人手不足が慢性化するなか、「採用したいが、教育コストや定着リスクを考えると踏み切れない」と感じている経営者・人事担当者は少なくありません。そこで検討したいのが、採用にかかる負担を国が肩代わりしてくれる助成金です。厚生労働省の「特定求職者雇用開発助成金」(通称:特開金/とっかいきん)は、高年齢者・障害者・母子家庭の母・生活保護受給者など就職が特に困難な方をハローワーク等の紹介で継続雇用した事業主に、1人あたり最大240万円を最長3年間・6期に分けて支給する国の雇用系助成金です。
2026年度(令和8年度)は全4コース体制に再編されました。旧「成長分野等人材確保・育成コース」は令和7年度限りで廃止され、令和8年4月1日以降の申請は全コース共通で賃金台帳の提出が必須に。さらに令和8年5月1日以降は、60歳以上の高年齢者について「ハローワーク等で就労に向けた個別支援を受けていること」が新たな要件として加わっています。
この記事では、特定求職者雇用開発助成金の対象者・支給額・支給要件から、令和8年度の改正点、申請様式の一覧、不支給になりやすいケースまでを厚生労働省の公表資料に沿って整理します。
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この記事の目次
特定求職者雇用開発助成金(特開金)とは?1人あたり最大240万円の採用助成金
特定求職者雇用開発助成金とは、高年齢者・障害者・母子家庭の母・生活保護受給者など就職が特に困難な求職者を、ハローワーク等の紹介により継続雇用する労働者として雇い入れた事業主に対し、1人あたり最大240万円(中小企業・特定就職困難者コース)を支給する厚生労働省の助成金です。実務では「特開金(とっかいきん・とくかいきん)」と略して呼ばれます。
支給は一括ではありません。半年間を1期として区切り、コースと対象者の区分に応じて2期~6期に分割して振り込まれます。設備投資向けの補助金と違い、採用と雇用継続という事実に対して支給されるため、あらかじめ費用を立て替える必要がない点が特徴です。
「特定求職者」とは?助成対象となる4カテゴリの求職者
本助成金でいう「特定求職者」とは、労働市場において就職が特に困難な状態にある求職者を指します。具体的には、次の4カテゴリの方が対象です。
- 高年齢者:雇入れ日時点で60歳以上の方(65歳以上も含む)
- 障害者:身体障害者・知的障害者・精神障害者。障害者手帳のない発達障害者・難治性疾患患者は別コースで対象
- 生活の安定に困難を抱える方:母子家庭の母・父子家庭の父、生活保護受給者、生活困窮者、ウクライナ避難民、補完的保護対象者 など
- キャリア形成に課題を抱える中高年層:35歳以上60歳未満で正規雇用の経験が乏しい方(いわゆる就職氷河期世代を含む)
いずれの区分も、ハローワーク等の職業紹介を経て雇い入れた場合のみが助成対象です。自社ホームページからの直接応募、求人サイト経由の応募、SNS募集、知人・縁故採用はいずれも対象外となります。
特定求職者雇用開発助成金の実施機関・財源・申請窓口
特定求職者雇用開発助成金は厚生労働省が所管し、申請窓口は事業所を管轄する労働局またはハローワークです。財源は雇用保険二事業(事業主が負担する雇用保険料の一部)で、雇用保険法にもとづき運営されています。
| 制度名 | 特定求職者雇用開発助成金(略称:特開金) |
|---|---|
| 実施機関 | 厚生労働省(申請窓口:事業所を管轄する労働局・ハローワーク) |
| 財源 | 雇用保険二事業 |
| 対象事業主 | 雇用保険の適用事業主 |
| コース数 | 4コース(令和8年度時点) |
| 最大支給額 | 1人あたり240万円(中小企業・特定就職困難者コースの重度障害者等) |
| 助成対象期間 | 最長3年(コース・対象者区分により1年~3年) |
| 支給方法 | 半年ごとを1期とし、2期~6期に分割して支給 |
【令和8年度・2026年度】特定求職者雇用開発助成金の変更点3つ
令和8年度の特定求職者雇用開発助成金は、コース再編・対象者要件・提出書類の3点が変わりました。すでに採用を進めている案件にも影響するため、申請前に必ず確認しておきましょう。| 変更対象 | 変更内容 | 適用時期 |
|---|---|---|
| 成長分野等人材確保・育成コース | コースを廃止(1.5倍の割増助成が終了) | 令和7年度限り(令和8年3月31日までの雇入れが対象) |
| 特定就職困難者コース(高年齢者区分) | 60歳以上はハローワーク等での個別支援を受けていることが要件に追加 | 令和8年5月1日以降の紹介分 |
| 全4コース共通 | 支給申請時に賃金台帳の提出が必須 | 令和8年4月1日以降の申請分 |
変更点①成長分野等人材確保・育成コースが令和7年度限りで廃止
デジタル分野・グリーン分野の業務に対象労働者を従事させた場合などに通常の1.5倍の助成が受けられた「成長分野等人材確保・育成コース」は、令和7年度限りで廃止されました。
ただし完全に終了したわけではありません。令和8年3月31日までに雇い入れた対象労働者については、引き続き本コースの支給要件が適用されます。令和8年4月1日以降の雇入れは通常コースでの申請となり、割増助成は受けられません。過去に本コース前提で採用計画を立てていた場合は、支給見込額の再計算が必要です。
変更点②60歳以上は令和8年5月1日から「個別支援」が要件に追加
特定就職困難者コースの高年齢者区分(60歳以上)は、令和8年5月1日以降に紹介を受けた方から要件が厳格化されました。従来は「雇入れ時に60歳以上であること」だけで対象でしたが、これに加えて「ハローワーク等において就労に向けた個別支援を受けていること」が必要になっています。
■令和8年5月1日以降に紹介された場合:雇入れ時の年齢が60歳以上であることに加え、ハローワーク等において就労に向けた個別支援を受けていること
あわせて、原則として「特定求職者雇用開発助成金の対象労働者であること」を明示した職業紹介を行った場合のみ支給申請が可能になりました。60歳以上の採用を予定しているなら、ハローワークへの求人申込み時点で本助成金の利用希望を伝え、担当者に対象労働者に該当するかを確認しておくのが確実です。
変更点③令和8年4月1日以降の申請は賃金台帳の提出が必須
令和8年4月以降の申請分から、全コース共通で賃金台帳の提出が必須となり、提出が確認できない場合は不支給となります。書類の不備や添付書類の不足がある場合、そもそも受理されません。
賃金台帳は労働基準法にもとづき作成が義務付けられている書類ですが、記載項目に漏れがあると要件を満たしません。氏名・性別・賃金計算期間・労働日数・労働時間数・時間外労働および深夜労働の時間数・基本給や手当など賃金の種類ごとの額・控除項目と額といった項目がそろっているかを、申請前に点検しておきましょう。厚生労働省は記載項目を満たした様式例をPDFとExcelで公開しています。
特定求職者雇用開発助成金は全4コース|支給額・助成対象期間の一覧
令和8年度の特定求職者雇用開発助成金は4コース構成です。最大支給額は特定就職困難者コースの240万円で、そのほかの3コースは60万円~120万円が上限となります。
| コース | 最大支給額(中小企業) | 助成対象期間 | 主な対象労働者 |
|---|---|---|---|
| 特定就職困難者コース | 240万円 | 最長3年 | 60歳以上、障害者、母子家庭の母等 |
| 発達障害者・難治性疾患患者雇用開発コース | 120万円 | 2年 | 発達障害者、難治性疾患患者 |
| 中高年層安定雇用支援コース | 60万円 | 1年 | 35歳以上60歳未満で正規雇用経験が乏しい方 |
| 生活保護受給者等雇用開発コース | 60万円 | 1年 | 生活保護受給者、生活困窮者 |
特定就職困難者コース|中小企業で最大240万円(60歳以上・障害者・母子家庭の母等)
特定就職困難者コースは、高年齢者(60歳以上)・障害者・母子家庭の母等・ウクライナ避難民・補完的保護対象者などを継続雇用する事業主が対象の、本助成金の柱となるコースです。重度障害者等を雇い入れた中小企業には、3年間・6期で総額240万円が支給されます。
| 対象労働者の区分 | 支給額(中小企業/中小企業以外) | 助成対象期間 | 支給対象期ごとの額 |
|---|---|---|---|
| 高年齢者(60歳以上)、母子家庭の母等(短時間労働者以外) | 60万円/50万円 | 1年/1年 | 30万円×2期/25万円×2期 |
| 重度障害者等を除く身体・知的障害者(短時間労働者以外) | 120万円/50万円 | 2年/1年 | 30万円×4期/25万円×2期 |
| 重度障害者等(短時間労働者以外) | 240万円/100万円 | 3年/1年6か月 | 40万円×6期/33万円×3期(第3期は34万円) |
| 高年齢者(60歳以上)、母子家庭の母等(短時間労働者) | 40万円/30万円 | 1年/1年 | 20万円×2期/15万円×2期 |
| 重度障害者等を含む身体・知的・精神障害者(短時間労働者) | 80万円/30万円 | 2年/1年 | 20万円×4期/15万円×2期 |
ここでいう「重度障害者等」とは、重度の身体・知的障害者、45歳以上の身体・知的障害者、および精神障害者を指します。また「短時間労働者」は、1週間の所定労働時間が20時間以上30時間未満の方です。なお65歳以上の方も高年齢者区分として本コースの対象で、令和5年4月に旧「生涯現役コース」が統合されたことによる扱いです。
支給対象期ごとの支給額は、その期に対象労働者へ実際に支払った賃金額が上限となる点にも注意しましょう。欠勤や休職で賃金支払額が少ない期は、表の金額を下回ることがあります。
発達障害者・難治性疾患患者雇用開発コース|中小企業で最大120万円
発達障害者・難治性疾患患者雇用開発コースは、障害者手帳を持たない発達障害のある方や難治性疾患(難病)のある方を雇い入れる事業主が対象です。手帳がないため特定就職困難者コースの障害者区分では申請できない方を、こちらでカバーします。中小企業の場合、短時間労働者以外で2年間・4期にわたり総額120万円が支給されます。
| 対象労働者 | 企業規模 | 助成対象期間 | 支給総額 |
|---|---|---|---|
| 短時間労働者以外 | 中小企業 | 2年 | 120万円 |
| 短時間労働者以外 | 中小企業以外 | 1年 | 50万円 |
| 短時間労働者 | 中小企業 | 2年 | 80万円 |
| 短時間労働者 | 中小企業以外 | 1年 | 30万円 |
障害者手帳を持っている発達障害・精神障害のある方は、本コースではなく特定就職困難者コースの障害者区分の対象となります。どちらで申請すべきか迷う場合は、雇入れ前にハローワークで確認しておきましょう。
中高年層安定雇用支援コース|中小企業で最大60万円(就職氷河期世代を含む35歳以上60歳未満)
中高年層安定雇用支援コースは、いわゆる就職氷河期世代を含む35歳以上60歳未満の方を正規雇用労働者として雇い入れた場合に支給されるコースです。令和7年4月に旧「就職氷河期世代安定雇用実現コース」の要件を拡充する形で新設されました。中小企業では1年間・2期で総額60万円が支給されます。
対象労働者は、雇入れ日において次のすべてを満たす方です。
・過去5年間に正規雇用労働者として雇用された期間の通算が1年以下であること
・過去1年間に正規雇用労働者として雇用された期間がないこと
・紹介時点で安定した職業に就いておらず、ハローワーク等で就労に向けた個別支援を受けていること
・正規雇用労働者として雇用されることを希望していること
| 企業規模 | 第1期 | 第2期 | 支給総額 |
|---|---|---|---|
| 中小企業 | 30万円 | 30万円 | 60万円 |
| 中小企業以外 | 25万円 | 25万円 | 50万円 |
旧コースからの主な変更点は、対象年齢が「35歳以上55歳未満」から「35歳以上60歳未満」へ拡大したことです。なお令和7年3月31日までに紹介・雇入れが行われた場合は、旧「就職氷河期世代安定雇用実現コース」の支給要件が適用されます。
生活保護受給者等雇用開発コース|中小企業で最大60万円(生活保護受給者・生活困窮者)
生活保護受給者等雇用開発コースは、地方公共団体からハローワークに就労支援の要請が行われた生活保護受給者・生活困窮者を継続雇用する事業主が対象です。ハローワークまたは地方公共団体で通算3か月を超えて就労支援を受けている方の雇入れが要件となります。中小企業では1年間・2期で総額60万円が支給されます。
| 対象労働者 | 助成対象期間 | 支給総額(中小企業/中小企業以外) |
|---|---|---|
| 短時間労働者以外 | 1年 | 60万円/50万円 |
| 短時間労働者 | 1年 | 40万円/30万円 |
本コースでは、雇い入れた労働者への配慮事項などについて事業主から報告を求められる場合があります。ハローワーク職員が職場を訪問し、職場定着に向けた相談・支援を行う仕組みも設けられています。
特定求職者雇用開発助成金の対象事業主と共通の支給要件
特定求職者雇用開発助成金を受給できるのは、雇用保険の適用事業主で、かつ雇用関係助成金の共通要件を満たす事業主です。コースごとに細かな条件は異なりますが、共通して次の要件を満たす必要があります。
■ハローワーク等の紹介により対象労働者を雇い入れること
■雇用保険の一般被保険者または高年齢被保険者として雇い入れ、継続して雇用することが確実であると認められること
■対象労働者の雇入れ日の前後6か月間に、事業主都合による従業員の解雇(勧奨退職を含む)をしていないこと
■対象労働者の雇入れ日の前後6か月間に、特定受給資格者となる離職者が被保険者数の6%を超えていないこと(被保険者数が3人以下の場合を除く)
■支給対象期の末日において対象労働者を継続して雇用していること
「ハローワーク等の紹介」に含まれる5つの機関
本助成金でいう「ハローワーク等」とは、次の機関を指します。ここを経由しない採用は、どれだけ条件に合う人材でも助成対象になりません。
- 公共職業安定所(ハローワーク)
- 地方運輸局(船員として雇い入れる場合)
- 特定地方公共団体
- 厚生労働大臣の許可を受けた有料・無料職業紹介事業者、届出を行った無料職業紹介事業者
- 無料船員職業紹介事業者(船員として雇い入れる場合)
民間の職業紹介事業者を利用する場合は、本助成金の取扱いに関して厚生労働省職業安定局長の定める項目に同意する旨の届出を労働局長に提出している事業者であることが条件です。利用予定のエージェントが該当するかは、事前に確認しておくと安心です。
また、求人申込みは応募者の選考を開始する前に完了している必要があります。「求人申込み→紹介→選考→雇入れ」という順序が守られていないと、助成対象になりません。
継続雇用の要件|有期雇用契約は「自動更新」であることが必要
特定就職困難者コースにおける「継続して雇用する」とは、対象労働者が65歳以上に達するまで継続して雇用し、かつその雇用期間が継続して2年以上であることを指します。正規雇用または無期雇用が基本ですが、有期雇用でも一定の条件を満たせば対象です。
有期雇用労働者として雇い入れる場合は、本人が望む限り更新できる「自動更新」であることが必要で、雇用契約書にその旨の記載が求められます。契約書に自動更新と書かれていても、更新の条件として就業規則の解雇要件を超えるものが付されている場合は助成対象外です。契約書のひな形を使い回している事業所は、この点を必ず点検しましょう。
特定求職者雇用開発助成金が不支給になりやすい5つのケース
特定求職者雇用開発助成金は、要件を1つでも欠くと不支給になります。実務で見落とされやすいのは、次の5つのケースです。
②求人申込みより先に選考を開始していた
③代表者や取締役の3親等以内の親族を雇い入れた
④雇入れ日の前後6か月間に事業主都合の解雇があった
⑤支給申請期限(支給対象期の末日の翌日から2か月以内)を過ぎた
このうち③については、配偶者・子・親・兄弟姉妹・祖父母・孫・おじ・おば・甥・姪などが3親等以内に含まれます。役員の家族を採用するケースでは、雇入れ前に対象範囲を確認しておきましょう。
なお、過去に本助成金を活用し、助成対象期間中に事業主都合で対象労働者を解雇・雇止めした場合、その後3年間は申請できません。
特定求職者雇用開発助成金の申請方法・必要書類・スケジュール
特定求職者雇用開発助成金の申請先は、事業所を管轄する労働局またはハローワークです。第1期の支給申請は、雇入れから6か月経過後(支給対象期の末日の翌日から2か月以内)に行います。
申請の流れ(5ステップ)と入金までの期間
申請から入金までの流れは次のとおりです。雇入れから最初の入金まで、おおよそ8~10か月程度が目安となります。
②ハローワーク等の紹介により対象労働者を雇い入れる
③雇入れから6か月経過後、第1期支給申請書を提出(支給対象期の末日の翌日から2か月以内)
④労働局が申請内容を審査・確認(おおむね3か月程度)
⑤支給決定後、指定口座へ振込。以降は期ごとに③~⑤を繰り返す
第2期以降も、それぞれの支給対象期の末日の翌日から2か月以内に申請が必要です。期限を1日でも過ぎると受け付けられません。多くの労働局では対象事業主に申請書類が郵送されますが、届かない場合もあるため、社内で申請期日を管理する仕組みを作っておきましょう。
必要書類・申請様式の一覧(令和8年4月1日以降)
特定就職困難者コースの申請で使用する主な様式は次のとおりです。令和8年4月1日以降の雇入れと令和8年3月31日までの雇入れでは様式が異なるため、雇入れ日に対応した最新版を使う必要があります。
| 様式番号 | 書類名 | 提出が必要な場合 |
|---|---|---|
| 様式第3号 | 第1期支給申請書 | 第1期の申請時 |
| 様式第4号 | 第2・3・4・5・6期支給申請書 | 第2期以降の申請時 |
| 様式第5号 | 対象労働者雇用状況等申立書 | 全件 |
| 様式第5号の2困 | 母子家庭の母等申立書 | 母子家庭の母等の区分で申請する場合 |
| 様式第5号の3困 | 父子家庭の父であること及び児童扶養手当の支給を受けていたことの申立書 | 父子家庭の父の区分で申請する場合 |
| 様式第7号・第8号 | 離職割合除外申立書 | 離職割合の除外を申し立てる場合 |
| 様式第9号 | 障害者雇用関係助成金個人番号登録届 | 障害者区分で申請する場合 |
| 様式第12号困 | 特定就職困難者コース対象者確認票 | 全件 |
これらに加えて、賃金台帳・出勤簿(タイムカード)・雇用契約書または雇入通知書・対象労働者の氏名や年齢が確認できる書類などの添付書類が必要です。厚生労働省のサイトでは支給申請書の記入例も公開されているため、初回申請前に目を通しておくと記載ミスを防げます。
電子申請にも対応|雇用関係助成金ポータルからの申請
特定求職者雇用開発助成金は電子申請が利用できます。雇用関係助成金ポータルを使えば、窓口へ持参したり郵送したりする手間を省けるうえ、申請状況の確認も画面上で行えます。複数名分をまとめて申請する場合や、支店・事業所が複数ある場合には、書類の紛失リスクを減らせる点でも有効です。
なお電子申請でも、賃金台帳などの添付書類が不足していれば受理されない点は窓口申請と同じです。提出前のチェックリストを作っておくとよいでしょう。
特定求職者雇用開発助成金に関するよくある質問
特開金(特定求職者雇用開発助成金)はいくらもらえますか?
コースと対象労働者の区分によって異なります。最も高額なのは特定就職困難者コースの重度障害者等(重度の身体・知的障害者、45歳以上の身体・知的障害者、精神障害者)の区分で、中小企業なら1人あたり240万円が3年間・6期に分けて支給されます。60歳以上の高年齢者や母子家庭の母等は60万円(1年・2期)、発達障害者・難治性疾患患者雇用開発コースは中小企業で最大120万円、中高年層安定雇用支援コースと生活保護受給者等雇用開発コースは最大60万円です。
自社HPからの直接応募で採用した人も特定求職者雇用開発助成金の対象になりますか?
対象になりません。本助成金は、ハローワーク、地方運輸局、特定地方公共団体、厚生労働大臣の許可・届出を受けた職業紹介事業者などの紹介により雇い入れた場合のみが対象です。自社HPや求人サイトからの直接応募、SNS募集、知人・縁故採用は助成されません。また求人申込みは選考開始より前に行う必要があり、本助成金の利用を希望する旨を明示しておくことが重要です。
60歳以上を雇用する場合、令和8年度から要件が変わりましたか?
はい。令和8年5月1日以降に紹介を受けた方から、「雇入れ時に60歳以上であること」に加えて「ハローワーク等において就労に向けた個別支援を受けていること」が要件に追加されました。あわせて、原則として「特定求職者雇用開発助成金の対象労働者であること」を明示した職業紹介を行った場合のみ支給申請が可能になっています。採用前にハローワークの担当者へ確認しておきましょう。
65歳以上でも特定求職者雇用開発助成金の対象になりますか?
対象になります。令和5年4月に旧「生涯現役コース」が廃止され、65歳以上の方も特定就職困難者コースの高年齢者区分(60歳以上)として扱われるようになりました。支給額は短時間労働者以外で60万円(中小企業・1年・2期)です。ただし令和8年5月1日以降はハローワーク等での個別支援を受けていることが要件となる点は60歳以上の方と共通です。定年後の継続雇用を検討している場合は、65歳超雇用推進助成金の活用も選択肢になります。
有期雇用(契約社員)での採用も対象になりますか?
条件を満たせば対象になります。特定就職困難者コースでは、有期雇用であっても対象労働者が望む限り更新できる「自動更新」であることが必要で、雇用契約書にその旨の記載が求められます。契約書に自動更新と記載されていても、更新の条件として就業規則の解雇要件を超えるものが付されている場合は助成対象外です。なお中高年層安定雇用支援コースは正規雇用労働者としての雇入れが要件のため、有期雇用は対象になりません。
パートやアルバイトでの雇用も対象になりますか?
1週間の所定労働時間が20時間以上30時間未満の「短時間労働者」であれば対象になります。ただし支給額は短時間労働者以外より低く設定されており、たとえば特定就職困難者コースの高年齢者・母子家庭の母等の区分では、中小企業で40万円(1年・2期)です。また中高年層安定雇用支援コースは短時間労働者が対象外です。週20時間未満の場合は雇用保険の被保険者にならないため、いずれのコースでも対象外となります。
中小企業かどうかの判定はどのように行いますか?
業種ごとに、資本金(出資総額)または常時雇用する労働者数のいずれかを満たすかで判定します。小売業・飲食店は資本金5,000万円以下または労働者50人以下、サービス業は資本金5,000万円以下または労働者100人以下、卸売業は資本金1億円以下または労働者100人以下、その他の業種は資本金3億円以下または労働者300人以下が目安です。判定に迷う場合は事業所を管轄する労働局に確認しましょう。
申請してから助成金が振り込まれるまでどれくらいかかりますか?
雇入れから6か月経過後に第1期の支給申請を行い、労働局の審査(おおむね3か月程度)を経て支給されます。雇入れから最初の入金まで、おおよそ8~10か月程度が目安です。特定就職困難者コースの重度障害者等の区分では、最長3年間にわたり半年ごとに6期へ分けて支給されます。各期の申請は支給対象期の末日の翌日から2か月以内が期限で、これを過ぎると受け付けられません。
令和8年度から賃金台帳が必須と聞きましたが、様式は何を使えばよいですか?
令和8年4月以降の申請分から賃金台帳の提出が全コース共通で必須となり、提出が確認できない場合は不支給となります。様式は自社の既存様式で構いませんが、労働基準法で定められた記載項目(氏名・性別・賃金計算期間・労働日数・労働時間数・時間外および深夜労働の時間数・賃金の種類ごとの額・控除額など)を漏れなく満たす必要があります。厚生労働省が記載項目を満たした様式例をPDFとExcelで公開しているため、事前に自社様式と見比べておきましょう。
トライアル雇用助成金など他の助成金と併給できますか?
同じ労働者の同じ期間について重複して受給することはできません。たとえば障害者トライアル雇用により雇い入れた対象労働者をトライアル雇用終了後も引き続き雇用する場合、特定求職者雇用開発助成金の受給は第2期支給対象期分からとなり、第1期分は支給されません。一方、キャリアアップ助成金の正社員化コースなど目的の異なる助成金であれば併用できる組み合わせもあります。個別の可否は事業所を管轄する労働局へ事前に確認するのが確実です。
まとめ
特定求職者雇用開発助成金(特開金)は、就職が特に困難な方の採用を後押しする、厚生労働省の代表的な雇用系助成金です。令和8年度は全4コース体制となり、中小企業なら1人あたり最大240万円を最長3年間・6期に分けて受け取れます。
一方で、令和8年度は成長分野等人材確保・育成コースの廃止、60歳以上に対する個別支援要件の追加、全コースでの賃金台帳提出必須化と、実務に直結する変更が続きました。申請にはハローワーク等からの紹介が必須で、選考開始前の求人申込みと、対象労働者である旨の明示が欠かせません。
人手不足の解消と多様な働き方の実現を同時に進めるうえで、採用時の資金面の支えは大きな武器になります。制度を正しく理解し、すべての人が働きやすい職場づくりに役立てましょう。
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