省エネ・非化石転換補助金の「設備単位型(Ⅲ型)」では、SIIがあらかじめ定めた15区分の設備が補助対象となります。一定の要件を満たした上で、空調・冷蔵設備・制御機能付きLEDといった汎用的な設備の更新に活用できます。
2026年度は、従来の設備単位型に加え、GX要件に対応するメーカーが製造する設備を対象とする「GX設備単位型」が新たに創設されました。本記事では、省エネ・非化石転換補助金の設備単位型(Ⅲ型)・GX設備単位型の概要や活用事例、申請手順をまとめました。
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・工場等のボイラ・空調・生産設備更新で使える「工場・事業場型(Ⅰ型)」
・工場の化石燃料ボイラや工業炉を補助金で転換!「電化・脱炭素燃転型(Ⅱ型)」
・【本記事】空調・冷蔵設備・制御機能付きLEDで使える「設備単位型(Ⅲ型)」
・エネルギー代が高いが何から始めれば?「エネルギー需要最適化型(Ⅳ型)」
合わせて読みたい:【2026年】省エネ・非化石転換補助金とは?2つの申請型と4つの事業区分をわかりやすく整理
この記事の目次
設備単位型(Ⅲ型)について
設備単位型(Ⅲ型)は、汎用的な設備の更新に対応した申請型です。省エネルギー性能の高いユーティリティ設備・生産設備等への更新の導入を補助します。
各分野の省エネルギー化を推進し、安定的・適切なエネルギー需要構造の構築を図ることを目指しています。
2026年度からは、従来の設備単位型(以下「従来枠」)に加え、GX経済移行債を原資とした「GX設備単位型」として「メーカー強化枠」と「トップ性能枠」が新たに創設されました。GX要件を満たすメーカーの設備や、トップ性能基準を満たす設備には上限額の増額や補助率の優遇が適用されます。
設備単位型(Ⅲ型)で導入できる設備
設備単位型(Ⅲ型)では、あらかじめSIIが指定・公表した、エネルギー消費効率等の基準を満たす15種類の設備が対象です。具体的には、以下の設備が対象となります。
| 区分 | 対象設備 |
|---|---|
| ユーティリティ設備 | ・高効率空調(業務・産業用エアコン等) ・産業ヒートポンプ ・業務用給湯器 ・高性能ボイラ ・高効率コージェネレーション ・低炭素工業炉 ・変圧器 ・冷凍冷蔵設備 ・産業用モータ ・制御機能付きLED照明器具 |
| 生産設備 | ・工作機械 ・プラスチック加工機械 ・プレス機械 ・印刷機械 ・ダイカストマシン |
そのほか、SIIが認めた高性能な設備も補助の対象となります。具体的な製品名やメーカーに関しては、以下でご確認ください。
GX設備単位型で対象となるトップ性能設備
2026年度に新設された「GX設備単位型 トップ性能枠」では、GX要件を満たしたメーカーが製造する設備のうち、SIIが設置した第三者委員会が定めた「トップ性能基準」を満たす以下の設備が対象です。
| 設備区分 | トップ性能設備の概要 |
|---|---|
| 高効率空調 | 高性能の省エネ性能を備えた空調本体に加え、クラウド上で高度なAI制御によって一層の省エネを実現する電気式パッケージエアコン |
| 産業ヒートポンプ | 中・高温帯で活用可能なヒートポンプ設備(熱風・蒸気発生・MVR型蒸発装置) |
| 高性能ボイラ | 高性能の省エネ性能を備えたボイラ本体に加え、システム効率を最適化する台数制御装置により一層の省エネを実現するボイラ |
| 低炭素工業炉 | 省エネ性能に優れた高効率バーナー(リジェネバーナー、ラジアントチューブバーナー等)を搭載した工業炉 |
| 産業用モータ | モータ単体:IECが定めたIE4以上のモータ 圧縮機:エアコンプレッサで発生する「圧縮熱」を回収し排熱を活用できる「熱回収機能」を搭載したもの |
トップ性能枠では、既存設備からの更新のほか、新設事業所等への設備の新設も支援対象となります(新設の場合の補助率は1/5以内)。
実際に採択された業種ごとの活用事例
過去の採択例から、設備単位型(Ⅲ型)を活用して実際に導入された設備の例は、以下のとおりです。自社と同じ業種があれば、どのような設備が採択されているかご確認ください。
| 業種 | 導入設備 |
|---|---|
| 食品製造業 | ・高性能ボイラ ・冷凍冷蔵設備等 |
| 食品卸・小売 | ・高効率空調 |
| 福祉施設等 | ・高効率空調 |
| 店舗・建物・ビルの省エネルギー化 | ・高効率空調 ・制御機能付きLED照明器具 |
| 印刷会社 | ・印刷機械 |
| 金属・石材加工業等 | ・産業用モータ 等 |
| リネンサプライ工場 | ・その他SIIが認めた高性能な設備 |
上記のほか、工場の省エネルギー化事業でダイカストマシンや低炭素工業炉が導入されるなど、さまざまな事業が採択されています。
参考:令和6年度補正予算 省エネルギー投資促進支援事業費補助金(Ⅲ)設備単位型 交付決定案件一覧[3次公募]
設備単位型(Ⅲ型)の詳しい補助額と要件
設備単位型(Ⅲ型)は、SIIが定める基準を満たした上で登録された高効率設備の中から、自社の目的に合うものを選ぶ仕組みです。2026年度は従来枠に加え、GX設備単位型(メーカー強化枠・トップ性能枠)が創設されています。詳しい補助額や要件について解説します。
補助率・補助額
各申請枠の補助率・補助額は以下のとおりです。
| 申請枠 | 更新/新設 | 補助率 | 上限額 | 下限額 |
|---|---|---|---|---|
| 設備単位型(従来枠) | 更新 | 中小企業者・大企業等ともに1/3以内 | 1億円/事業全体 | 30万円 |
| GX設備単位型(メーカー強化枠) | 更新 | 中小企業者・大企業等ともに1/3以内 | 3億円/事業全体 | 30万円 |
| GX設備単位型(トップ性能枠) | 更新 | 中小企業者・大企業等ともに1/2以内 | 3億円/事業全体 | 30万円 |
| GX設備単位型(トップ性能枠) | 新設 | 中小企業者・大企業等ともに1/5以内 | 3億円/事業全体 | 30万円 |
※(Ⅳ)エネルギー需要最適化型を組み合わせて申請する場合は、各事業区分それぞれの上限額の合計を事業全体の上限額とします。
メーカー強化枠は、従来枠と同じ補助率(1/3以内)ですが、上限額が1億円から3億円に引き上げられています。トップ性能枠(更新)は補助率が1/2以内となり、さらに手厚い支援を受けることができます。
申請対象となる事業者
対象事業者の主な要件は、以下のとおりです。
■事業の実施に必要な経営基盤を有し、事業の継続性が認められること
■補助対象設備の所有者であり、その補助対象設備を処分制限期間、継続的に使用すること
■経済産業省から補助金交付等停止措置または指名停止措置が講じられていない
■事業区分毎に定める期間において、補助対象設備のエネルギー使用量と省エネルギー効果を報告できる事業者である
なお、大企業については、以下のいずれかの要件を満たす場合のみ補助対象事業者となります。
・省エネ法の事業者クラス分け評価制度において『Aクラス』に該当する事業者
・中長期計画書の「ベンチマーク指標の見込み」に記載された2030年度(目標年度)の見込みが、ベンチマーク目標値を達成する事業者
また、風俗営業者や、公的資金の交付先として社会通念上適切と認められない者は対象外です。個人事業主は青色申告者に限ります。
なお、省エネ法特定事業者等は、省エネ法に基づく定期報告情報を開示する制度への参加を宣言し、令和8年度公表分の開示シートを公表することが要件となっています。
補助対象となる事業
本制度の対象事業となる主な要件は、以下のとおりです。
■以下の省エネ要件のうち、いずれかを満たすこと
・省エネ率10%以上
・省エネ量1kl以上
・経費当たり省エネ量1kl/千万円以上
特定事業者以外の事業者については、エネルギー合理化に関する中長期計画を策定することが求められます。また、以下の事業は、補助対象となりません。
■新たに事業活動を開始する新築・新設の事業所へ導入する設備
■既存の事業所への、新たな設備の増設
■事業活動に供していない設備の更新
■専ら居住を目的とした事業所・居住エリアにおける設備更新
■発電設備を新たに導入する場合で、売電を目的とするもの
■売電する事業所で発電設備を更新する場合に、売電量が増加するもの
■環境アセスメント制度対象の事業所
従来枠・メーカー強化枠は、新たな事業活動への設備投資ではなく、既存設備から省エネルギー設備への更新が対象となります。一方、トップ性能枠では新設事業所等への設備の新設も対象となります。
なお、コンバインドサイクル発電方式の設備は、補助対象外です。ただし、廃熱を事業所内で活用する、熱電併給が可能なコンバインドサイクル発電方式の設備は対象となります。
設備単位型(Ⅲ型)の申請手順
原則として、申請はエネルギー管理を一体で行う事業所単位で行います。(Ⅲ)設備単位型に加えて(Ⅳ)エネルギー需要最適化型もあわせて申請する場合には、1つの補助事業として計画し、1通の交付申請書を作成してください。
また単年度での実施が困難な事業では、複数年度事業(最大2年間)として申請することも可能です。
2026年度の公募スケジュール
2026年度の1次公募スケジュールは以下のとおりです。
| 項目 | 日程 |
|---|---|
| 公募期間 | 2026年3月30日~4月27日 |
| 交付決定 | 2026年6月中旬予定 |
| 事業完了 | 2027年1月31日まで |
| 実績報告 | 事業完了日から30日以内又は2027年2月5日のいずれか早い日 |
| 補助金の支払い | 2027年1月末~3月末まで |
従来枠の公募は計2回、GX設備単位型(メーカー強化枠・トップ性能枠)の公募は計3回実施される予定です。
※契約・発注行為は必ず交付決定日以降に行ってください。ただし、3者以上の見積依頼・競争入札については、公募要領の公開日(2026年3月25日)以降の発行日であれば交付決定前の実施も有効です。
共同申請に該当する申請について
エネルギーを一体的に管理している事業所が、複数の事業者による共同管理の場合は、管理を行っている全ての事業者で共同申請としてください。
なお、導入する補助対象設備の所有者と使用者が異なる場合は、以下のいずれかに該当する場合に限り共同申請が必要です。
・エネルギーサービスを含むESCOを利用する場合
・リースを利用する場合
・バルクリースを利用する場合
主な提出書類
申請時に必要な主な書類は、以下のとおりです。
■交付申請書
■補助事業に要する経費、補助対象経費及び補助金の配分額
■補助事業に要する経費の四半期別発生予定額
■役員名簿
■申請総括表
■事業者情報
■資金調達計画
■事業実施に関連する事項
■省エネルギー計算総括表
■エネルギー使用量計算書(設備毎/導入予定設備)
■エネルギー使用量計算書(設備毎/既存設備)
■見積金額一覧表
■見積書
■発注区分表
■導入設備一覧
交付申請書などの主な書類は、ポータルから出力してください。
また、必要に応じて別途書類提出が求められます。必ず最新の要項等で確認してください。
設備単位型(Ⅲ型)に関するよくある質問
最後に、設備単位型(Ⅲ型)に関するよくある質問と回答をまとめました。共同申請者(リース会社)からの「レンタル」契約でも申請できる?
レンタル契約での申請はできません。
付帯設備は補助対象設備に含まれる?
事業区分(Ⅲ型)においては、原則、設備本体が補助対象となります。
従来枠とGX設備単位型(メーカー強化枠・トップ性能枠)の違いは?
従来枠は補助率1/3・上限1億円で、SIIが定めた指定設備への更新が対象です。メーカー強化枠は、GX要件を満たしたメーカーの指定設備が対象で、補助率1/3・上限3億円に引き上げられます。トップ性能枠は、さらにトップ性能基準を満たす設備が対象で、更新の場合は補助率1/2・上限3億円、新設の場合は補助率1/5・上限3億円となります。
まとめ
省エネ・非化石転換補助金の設備単位型(Ⅲ型)は、SIIが登録・公表した高効率な省エネ設備への更新を支援する補助金制度です。
高効率空調や冷凍冷蔵設備、制御機能付きLED照明、低炭素工業炉などのユーティリティ設備や、工作機械、プラスチック加工機械などの生産設備が対象となります。単年度での実施が困難な場合は複数年度事業(最大2年間)としての申請も可能です。
2026年度は、従来枠に加えてGX設備単位型(メーカー強化枠・トップ性能枠)が創設され、GX要件を満たすメーカーの設備やトップ性能基準を満たす設備では、上限額の増額や補助率の優遇が受けられます。トップ性能枠では新設事業も対象となるため、これまで対象外だった新設事業所への設備導入にも活用できます。
省エネ設備への投資は、将来的にも長く利益が見込める事業です。支援制度を活用し、初期負担の少ない設備導入を目指しましょう。
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