「工場のエアコンやボイラが古くなり、電気代もかさんでいる」「生産ラインをまとめて刷新し、工場全体で省エネを進めたい」――こうした工場・事業場全体の設備投資を支援する国の補助金が、省エネ・非化石転換補助金の「工場・事業場型(Ⅰ型)」です。
補助率は中小企業者等で最大2/3、上限額は単年度で15億円(非化石転換は20億円)です。複数年度事業なら最大4年、事業全体で最大40億円まで支援を受けられ、設計費・設備費・工事費がすべて補助対象になります。
2026年9月9日には2次公募の交付決定が行われ、工場・事業場型は245件の申請に対して205件が採択されました(採択率83.7%)。現在は3次公募を2026年9月28日(月)17時必着で受け付けています。
本記事では、SIIが公表した3次公募の公募要領と採択結果をもとに、4つの申請枠の違い、補助率と補助額の計算例、工場のエアコン更新でⅠ型とⅢ型のどちらを選ぶべきか、申請要件と手続きの流れを解説します。
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・【★本記事】工場のボイラ・空調・生産設備更新で使える「工場・事業場型(Ⅰ型)」
・燃料転換・電化・水素対応で使える「電化・脱炭素燃転型(Ⅱ型)」
・業務用エアコン・LED・変圧器の更新で使える「設備単位型(Ⅲ型)」
・エネマネ・EMS導入で使える「エネルギー需要最適化型(Ⅳ型)」
制度全体の構造は、以下の記事で整理しています。
この記事の目次
工場・事業場型(Ⅰ型)とは?補助率・上限額の概要
工場・事業場型(Ⅰ型)は、エネルギー管理を一体で行う事業所単位で省エネ計画を立て、設備を更新する事業を支援する制度です。事業所全体で省エネ率などの要件を満たす必要があり、省エネ・非化石転換補助金の中で最も補助率・上限額が大きい区分です。
- 正式名称:令和7年度補正予算 省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業費補助金(工場・事業場型)
- 所管・執行:経済産業省(資源エネルギー庁)/一般社団法人環境共創イニシアチブ(SII)
- 申請枠:先進枠・一般枠・中小企業投資促進枠・サプライチェーン連携枠の4つ
- 補助率:中小企業者等 最大2/3以内、大企業 最大1/2以内
- 上限額:単年度15億円(非化石転換20億円)、複数年度で最大30億円(同40億円)、下限額100万円
- 補助対象経費:設計費・設備費・工事費
- 主な要件:事業所全体と設備単位の省エネ要件、投資回収年数、GX要件への意思表明
工場のエアコン更新はⅠ型とⅢ型のどちらを選ぶ?
結論からいえば、エアコンなど単一設備の更新ならⅢ型、工場全体で複数設備をまとめて更新するならⅠ型が目安です。業務用エアコンやボイラなど15区分の指定設備は、どちらの型でも補助対象になります。判断の決め手は、事業所全体の省エネ要件を満たせるかどうかです。たとえばⅠ型の一般枠は「事業所全体の省エネ率10%以上」などが必要で、年間エネルギー使用量1,000klの工場なら100kl以上の削減が求められます。空調の更新だけでは届かないケースが多く、その場合は設備ごとに省エネ率10%以上などを満たせば申請できるⅢ型が現実的です。
| Ⅰ型とⅢ型の比較 | ||
|---|---|---|
| 項目 | Ⅰ型(工場・事業場型) | Ⅲ型(設備単位型) |
| 省エネ効果の評価単位 | 事業所全体+設備単位 | 更新する設備ごと |
| 補助率 | 中小2/3〜1/3、大企業1/2〜1/4 | 1/3以内(トップ性能枠の更新1/2以内) |
| 上限額 | 単年度15億円(非化石20億円) | 1億円〜3億円 |
| 補助対象経費 | 設計費・設備費・工事費 | 設備費のみ |
| 対象設備 | 先進設備・オーダーメイド型設備・指定設備 | 指定設備(15区分) |
| 向いている投資 | 生産ラインを含む工場全体の刷新、数千万円以上の投資 | エアコン・LED・変圧器などの個別更新 |
Ⅰ型は工事費も補助対象で補助率も高い一方、事業所全体のエネルギー使用量実績や省エネ計算など準備の負担が大きくなります。Ⅲ型の詳細は以下の記事をご覧ください。
Ⅰ型もⅢ型も既存設備の更新が前提で、エアコンを新たに設置(増設)する事業は対象外です。工場の暑さ対策として空調を新設したい場合は、自治体の補助金や、熱中症対策の設備を支援するエイジフレンドリー補助金などを検討しましょう。
Ⅰ型の対象設備は?指定設備・オーダーメイド型設備・先進設備
Ⅰ型の補助対象設備は、「指定設備」「オーダーメイド型設備」「先進設備・システム」の3種類です。どの設備を導入するかによって、申請できる枠が変わります。
指定設備(業務用エアコン・ボイラなど15区分)
指定設備は、SIIがエネルギー消費効率の基準を満たすと認め、補助対象として公表した設備です。Ⅲ型と共通の15区分があります。
| 指定設備の15区分 | |
|---|---|
| 分類 | 設備区分 |
| ユーティリティ設備 | 高効率空調(業務用エアコン等)、産業ヒートポンプ、業務用給湯器、高性能ボイラ、高効率コージェネレーション、低炭素工業炉、変圧器、冷凍冷蔵設備、産業用モータ、制御機能付きLED照明器具 |
| 生産設備 | 工作機械(工程集約型加工機を含む)、プラスチック加工機械、プレス機械、印刷機械、ダイカストマシン |
業務用エアコンはAPF(通年エネルギー消費効率)、高性能ボイラはボイラ効率95%以上(低位発熱量基準)など、区分ごとに基準値が定められています。このほか「その他SIIが認めた高性能な設備」も対象です。
オーダーメイド型設備(生産ラインなど)
オーダーメイド型設備は、機械設計を伴う設備や、事業者の使用目的に合わせて設計・製造する設備で、設計図書などの納品物があるものです。
| オーダーメイド型設備の4タイプ | |
|---|---|
| タイプ | 内容 |
| 新規設計の設備(フルオーダー品) | 用途に応じ、設備全体のエネルギー効率を考慮して新たに設計・製造した設備 |
| 類似設計の設備(カスタマイズ品) | 既存機器を応用・組み合わせ、特別な仕様の部品等を製造するために設計した設備 |
| システム設計を伴う設備(製造ライン) | 各工程の生産設備を組み合わせて設計した製造ライン |
| システム設計を伴う設備(自動化ライン) | 搬送機械等とフルオーダー品・カスタマイズ品を連携させて設計した製造ライン |
塩害仕様への変更や取付工具の変更など、単なるオプションの追加はオーダーメイド型設備になりません。工事用図面や単線結線図だけを設計図書として提出することもできません。
先進設備・システム
先進設備・システムは、資源エネルギー庁の「先進的な省エネ技術等に係る技術評価委員会」が決めた審査項目に沿って、SIIの外部審査委員会が採択・公表した設備です。先進枠でのみ使える設備で、対象はSIIの先進設備・システムの補助対象設備で検索できます。
4つの申請枠の違いは?先進枠・一般枠・中小企業投資促進枠・サプライチェーン連携枠
Ⅰ型には4つの申請枠があり、導入する設備と事業所全体の省エネ効果、投資回収年数によって申請できる枠が決まります。サプライチェーン連携枠は、令和7年度補正予算で新設された枠です。
| 4つの申請枠の要件 | |||
|---|---|---|---|
| 申請枠 | 対象設備 | 事業所全体の省エネ要件(いずれか) | 投資回収年数 |
| 先進枠 | 先進設備・システム(オーダーメイド型・指定設備との組み合わせも可) | 省エネ率30%以上/省エネ量1,000kl以上/原単位改善率15%以上 | 5年以上 |
| 一般枠 | オーダーメイド型設備・指定設備 | 省エネ率10%以上/省エネ量700kl以上/原単位改善率7%以上 | 5年以上 |
| 中小企業投資促進枠 | オーダーメイド型設備・指定設備 | 省エネ率7%以上/省エネ量500kl以上/原単位改善率5%以上 | 3年以上 |
| サプライチェーン連携枠 | オーダーメイド型設備・指定設備 | 1者あたり省エネ率5%以上(4者以上すべてが達成) | 中小3年以上・大企業5年以上 |
※省エネ率には非化石割合増加率、省エネ量には非化石使用量を含めて判定できます。
中小企業投資促進枠
中小企業者等だけが申請できる枠で、一般枠より省エネ要件と投資回収年数の要件が緩やかです。ただし、一般枠の省エネ要件を満たす中長期的な目標・計画をSIIのフォーマットで作成・提出し、事業完了後に公表する必要があります。
サプライチェーン連携枠
サプライチェーン上の4者以上の事業者が共同で立てた設備更新計画を支援する枠です。補助金を受けない下流の幹事企業も共同申請者に加わり、コンソーシアム形式で申請します。親会社と子会社、同じ親会社を持つ子会社同士が同じコンソーシアムに参加することはできません(幹事企業との関係を除く)。
補助率・補助金限度額と補助額の計算例
Ⅰ型の補助率は、申請枠と企業規模、投資回収年数によって決まります。投資回収年数が短いと補助率が下がる点がⅠ型の特徴です。
| 申請枠別の補助率 | ||
|---|---|---|
| 申請枠 | 中小企業者等 | 大企業・その他 |
| 先進枠 | 2/3以内(併せて導入するオーダーメイド型・指定設備は1/2以内) | 1/2以内(併せて導入するオーダーメイド型・指定設備は1/3以内) |
| 一般枠 | 1/2以内(投資回収年数7年未満は1/3以内) | 1/3以内(投資回収年数7年未満は1/4以内) |
| 中小企業投資促進枠 | 1/2以内(投資回収年数5年未満は1/3以内) | 対象外 |
| サプライチェーン連携枠 | 1/2以内(投資回収年数5年未満は1/3以内) | 1/3以内(投資回収年数7年未満は1/4以内) |
| 補助金限度額(1事業あたり) | |||
|---|---|---|---|
| 申請枠 | 単年度事業 | 複数年度事業 | 連携事業 |
| 先進枠 | 15億円(20億円) | 30億円(40億円) | 30億円(40億円) |
| 一般枠・中小企業投資促進枠 | 15億円(20億円) | 20億円(30億円) | 30億円(40億円) |
| サプライチェーン連携枠 | 15億円(20億円) | 20億円(30億円) | - |
※( )内は非化石燃料設備を導入する場合。下限額は100万円(複数年度事業は初年度を除き年度あたり)。複数年度事業・連携事業の年度あたり上限は15億円(非化石20億円)。サプライチェーン連携枠は各事業者の事業1件あたりの限度額です。
投資回収年数の計算方法
投資回収年数は、次の式で計算します。
- 投資回収年数=補助対象経費÷(計画省エネルギー量×燃料評価単価)
- 燃料評価単価=2025年4月〜2026年3月の事業所のエネルギーコスト÷同期間のエネルギー使用量(円/kl)
補助額の計算例
中小企業者等が一般枠で、補助対象経費1億円(設計費・設備費・工事費の合計、税抜)の更新を行う場合の目安です。燃料評価単価は8万円/klと仮定します。
| 補助額の計算例(中小企業者等・一般枠・補助対象経費1億円) | |||
|---|---|---|---|
| 計画省エネ量 | 投資回収年数 | 適用される補助率 | 補助額の目安 |
| 150kl/年 | 1億円÷(150kl×8万円)=約8.3年 | 1/2以内 | 5,000万円 |
| 200kl/年 | 1億円÷(200kl×8万円)=約6.3年 | 1/3以内(7年未満) | 約3,333万円 |
※実際の補助額は審査と確定検査で決まります。
省エネ効果が大きいほど投資回収年数が短くなり、一般枠では7年未満になると補助率が下がる仕組みです。投資額と省エネ量のバランスを見て、申請枠を検討しましょう。
採択率はどのくらい?2026年1次・2次公募の結果
工場・事業場型(Ⅰ型・Ⅳ型の合計)の採択率は、1次85.2%、2次83.7%でした。
| 工場・事業場型(Ⅰ型・Ⅳ型)の採択結果 | ||||||
|---|---|---|---|---|---|---|
| 公募回 | 申請件数 | 採択件数 | 採択率 | 採択金額合計 | 平均省エネ率 | 平均経費あたり省エネ量 |
| 1次公募 | 250件 | 213件 | 85.2% | 315.1億円 | 16.6% | 3.4kl/千万円 |
| 2次公募 | 245件 | 205件 | 83.7% | 296.3億円 | 16.7% | 4.1kl/千万円 |
※出典:SII「新規採択事業の結果について」。省エネ率・経費あたり省エネ量は非化石使用量を含む値です。
採択事業の平均省エネ率は約17%で、一般枠の要件(10%以上)を大きく上回っています。採択は先着順ではなく、計画省エネ量・計画省エネ率・経費あたり省エネ量などの評価をもとに、上位から予算の範囲内で決まります。
申請するための要件は?
Ⅰ型の申請には、省エネ要件に加えて、投資回収年数、GX要件、省エネ法上の手続きなど複数の要件を満たす必要があります。
①事業所全体と設備単位の省エネ要件
事業所全体で申請枠ごとの省エネ要件を満たすことに加え、一般枠・中小企業投資促進枠・サプライチェーン連携枠では設備単位の省エネ要件も必要です。これは令和7年度補正予算から加わった要件です。
- 指定設備:省エネ率10%以上、省エネ量1kl以上、経費あたり省エネ量1kl/千万円以上のいずれか
- オーダーメイド型設備:経費あたり省エネ量1kl/千万円以上
事業所全体で要件を満たしても、効果の低い設備が含まれていると補助対象外になります。複数設備を組み合わせた一体不可分なシステムは、システム単位で比較できます。
②全申請枠に共通する要件
- 経費あたり計画省エネルギー量が補助対象経費1千万円あたり1kl以上であること
- 申請枠ごとの投資回収年数の要件を満たすこと
- 年間エネルギー使用量1,500kl以上の工場・事業場と、中小企業者に該当しない会社は、省エネ法の中長期計画書等に記載された事業であること
- 導入設備の1年間のエネルギー使用量と省エネ効果を報告できること
省エネ量は、2025年度(2025年4月〜2026年3月)のエネルギー使用量の実績データで計算します。原単位改善率で申請できるのは、設備更新後に生産量とエネルギー使用量がともに増える事業に限られます。
③GX要件への意思表明
Ⅰ型は、GX経済移行債を財源とする事業です。会社法上の会社(民間企業)は、SIIのフォーマットで次の取組を行う意思を表明します。
- 温室効果ガスの排出削減(CO2排出量20万t未満の企業・中小企業は、本事業の省エネ効果を含む省エネ計画の提出で代替可)
- コスト競争力の向上など、企業の成長につながる方針の策定
- 継続的な賃上げなど、人材確保に向けた取組
化石燃料を使い続ける事業では、将来の非化石エネルギーへの転換を検討・実施するコミットメントも必要です。
④大企業・特定事業者等の追加要件
大企業は、省エネ法の事業者クラス分け評価制度で「Sクラス」または「Aクラス」に該当するか、中長期計画書のベンチマーク指標で2030年度目標を達成する見込みがある場合に限り申請できます。年間エネルギー使用量が原油換算1,500kl以上の特定事業者等は、省エネ法の定期報告情報の開示制度に参加し、令和8年度公表分の開示シートを公表することが要件です。
⑤補助対象外となる主なケース
- 新築・新設の事業所への導入や、既存事業所での設備の増設(既設事業所を廃止して移転する場合は、既存設備の更新と認められる範囲で対象)
- 事業活動に使っていない設備の更新、更新前後で用途が異なる更新
- 中古品、予備設備、兼用設備、将来用設備
- 発電量の5割以上を売電する発電設備の導入
- 建屋・外構工事、既存設備の解体・撤去・移設費、交付決定前の経費、消費税
中小企業者等の定義と審査の加点項目は?
中小企業者等に該当すると補助率が上がり、中小企業投資促進枠も使えます。資本金基準か従業員数基準のいずれかを満たせば中小企業者です。
| 中小企業者の定義(いずれかを満たす) | ||
|---|---|---|
| 業種 | 資本金 | 従業員数 |
| 製造業・その他 | 3億円以下 | 300人以下 |
| 卸売業 | 1億円以下 | 100人以下 |
| 小売業 | 5千万円以下 | 50人以下 |
| サービス業 | 5千万円以下 | 100人以下 |
個人事業主(青色申告者)、中小企業団体等、従業員300人以下の医療法人・社会福祉法人なども中小企業者等に含まれます。資本金5億円以上の法人の100%子会社などの「みなし大企業」は除かれます。
審査では、次の項目に該当する事業に追加の評価(加点)があります。
- 中小企業者等が行う事業、パートナー金融機関の支援を受けた事業
- 2023年度以降に国の事業で省エネルギー診断を受けた事業所の事業
- 売上高に占めるエネルギーコストが10%以上のエネルギー集約型企業の事業
- エネルギー転換で省エネに寄与する事業、複数事業者の連携による事業
- 経営力向上計画・経営革新計画の認定(承認)企業、パートナーシップ構築宣言企業、地域未来牽引企業などの事業
- 省エネ法のクラス分け評価で2年連続Sクラスの事業者の事業
3次公募のスケジュールと予算は?
3次公募は2026年8月20日(木)〜9月28日(月)17時必着で、交付決定は2026年11月下旬の予定です。
| 令和7年度補正予算 工場・事業場型の公募スケジュール | ||
|---|---|---|
| 公募回 | 公募期間 | 交付決定 |
| 1次公募 | 2026年3月30日(月)〜4月27日(月)※終了 | 2026年6月19日(金)実施済み |
| 2次公募 | 2026年6月1日(月)〜7月9日(木)※終了 | 2026年9月9日(水)実施済み |
| 3次公募 | 2026年8月20日(木)〜9月28日(月)17時必着 | 2026年11月下旬(予定) |
単年度事業は2027年1月31日(日)までに完了させ、実績報告は事業完了日から30日以内か2027年2月5日(金)のいずれか早い日までに提出します。補助対象経費が原則5千万円以上の大規模な事業は、最大4年の複数年度事業として申請でき、最終年度は1月末までに完了させます。
3次公募の予算は、2026年度分約70億円、2027年度分約545億円、2028年度分約347億円、2029年度分約81億円です(Ⅰ型・Ⅱ型・GX設備単位型・Ⅳ型の合計)。2次公募の採択結果により変動する場合があります。
申請の流れと必要書類は?
申請は、SIIの「補助事業ポータル」に入力した内容を出力し、書類一式を郵送する流れです。ポータルへの入力だけでは申請と認められません。
申請の流れ
- ①事業所の2025年度のエネルギー使用量・コスト・生産量の実績を集める
- ②更新する設備と申請枠を決め、事業所全体と設備単位の省エネ量を計算する
- ③3者以上から見積を取る(2026年3月25日以降の発行分であれば有効。オーダーメイド型設備は特定メーカー・機種を指定しない)
- ④SIIホームページでアカウントを登録する(1次・2次のアカウントは3次でも使用可)
- ⑤補助事業ポータルに入力し、書類一式を9月28日17時必着で郵送する(持参不可)
主な提出書類
- 交付申請書、補助対象経費の配分額、四半期別発生予定額、役員名簿
- 実施計画書(申請総括表・事業者情報・資金調達計画・所要資金計画・発注区分表など)
- 導入前後の比較図、事業場の全体図、新設備の配置図、事業スケジュール
- 設備別の事業概要・省エネルギー計算・エネルギー使用量の原油換算表・参考見積書・旧設備の撤去範囲
- 2025年度のエネルギー使用量実績と燃料評価単価の算出根拠、生産量実績の確証
- GX要件を満たすことの表明書(Ⅰ型は必須)
- 会社情報、決算書、商業登記簿謄本、建物の登記簿謄本
採択後の流れ
交付決定後に契約・発注し、中間報告(着工前写真の提出・振込口座の登録)を経て設備を導入します。事業完了後に実績報告書を提出し、確定検査を受けて補助金が支払われます。その後、事業完了翌年度の4月〜3月の省エネ実績を翌々年度5月末日までに報告し、計画値に届かない場合は補助金の返還を求められることがあります。
(Ⅳ)型やⅡ型と組み合わせるには?
Ⅰ型は、EMSを導入する(Ⅳ)エネルギー需要最適化型と組み合わせて、1つの事業として申請できます。上限額はⅠ型とⅣ型それぞれの上限額の合計です。
重油ボイラの電化など、燃料転換を伴う設備単位の更新は(Ⅱ)電化・脱炭素燃転型が候補です。Ⅱ型は設備単位型の区分のため、Ⅰ型とは別の申請になります。
工場・事業場型(Ⅰ型)に関するよくある質問
工場のエアコン更新に使える補助金はありますか?
あります。業務用エアコンは省エネ・非化石転換補助金の指定設備で、Ⅰ型とⅢ型のどちらでも補助対象です。エアコンだけを更新するなら設備ごとに申請できるⅢ型(補助率1/3以内)、生産設備なども含め工場全体で省エネ率10%以上などを達成するならⅠ型(中小企業は最大1/2以内、工事費も対象)が目安です。
エアコンのない工場に新しく設置する場合も対象ですか?
対象外です。Ⅰ型もⅢ型も既存設備の更新が前提で、エアコンの新設・増設は補助されません。工場の暑さ対策で空調を新設する場合は、自治体の補助金や、熱中症対策の設備を支援するエイジフレンドリー補助金などを検討してください。
3次公募の締切はいつですか?
2026年9月28日(月)17時必着です。公募期間は8月20日から始まっており、交付決定は11月下旬の予定です。申請書類は配送状況が確認できる方法で郵送し、持参はできません。
補助率はどのように決まりますか?
申請枠・企業規模・投資回収年数で決まります。先進枠は中小企業2/3以内・大企業1/2以内、一般枠は中小企業1/2以内・大企業1/3以内です。一般枠は投資回収年数が7年未満だと中小企業1/3以内・大企業1/4以内に下がります。
採択率はどのくらいですか?
工場・事業場型(Ⅰ型・Ⅳ型の合計)の採択率は、2026年1次公募が85.2%(250件中213件)、2次公募が83.7%(245件中205件)でした。採択は予算の範囲内で評価の上位から決まるため、3次公募でも同じ採択率になるとは限りません。
工事費や設計費も補助対象ですか?
対象です。Ⅰ型の補助対象経費は設計費・設備費・工事費です。ただし、建屋・外構工事、既存設備の解体・撤去・移設費、交付決定前の経費、消費税は対象外です。工事用の図面は設計費ではなく工事費に含めます。
新築・新設の事業所も対象になりますか?
Ⅰ型では、新築・新設の事業所への導入や増設は対象外です。既設の事業所を廃止して移転する場合は、既存設備の更新と認められる範囲で対象になります。なお、(Ⅳ)エネルギー需要最適化型は新設事業所へのEMS導入も対象で、単独でも申請できます。
中小企業に有利な点はありますか?
補助率が大企業より高く、省エネ要件と投資回収年数が緩やかな「中小企業投資促進枠」も使えます。GX要件のうち排出削減の取組は省エネ計画の提出で代替でき、中小企業者等の事業やパートナー金融機関の支援を受けた事業などは審査で加点されます。
リースやESCOでも申請できますか?
設備使用者とリース会社(ESCO事業者)の共同申請で申請できます。リース料・ESCO料から補助金相当分が減額されていることを示す書類が必要で、残価設定付リースや割賦契約は対象外です。ESCOはシェアード・セイビングス契約に限られます。
他の補助金と併用できますか?
補助対象経費が重複する他の国の補助金とは併用できません。地方公共団体が一般財源で行う補助金とは併用が認められており、税制では中小企業経営強化税制との併用が可能です。
1次・2次公募で不採択でも3次公募に申請できますか?
3次公募の公募要領には、過去の公募で不採択となった事業者の申請を制限する定めは設けられていません。1次・2次で取得した補助事業ポータルのアカウントも使えます。省エネ量や経費あたり省エネ量を高められるよう計画を見直したうえで検討しましょう。
まとめ
工場・事業場型(Ⅰ型)は、事業所単位の省エネ計画に基づき、ボイラ・業務用エアコン・生産ラインなどを更新する事業を支援する国の補助金です。補助率は中小企業者等で最大2/3、上限額は単年度15億円(非化石転換20億円)で、設計費・設備費・工事費がすべて対象になります。
2次公募の採択率は83.7%でした。3次公募の締切は2026年9月28日(月)17時必着です。エアコンなど単一設備の更新ならⅢ型も比較し、事業所全体の省エネ量と投資回収年数を試算したうえで申請先を選びましょう。
(Ⅰ)工場・事業場型 先進枠:03-5565-3840
(Ⅰ)工場・事業場型 一般枠・中小企業投資促進枠・サプライチェーン連携枠:03-5565-4463
受付時間:10:00〜12:00、13:00〜17:00(土日祝日を除く)
・【★本記事】工場のボイラ・空調・生産設備更新で使える「工場・事業場型(Ⅰ型)」
・燃料転換・電化・水素対応で使える「電化・脱炭素燃転型(Ⅱ型)」
・業務用エアコン・LED・変圧器の更新で使える「設備単位型(Ⅲ型)」
・エネマネ・EMS導入で使える「エネルギー需要最適化型(Ⅳ型)」
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