時間以上30時間未満の短時間労働者として雇い入れた場合や、中小企業以外の企業は、次の表のとおり支給額が下がります。
| コース・対象労働者 | 中小企業 | 中小企業以外 | 短時間労働者(中小企業) |
|---|---|---|---|
| 特定就職困難者:60歳以上・母子家庭の母等 | 60万円(1年) | 50万円(1年) | 40万円(1年) |
| 特定就職困難者:身体・知的障害者(重度等を除く) | 120万円(2年) | 50万円(1年) | 80万円(2年)※ |
| 特定就職困難者:重度障害者等 | 240万円(3年) | 100万円(1年6か月) | 80万円(2年)※ |
| 発達障害者・難治性疾患患者雇用開発 | 120万円(2年) | 50万円(1年) | 80万円(2年) |
| 中高年層安定雇用支援 | 60万円(1年) | 50万円(1年) | 対象外(正規雇用が要件) |
| 生活保護受給者等雇用開発 | 60万円(1年) | 50万円(1年) | 40万円(1年) |
※特定就職困難者コースの短時間労働者は、重度障害者等を含む身体・知的・精神障害者で一律80万円(中小企業以外は30万円)です。
- 「重度障害者等」とは、重度の身体・知的障害者、45歳以上の身体・知的障害者、精神障害者を指します
- 「短時間労働者」は、週の所定労働時間が20時間以上30時間未満の方です。週20時間未満は雇用保険に加入しないため対象外です
- 各期の支給額は、その期に対象労働者へ支払った賃金額が上限です
- 最低賃金の減額特例許可を受けている場合は、支払賃金に助成率(中小企業1/3など)を掛けた額になります
自社が雇う人はどのコース?判定の手順
どのコースで申請するかは、雇い入れる人の属性で決まります。まず「ハローワーク等の紹介を受けたか」を確認し、そのうえで年齢・障害の状況・生活状況の順に当てはめると判断できます。
判定で迷いやすいのが障害のある方です。障害者手帳を持っている方は、発達障害や精神障害であっても特定就職困難者コースの障害者区分で申請します。手帳がない発達障害者・難病患者の場合に、発達障害者・難治性疾患患者雇用開発コースを使います。
特定就職困難者コース|60歳以上・障害者・母子家庭の母等で最大240万円
特定就職困難者コースは、特開金の中心となるコースで、60歳以上の高年齢者・障害者・母子家庭の母等・父子家庭の父などを雇い入れた場合に、中小企業で60万円〜240万円が支給されます。60歳以上の方は、令和8年5月1日以降に紹介を受けた場合、ハローワーク等で就労に向けた個別支援を受けていることが必要です。65歳以上の方も年齢の上限なく高年齢者区分の対象になります。
様式の書き方、第2期以降の必要書類、支給対象期の起算日、就労継続支援A型事業所の特別要件などの実務は、コース別の解説記事にまとめています。
発達障害者・難治性疾患患者雇用開発コース|手帳がなくても最大120万円
発達障害者・難治性疾患患者雇用開発コースは、障害者手帳を持たない発達障害者や難病患者を雇い入れた場合に、中小企業で最大120万円(2年・4期)が支給されるコースです。雇入れから約6か月後に、ハローワーク職員等が職場を訪問する場合があります。
中高年層安定雇用支援コース|35〜59歳の正社員採用で最大60万円
中高年層安定雇用支援コースは、就職氷河期世代を含む35歳以上60歳未満で正規雇用の経験が乏しい方を、正規雇用労働者として雇い入れた場合に、中小企業で60万円(1年・2期)が支給されるコースです。対象になるのは、過去5年間の正規雇用期間が通算1年以下で、過去1年間に正規雇用されていない方などです。令和7年4月に旧「就職氷河期世代安定雇用実現コース」を拡充して新設されました。
生活保護受給者等雇用開発コース|支援3か月超の方の雇入れで最大60万円
生活保護受給者等雇用開発コースは、ハローワークまたは地方公共団体で通算3か月を超える就労支援を受けている生活保護受給者・生活困窮者を雇い入れた場合に、中小企業で60万円(1年・2期)が支給されるコースです。短時間労働者として雇い入れた場合は中小企業で40万円です。
【令和8年度】特開金は何が変わった?3つの変更点
令和8年度(2026年度)の特開金は、「コースの廃止」「60歳以上の要件追加」「賃金台帳の提出必須化」の3点が変わりました。すでに採用を進めている案件にも影響するため、雇入れ日と紹介日を確認しておきましょう。
| 変更内容 | 適用時期 | 影響する人 |
|---|---|---|
| 成長分野等人材確保・育成コースを廃止 | 令和8年3月31日に廃止 | デジタル・グリーン分野などで1.5倍助成を見込んでいた事業主 |
| 60歳以上は「個別支援」を受けている方に限定 | 令和8年5月1日以降の紹介分 | 60歳以上の採用を予定する事業主 |
| 賃金台帳の提出が必須(未提出は不支給) | 令和8年4月1日以降の申請分 | 全コースの申請者 |
変更点①成長分野等人材確保・育成コースが令和8年3月31日で廃止
デジタル・グリーン分野の業務に就かせるなどの条件で通常の1.5倍が支給された成長分野等人材確保・育成コースは、令和7年度限り(令和8年3月31日)で廃止されました。厚生労働省は経過措置期間中としており、廃止前に雇い入れた分の扱いは管轄の労働局で確認が必要です。令和8年4月以降の雇入れは、通常の4コースで申請します。
変更点②60歳以上は令和8年5月1日の紹介分から「個別支援」が必要
令和8年5月1日以降に紹介を受けた60歳以上の方は、雇入れ時に60歳以上であることに加えて、紹介時点でハローワーク等において就労に向けた個別支援を受けていることが要件になりました。あわせて、原則として「特定求職者雇用開発助成金の対象労働者であること」を明示した職業紹介を受けた場合に限り、支給申請ができます。
ハローワーク等の紹介で60歳以上の方を雇い入れても、助成対象にならない場合があります。求人を出す段階で本助成金を使いたいことを伝え、紹介を受ける人が対象労働者に当たるかを担当者に確認しておくと確実です。
変更点③令和8年4月以降の申請は賃金台帳の提出が必須
令和8年4月1日以降の申請分から、全コース共通で、添付書類として賃金台帳の提出が確認できない場合は不支給になります。書類の不備や添付書類の不足がある申請は受理されません。
賃金台帳は労働基準法で作成が義務付けられた帳簿で、氏名・性別・賃金計算期間・労働日数・労働時間数・時間外や深夜労働の時間数・賃金の種類ごとの額・控除額などの記載が必要です。給与ソフトの出力帳票を使う場合も、項目が欠けていないかを申請前に点検しておきましょう。
特開金をもらうための共通要件は?
特開金を受給するには、雇用保険の適用事業主であることに加え、雇入れの経路・雇用形態・離職者の状況など複数の要件をすべて満たす必要があります。主な事業主の要件は次のとおりです。
- 雇用保険の適用事業主で、労働保険料を滞納していないこと
- ハローワーク等の紹介により、紹介前に選考を始めずに雇い入れること
- 雇用保険の一般被保険者(または高年齢被保険者)として雇い入れ、継続雇用が確実と認められること
- 雇入れ日の前後6か月間に、事業主都合の解雇(勧奨退職を含む)をしていないこと
- 同期間に、特定受給資格者となる離職者が被保険者数の6%を超えていないこと(被保険者3人以下を除く)
- 対象労働者の賃金を支払期日までに支払っていること
- 出勤簿・賃金台帳・労働者名簿などを整備し、支給決定から5年間保存すること
「ハローワーク等の紹介」に含まれるのはどこ?
特開金の「ハローワーク等」に含まれるのは、次の機関です。これら以外を経由した採用は、条件に合う人材でも助成対象になりません。
- 公共職業安定所(ハローワーク)
- 地方運輸局(船員として雇い入れる場合)
- 特定地方公共団体
- 厚生労働大臣の許可・届出を受けた職業紹介事業者のうち、本助成金の取扱いに同意する届出をしている事業者
- 無料船員職業紹介事業者(船員として雇い入れる場合)
民間の人材紹介会社を使う場合は、その会社が特開金の取扱いに同意する届出をしているかを事前に確認しておきましょう。求人サイトやオンラインでの自主応募による採用は、紹介にあたらないため対象外です。
対象外になるのはどんな労働者?
次のいずれかに当てはまる労働者は、特開金の対象外です。採用候補者が決まった段階で確認しておくと、不支給を防げます。
- ハローワーク等の紹介を受ける前に、面接や書類選考を始めていた方
- 紹介時点で雇用保険の被保険者だった方(在職中の方。重度障害者等など一部例外あり)
- 雇入れ日前3年以内に、その事業所で雇用・派遣・請負などの関係があった方
- 事業主や取締役の3親等以内の親族
- 性風俗関連営業の接待業務などに従事させる方
有期雇用やパートでも対象?
正規雇用・無期雇用のほか、有期雇用でも、対象労働者が望む限り更新できる「自動更新」の契約であれば対象になります。雇用契約書に自動更新である旨の記載が必要で、更新の条件として就業規則の解雇事由を超える条件が付いている場合は対象外です。パート・アルバイトも、週の所定労働時間が20時間以上なら短時間労働者として対象になります。
継続雇用とは、対象労働者が65歳に達するまで雇用し、かつ雇用期間が継続して2年以上となることが確実と認められることを指します。中高年層安定雇用支援コースは正規雇用労働者としての雇入れが要件のため、有期雇用やパートでは申請できません。
就労継続支援A型事業所でも特開金はもらえる?
就労継続支援A型事業所が利用者を雇い入れる場合も、一定の条件を満たせば特開金の対象になります。ただし、過去に特開金を受けた同種の利用者が基準期間内に5人以上いる場合、そのうちの離職割合が25%を超えていると支給されません。障害者総合支援法にもとづく勧告や指定取消しを受けた場合も、A型利用者の雇入れは不支給です。A型事業所で申請する場合は、離職割合の除外申立てなど特有の手続きがあるため、事前に労働局へ確認しましょう。
特開金の申請方法と申請期限は?入金はいつ?
特開金は、雇入れから6か月ごとに区切られた「支給対象期」ごとに申請します。申請期限は各支給対象期の末日の翌日から2か月以内で、最初の申請は雇入れから6か月が経過した後になります。
図のとおり、60歳以上の方を中小企業が雇い入れた場合は、第1期・第2期の2回に分けて30万円ずつ申請します。重度障害者等の区分なら、同じ手順を3年間・6回繰り返します。
申請から入金までの5ステップ
特開金の申請は、雇入れ前の準備から始まります。次の5ステップで進めます。
- ①ハローワーク等に求人を申し込み、特開金を利用したい旨を伝える
- ②ハローワーク等の紹介を受けてから選考し、対象労働者を雇い入れる
- ③支給対象期(6か月)の末日の翌日から2か月以内に、第1期支給申請書を労働局等へ提出
- ④労働局が審査し、支給決定後に指定口座へ振込
- ⑤第2期以降も、各期の末日の翌日から2か月以内に申請(前期の支給決定通知の送付に併せて申請期間が案内される)
審査期間は労働局や申請件数によって異なるため、最初の入金は雇入れから半年以上先になると考えておきましょう。資金繰りに組み込む場合は、入金時期を早めに見込みすぎないことが大切です。
申請期限を過ぎたらどうなる?
申請期限を1日でも過ぎた支給対象期の分は、原則として受け付けられません。第2期以降も期ごとに期限があるため、支給対象期の末日と申請期限を社内のカレンダーで管理しておくと安心です。なお、支給対象期の途中で対象労働者が離職した場合、原則としてその期は支給されません。
必要書類は?
第1期の申請では、主に次の書類を提出します。コースや対象者の区分によって追加の申立書が必要です。
- 第1期支給申請書(第2期以降は第2期以降の支給申請書)
- 対象労働者雇用状況等申立書
- 賃金台帳(令和8年4月1日以降の申請は必須)・出勤簿
- 雇用契約書または雇入れ通知書
- 対象労働者であることを確認できる書類(障害者手帳の写し、母子家庭の母等申立書など)
様式は令和8年4月1日版に更新されており、令和8年3月31日までの雇入れ分は旧様式を使います。様式番号ごとの使い分けや記入例は、特定就職困難者コースの解説記事で詳しく紹介しています。
電子申請はできる?
特開金は、窓口への持参・郵送のほか、雇用関係助成金ポータルからの電子申請にも対応しています。電子申請でも、賃金台帳などの添付書類が不足していれば受理されない点は窓口申請と同じです。
特開金が減額・不支給になるのはどんなとき?
特開金は、要件を1つでも欠くと不支給になり、勤務実態によっては減額されることもあります。実務で多いのは次のケースです。
| ケース | 結果 |
|---|---|
| 自社HP・求人サイト・SNS・縁故で採用した | 不支給(紹介を経ていない) |
| ハローワークの紹介より前に面接・選考を始めた | 不支給 |
| 代表者・取締役の3親等以内の親族を雇い入れた | 不支給 |
| 雇入れ日の前後6か月間に事業主都合の解雇があった | 不支給 |
| 申請期限(期末の翌日から2か月以内)を過ぎた | その期は受付不可 |
| 賃金台帳を添付していない(令和8年4月以降の申請) | 不支給 |
| 実労働時間が所定労働時間より著しく短い | 減額される場合あり |
| 週の賃金が「最低賃金×30時間」を下回る | 減額される場合あり |
また、過去に特開金の助成対象期間中だった労働者を事業主都合で解雇・雇止めした場合は、その後3年間は支給されません。偽りの申請など不正受給が判明した場合は、全額返還に加えて一定期間の受給制限などの措置があります。
他の採用助成金との違いは?併用できる?
特開金と同じ労働者・同じ期間について、目的が重なる他の助成金と重ねて受給することは原則できません。採用前に、どの制度を使うかを決めておくことが大切です。
| 制度 | 特開金との違い | 併用の考え方 |
|---|---|---|
| トライアル雇用助成金 | 原則3か月の試行雇用に対して支給 | トライアル雇用後に継続雇用した場合、特開金は一部のみ受給できる場合がある |
| 65歳超雇用推進助成金 | 定年引上げや無期転換など、制度の整備に対して支給 | 対象とする取組みが異なり、個別に確認が必要 |
| キャリアアップ助成金(正社員化コース) | 自社の有期雇用労働者などを正社員化したときに支給 | 組み合わせによって可否が異なるため、事前に労働局へ確認 |
| 障害者雇用納付金関係の助成金 | 障害者の作業施設・介助者の配置などの費用に対して支給 | 費用助成のため目的が異なる。個別に確認が必要 |
特定求職者雇用開発助成金(特開金)に関するよくある質問
特開金はいくらもらえますか?
コースと対象者の区分、企業規模で決まります。中小企業が週30時間以上で雇い入れた場合、重度障害者等は240万円(3年・6期)、重度等を除く身体・知的障害者と手帳のない発達障害者・難病患者は120万円(2年・4期)、60歳以上・母子家庭の母等・中高年層・生活保護受給者等は60万円(1年・2期)です。中小企業以外や短時間労働者は、これより低い額になります。
特開金とはどういう意味ですか?
「特定求職者雇用開発助成金」の略称で、「とっかいきん」と読みます。就職が特に困難な求職者をハローワーク等の紹介で継続雇用した事業主に、厚生労働省が支給する助成金です。「とくかいきん」「特会金」と呼ばれることもありますが、同じ制度を指しています。
特開金は雇われた本人がもらえるお金ですか?
いいえ。特開金を受け取るのは雇い入れた事業主で、働く本人には支給されません。求職中の方が受け取れるお金としては、職業訓練受講給付金(月10万円)を受けられる求職者支援制度や、再就職手当などがあります。
60歳以上を雇う場合、令和8年度から何が変わりましたか?
令和8年5月1日以降に紹介を受けた60歳以上の方は、雇入れ時に60歳以上であることに加え、ハローワーク等で就労に向けた個別支援を受けていることが要件になりました。また原則として、特開金の対象労働者であることを明示した職業紹介を受けた場合に限り申請できます。求人申込みの段階でハローワークに助成金の利用希望を伝えておきましょう。
65歳以上の方を雇っても対象になりますか?
対象になります。特定就職困難者コースの高年齢者区分には年齢の上限がなく、65歳以上の方も60歳以上の方と同じく、中小企業で60万円(短時間労働者は40万円)が支給されます。令和8年5月1日以降の紹介分は、個別支援を受けていることが必要です。
自社ホームページや求人サイトから応募してきた人は対象になりますか?
対象になりません。特開金は、ハローワーク、地方運輸局、特定地方公共団体、取扱いに同意した許可・届出職業紹介事業者などの紹介で雇い入れた場合に限られます。自社HP・求人サイト・SNSからの応募や縁故採用は、本人が対象者の条件を満たしていても助成されません。
パートやアルバイトでも特開金はもらえますか?
週の所定労働時間が20時間以上30時間未満であれば、短時間労働者として対象になります。たとえば60歳以上・母子家庭の母等の区分では、中小企業で40万円(1年・2期)です。週20時間未満の場合は雇用保険に加入しないため対象外で、中高年層安定雇用支援コースは正規雇用が要件のためパートでは申請できません。
障害者手帳のない発達障害や難病の方を雇った場合は?
発達障害者・難治性疾患患者雇用開発コースの対象です。中小企業が週30時間以上で雇い入れた場合は120万円(2年・4期)、短時間労働者は80万円(2年・4期)が支給されます。障害者手帳を持っている方は、特定就職困難者コースの障害者区分で申請します。
特開金の申請期限はいつですか?
各支給対象期(6か月)の末日の翌日から2か月以内です。第1期は雇入れから6か月経過後に申請し、第2期以降も期ごとに同じ期限があります。期限を過ぎた期の分は原則として受け付けられないため、社内で申請日を管理しておきましょう。
申請してから入金まではどれくらいかかりますか?
最初の申請ができるのが雇入れから6か月後で、その後に労働局の審査があるため、最初の入金は雇入れから半年以上先になります。審査期間は労働局や時期によって異なるため、資金計画では余裕を持って見込んでおくのが安全です。
令和8年度から賃金台帳が必須と聞きました。どんな様式でもよいですか?
自社の様式で構いませんが、労働基準法で定められた記載項目(氏名・性別・賃金計算期間・労働日数・労働時間数・時間外や深夜労働の時間数・賃金の種類ごとの額・控除額など)を満たす必要があります。令和8年4月1日以降の申請で賃金台帳の提出が確認できない場合は不支給となります。
就労継続支援A型事業所でも申請できますか?
条件を満たせば申請できます。ただし、過去に特開金を受けた同種の利用者が基準期間内に5人以上いて、その離職割合が25%を超えている場合は支給されません。障害者総合支援法にもとづく勧告や指定取消しを受けた場合も、A型利用者の雇入れは不支給です。
トライアル雇用助成金と特開金は併用できますか?
同じ労働者の同じ期間について重ねて受給することはできません。トライアル雇用を経て継続雇用した場合は、特開金の一部を受給できる場合があります。どの期間が対象になるかは雇入れの状況で変わるため、トライアル雇用を始める前に管轄の労働局へ確認しておきましょう。
中小企業かどうかはどう判定しますか?
業種ごとに、資本金(出資額)または常時雇用する労働者数のいずれかで判定します。小売業・飲食店は資本金5,000万円以下または50人以下、サービス業は5,000万円以下または100人以下、卸売業は1億円以下または100人以下、その他の業種は3億円以下または300人以下が中小企業です。
まとめ|特開金は「紹介を受ける前」の準備で決まる
特定求職者雇用開発助成金(特開金)は、60歳以上の方・障害者・母子家庭の母などを雇い入れた事業主に、中小企業なら1人あたり最大240万円を最長3年間に分けて支給する厚生労働省の助成金です。令和8年度は全4コース体制となり、賃金台帳の提出必須化と、60歳以上の個別支援要件(令和8年5月1日以降の紹介分)が加わりました。
- 求人を出す時点で、ハローワーク等に特開金の利用希望を伝え、紹介を受けてから選考する
- 雇い入れる人の属性から申請するコースを確認し、有期なら自動更新の契約にする
- 賃金台帳を法定項目どおり整え、各期末の翌日から2か月以内の申請期限を管理する
特開金は、要件を知っていれば中小企業でも確実に活用しやすい助成金です。採用計画を立てる段階で制度を確認し、人手不足の解消と多様な人材の活躍に役立ててください。
▼▼▼日々配信中!無料メルマガ登録はこちら▼▼▼
メルマガ会員登録する


