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エネルギー代が高いが何から始めれば?省エネ補助金(Ⅳ)エネルギー需要最適化型で工場の"見える化"から始める省エネ

公開日:2026/5/27 更新日:2026/3/27
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工場の電気代や燃料費を下げたいと思っていても、実際には「どの設備が、いつ、どれだけエネルギーを使っているのか」が見えていないため、改善の優先順位を決められない企業は少なくありません。特に、ボイラ、コンプレッサー、冷凍機、乾燥設備などが混在する工場では、感覚だけで省エネを進めるのは難しいのが実情です。

そこで活用したいのが、省エネ・非化石転換補助金(Ⅳ)エネルギー需要最適化型です。この制度は、EMS(エネルギーマネジメントシステム)を導入し、工場や事業場のエネルギー使用状況を把握・分析しながら、運用改善につなげる取り組みを支援するものです。

設備更新の前に、まずはエネルギーの使い方を可視化し、ムダの大きい工程や時間帯をつかむ。そのうえで省エネ施策を打っていくことで、投資判断の精度も高まります。本記事では、(Ⅳ)エネルギー需要最適化型の制度概要、対象となるEMS機器、申請ルート、補助率、申請時の注意点までわかりやすく整理して解説します。

2026年1次公募の確認ポイント

  • 1次公募期間:2026年3月30日(月)~2026年4月27日(月)17:00必着
  • 交付決定:6月予定
  • EMS活用計画では、省エネ取り組みを3項目以上記載
  • 省エネルギー率2%改善は必達ではなく目安

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この記事の目次

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(Ⅳ)エネルギー需要最適化型とは

(Ⅳ)エネルギー需要最適化型は、SIIが定める要件を満たしたEMS機器を導入し、エネルギー消費を把握・分析したうえで、運用改善や制御によって需要最適化を図る事業を支援する制度です。

省エネ・非化石転換補助金の中でも、(Ⅰ)や(Ⅱ)(Ⅲ)が設備更新そのものを主軸にしているのに対し、(Ⅳ)は「まず見える化し、改善余地を把握する」ことに重きを置いている点が特徴です。いきなり大型投資に踏み切るのではなく、現状把握から省エネを始めたい事業者に向いています。

省エネ・非化石転換補助金における(Ⅳ)の位置づけ
区分事業区分概要
工場・事業場型(Ⅰ)工場・事業場型事業場全体の省エネ計画に基づく設備更新を支援
(Ⅳ)エネルギー需要最適化型EMS導入による見える化・分析・運用改善を支援
設備単位型(Ⅱ)電化・脱炭素燃転型電化や燃料転換を伴う設備更新を支援
(Ⅲ)GX設備単位型GX要件を満たす指定設備の更新を支援
(Ⅲ)設備単位型指定設備の更新を設備単位で支援
(Ⅳ)エネルギー需要最適化型(Ⅱ)または(Ⅲ)と組み合わせてEMSを導入
2026年度は、EMS活用計画に省エネ取り組みを3項目以上記載し、計画期間を2年間とする点や、2年目報告終了時に成果を自社ホームページで公表する点が重要です。

2つの申請ルートの違い

(Ⅳ)エネルギー需要最適化型は、申請したい内容によってルートが分かれます。EMSだけを導入したいのか、設備更新とあわせて申請したいのかで見方が変わるため、最初に整理しておくことが大切です。

申請型工場・事業場型設備単位型
EMS単独申請可能不可
組み合わせ申請(Ⅰ)工場・事業場型と組み合わせ可(Ⅱ)または(Ⅲ)と組み合わせ可
補助率中小企業者等1/2以内、大企業・その他1/3以内中小企業者等1/2以内、大企業・その他1/3以内
補助上限額1億円1億円
  • まずEMSだけ導入したい → 工場・事業場型
  • LEDやボイラ更新とあわせて導入したい → 設備単位型
  • 工場全体の省エネ計画の一部として進めたい → 工場・事業場型で検討

補助対象となるEMS機器の5分類

対象となるEMS機器は、SIIが定めるシステム要件を満たし、登録された機器である必要があります。機能の違いによって、主に次の5分類で整理できます。

補助対象となるEMS機器の分類
No.名称特徴
①-1見える化型EMS(伴走型)計測・見える化機能を持ち、エネマネ事業者の分析や提案を受けながら省エネを進めるタイプ
①-2見える化型EMS(高機能型)事業者自らが分析・改善を進めやすい高機能タイプ
制御型EMS計測・見える化に加えて制御機能を持ち、設備の自動制御まで行えるタイプ
③-1高度型EMS(オートチューニング型)AI等で実際の稼働状況を学習し、運転条件を自動調整するタイプ
③-2高度型EMS(モデル予測制御型)需要予測やモデル予測制御により、複雑な設備運転を最適化する高機能タイプ
選び方の目安
  • 社内に省エネ専門人材が少ない → 伴走型・制御型
  • 社内でデータを見ながら改善を回したい → 高機能型
  • 最適運転の自動化まで視野に入れたい → 高度型EMS

エネマネ事業者とは

(Ⅳ)型の特徴は、EMS機器の導入だけで終わらず、エネマネ事業者による支援が重要な役割を持つことです。エネマネ事業者はSIIに登録された事業者で、EMSの導入支援やエネルギー管理支援を担います。

特に、伴走型EMSや制御型EMSでは、エネマネ事業者の支援を受けながらデータ分析や改善提案を進める形が想定されます。なお、エネルギー管理支援を受ける場合は、EMS機器の導入に係る経費について3者見積が課されない取り扱いも示されています。

主な事業スキーム
  • 標準的な申請:EMS導入+エネルギー管理支援
  • ESCO等との併用:エネマネ事業者がESCO事業者を兼ねるケース
  • リース活用:リース会社との共同申請で導入するケース

補助率・補助金額

(Ⅳ)エネルギー需要最適化型の補助率と補助金額は、次のとおりです。

補助率
中小企業者等1/2以内
大企業・その他1/3以内
補助金限度額
上限額1億円/事業全体
下限額30万円/事業全体

設備単位型の(Ⅱ)や(Ⅲ)と組み合わせる場合は、組み合わせ先の上限額とあわせて全体の事業設計を考えることになります。

申請要件

申請時には、EMSを入れるだけではなく、EMS活用計画を作成することが求められます。

主な申請要件
省エネ推進体制対象範囲を管理する主要部署の参加を必須とし、立ち上げ予定時期を定める
省エネ取り組み3項目以上を記載
計画期間2年間
目標水準省エネルギー率2%改善を目安とする
成果報告1年目・2年目の報告が必要
公表義務2年目報告終了時に自社ホームページで成果を公表
省エネルギー率2%改善は「必達ライン」ではなく目安です。ただし、EMSの制御効果や計測に基づく運用改善を含めて、2%改善に向けた取り組みを計画する必要があります。

どのような省エネに活用できるか

EMS導入で実現しやすい省エネは、大きく「制御による省エネ」と「計測に基づく運用改善」に分けられます。

想定される省エネの例
対象制御による省エネ運用改善の例
照明調光制御や点灯制御点灯時間や点灯エリアの見直し
空調外気冷房制御、ファン制御、最小外気取入れ制御立ち上げ時間や設定温度の最適化
熱源台数制御、最適起動停止、送水温度制御負荷状況に応じた運転条件の見直し
生産設備制御PLCやセンサ連携による最適運転ボイラ空気比調整、圧縮機圧力調整、待機時間削減

業種の例

  • 食品工場:冷凍冷蔵設備、ボイラ、洗浄ラインなどの見える化
  • 化学工場:反応・蒸留・乾燥工程の負荷把握と最適運転
  • 製紙工場:抄紙・乾燥工程の蒸気使用量の適正化
  • 繊維・染色工場:温度管理データの取得と過加熱防止
共通する課題は、「エネルギーコストが高いことは分かるが、どこで無駄が出ているか分からない」ことです。(Ⅳ)型は、その最初のボトルネックを解消する制度といえます。

補助対象経費

(Ⅳ)エネルギー需要最適化型では、設計費・設備費・工事費が補助対象です。

補助対象経費
設計費システム設計費等
設備費EMS関連機器、センサ、制御機器、サーバー、モニター、ソフトウェア等
工事費設置に必要な工事費

一方で、交付決定前に発生した経費、建屋の建築工事、直接関係のない工事、消費税などは補助対象外です。

公募スケジュール

2026年1次公募スケジュール
公募情報更新2026年3月25日
公募期間2026年3月30日~2026年4月27日17:00必着
交付決定6月予定

工場・事業場型のSIIページでは、2026年3月25日時点で1次公募の受付開始予定が案内されており、設備単位型の公募情報ページでは1次公募期間と交付決定時期が公表されています。

申請時の注意点

  • 交付決定前の契約・発注は補助対象外
  • EMS単独申請は設備単位型ではできない
  • 省エネ取り組みは3項目以上記載が必要
  • 2年目報告終了時に自社ホームページで成果公表が必要
  • エネルギー管理支援を受ける場合、EMS機器導入分は3者見積不要

エネルギー需要最適化型のよくある質問

EMSだけを導入したい場合、どのルートで申請しますか?

EMS単独で申請したい場合は、工場・事業場型での申請を検討します。設備単位型では、(Ⅳ)エネルギー需要最適化型のみの単独申請はできず、(Ⅱ)電化・脱炭素燃転型または(Ⅲ)設備単位型との組み合わせが前提です。


省エネルギー率2%改善は必ず達成しなければなりませんか?

2%改善は計画策定時の目安です。必達値として明示されているわけではありませんが、EMSの制御効果や計測に基づく運用改善を含めて、2%改善に向けた取り組みを計画する必要があります。


どのような工場に向いていますか?

食品、化学、製紙、繊維・染色など、熱や蒸気、冷熱、空調を多く使う工場に向いています。共通するのは、エネルギーコストは高いが、工程別・設備別の使用量を十分に把握できていないケースです。


まとめ

省エネ・非化石転換補助金(Ⅳ)エネルギー需要最適化型は、設備更新の前段階として、工場のエネルギーの使い方を見える化し、改善余地を把握するための制度です。

エネルギーコストの上昇に悩んでいても、どこから手を付けるべきか分からない事業者にとって、EMS導入は省エネの出発点になります。見える化によって改善の優先順位が見えるようになれば、その後の設備更新投資も進めやすくなります。

特に、熱や蒸気、冷熱、圧縮空気など複数のエネルギーが混在する工場では、感覚的な管理ではなく、データに基づく判断が重要です。まずは自社の工場にどのタイプのEMSが合うのか、単独申請にするのか設備更新と組み合わせるのかを整理したうえで、公募要領を確認して準備を進めましょう。

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