賃貸アパートやマンションの給湯器は、設置から10年以上が経過すると故障リスクが高まり、入居者満足度や管理コストに直結します。
こうした給湯器の交換で活用できるのが「賃貸集合給湯省エネ2026事業」です。従来型の給湯器を省エネ型のエコジョーズ・エコフィールに交換する場合に、1住戸あたり5万〜10万円の補助を受けられます。
本記事では、賃貸住宅のオーナーや管理会社向けに、補助額や対象要件、対象外になるケース、申請の仕組みを解説します。ご自宅の給湯器を交換する方は、給湯器の補助金の解説記事をご覧ください。
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この記事の目次
賃貸集合給湯省エネ2026事業とは
賃貸集合給湯省エネ2026事業(正式名称「既存賃貸集合住宅用小型省エネルギー型給湯器導入促進事業費補助金」)は、既存の賃貸集合住宅で、従来型の給湯器を小型の省エネ型給湯器に交換する工事を支援する制度です。対象機種はエコジョーズとエコフィールで、予算は35億円です。
工事請負契約(購入して設置)だけでなく、リース契約による導入も、要件を満たせば補助対象となります。
申請は、事前に登録を受けた施工業者やリース事業者が行います。オーナーが直接申請する仕組みではないため、導入計画の段階で、依頼する事業者が本制度の申請に対応しているかを確認しておきましょう。


補助額と加算額
補助額は、給湯器の機能に応じた基本額と、所定の工事を行った場合の加算額の合計です。補助を受けられるのは、1住戸につき1台までです。| 給湯器の機能 | 基本額 | 加算対象の工事 | 加算額 | 最大額 |
|---|---|---|---|---|
| 追い焚き機能なし | 5万円/台 | 共用廊下を横断するドレン排水ガイド敷設工事 | 3万円/台 | 8万円/台 |
| 追い焚き機能あり | 7万円/台 | 浴室へのドレン水排水工事(三方弁工事、三本管(二重管含む)工事) | 3万円/台 | 10万円/台 |
たとえば、追い焚き機能付きのエコジョーズを導入し、浴室へのドレン水排水工事を行った場合、補助額は1住戸あたり10万円です。
加算には、次の注意点があります。
・追い焚き機能がある給湯器では、ドレン排水ガイドの敷設工事をしても加算対象外
・浴室へのドレン水排水工事は、メーカーが推奨する取付方法で行う必要がある
・ドレン排水の取り扱いは自治体の方針によって異なるため、その取り扱いに従う
補助の対象者と対象となる賃貸集合住宅
対象者
対象者は、賃貸集合住宅の所有者等で、登録事業者と工事請負契約またはリース契約を結び、給湯器の交換を発注する方です。
・オーナーから管理委託を受けた管理会社など
・1棟に賃貸住戸を2戸以上所有する区分所有者
販売目的で住宅を所有する買取再販事業者は対象外です。
対象となる賃貸集合住宅
次の要件をすべて満たす建物が対象です。
・建築から1年以上が経過している、またはいずれかの住戸で居住実績がある
・不動産登記で、建物の用途が集合住宅であることを確認できる
給湯器の交換は、1棟あたり1戸から対象になります。
対象外になる建物・住戸
賃貸集合住宅であっても、次の建物・住戸は補助の対象外です。
・オーナーやその親族が居住する住戸
・店舗や事務所など、事業用に貸し出す住戸
・民泊施設、旅館業法の許可で運営する施設(ウィークリーマンションを含む)
・特別養護老人ホーム、有料老人ホームなどの施設
対象製品と性能要件
補助の対象は、従来型の給湯器から「エコジョーズ」または「エコフィール」への交換工事です。対象となる製品は、性能要件を満たし、補助対象製品として登録されている必要があります。
エコジョーズ・エコフィールとは
給湯器はガスや石油を燃焼させ、その熱で水を温水に変えます。このときの排気は約200℃〜230℃と高温ですが、従来型の給湯器ではこの排気の持つ熱は廃棄されていました。
エコジョーズやエコフィールは、この排気の熱であらかじめ水を温めてから加熱するため、少ないエネルギーでお湯を作ることができる製品です。製品の仕組みについては、以下の図も参照してください。

出典:対象機器の詳細
性能要件
| 種類 | 区分 | 性能要件 |
|---|---|---|
| エコジョーズ | 給湯単能機 | モード熱効率が90%以上 |
| エコジョーズ | ふろ給湯器 | モード熱効率が90%以上 |
| エコジョーズ | 給湯暖房機 | 給湯部熱効率が95%以上 |
| エコフィール | 油焚き温水ボイラー | 連続給湯効率が95%以上 |
| エコフィール | 石油給湯機(直圧式) | モード熱効率が91%以上 |
| エコフィール | 石油給湯機(貯湯式) | モード熱効率が80%以上 |
いずれの機器も、メーカーにより事前に登録されたものが補助対象となります。
対象外になる機器・工事
以下に該当する場合は、補助の対象外です。
・交換前の機能(給湯、追い焚き、暖房、オート・フルオート)をすべて備えていない機器
・交換前より能力(号数)が小さい機器
・発注者が自分で購入した機器の取り付けだけを依頼する工事(施主支給・材工分離)
・中古品、またはメーカー保証の対象外である機器
・工事の代金が補助額を下回る工事
・賃貸集合給湯省エネ2025事業で補助金の交付を受けた給湯器
申請の仕組みと期限
賃貸集合給湯省エネ2026事業は、あらかじめ登録を受けた施工業者やリース事業者が申請手続きを行う仕組みです。交付された補助金は、登録事業者を経由してオーナーに還元されます。
還元方法は、「契約代金に充当する方法」と「現金で支払う方法」の2つです。リースの場合は、一定期間のリース料金と相殺する方法もあります。還元方法は、支給されてから決めるのではなく、事前に双方で合意しておきましょう。
なお、経済産業省による指名停止等の措置(2025年12月2日付)の対象事業者との契約は、補助対象外となる場合があります。契約前に、登録事業者であることとあわせて確認してください。
申請期間
対象期間は以下のとおりです。交付申請は、工事の完了後に行います。
| 項目 | 期間 |
|---|---|
| 契約日 | 着工日以前 |
| 着工日 | 2025年11月28日以降 |
| 交付申請の予約 | 2026年3月31日から、遅くとも2026年11月16日まで |
| 交付申請 | 2026年3月31日から、遅くとも2026年12月31日まで |
申請額が予算上限に達した場合は、期間内でも受付が終了します。最新の予算の状況は、賃貸集合給湯省エネ2026事業の公式サイトで確認できます。補助を受けたい場合は、早めに事業者へ相談しましょう。
賃貸オーナーが使える他の給湯器補助金
エコジョーズ・エコフィール以外の給湯器に交換する場合や、断熱リフォームとあわせて行う場合は、別の制度も候補になります。賃貸住宅のオーナーが給湯器の交換で使える国の制度を比べました。
| 制度 | 対象の給湯器 | 補助額 | 主な条件 |
|---|---|---|---|
| 賃貸集合給湯省エネ2026事業 | エコジョーズ・エコフィール | 5万〜10万円/台 | 既存の賃貸集合住宅で、従来型から交換する |
| 給湯省エネ2026事業 | エコキュート・ハイブリッド給湯機・エネファーム | 7万〜17万円/台 | 共同住宅等は1戸につき1台まで |
| みらいエコ住宅2026事業(リフォーム) | エコジョーズ・エコフィール | 3万円/戸 | 断熱改修など対象の工事とあわせて行う |
給湯省エネ2026事業は、住宅を賃貸に出している個人・法人も対象です。対象機器や条件は、以下の記事で解説しています。
併用のルール
本制度は他の補助金と併用も可能ですが、次のルールがあります。
・自治体の補助制度は、国費が充当されているものを除き、併用できる
・重複して申請した場合は、理由を問わず申請が無効となり、交付決定の取り消しや返金の対象になる
補助を受けた後の注意点
補助を受けて設置した給湯器は、補助金の振込後6年間、国または事務局の承認なく、目的外の使用や譲渡、廃棄などの処分ができません。
よくある質問
入居者が自分で申請できる?
できません。補助の対象者は賃貸集合住宅のオーナーや管理会社などで、申請は登録事業者が行います。
管理会社が発注しても対象になる?
対象になります。オーナーから管理委託を受けた管理会社なども、補助の対象者に含まれます。
1戸だけの交換でも対象になる?
対象になります。1棟あたり1戸以上で、従来型の給湯器を補助対象の給湯器に交換することが条件です。
台所の小型給湯器のみを交換しても対象になる?
対象になります。
民泊、リゾートマンション、ウィークリーマンションは対象になる?
民泊(住宅宿泊事業法による住宅宿泊事業としての届出又は国家戦略特別区域法の特区民泊の認定を受けて運営する施設)及びウィークリーマンション等(専ら旅館業法の許可により運営する施設)は、対象になりません。
シェアハウスや、マンスリーマンションは対象になる?
定期借家契約を締結し居住する賃貸集合住宅は、本事業の対象になります。
「賃貸集合給湯省エネ2025事業」との違いは?
対象となる期間以外に、制度内容に大きな変更はありません。
まとめ
賃貸集合給湯省エネ2026事業を活用すれば、オーナーの負担を抑えながら、賃貸アパート・マンションの給湯器を省エネ型に更新できます。給湯器の更新は、入居者の満足度向上や環境への負担軽減にもつながります。
申請は登録事業者が行い、予算上限に達すると受付が終了します。設備更新のタイミングにあわせて、制度に対応した事業者に早めに相談してみましょう。
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