「店舗の業務用エアコンを高効率機に入れ替えたい」「工場や事務所の照明を補助金でLED化したい」「老朽化した変圧器や冷凍冷蔵設備を更新したい」――こうした設備1台単位の更新に使える国の補助金が、省エネ・非化石転換補助金「設備単位型(Ⅲ型)」です。
2026年9月9日には2次公募の交付決定が行われ、(Ⅲ)型は1,410件の申請に対して1,307件が採択されました。採択率は92.7%です。設備区分別では高効率空調(業務用エアコン等)が590件で最も多く、店舗・事務所・工場の空調更新で広く使われていることがわかります。
現在は3次公募を2026年9月28日(月)17時必着で受け付けています。補助率は従来枠で1/3以内、トップ性能枠の更新事業で1/2以内、上限額は最大3億円です。
本記事では、SIIが公表した3次公募の公募要領と採択結果をもとに、対象設備15区分の基準、3つの申請枠の違い、補助額の計算例、設備区分別の採択率、申請要件と手続きの流れを解説します。
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・工場のボイラ・空調・生産設備更新で使える「工場・事業場型(Ⅰ型)」
・燃料転換・電化・水素対応で使える「電化・脱炭素燃転型(Ⅱ型)」
・【★本記事】業務用エアコン・LED・変圧器の更新で使える「設備単位型(Ⅲ型)」
・エネマネ・EMS導入で使える「エネルギー需要最適化型(Ⅳ型)」
制度全体の構造は、以下の記事で整理しています。
この記事の目次
設備単位型(Ⅲ型)とは?補助率・上限額・対象設備の概要
設備単位型(Ⅲ型)は、SIIが公表した「指定設備」へ既存設備を更新する事業を、設備ごとに支援する制度です。事業所全体の省エネ計画を作る必要がなく、業務用エアコン1台の更新から申請できます。
- 正式名称:省エネルギー投資促進支援事業費補助金(従来枠)/省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業費補助金(GX設備単位型)
- 所管・執行:経済産業省(資源エネルギー庁)/一般社団法人環境共創イニシアチブ(SII)
- 対象設備:業務用エアコン、LED照明、変圧器、冷凍冷蔵設備、工作機械など15区分の指定設備
- 補助率:1/3以内(トップ性能枠の更新は1/2以内)。中小企業・大企業で同じ
- 上限額:従来枠1億円、GX設備単位型3億円(下限額30万円)
- 補助対象経費:設備費のみ(工事費は対象外)
Ⅰ型(工場・事業場型)との違い
同じ15区分の指定設備はⅠ型でも対象になりますが、Ⅰ型は事業所全体の省エネ効果で審査されます。単一設備の更新ならⅢ型、工場全体の刷新ならⅠ型が目安です。
| Ⅲ型とⅠ型の比較 | ||
|---|---|---|
| 項目 | Ⅲ型(設備単位型) | Ⅰ型(工場・事業場型) |
| 省エネ効果の評価単位 | 更新する設備ごと | 事業所全体(設備単位の要件も併用) |
| 主な省エネ要件 | 省エネ率10%以上/省エネ量1kl以上/経費あたり1kl/千万円以上 | 一般枠で省エネ率10%以上/700kl以上など |
| 補助率 | 1/3以内(トップ性能枠更新1/2以内) | 最大2/3以内(先進枠・中小企業者等) |
| 上限額 | 1億円〜3億円 | 単年度15億円(非化石転換20億円) |
| 補助対象経費 | 設備費のみ | 設計費・設備費・工事費 |
| 向いている投資 | 空調・LED・変圧器などの個別更新 | オーダーメイド設備を含む大規模更新 |
Ⅰ型の詳細は、以下の記事をご覧ください。
3次公募のスケジュールと予算は?締切は9月28日
Ⅲ型の3次公募は2026年8月20日(木)〜9月28日(月)17時必着です。従来枠・メーカー強化枠・トップ性能枠のすべてに申請できます。| 令和7年度補正予算 設備単位型の公募スケジュール | ||
|---|---|---|
| 公募回 | 公募期間 | 交付決定 |
| 1次公募 | 2026年3月30日(月)〜4月27日(月)※終了 | 2026年6月19日(金)実施済み |
| 2次公募 | 2026年6月1日(月)〜7月9日(木)※終了 | 2026年9月9日(水)実施済み |
| 3次公募 | 2026年8月20日(木)〜9月28日(月)17時必着 | 2026年11月下旬(予定) |
単年度事業は2027年1月31日(日)までに事業を完了させる必要があります。実績報告は、事業完了日から30日以内か2027年2月5日(金)のいずれか早い日までです。単年度で完了できない場合は、最大2年の複数年度事業(2028年1月31日完了)として申請できます。
- 従来枠:2026年度分 約30億円、2027年度分 約12億円
- GX設備単位型(メーカー強化枠・トップ性能枠):2026年度分 約25億円、2027年度分 約62億円
対象設備15区分は?業務用エアコン・LED・変圧器の基準
Ⅲ型の対象は、SIIがエネルギー消費効率の基準を満たすと認め、補助対象として公表した「指定設備」です。ユーティリティ設備10区分と生産設備5区分の計15区分があります。
指定設備15区分の一覧
| 設備単位型の指定設備15区分 | ||
|---|---|---|
| 分類 | 設備区分 | 主な対象設備の例 |
| ユーティリティ設備 | ①高効率空調 | 電気式パッケージエアコン(店舗用・ビル用マルチ・設備用)、ガスヒートポンプエアコン、チリングユニット、吸収式冷凍機、ターボ冷凍機 |
| ユーティリティ設備 | ②産業ヒートポンプ | 空冷ヒートポンプチラー、循環加温式・温水・熱風・蒸気発生ヒートポンプ、施設園芸用ヒートポンプ |
| ユーティリティ設備 | ③業務用給湯器 | 業務用ヒートポンプ給湯器、潜熱回収型給湯器(ガス・石油) |
| ユーティリティ設備 | ④高性能ボイラ | 蒸気ボイラ、温水ボイラ(ボイラ効率95%以上) |
| ユーティリティ設備 | ⑤高効率コージェネレーション | 総合効率82%以上または発電効率41%以上のもの |
| ユーティリティ設備 | ⑥低炭素工業炉 | 燃焼式・抵抗加熱式・誘導加熱式などの加熱炉・熱処理炉・溶解炉・塗装乾燥炉 |
| ユーティリティ設備 | ⑦変圧器 | 油入変圧器、モールド変圧器 |
| ユーティリティ設備 | ⑧冷凍冷蔵設備 | 業務用冷蔵庫・冷凍庫、冷凍機内蔵形ショーケース、コンデンシングユニット、冷凍冷蔵ユニット |
| ユーティリティ設備 | ⑨産業用モータ | モータ単体・ポンプ・圧縮機・送風機、インバータ |
| ユーティリティ設備 | ⑩制御機能付きLED照明器具 | 無線式・有線式・人感・明るさセンサ付の調光制御設備 |
| 生産設備 | ⑪工作機械 | NC旋盤、マシニングセンタ、レーザ加工機、研削盤、放電加工機、工程集約型加工機(複合加工機・5軸マシニングセンタ等) |
| 生産設備 | ⑫プラスチック加工機械 | 射出成形機、押出成形機、ブロー成形機、真空・圧空成形機 |
| 生産設備 | ⑬プレス機械 | サーボプレス、プレスブレーキ、パンチングプレス |
| 生産設備 | ⑭印刷機械 | 有版印刷機、デジタル枚葉印刷機(B2以上)、連帳デジタル印刷機 |
| 生産設備 | ⑮ダイカストマシン | コールドチャンバー、ホットチャンバー(サーボ油圧・電動) |
このほか「その他SIIが認めた高性能な設備」も対象です。対象機種はSIIの「指定設備」の補助対象設備一覧で検索できます。なお、低炭素工業炉と産業用モータ(圧縮機を除く)は型番が事前公表されないため、申請者自身が基準を満たしているか確認して申請します。
業務用エアコン(高効率空調)の基準は?
業務用エアコンは、APF(通年エネルギー消費効率)が性能区分・能力ごとの基準値以上の機種が対象です。トップ性能枠は、より高いAPFとAI制御システムの両方が求められます。
| 電気式パッケージエアコンのAPF基準(抜粋) | ||
|---|---|---|
| 性能区分・能力 | 従来枠・メーカー強化枠 | トップ性能枠 |
| 店舗用・4方向カセット形 10.0kW(112形) | 6.3以上 | 6.6以上 |
| 店舗用・4方向カセット形 14.0kW(160形) | 5.8以上 | 6.1以上 |
| 店舗用・4方向カセット形以外 14.0kW(160形) | 4.9以上 | 5.2以上 |
| ビル用マルチ 28.0kW(280形) | 5.4以上 | 5.5以上 |
| ビル用マルチ 45.0kW(450形) | 4.8以上 | 5.0以上 |
※寒冷地仕様は基準値に0.9を乗じた値で判定。水冷式、オゾン層破壊物質を冷媒に使う機種は対象外です。
補助対象の範囲は、室外機・室内機・リモコン(集中リモコン含む)・パネル・全熱交換器です。2次公募では高効率空調だけで627件の申請があり、Ⅲ型で最も利用の多い設備区分となっています。国と自治体の業務用エアコン補助金をまとめて比較したい場合は、以下の記事をご覧ください。
LED照明は「制御機能付き」が必須条件
Ⅲ型で対象となるLED照明は「制御機能付きLED照明器具」のみです。LEDシーリングライト・ダウンライト・直管LEDランプへの単純な交換は対象になりません。
- 無線式・有線式・人感/明るさセンサ付のいずれかの調光制御設備であること
- 照明制御器が調光信号を送り、25台以上の照明器具を制御できること
- スケジュール制御・明るさセンサによる一定照度制御・在/不在調光制御のうち1つ以上を採用すること
- 調光下限値35%以下の連続調光器具と組み合わせること(原則同一メーカー)
- 固有エネルギー消費効率が昼光色・昼白色・白色で100lm/W以上、温白色・電球色で50lm/W以上
既設照明器具の改造を伴うもの、コンセントから給電する器具、蛍光ランプ・電球形LEDランプと互換性のある口金を持つものは対象外です。単純なLED交換やリース導入を検討している場合は、自治体の補助金や以下の記事も参考にしてください。
変圧器・冷凍冷蔵設備・産業用モータの基準
変圧器・冷凍冷蔵設備・産業用モータは、いずれもトップランナー基準などをもとに対象が定められています。
- 変圧器:定格一次電圧600V超〜7,000V以下の油入変圧器・モールド変圧器で、トップランナー基準(2026年度目標)の達成率105%以上。柱上変圧器や風冷式・水冷式などは対象外です
- 冷凍冷蔵設備:業務用冷蔵庫・冷凍庫はインバータ搭載かつ2016年省エネ基準達成率100%以上、ショーケースは2020年省エネ基準達成率100%以上
- 産業用モータ:IE3以上の効率を持ち、インバータ制御で省エネ化を図るもの(既設インバータの流用は対象外)
トップ性能枠の対象になる5区分
GX設備単位型のトップ性能枠は、SIIが設置した第三者委員会の「トップ性能基準」を満たす設備に限られます。対象は次の5区分です。
| トップ性能枠の対象設備 | |
|---|---|
| 設備区分 | 主な要件 |
| 高効率空調 | 電気式パッケージエアコンで、トップランナー基準達成率が店舗用111%・ビル用109%・設備用107%以上、かつ同一メーカーのクラウドAI制御システムを導入 |
| 産業ヒートポンプ | 中・高温帯で使える熱風ヒートポンプ、蒸気発生ヒートポンプ、MVR(自己蒸気機械圧縮)型蒸発装置 |
| 高性能ボイラ | ボイラ効率102%以上(低位発熱量基準)、かつ台数制御装置を導入 |
| 低炭素工業炉 | リジェネバーナ・ラジアントチューブリジェネバーナ・高効率ラジアントチューブバーナを搭載した燃焼式工業炉 |
| 産業用モータ | IE4以上のモータ単体、または圧縮熱の熱回収機能を備えたエアコンプレッサ |
3つの申請枠の違いは?従来枠・メーカー強化枠・トップ性能枠
令和7年度補正予算のⅢ型には3つの申請枠があり、導入する設備のメーカーと性能によって申請できる枠が決まります。メーカー強化枠とトップ性能枠は、今回新設されたGX設備単位型の枠です。
| 3つの申請枠の比較 | ||||
|---|---|---|---|---|
| 申請枠 | 対象設備 | GX要件(メーカー) | GX要件(補助事業者) | 更新/新設 |
| 従来枠 | 指定設備15区分 | 不要 | 不要 | 更新のみ |
| メーカー強化枠 | GX要件を満たすメーカーの指定設備 | 必須 | 化石燃料を継続利用する場合は必須 | 更新のみ |
| トップ性能枠 | トップ性能基準を満たす5区分の設備 | 必須 | 化石燃料を継続利用する場合は必須 | 更新・新設 |
従来枠とメーカー強化枠は、同じ補助事業ポータルから申請します。GX表明メーカーの設備だけを導入する場合はどちらの枠でも申請できますが、GX表明メーカー以外の設備が混在する場合は従来枠のみです。設備区分ごとに省エネ効果を切り分けられる場合は、2つの事業に分けて申請することも認められています。
補助率・補助金額はいくら?計算例で確認
Ⅲ型の補助率は申請枠で決まり、中小企業者等と大企業で違いはありません。上限額・下限額はいずれも事業全体に対する金額です。
| 申請枠別の補助率と補助金限度額 | ||||
|---|---|---|---|---|
| 申請枠 | 更新/新設 | 補助率 | 上限額 | 下限額 |
| 従来枠 | 更新 | 1/3以内 | 1億円 | 30万円 |
| メーカー強化枠 | 更新 | 1/3以内 | 3億円 | 30万円 |
| トップ性能枠 | 更新 | 1/2以内 | 3億円 | 30万円 |
| トップ性能枠 | 新設 | 1/5以内 | 3億円 | 30万円 |
補助対象経費は「設備費」のみ
Ⅲ型の補助対象経費は、補助対象設備の購入費(設備費)だけです。据付・工事費、運搬費、既存設備の撤去・廃棄費、配線・配管などの材料費、消費税は対象外となります。補助対象経費は、3者以上の見積のうち最低価格が上限です。
補助額の計算例
業務用エアコンの更新で、見積総額1,200万円(設備費900万円・工事費300万円、税抜)の場合の目安は次のとおりです。
| 補助額の計算例(業務用エアコン更新) | ||
|---|---|---|
| 申請枠 | 計算式 | 補助額の目安 |
| 従来枠・メーカー強化枠 | 設備費900万円×1/3 | 300万円 |
| トップ性能枠(更新) | 設備費900万円×1/2 | 450万円 |
※工事費300万円は補助対象外のため自己負担です。実際の補助額は審査・確定検査で決まります。
採択率は?2次公募の設備区分別の結果
2次公募のⅢ型全体の採択率は92.7%(1,410件中1,307件)、採択金額は138.1億円でした。1次公募も93.3%(1,816件中1,695件、205.3億円)と、9割を超える水準が続いています。
| 2次公募 設備区分別の採択結果((Ⅲ)設備単位型/GX設備単位型) | ||||
|---|---|---|---|---|
| 設備区分 | 申請件数 | 採択件数 | 採択率 | 平均省エネ率 |
| 高効率空調 | 627件 | 590件 | 94.1% | 32.2% |
| 工作機械 | 285件 | 274件 | 96.1% | 44.1% |
| 産業用モータ | 93件 | 67件 | 72.0% | 18.6% |
| 高性能ボイラ | 86件 | 74件 | 86.0% | 5.0% |
| プラスチック加工機械 | 83件 | 82件 | 98.8% | 46.7% |
| 冷凍冷蔵設備 | 68件 | 64件 | 94.1% | 40.2% |
| プレス機械 | 50件 | 49件 | 98.0% | 55.6% |
| 変圧器 | 49件 | 46件 | 93.9% | 55.1% |
| 制御機能付きLED照明器具 | 39件 | 35件 | 89.7% | 57.4% |
| 印刷機械 | 34件 | 32件 | 94.1% | 48.1% |
| その他SIIが認めた高性能な設備 | 27件 | 26件 | 96.3% | 42.1% |
| 低炭素工業炉 | 17件 | 15件 | 88.2% | 34.3% |
| 業務用給湯器 | 7件 | 6件 | 85.7% | 11.9% |
| ダイカストマシン | 7件 | 7件 | 100.0% | 29.4% |
※出典:SII「新規採択事業の結果について[2次公募]」。複数設備区分を導入する場合は区分ごとに計上。産業ヒートポンプ・高効率コージェネレーションは件数が少ないため非公開。
生産設備は採択率が95%を超える一方、産業用モータは72.0%と低めでした。採択は先着順ではなく、省エネ量・省エネ率・経費あたり省エネ量などの評価をもとに、上位から予算の範囲内で決まります。3次公募でも同じ採択率になるとは限らない点に注意しましょう。
申請するための要件は?
Ⅲ型の申請には、事業者の要件と省エネ要件の両方を満たす必要があります。大企業や年間エネルギー使用量の多い事業者には追加の要件があります。
対象となる事業者
申請できるのは、国内で事業活動を営む法人と個人事業主です。
- 個人事業主は青色申告者に限る
- 事業の継続性があり、設備所有者が直近決算で債務超過でないこと
- 補助対象設備の所有者として、法定耐用年数の期間は継続して使用すること
- 成果報告時に、導入設備の1週間以上の実測データなどで省エネ効果を報告できること
- 医療法人・社会福祉法人・NPO法人などは、従業員300人以下なら中小企業者等として扱われる
省エネ要件と省エネ量の計算方法
省エネ要件は、省エネ率10%以上、省エネ量1kl以上、経費あたり省エネ量1kl/千万円以上のいずれかを満たすことです。導入予定設備の性能が既存設備より低く、省エネにならない更新は対象外です。
省エネ量は、補助事業ポータルに稼働時間などを入力すると自動計算される「指定計算」で算出できます。自社で計算する「独自計算」も可能です。生産設備を指定計算で申請する場合は、メーカー発行の製品情報証明書が必要になります。
大企業・特定事業者等の追加要件
大企業は、省エネ法の事業者クラス分け評価制度で「Sクラス」または「Aクラス」に該当するか、中長期計画書のベンチマーク指標で2030年度目標を達成する見込みがある場合に限り申請できます。
年間エネルギー使用量が原油換算1,500kl以上の特定事業者等は、省エネ法に基づく定期報告情報の開示制度に参加し、令和8年度公表分の開示シートを公表することが要件です。一方、定期報告義務のない事業者は、SII指定フォーマットで「エネルギーの合理化に関する中長期計画」を作成し提出します。
補助対象外となる主なケース
- 新築・新設の事業所への導入や、既存事業所での増設(トップ性能枠の新設事業を除く)
- 事業活動に使っていない設備の更新
- 中古品、予備設備、兼用設備、将来用設備
- 専ら居住用の事業所・エリアでの設備更新
- 交付決定前に契約・発注した設備
- 補助対象経費が重複する他の国の補助金を受ける場合(自治体の一般財源による補助金は併用可)
審査で加点される項目は?
3次公募の審査では、省エネ量・省エネ率・経費あたり省エネ量に加え、次の項目に該当する事業に追加の評価があります。
- 中小企業者等が行う省エネルギー事業
- 資源エネルギー庁「省エネ・地域パートナーシップ」のパートナー金融機関の支援を受けた事業(確認書を添付)
- 2023年度以降に国の事業で省エネルギー診断を受けた事業所の事業
- 経営力向上計画の認定、または経営革新計画の承認を受けた企業の事業
- 「パートナーシップ構築宣言」を公表している企業の事業
- 省エネ法のベンチマーク改善に資する事業(大企業を除く)
省エネ診断は、無料または低額で受けられる国の事業があります。次回以降の公募も見据えるなら、早めの受診を検討しましょう。
リースやESCOでも申請できる?
リースやESCOで設備を導入する場合も、設備使用者とリース会社(ESCO事業者)の共同申請で申請できます。リース料やESCO料から補助金相当分が減額されていることを示す書類が必要です。
- リース:リース会社は1申請につき1社。残価設定付リースや割賦契約と判断される場合は対象外
- ESCO:シェアード・セイビングス契約に限る(ギャランティード・セイビングス契約は対象外)
- バルクリース:Ⅲ型を単独で申請する場合に利用可。複数事業者の4以上の事業所で同じバルクリースを使い、一括更新で価格を下げる手法
共同申請するリース会社・ESCO事業者には、大企業向けの追加要件は課されません。業務用エアコンのリース導入では、別の国の補助金(ESGリース促進事業)もあります。ただし、同じ設備の経費に国の補助金を重ねて受けることはできません。
(Ⅳ)型や(Ⅱ)型と組み合わせて申請するには?
設備単位型の申請パターンは5つあり、いずれも(Ⅳ)エネルギー需要最適化型(EMS導入)と組み合わせられます。組み合わせる場合も、1つの補助事業として1通の交付申請書を作成します。
| 設備単位型の申請パターン | |||
|---|---|---|---|
| 類型 | 事業区分 | 申請枠 | 更新/新設 |
| ① | (Ⅲ)設備単位型/GX設備単位型 | 従来枠/メーカー強化枠 | 更新 |
| ② | (Ⅲ)GX設備単位型 | トップ性能枠 | 更新 |
| ③ | (Ⅲ)GX設備単位型 | トップ性能枠 | 新設 |
| ④ | (Ⅱ)電化・脱炭素燃転型 | - | 更新/改造 |
| ⑤ | (Ⅱ)電化・脱炭素燃転型 | - | 新設 |
(Ⅳ)型を組み合わせた場合の上限額は、各区分の上限額の合計です。EMSだけを導入したい場合は、設備単位型ではなく工場・事業場型の(Ⅳ)型に単独で申請します。
重油ボイラの電化やガスへの燃料転換、水素対応設備の導入を検討している場合は、Ⅲ型ではなく(Ⅱ)電化・脱炭素燃転型が対象です。(Ⅱ)型は補助率1/2以内で、中小企業者等は工事費も補助対象になります。
申請の流れと必要書類は?
申請は、SIIの「補助事業ポータル」に入力した内容を印刷し、書類一式を郵送する流れです。ポータルへの入力だけでは申請と認められません。
申請の流れ
- ①SIIの補助対象設備一覧で、導入予定の機種が指定設備か確認する
- ②販売事業者3者以上から見積を取る(2026年3月25日以降の発行分であれば有効)
- ③SIIホームページでアカウントを登録する(1次・2次のアカウントは3次でも使用可)
- ④補助事業ポータルに事業内容・稼働時間などを入力し、申請書類を出力する
- ⑤書類をA4ファイルに綴じ、9月28日17時必着で郵送する(持参不可)
見積依頼先に関係会社など同一資本関係の法人が含まれる場合は、資本関係のない2者以上から見積を取る必要があります。補助対象経費は最低価格の見積額で申請しますが、交付決定後の発注先は見積を取った3者のいずれでも構いません。
主な提出書類
- 交付申請書、補助対象経費の配分額、四半期別発生予定額、役員名簿
- 実施計画書(申請総括表・事業者情報・資金調達計画など)
- 省エネルギー計算総括表、エネルギー使用量計算書(導入予定設備・既存設備)
- 見積金額一覧表、見積書(3者分)、発注区分表、導入予定設備一覧
- 会社情報、直近1年分の決算書(貸借対照表)、商業登記簿謄本、設備を設置する建物の登記簿謄本
- GX要件を満たすことの表明書(GX設備単位型の場合)
採択後の流れ
交付決定後に契約・発注し、中間報告(着工前写真の提出・振込口座の登録)を経て設備を導入します。既存設備は原則として事業完了日までに撤去が必要です。事業完了後に実績報告書を提出し、確定検査を受けて補助金が支払われます。その後、導入設備の1週間以上の実測データで省エネ効果を報告し、計画値に届かない場合は補助金の返還を求められることがあります。
設備単位型(Ⅲ型)に関するよくある質問
3次公募の締切はいつですか?
2026年9月28日(月)17時必着です。公募期間は8月20日から始まっており、交付決定は11月下旬の予定です。申請書類は配送状況が確認できる方法で郵送し、持参はできません。
業務用エアコンの更新は対象になりますか?
対象です。電気式パッケージエアコン、ビル用マルチエアコン、ガスヒートポンプエアコン、チリングユニットなどが「高効率空調」として指定設備に含まれます。APFなどの基準を満たし、SIIに補助対象設備として公表された機種が対象で、水冷式は対象外です。
LED照明への交換も補助対象ですか?
対象は「制御機能付きLED照明器具」に限られます。調光制御設備で25台以上の照明器具を制御でき、スケジュール制御・一定照度制御・在/不在調光制御のいずれかを採用する必要があります。LEDシーリングライトや直管LEDランプへの単純な交換は対象外です。
変圧器の更新にも使えますか?
使えます。定格一次電圧600V超〜7,000V以下の油入変圧器・モールド変圧器で、トップランナー基準の達成率105%以上の製品が対象です。2次公募では変圧器で49件の申請があり、46件が採択されました(採択率93.9%)。
工事費や撤去費は補助されますか?
補助されません。Ⅲ型の補助対象経費は設備費のみで、据付・工事費、運搬費、既存設備の撤去・廃棄費、配線・配管などの材料費、消費税は対象外です。工事費も補助対象にしたい場合は、工場・事業場型(Ⅰ型)や、電化・燃料転換を伴う(Ⅱ)型を検討してください。
中小企業と大企業で補助率は違いますか?
Ⅲ型では違いはありません。従来枠とメーカー強化枠は1/3以内、トップ性能枠は更新1/2以内・新設1/5以内です。ただし大企業は、省エネ法のクラス分け評価制度でSクラスまたはAクラスに該当するなどの追加要件を満たす必要があります。
従来枠とGX設備単位型はどう違いますか?
従来枠はGX要件が不要で、補助率1/3以内・上限1億円です。GX設備単位型のメーカー強化枠はGX要件を満たすメーカーの設備が対象で、上限額が3億円に上がります。トップ性能枠はさらに高性能な5区分の設備が対象で、更新は補助率1/2以内です。
新築・新設の事業所でも使えますか?
原則は既存設備の更新が対象で、新設や増設は対象外です。例外として、GX設備単位型のトップ性能枠(新設事業)は新設の事業所や既存事業所への新設も対象になり、補助率は1/5以内・上限3億円です。
リースで導入する場合も申請できますか?
設備使用者とリース会社の共同申請で申請できます。リース料から補助金相当分が減額されていることを示す書類が必要で、残価設定付リースや割賦契約は対象外です。Ⅲ型を単独で申請する場合は、4以上の事業所で一括更新するバルクリースも利用できます。
採択率はどのくらいですか?
2次公募のⅢ型全体の採択率は92.7%(1,410件中1,307件)、1次公募は93.3%でした。設備区分別では、工作機械96.1%、高効率空調94.1%、制御機能付きLED照明器具89.7%、産業用モータ72.0%です。予算の範囲内で上位から採択されるため、3次公募の採択率は変わる可能性があります。
交付決定前に発注や見積をしてもよいですか?
契約・発注は必ず交付決定日以降に行ってください。交付決定前に発注した設備は補助対象外です。一方、3者以上の見積取得は、1次公募の公募要領公開日(2026年3月25日)以降に発行されたものであれば交付決定前でも有効です。
1次・2次公募で不採択でも3次公募に申請できますか?
3次公募の公募要領には、過去の公募で不採択となった事業者の申請を制限する定めは設けられていません。前回の申請内容を見直し、省エネ量や経費あたり省エネ量を高められる設備構成にしたうえで再申請することを検討しましょう。
まとめ
省エネ補助金「設備単位型(Ⅲ型)」は、業務用エアコン・制御機能付きLED照明・変圧器・冷凍冷蔵設備・工作機械など15区分の指定設備への更新を、最大3億円まで支援する国の制度です。補助率は従来枠で1/3以内、トップ性能枠の更新で1/2以内、補助対象経費は設備費のみです。
2次公募の採択率は92.7%と高い水準でした。3次公募の締切は2026年9月28日(月)17時必着です。導入予定の機種が指定設備に登録されているか、3者見積がそろっているかを確認し、早めに申請準備を進めましょう。
(Ⅲ)設備単位型/(Ⅲ)GX設備単位型:0570-01-5116(IP電話からは042-303-0855)
受付時間:10:00〜12:00、13:00〜17:00(土日祝日を除く)
・工場のボイラ・空調・生産設備更新で使える「工場・事業場型(Ⅰ型)」
・燃料転換・電化・水素対応で使える「電化・脱炭素燃転型(Ⅱ型)」
・【★本記事】業務用エアコン・LED・変圧器の更新で使える「設備単位型(Ⅲ型)」
・エネマネ・EMS導入で使える「エネルギー需要最適化型(Ⅳ型)」
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