障害者トライアル雇用制度は、障害者を一定期間試行的に雇用し、実際に働いてもらいながら適性を確認できる制度です。ハローワーク等からの紹介を受けて実施し、要件を満たした事業主が助成されます。
今回は障害者トライアル雇用制度の概要や、申請手続きをまとめました。
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この記事の目次
障害者トライアル雇用制度について
本制度は、障害者を原則3か月間試行雇用し、適性や能力を実際の業務を通じて見極めるための制度です。障害者雇用に対する不安が軽減されるだけでなく、障害者が実際の職場環境で自身の適性を確認できるので、双方にとってメリットがあります。
制度を利用するには、事前にハローワーク等に障害者トライアル雇用求人を提出し、紹介を受ける必要があります。「事業主や役員の知人から紹介を受けた」といったようなケースでは、本制度の対象となりません。
障害者トライアル雇用制度で受けられる助成金は、以下の2つのコースがあります。
■障害者短時間トライアルコース
一般的なトライアル雇用をするケースでは「障害者トライアルコース」、週の労働時間が10時間以上20時間未満であれば「障害者短時間トライアルコース」が該当します。
支給対象となる事業主
支給対象となるのは、ハローワーク等の障害者トライアル雇用等によって、対象者を雇い入れた事業者です。雇用保険の被保険者として手続きを行い、実際に賃金を支払っている事業者が対象です。
また、以下の要件を満たしている必要があります。
■過去3年間において、対象者について職場適応訓練を行ったことがない
■以下の両方に該当しないこと
・過去3年間の「継続雇用する労働者へ移行しなかった障害者トライアル雇用等労働者の数」に「報告書兼支給申請書が提出されていない障害者トライアル雇用等労働者の数」を加えた数が、3人を超えている
・上記の数が、継続雇用する労働者へ移行した障害者トライアル雇用等労働者の数を上回っている
■障害者トライアル雇用等を終了する日までの期間に、当該労働者を、解雇等事業主の都合により離職させていない
■過去1年の間、対象者を雇用していた事業主本人または関係事業主と密接な関係にある事業主でない
ほかにも、離職者数に関する要件や、関係法令を遵守していることなどが共通要件として挙げられています。なお、就労継続支援事業(A型)を行う事業所は対象外です。
障害者トライアルコース
障害者トライアルコースでは、対象となる労働者にも要件が定められています。ここでは障害者トライアルコースの概要を見ていきましょう。
対象者となる労働者
障害者トライアルコースの対象となる障害者は「障害者の雇用の促進等に関する法律第2条第1号」に定められています。具体的には、以下の人が該当します。
・知的障害
・精神障害(発達障害を含む)
・その他の心身の機能の障害があり、長期にわたって職業生活に相当の制限を受け、または職業生活を営むことが著しく困難な者
障害の原因や種類は問いません。
また次のいずれかの要件を満たし、障害者トライアル雇用を希望した場合が助成の対象です。
■過去2年以内に、2回以上離職や転職を繰り返している
■離職している期間が6か月を超えている
なお重度身体障害者、重度知的障害者、精神障害者の場合は、上記の要件を満たさなくても対象となります。
支給額
障害者トライアル雇用の支給額は以下のとおりです。
| 区分 | 助成額(対象者1人当たり) |
|---|---|
| 精神障害者の場合 | 月額最大8万円×3か月 その後、最大4万円×最長3か月間 |
| 上記以外の場合 | 月額最大4万円(最長3か月間) |
なお、精神障害者は原則6~12か月間のトライアル雇用期間を設けることが可能です。ただし、助成金の支給対象期間は6か月間に限られます。
障害者短時間トライアルコース
障害者短時間トライアルコースは、短時間なら働ける障害者向けの支援です。概要を簡単にまとめました。
対象者となる労働者
障害者短時間トライアルコースで、対象となるのは、以下の労働者です。
■週の所定労働時間が10時間以上20時間未満である
■障害者の職場適応状況や体調等に応じて、同期間中に週の所定労働時間20時間以上とすることを目指す
短時間の労働から、状況に応じて労働時間の延長を目指す労働者を対象としたコースです。
支給額
障害者短時間トライアルコースの支給額は、以下のとおりです。
| 区分 | 助成額 |
|---|---|
| 対象者一人につき | 月額最大4万円(最長12か月間) |
障害者トライアル雇用制度の申請の流れ
障害者トライアル雇用制度の全体の流れは、以下のとおりです。

まずはハローワークに求人の申し込みを行い、求職者の選考等を行います。
障害者トライアル雇用を開始したあと、開始日から2週間以内に実施計画書、雇用終了から2か月以内に支給申請書を提出してください。
なお、トライアル雇用を延長した場合や、労働者の自己都合で離職した場合などは申請期限が異なります。その場合は紹介を受けたハローワーク等にお問い合わせください。
障害者トライアル雇用制度の活用事例
障害者トライアル雇用制度は、障害者と事業主の両方にメリットがあります。実際の障害者トライアル雇用の活用事例を見ていきましょう。
①養鶏作業員としてのトライアル雇用
| ■障害者 |
|---|
| 男性40代 重度知的障害・難病の重複障害 障害特性:運動失調症状(歩行が不安定等)、言葉がうまく話せない 職歴:警備員8年、食品製造工6年、建築塗装工4年 |
| ■障害者の課題 |
| 近年になって重複障害となり、以前よりさらに手厚い支援体制の立ち上げを要する |
| ■事業者の課題 |
| ・小規模事業所であり、障害者の雇用経験がなく、障害者を雇用するノウハウがない。 ・障害者を雇用することに漠然とした不安がある。 |
| ■支援内容 |
| 地域障害者職業センター、障害者就業・生活支援センター、就労移行支援事業所が連携したチーム支援を導入。職員が定期的に事業所を訪問し、助言することで、障害特性の理解や受け入れ環境の整備が進展した |
実際に作業する様子を事前に間近で見ることで労働能力を確認でき、障害者を雇用する不安を払拭することができました。またトライアル雇用終了後は、継続雇用に移行。障害者就業・生活支援センターが、引き続き支援を継続しています。
②病院でのトライアル雇用
| ■障害者 |
|---|
| 女性30代 精神障害(統合失調症) 障害特性:記憶力や集中力が不十分、臨機応変な対応や同時進行の作業は苦手 職歴:看護補助2か月、商品補充1か月、事務1年半 |
| ■障害者の課題 |
| ・精神障害のため作業進捗や単語を覚えていなかったり、何かに気を取られて注意散漫な時があったりする ・一つの作業をしている時に他の要素が加わると、混乱してしまう |
| ■事業者の課題 |
| ・精神障害者を雇用した経験がないため、キーパーソンの決定や社員への周知が必要 ・どのような仕事ができるかわからず、具体的な仕事の掘り起こしが課題 |
| ■支援内容 |
| トライアル雇用期間中に、ハローワーク等の職員が定期的に事業所を訪問。本人ができる仕事内容を具体的に掘り起こした。 また本人の障害特性を職場内でも共有し、休憩時間や通院日など、本人の健康面に留意した配慮を行った。 |
トライアル雇用期間中に支援者も実際の職場に入り、割り当てる仕事を掘り起こすことができました。トライアル雇用終了後は継続雇用に移行し、事務職として継続勤務中です。
まとめ
障害者トライアル雇用制度は、一定期間の試行雇用を通じ、企業と障害者の双方が適性を見極めて常用雇用への移行を目指せる制度です。「障害者トライアルコース」と、週10時間以上20時間未満から段階的に勤務時間を延長する「障害者短時間トライアルコース」の2種類があります。
誰もが自分らしく働ける社会は、健常者にとっても安心して生活できる場となります。実際の業務を通じて相互理解を深められる障害者トライアル雇用制度を活用し、障害者が活躍できる環境整備を進めましょう。
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