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公的助成金の基礎知識を学ぼう!~雇用編~

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この記事の目次

1.雇用に関する公的助成金ってなに?

雇用系の公的助成金は、企業の経営を助け、雇用の維持や促進を目的に、主に厚生労働省が中心となって、ハローワーク等が公募を行っています。
雇用維持、新規雇用、人材育成といった助成が一般的ですが、労働環境を整えること(就業規則の変更や、介護・育児休暇制度の導入等)への助成もあります。
企業が支払っている雇用保険の一部が財源となっている為、条件に当てはまるものがあれば、申請をしてみるのが良いですね。


雇用系公的助成金が支給されるのは、大きく6パターンあります。

2.雇用系公的助成金が支給される6つのケース

①雇用維持の場合
②高年齢者・障害者の雇用の場合
③新規で雇用した場合
④労働環境を整備した場合
⑤女性の活躍支援をした場合
⑥キャリアアップと人材育成をした場合

雇用系公的助成金を受給する前に

公的助成金が受給できるかどうかを心配する前に、法的労務管理体制、労働環境をしっかりと整え、企業運営を行うよう心がけましょう!
また、就業規則、雇用保険の加入、労働条件通知書や、労働者名簿、出勤簿、賃金台帳等の整備をしておくことも重要です。

簡単に、「受給までの基本フロー」と、「雇用系公的助成金の条件」を記載します。

(1)受給までのフロー

①実施計画の申請

②計画の実施

③支給申請

④受給

(2)雇用系公的助成金の条件

公的助成金とは

①必要書類の提出をすること
②雇用保険適用事業所であること
③申請スケジュールを守ること
④過去3年間不正受給をしていないこと
⑤2年間以上労働保険を滞納していないこと
⑥過去1年以内に労働関連法規に違反していないこと

※公的助成金の勘定科目は?
経常的なものである場合には、営業外利益として処理されるのが一般的ですが、詳しくは顧問の税理士の方や、担当の専門家へ確認してみてください!

また、助成金を受給した際の勘定科目の仕訳・会計について調べた記事があるので、
ぜひ一読ください。
https://hojyokin-portal.jp/zeikin/

3.雇用系公的助成金が支給される6つのケースについて知ろう!

①雇用維持の場合 ⇒ 雇用関係助成金

雇用維持を目的とした公的助成金です。
例えば、大きな被害をもたらした東日本大震災の後も、多くの企業が事業存続の為に活用した事例があります。

大きく、「休業」「出向」「教育訓練」の3種類のうちどれかを選択する事が可能です。

【休業】
労使間の協定により、所定労働日の全一日にわたって実施されるものであること
例えば、天災により親会社からの発注数が減少し、工場のラインを一時的にフル稼働させる事が難しくなってしまった場合、従業員をリストラするのではなく「休職」とする事で、その間公的助成を得ることができ、雇用の維持が出来るようになるという活用方法があります。
これによって、即戦力となる従業員の雇用も継続する事が出来るメリットがあります。

【出向】
3ヶ月以上1年以内に出向し事業所に復帰するものであること
例えば、経営の悪化から、事業活動の縮小を余儀なくされた場合、独立性のある事業主間に「出向」させ、それに伴い公的助成を得る事が出来る活用方法になります。
出向したメンバーが復帰した際、出向先で培った技能や能力が活かされたという事例、メリットもあります。

【教育訓練】
教育訓練の内容が、職業に関する知識・技能・技術の習得や向上を目的とするものであり、当該受講日において業務に就かないものであること
例えば、高年齢者の方や、障害を持つ方等、就職困難の方々を雇い入れる事になった場合、教育訓練を行い、それに伴い公的助成をうける事が出来ます。
教育訓練を受け、会社として頼もしい存在になると共に、職場の活性化や、CSR(企業の社会的責任)に繋がった事例もあります。

受給額に関しては、休業を実施した場合の休業手当または教育訓練を実施した場合の賃金相当額、出向を行った場合の出向元事業主の負担額に対する助成(率)。
(中小企業:2/3、中小企業以外:1/2)

※対象労働者1人あたり8,205円が上限です。(平成29年8月1日現在)
※詳しくは、厚生労働省の雇用調整助成金のページをご確認ください。

②高年齢者・障害者の雇用の場合 ⇒ 特定求職者雇用開発助成金・障害者初回雇用奨励金

雇用に関する公的助成金

【特定求職者雇用開発助成金】
対象者の活躍の場を設け、生きがいを持って働く人が増える事で経済の活性化にも繋がる事から、高年齢者や障害者等の就職困難者をハローワーク等の紹介により、「継続して雇用する労働者」として雇い入れる事業主に対して助成される助成金です。
◆参考記事:人を雇用する前に見てほしい!特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース)について調べてみた

【障害者初回雇用奨励金】
中小企業における障害者雇用の促進を図る事を目的とし、障害者の法定雇用率制度(※)の対象となるような障害者の方を初めて雇用し、当該雇い入れによって法定雇用率を達成する場合に助成する助成金です。
◆参考記事:初めて障害者の方を雇う事業主に120万円!「障害者初回雇用コース」について調べてみた

※障害者雇用率制度とは
身体障害者及び知的障害者について、一般労働者と同じ水準において常用労働者となり得る機会を与えることとし、常用労働者の数に対する割合(障害者雇用率)を設定し、事業主等に障害者雇用率達成義務を課すことにより、それを保障するものである。

※事業主区分 法定雇用率 (平成29年10月現在)
・民間企業 2.0%
・国、地方公共団体等 2.3%
・都道府県等の教育委員会 2.2%

③新規で雇用した場合 ⇒ トライアル雇用奨励金

職業経験、技能、知識等から安定的な就職が困難な求職者を、原則3ヶ月間の有期雇用を行い、労働者の適性を見極め、期間の定めのない雇用への移行を目指す制度です。
労働者の適正を見た上での雇用となる為、ミスマッチが起きにくく、奨励金が受け取れると共に、CSR(企業の社会的責任)を果たす事にも繋がるメリットがあります。
◆参考記事:お試し雇用して採用ミスマッチを防ぎませんか?「トライアル雇用助成金」とは?

④労働環境を整備した場合 ⇒ 中小企業労働環境向上助成金

雇用管理改善を推進し、人材の定着・確保を図ることを目的とした雇用管理制度(評価・処遇制度、研修体系制度)の導入などを行う健康・環境・農林漁業分野等の事業を営む中小企業事業主に対しての助成です。

・評価・処遇制度
【例】
評価・処遇(キャリアパス)制度の導入、昇進・昇格基準の導入、賃金体系制度の導入、諸手当制度の導入(通勤手当・住居手当・転居手当・家族手当・役職手当・資格手当・退職金制度)等
但し、制度が適用されるための合理的な条件(勤続年数、人事評価結果など)が労働協約または就業規則に明示されていること、制度導入後の賃金総額が低下しないことが条件。

・研修体系制度
【例】
新入社員研修、5年目職員研修、管理職員研修、幹部職員研修、新任担当者研修、マーケティング技能研修、特殊技能習得研修 等
但し、一人につき10時間以上(休憩時間、移動時間等を除く)の教育訓練等であること。
当該時間内における賃金のほか、受講料(入学金・教材費を含む)、交通費等の諸経費を要する場合は、全額を事業主が負担するものであること等が条件。

・健康づくり制度
人間ドック、生活習慣病予防検診、腰痛健康診断、メンタルヘルス相談の4つのうちどれかを実施すること
但し、健康診断等の受診等により費用を要する場合は、費用の半額以上を事業主が負担していること。
当該制度が適用されるための合理的な条件、事業主の費用負担が労働協約又は就業規則に明示されていること等が条件。

⑤女性の活躍支援をした場合 ⇒ 両立支援等助成金

従業員の職業生活と家庭生活の両立を支援する為の取り組みをした事業主等に対して支給する助成金です。
例えば、事業所の中や近所に保育所を設ける企業も増えてくる中で、その企業が支払った保育所の設置や運営する費用の一部は、両立支援等助成金の対象となる等の助成になります。
また、短時間労働出来る就業規則などの整備や制度の導入、あるいは育休復帰後もしっかりと仕事が出来るような体制の構築、女性の管理職登用等に対しても助成を受ける事が出来ます。
※年度によっても申請出来る助成金が異なってきますので、詳しくは厚生労働省のページをご確認ください。
◆参考記事:父親も子育て(育児休業)ができる働きかたを実現!「出生時両立支援コース」について調べてみた 

⑥キャリアアップと人材育成をした場合 ⇒ キャリアアップ助成金・キャリア形成促進助成金

・キャリアアップ助成金
若者の非正規雇用が問題となっている昨今、キャリアアップ助成金は、アルバイトや派遣労働者といった非正規雇用の労働者を、より安定度の高い雇用形態への転換をさせる事を目的とした助成金です。
助成額が1人あたり50万円、1年間で最大15人まで支給が可能という、シンプルで分かりやすく、活用しやすい制度になっています。
◆参考記事:キャリアアップ助成金について調べてみた。

・キャリア形成促進助成金
キャリアアップの為の新しい知識や能力を身につけるための研修に対して支給をうける事が出来ます。雇用調整助成金と異なる点として、売上が落ちていなくとも対象になる為、幅広く活用する事が可能です。
但し、一般常識やマナー等の研修は、そもそも社会人として必要になるものなので、対象にはなりません。仕事に必要な知識・技術の習得を目的とした研修として、訓練実施計画書を定め実施される訓練が対象になります。

4.まとめ


不正受給は絶対にNGです。公的助成金を使って儲けることは出来ません。
少しでも利益を確保する為に、発注書や振込額を改ざんしても、必ず不正は発覚します。
不正が発覚した場合、刑事告訴や、取引先・金融機関からの信用失墜、公的助成金の一括返済になる可能性があります。
また、省庁や各都道府県庁のWEBサイト等でも、不正受給に関する事案として、事業所名・事業主名・金額等が多く公表されています。
目先の利益ではなく、企業の経営を助け、雇用の維持や促進を目的とした助成である事を再度認識した上で活用してください。

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