児童扶養手当は、ひとり親家庭などの生活の安定と自立を支えるために国が支給する手当です。令和8年4月分から金額が改定され、子ども1人の全部支給で月額48,050円となりました。こども家庭庁によると、令和7年3月時点の受給者は777,962人にのぼります。
いま気になるのが「自分はいくらもらえるのか」ではないでしょうか。8月に提出した現況届の審査結果にもとづき、令和8年11月分から令和9年10月分までの手当額が新たに決まります。新しい金額で最初に振り込まれるのは、2027年1月の支給分です。
令和6年11月分からは所得制限限度額も引き上げられ、子ども1人の場合で給与収入385万円未満まで一部支給の対象になりました。「以前調べたら対象外だった」という方も、計算し直すと受給できる可能性があります。
この記事では、令和8年度の支給額、子ども1人・2人・3人の年収別シミュレーション早見表、満額をもらえる月収の目安、所得制限、自分で手当額を計算する3ステップ、支給日、申請方法までをまとめて解説します。
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この記事の目次
児童扶養手当(母子手当)とは?月額最大48,050円が支給される国の制度
児童扶養手当は、離婚や死別などで父または母と生計を同じくしていない児童を育てる家庭に、月額最大48,050円(令和8年4月分〜・子ども1人の全部支給)が支給される国の手当です。かつて母子家庭のみが対象だったことから、いまも「母子手当」「ひとり親手当」と呼ばれることがあります。
根拠は児童扶養手当法で、所管はこども家庭庁、申請窓口はお住まいの市区町村です。令和9年度予算の概算要求では、手当の給付費負担金として1,530億円が計上されています(前年度1,532億円)。受給者の内訳は母が738,913人、父が35,915人、養育者が3,134人(令和7年3月時点)で、平成22年8月分からは父子家庭も対象です。
・支給額:子ども1人で月額48,050円〜11,340円
・2人目以降の加算:1人につき月額11,350円〜5,680円
・支給時期:奇数月(1・3・5・7・9・11月)の年6回、前2か月分をまとめて支給
・所得制限:あり(本人だけでなく同居の扶養義務者の所得も審査対象)
・窓口:お住まいの市区町村
児童扶養手当(母子手当)をもらえるのはどんな人?
児童扶養手当は、次のいずれかに該当する児童を監護する母、監護し生計を同じくする父、または父母に代わって養育する養育者に支給されます。ひとり親であれば無条件にもらえるわけではなく、児童が支給要件のいずれかに当てはまることが前提です。
・父または母が死亡した児童
・父または母が政令で定める程度の障害の状態にある児童
・父または母の生死が明らかでない児童
・父または母から1年以上遺棄されている児童
・父または母が裁判所からのDV保護命令を受けた児童
・父または母が1年以上拘禁されている児童
・婚姻によらないで生まれた児童 など
一方で、児童が児童福祉施設等に入所している場合や、父または母の事実婚の相手方に養育されている場合などは支給対象外です。住民票を分けていても、実態として事実婚と判断されると受給資格を失う点には注意が必要です。
児童扶養手当は何歳まで支給される?
児童扶養手当が支給されるのは、児童が18歳に達した日以後の最初の3月31日までです。高校卒業年度の3月末が支給期限で、子どもが大学や専門学校に進学しても手当は継続しません。
例外として、政令で定める程度の障害の状態にある児童は20歳未満まで支給されます。18歳の年度末で自動的に支給が終わるため、卒業後の生活費や学費の準備は早めに考えておきたいところです。
児童扶養手当と児童手当は両方もらえる?違いを比較
児童扶養手当と児童手当は根拠となる法律も対象者も異なる別制度で、要件を満たせば両方を同時に受給できます。児童手当がすべての子育て世帯を対象とするのに対し、児童扶養手当はひとり親家庭等が対象です。
| 比較項目 | 児童扶養手当(母子手当) | 児童手当 |
|---|---|---|
| 対象 | ひとり親家庭等 | 子どもを養育するすべての家庭 |
| 手当月額 | 1人目:最大48,050円/2人目以降:1人につき最大11,350円(所得に応じて減額) | 3歳未満:15,000円/3歳〜18歳年度末:10,000円(第3子以降は一律30,000円) |
| 対象年齢 | 18歳到達後最初の3月31日まで(障害がある場合は20歳未満) | 18歳到達後最初の3月31日まで |
| 所得制限 | あり | なし(令和6年10月分から撤廃) |
| 支給月 | 年6回(奇数月) | 年6回(偶数月) |
| 所管 | こども家庭庁(申請は市区町村) | こども家庭庁(申請は市区町村) |
「所得制限が撤廃された」というニュースから、児童扶養手当も対象になったと考える方がいますが、撤廃されたのは児童手当のほうだけです。児童扶養手当の所得制限は令和8年10月時点でも維持されています。
「扶養手当」とは?会社の扶養手当(家族手当)との違い
「扶養手当」と検索すると、児童扶養手当と会社の扶養手当(家族手当)が混ざって表示されます。児童扶養手当は国の制度、会社の扶養手当は勤務先が独自に支払う給与の一部で、まったく別のものです。
| 比較項目 | 児童扶養手当 | 会社の扶養手当(家族手当) |
|---|---|---|
| 支給する人 | 国(窓口は市区町村) | 勤務先の会社 |
| 対象 | ひとり親家庭等 | 配偶者や子どもを扶養する従業員(会社の規程による) |
| 金額 | 法令で決まる(子ども1人で最大月額48,050円) | 会社ごとに異なる(支給しない会社もある) |
| 税金 | 非課税 | 給与として課税 |
| 手続き | 市区町村に認定請求 | 勤務先に申請 |
会社の扶養手当は法律で支給が義務づけられたものではなく、金額や「子ども1人あたり月〇円」といった条件は就業規則や賃金規程で決まります。勤務先から家族手当を受け取っていても、児童扶養手当の受給に制限はありません。ただし家族手当は給与収入に含まれるため、児童扶養手当の所得判定には加算されます。
児童扶養手当はいくら?令和8年度の支給額と月額早見表
令和8年4月分からの児童扶養手当は、子ども1人の場合で月額48,050円(全部支給)、48,040円〜11,340円(一部支給)です。令和7年度の全部支給46,690円から1,360円の増額となりました。手当額は物価スライド制により毎年4月分から改定されます。
| 区分 | 全部支給 | 一部支給 |
|---|---|---|
| 児童1人目(本体額) | 48,050円 | 48,040円〜11,340円 |
| 児童2人目以降(1人につき加算) | 11,350円 | 11,340円〜5,680円 |
令和6年11月分から、第3子以降の加算額は第2子と同額に引き上げられています。現在は2人目も3人目も同じ金額が加算されます。
子どもの人数別・満額(全部支給)でいくらもらえる?
全部支給の場合、子どもが1人増えるごとに月額11,350円が加算されます。子ども2人なら月額59,400円、子ども3人なら月額70,750円が満額です。
| 子どもの人数 | 全部支給の月額合計 | 年額 |
|---|---|---|
| 1人 | 48,050円 | 576,600円 |
| 2人 | 59,400円 | 712,800円 |
| 3人 | 70,750円 | 849,000円 |
| 4人 | 82,100円 | 985,200円 |
一部支給の手当額はどう計算する?計算式と係数
所得が「全部支給の限度額以上、一部支給の限度額未満」の場合は、次の計算式で手当額が決まります。{ }内は10円未満を四捨五入します。
| 児童1人目(本体額) | 48,040円 −{(受給資格者の所得額 − 全部支給の所得制限限度額)× 0.0264029} |
|---|---|
| 児童2人目以降の加算額(1人につき) | 11,340円 −{(受給資格者の所得額 − 全部支給の所得制限限度額)× 0.0040719} |
係数は手当額の改定にあわせて毎年見直されます。令和8年度の係数は本体額0.0264029、加算額0.0040719です。古い係数のままの計算ツールを使うと金額がずれるため、計算日の年度に合っているかを確認しましょう。
令和9年度(2027年度)に児童扶養手当は増額される?
令和9年度の手当額は、令和8年10月時点ではまだ決まっていません。こども家庭庁の令和9年度概算要求資料でも、令和9年度の手当額は予算編成過程で検討するとされています。
手当額は前年の全国消費者物価指数に連動して改定されるため、令和8年(2026年)の物価が上がっていれば、令和9年4月分から増額される可能性があります。例年は年明けに物価指数が公表され、改定額が決まる流れです。なお、令和9年度概算要求では手当とは別に、高等職業訓練促進給付金の月額見直しや、母子父子寡婦福祉資金貸付金の限度額引き上げなど、ひとり親家庭向け事業の拡充が盛り込まれています。
【早見表】児童扶養手当の年収別シミュレーション(子ども1人・2人・3人)
児童扶養手当は、子ども1人なら給与収入約190万円未満で満額、約385万円未満で一部支給が目安です。ここでは令和8年度の計算式で、給与収入ごとの手当月額を子どもの人数別に試算しました。
グラフのとおり、収入が増えるにつれて手当は段階的に減りますが、急にゼロになるわけではありません。働いて収入を増やしても、手当を含めた合計収入は増える設計になっています。
子ども1人の場合の年収別手当額
子ども1人のひとり親家庭では、給与収入180万円なら満額の月額48,050円、300万円なら月額27,710円が目安です。給与収入が約385万円以上になると支給が停止されます。
| 給与収入 | 審査される所得 | 判定 | 手当月額 | 年額の目安 |
|---|---|---|---|---|
| 150万円 | 67万円 | 全部支給 | 48,050円 | 約57.7万円 |
| 180万円 | 97万円 | 全部支給 | 48,050円 | 約57.7万円 |
| 200万円 | 114万円 | 一部支給 | 46,190円 | 約55.4万円 |
| 220万円 | 128万円 | 一部支給 | 42,500円 | 約51.0万円 |
| 250万円 | 149万円 | 一部支給 | 36,950円 | 約44.3万円 |
| 280万円 | 170万円 | 一部支給 | 31,410円 | 約37.7万円 |
| 300万円 | 184万円 | 一部支給 | 27,710円 | 約33.3万円 |
| 320万円 | 198万円 | 一部支給 | 24,010円 | 約28.8万円 |
| 350万円 | 219万円 | 一部支給 | 18,470円 | 約22.2万円 |
| 380万円 | 242万円 | 一部支給 | 12,400円 | 約14.9万円 |
| 400万円 | 258万円 | 支給停止 | 0円 | ー |
子ども2人の場合の年収別手当額
子ども2人の場合は、給与収入約244万円未満で満額の月額59,400円、約432万円未満で一部支給が目安です。年収400万円でも月額24,940円を受け取れる計算になります。
| 給与収入 | 審査される所得 | 判定 | 手当月額 | 年額の目安 |
|---|---|---|---|---|
| 200万円 | 114万円 | 全部支給 | 59,400円 | 約71.3万円 |
| 220万円 | 128万円 | 全部支給 | 59,400円 | 約71.3万円 |
| 250万円 | 149万円 | 一部支給 | 58,160円 | 約69.8万円 |
| 280万円 | 170万円 | 一部支給 | 51,760円 | 約62.1万円 |
| 300万円 | 184万円 | 一部支給 | 47,490円 | 約57.0万円 |
| 320万円 | 198万円 | 一部支給 | 43,230円 | 約51.9万円 |
| 350万円 | 219万円 | 一部支給 | 36,830円 | 約44.2万円 |
| 380万円 | 242万円 | 一部支給 | 29,820円 | 約35.8万円 |
| 400万円 | 258万円 | 一部支給 | 24,940円 | 約29.9万円 |
| 420万円 | 274万円 | 一部支給 | 20,070円 | 約24.1万円 |
| 450万円 | 298万円 | 支給停止 | 0円 | ー |
子ども3人の場合の年収別手当額
子ども3人の場合は、給与収入約298万円未満で満額の月額70,750円、約480万円未満で一部支給が目安です。年収450万円でも月額31,000円が支給される計算です。
| 給与収入 | 審査される所得 | 判定 | 手当月額 | 年額の目安 |
|---|---|---|---|---|
| 250万円 | 149万円 | 全部支給 | 70,750円 | 約84.9万円 |
| 280万円 | 170万円 | 全部支給 | 70,750円 | 約84.9万円 |
| 300万円 | 184万円 | 一部支給 | 70,380円 | 約84.5万円 |
| 320万円 | 198万円 | 一部支給 | 65,540円 | 約78.6万円 |
| 350万円 | 219万円 | 一部支給 | 58,270円 | 約69.9万円 |
| 380万円 | 242万円 | 一部支給 | 50,340円 | 約60.4万円 |
| 400万円 | 258万円 | 一部支給 | 44,820円 | 約53.8万円 |
| 420万円 | 274万円 | 一部支給 | 39,270円 | 約47.1万円 |
| 450万円 | 298万円 | 一部支給 | 31,000円 | 約37.2万円 |
| 480万円 | 322万円 | 支給停止 | 0円 | ー |
児童扶養手当を満額もらうには月収いくらまで?手取りの目安
賞与(ボーナス)がない場合、満額を受け取れる月収の目安は子ども1人で額面約15.8万円未満、2人で約20.3万円未満、3人で約24.8万円未満です。全部支給の収入目安を12か月で割って求めました。
| 子どもの人数 | 満額の収入目安(年) | 月収(額面)の目安 | 一部支給の収入目安(年) | 月収(額面)の目安 |
|---|---|---|---|---|
| 1人 | 190.0万円未満 | 約15.8万円 | 385.0万円未満 | 約32.0万円 |
| 2人 | 244.3万円未満 | 約20.3万円 | 432.5万円未満 | 約36.0万円 |
| 3人 | 298.6万円未満 | 約24.8万円 | 480.0万円未満 | 約40.0万円 |
判定は額面(総支給額)にもとづく所得で行われ、手取り額では判定されません。手取りは社会保険料や税金を差し引いた後の金額で、額面の8割前後になるのが一般的です。子ども1人で額面15.8万円の場合、手取りはおおむね12〜13万円程度が目安になります。
ボーナスがある場合は、年間の総支給額で判断します。例えば子ども1人で月収13万円・賞与年2回計30万円なら、年収186万円で満額の範囲内です。
自動計算ツールやシミュレーションを使うときの3つの注意点
ネット上の自動計算ツールは便利ですが、前提が古いと実際の手当額とずれます。次の3点を確認してから使いましょう。
・令和6年11月分以降の所得制限限度額か(子ども1人で全部支給 所得107万円)
・令和7年分以降の給与所得控除か(最低保障額が55万円から65万円に引き上げ)
さらに、養育費の8割加算と、同居家族(扶養義務者)の所得を入力できないツールも多くあります。養育費を受け取っている方や実家で暮らしている方は、この記事の計算ステップで確認するか、市区町村の窓口で試算してもらうのが確実です。
児童扶養手当の所得制限は年収いくらまで?令和8年度の限度額表
児童扶養手当の所得制限は、扶養親族等の数によって変わります。子ども1人(扶養親族等1人)の場合、全部支給は所得107万円未満(給与収入約190万円)、一部支給は所得246万円未満(給与収入約385万円)が限度額です。
審査の対象は受給資格者本人の所得だけではありません。同居している扶養義務者(父母・兄弟姉妹など)や配偶者の所得も別枠で審査され、限度額以上なら手当は全額支給停止となります。
所得制限限度額表(令和8年度・本人/扶養義務者)
| 扶養親族等の数 | 本人・全部支給(所得) | 同(収入目安) | 本人・一部支給(所得) | 同(収入目安) | 扶養義務者等(所得) | 同(収入目安) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 0人 | 69万円 | 152.0万円 | 208万円 | 334.3万円 | 236万円 | 372.5万円 |
| 1人 | 107万円 | 190.0万円 | 246万円 | 385.0万円 | 274万円 | 420.0万円 |
| 2人 | 145万円 | 244.3万円 | 284万円 | 432.5万円 | 312万円 | 467.5万円 |
| 3人 | 183万円 | 298.6万円 | 322万円 | 480.0万円 | 350万円 | 515.0万円 |
| 4人 | 221万円 | 352.9万円 | 360万円 | 527.5万円 | 388万円 | 562.5万円 |
| 5人 | 259万円 | 401.3万円 | 398万円 | 575.0万円 | 426万円 | 610.0万円 |
収入目安は給与所得者を例に、給与所得控除額等を加えて表示した金額です。政令上は所得額で規定されているため、判定は所得ベースで行われ、いずれも「限度額未満」が条件です。
| 判定結果 | 本人の所得 |
|---|---|
| 全部支給 | 全部支給の限度額未満 |
| 一部支給 | 全部支給の限度額以上、一部支給の限度額未満 |
| 全部支給停止(支給なし) | 一部支給の限度額以上 |
扶養親族等の数え方と限度額の加算
「扶養親族等の数」とは、所得税法上の扶養親族等の人数です。子どもの人数とほぼ一致しますが、同居する高齢の親を扶養していればその人数も含みます。扶養親族等が6人以上の場合は、1人増えるごとに限度額に38万円が加算されます。
扶養している家族の種類によっては、限度額にさらに上乗せがあります。
| 対象 | 加算される内容 |
|---|---|
| 受給資格者本人 | 老人控除対象配偶者・老人扶養親族1人につき10万円/特定扶養親族等(16歳以上23歳未満)1人につき15万円 |
| 扶養義務者・配偶者・孤児等の養育者 | 老人扶養親族1人につき6万円(扶養親族等がすべて老人扶養親族の場合は1人を除く) |
実家暮らしだと児童扶養手当はもらえない?扶養義務者の所得制限
本人の所得が限度額内でも、同居する扶養義務者の所得が限度額以上なら手当は全額支給停止となります。実家で親と同居している場合、親の所得が扶養義務者の限度額(扶養親族等0人で所得236万円・収入約372.5万円)以上だと受給できません。
親が年金生活で扶養親族がいない場合、年金収入だけで限度額を超えることは多くありません。一方、親が会社員として働いていると限度額を超えやすいため、同居を始める前に確認しておくと安心です。
児童扶養手当の所得制限は撤廃される?いつから?
令和8年10月時点で、児童扶養手当の所得制限を撤廃する方針は示されていません。所得制限が撤廃されたのは児童手当で、令和6年10月分(同年12月支給分)から適用されています。
児童扶養手当では令和6年11月分から限度額が引き上げられ、子ども1人の場合で全部支給が給与収入160万円から190万円に、一部支給が365万円から385万円に拡大されました。あわせて第3子以降の加算額も第2子と同額に引き上げられています。
児童扶養手当の所得を計算する3ステップ
児童扶養手当で審査される所得は、住民税や所得税の計算とは異なる独自のルールで算出します。ポイントは「養育費の8割を加算する」ことと「一律8万円を控除する」ことの2つです。
どの年の所得で判定されるかは、認定請求をする月で決まります。1月〜9月に請求する場合は前々年の所得、10月〜12月に請求する場合は前年の所得です。受給中の方は、毎年11月分から翌年10月分までの手当が前年の所得で判定されます。
ステップ①:源泉徴収票・確定申告書で所得を確認する
まず1年間(1月〜12月)の所得を確認します。「収入金額(額面)」や「課税標準額」ではなく、所得の金額を使います。
| 働き方 | 確認する数字 |
|---|---|
| 給与所得者 | 源泉徴収票の「給与所得控除後の金額」 |
| 自営業など確定申告をしている方 | 確定申告書の「所得金額の合計」 |
給与所得または公的年金等に係る所得がある方は、その合計額からさらに10万円を控除します(合計額が10万円未満の場合はその額)。
ステップ②:養育費の8割を加算する
受給資格者が母または父の場合、児童の父または母から受け取った養育費の8割を所得に加算します。現金だけでなく、家賃や学費の肩代わりなど金銭的な援助も養育費に含まれます。
例えば月3万円(年36万円)の養育費を受け取っている場合、28万8,000円を所得に足します。手当が減るのを避けようと養育費を申告しないと、後から返還を求められることがあるため必ず申告しましょう。
ステップ③:8万円と諸控除を差し引く
社会保険料相当額として一律8万円を差し引きます。さらに、該当する場合は次の諸控除も差し引けます。
| 控除の種類 | 控除額 |
|---|---|
| 障害者控除 | 27万円 |
| 特別障害者控除 | 40万円 |
| 勤労学生控除 | 27万円 |
| 小規模企業共済等掛金控除 | 住民税で控除された額 |
| 配偶者特別控除 | 住民税で控除された額 |
| 特定親族特別控除(令和7年分所得から) | 住民税で控除された額 |
| 医療費控除 | 住民税で控除された額 |
| 雑損控除 | 住民税で控除された額 |
間違えやすいのが寡婦控除(27万円)・ひとり親控除(35万円)の扱いです。これらは受給資格者が母または父の場合には差し引けません。差し引けるのは、養育者(父母以外で児童を養育する方)や扶養義務者の所得を計算する場合です。
令和7年度税制改正で新設された特定親族特別控除(19歳以上23歳未満の親族を扶養する場合)は、令和7年分の所得から諸控除に加わり、令和8年11月分以降の手当の判定に反映されます。
養育費はいくらまでなら児童扶養手当を満額もらえる?
子ども1人で給与収入150万円の場合、養育費が年50万円(月約4.2万円)未満であれば満額を受け取れる計算です。全部支給の限度額(所得107万円)までの余裕を、養育費の加算率0.8で割り戻して求めました。
| 給与収入(子ども1人) | 養育費加算前の所得 | 満額を維持できる養育費の目安(年) | 月額換算 |
|---|---|---|---|
| 100万円 | 17万円 | 112.5万円未満 | 約9.4万円 |
| 120万円 | 37万円 | 87.5万円未満 | 約7.3万円 |
| 150万円 | 67万円 | 50.0万円未満 | 約4.2万円 |
| 180万円 | 97万円 | 12.5万円未満 | 約1.0万円 |
上の目安を超えても、すぐに支給停止になるわけではありません。一部支給の範囲で手当額が少しずつ減っていく仕組みです。養育費の取り決めや受け取りに不安がある場合は、自治体の養育費確保支援やADR(裁判外紛争解決手続)の費用補助も活用できます。
【ケース別】児童扶養手当のシミュレーション
実際の計算の流れをつかむために、3つのケースで計算してみます。いずれも諸控除は考慮せず、令和7年分以降の給与所得控除(最低保障額65万円)を前提とした概算です。
ケース1|給与収入180万円・子ども1人・養育費なし
・給与所得控除後の金額:180万円−65万円=115万円
・給与所得者の10万円控除:115万円−10万円=105万円
・一律8万円を控除:105万円−8万円=所得97万円
扶養親族等1人の全部支給限度額は107万円なので、全部支給に該当し、手当は月額48,050円です。年額にすると576,600円になります。
ケース2|給与収入250万円・子ども1人・養育費月3万円
・給与所得控除後の金額:250万円−83万円=167万円
・給与所得者の10万円控除:167万円−10万円=157万円
・養育費の8割を加算:36万円×0.8=28万8,000円 → 185万8,000円
・一律8万円を控除:所得177万8,000円
扶養親族等1人の限度額は全部支給107万円・一部支給246万円なので、一部支給に該当します。
同じ給与収入250万円でも、養育費がなければ月額36,950円です。養育費月3万円の受け取りで手当は月7,600円減りますが、養育費と手当の合計は月59,350円となり、養育費がない場合より多くなります。
ケース3|給与収入330万円・子ども2人・養育費なし
・給与所得控除後の金額:330万円−107万円=223万円
・給与所得者の10万円控除:223万円−10万円=213万円
・一律8万円を控除:213万円−8万円=所得205万円
扶養親族等2人の限度額は全部支給145万円・一部支給284万円なので、一部支給です。本体額と第2子加算額をそれぞれ計算します。
第2子加算額:11,340円 −{(2,050,000円 − 1,450,000円)× 0.0040719}= 8,900円
合計:月額41,100円
母子家庭は1か月いくらもらえる?児童手当と合わせた手当の総額
ひとり親家庭が国から受け取れる手当は、児童扶養手当と児童手当の2つが基本です。子ども1人(3歳以上)で全部支給なら、2つの合計で月額58,050円が目安になります。
| 世帯の例(全部支給の場合) | 児童扶養手当 | 児童手当 | 月額合計 | 年額合計 |
|---|---|---|---|---|
| 子ども1人(3歳未満) | 48,050円 | 15,000円 | 63,050円 | 756,600円 |
| 子ども1人(3歳〜高校生) | 48,050円 | 10,000円 | 58,050円 | 696,600円 |
| 子ども2人(小学生・中学生) | 59,400円 | 20,000円 | 79,400円 | 952,800円 |
| 子ども3人(3人とも3歳〜高校生) | 70,750円 | 50,000円 | 120,750円 | 1,449,000円 |
児童手当の第3子以降の加算(月額30,000円)は、22歳の年度末までの上の子から数えて3番目以降の子が対象です。児童扶養手当が一部支給になる場合は、早見表の金額に置き換えて計算してください。
このほか、ひとり親家庭等医療費助成や、東京都の児童育成手当のような自治体独自の手当が上乗せされる地域もあります。金額や所得制限は自治体ごとに異なるため、お住まいの市区町村で確認しましょう。
児童扶養手当の支給日はいつ?2026年以降の振込スケジュール
児童扶養手当は、1月・3月・5月・7月・9月・11月の年6回、それぞれ前2か月分がまとめて指定口座に振り込まれます。11月・12月分が翌年1月に支給されるように、後払いになる点を押さえておきましょう。
支給日は多くの自治体で各支給月の11日とされ、11日が土日祝など金融機関の休業日にあたる場合は直前の営業日に前倒しされます。支給日は自治体によって異なる場合があるため、正確な日付はお住まいの市区町村の案内でご確認ください。
| 支給日(11日が支給日の自治体の場合) | 対象となる月分 |
|---|---|
| 2026年11月11日(水) | 9月分・10月分 |
| 2027年1月8日(金)※11日が成人の日のため前倒し | 11月分・12月分 |
| 2027年3月11日(木) | 1月分・2月分 |
| 2027年5月11日(火) | 3月分・4月分 |
| 2027年7月9日(金)※11日が日曜日のため前倒し | 5月分・6月分 |
| 2027年9月10日(金)※11日が土曜日のため前倒し | 7月分・8月分 |
| 2027年11月11日(木) | 9月分・10月分 |
新しい手当額はいつの振込から反映される?
8月の現況届で決まった新しい手当額は11月分から適用されますが、実際に新しい金額で振り込まれるのは翌年1月の支給分からです。2026年11月11日の振込は9月分・10月分のため、改定前の金額のままです。
1回の振込額は手当月額の2か月分です。子ども1人で全部支給なら48,050円×2か月=96,100円、子ども2人で全部支給なら59,400円×2か月=118,800円が一度に振り込まれます。
児童扶養手当の申請方法と必要書類
申請(認定請求)は、お住まいの市区町村のひとり親支援担当窓口で行います。郵送やオンラインに対応していない自治体が多く、原則として本人が窓口を訪れる必要があります。主な必要書類は次のとおりです。
・請求者と対象児童の戸籍謄本(離婚日等の記載があるもの)
・マイナンバーが確認できる書類、本人確認書類
・請求者名義の預金通帳など振込先がわかるもの
・そのほか、支給要件に応じた書類(年金関係の書類、障害の状態を証明する診断書など)
必要書類は世帯の状況によって異なります。離婚届を出した直後は戸籍への反映に1〜2週間かかることもあるため、事前に窓口へ確認しておくとスムーズです。
支給はいつから始まる?さかのぼり受給はできない
手当は認定請求をした月の翌月分から支給されます。さかのぼって受給することはできないため、離婚などで支給要件に該当したら1日でも早く申請することが受給額に直結します。
例えば9月中に申請すれば10月分から対象になりますが、10月に申請すると11月分からになります。子ども1人の全部支給なら、1か月遅れるだけで48,050円を受け取り損ねる計算です。
また手当は2か月分をまとめた後払いのため、10月分から対象になった場合の初回振込は11月の支給日(9月分・10月分)です。審査に時間がかかると初回の振込がさらに後ろにずれることもあるため、当面の生活費は別途確保しておきましょう。
受給後に必要な手続き|現況届と5年経過後の一部支給停止
児童扶養手当は、一度認定されれば自動的に支給が続くわけではありません。受給中も毎年の届出が必要で、手続きを忘れると支給が止まります。
毎年8月の現況届|提出しないと11月分から支給停止
受給者は毎年8月に「現況届」を提出し、所得や養育状況の審査を受けます。提出しないと11月分以降の手当が支給されず、2年間未提出の場合は受給資格そのものが失われます。
8月中に提出できなかった場合も、多くの自治体では期限後の提出を受け付けており、提出後に11月分以降の手当が支給されます(振込時期は遅れます)。所得超過で支給停止中の方も、資格を継続するために提出が必要です。
受給開始5年経過後の一部支給停止と適用除外
手当の支給開始から5年(または支給要件に該当してから7年)を経過すると、手当額の2分の1が支給停止となる制度があります。ただし、就業していることなどを届け出れば適用除外となり、従来どおり支給されます。
・就業している
・求職活動等、自立を図るための活動をしている
・身体上または精神上の障害がある
・負傷または疾病等により就業することが困難である
・監護する児童や親族が障害・負傷・疾病・要介護状態等にあり、介護のため就業が困難である
「一部支給停止適用除外事由届」は5年等の満了月の月末までに提出し、以降は毎年8月の現況届とあわせて提出します。認定請求時に3歳未満の児童を監護している場合は、3歳到達月の翌月から5年を数えます。対象者には自治体から個別に案内が届くため、期限内に手続きを行いましょう。
子どもがアルバイトを始めたら児童扶養手当は減る?
子どものアルバイト収入が手当額から直接差し引かれることはありません。ただし、子どもが税法上の扶養親族から外れると「扶養親族等の数」が1人減り、所得制限限度額が下がります。
令和7年分以降、扶養親族となるのは合計所得金額58万円以下(給与収入のみなら123万円以下)の場合です。子ども1人の世帯で扶養親族等が0人になると、全部支給の限度額は所得107万円から69万円に下がり、全部支給だった方が一部支給や支給停止になる可能性があります。高校生の子どもがアルバイトをする場合は、年間の収入額を把握しておきましょう。
児童扶養手当と併せて使えるひとり親家庭の支援制度
ひとり親家庭が利用できる支援は、手当以外にも税制上の優遇、教育費の支援、医療費の助成など数多くあります。児童扶養手当の受給者であることが要件になっている制度もあるため、あわせて確認しておきましょう。
子どもの進学に備えるなら、返済不要の給付・無利子の貸付・民間奨学金をまとめた次の記事が参考になります。
高校生の教育費には、返済不要の「高校生等奨学給付金」があります。
物価高対策の給付金や、目的別にもらえる支援金をまとめて知りたい場合はこちらです。
児童扶養手当に関するよくある質問
児童扶養手当は年収いくらまでもらえる?
給与収入の目安は、子ども1人で全部支給が約190万円未満、一部支給が約385万円未満です。子ども2人なら全部支給約244.3万円未満・一部支給約432.5万円未満、子ども3人なら全部支給約298.6万円未満・一部支給約480万円未満となります(令和8年度)。実際の判定は所得ベースで行われ、養育費を受け取っている場合はその8割が所得に加算されるため、目安より低い年収で支給停止になることがあります。
児童扶養手当を満額もらうには月収いくらまで?
賞与がない給与所得者の場合、額面の月収で子ども1人なら約15.8万円未満、2人なら約20.3万円未満、3人なら約24.8万円未満が満額(全部支給)の目安です。判定は手取りではなく額面にもとづく所得で行われます。賞与がある場合は年間の総支給額で判断し、養育費を受け取っている場合はその8割も所得に加算されます。
養育費をもらうと児童扶養手当は減る?
受け取った養育費の8割が所得に加算されるため、所得制限の判定や一部支給の手当額に影響します。ただし加算後の所得が全部支給の限度額未満であれば満額を受け取れます。子ども1人・給与収入150万円の場合、養育費が年50万円(月約4.2万円)未満なら満額の範囲です。現金だけでなく家賃や学費の肩代わりも養育費に含まれ、申告しないと後から返還を求められる場合があります。
実家に同居していると児童扶養手当は受給できない?
同居している扶養義務者(父母・祖父母・兄弟姉妹など)の所得が限度額以上の場合、本人の所得が低くても手当は支給されません。扶養親族等0人の扶養義務者の限度額は所得236万円(給与収入約372.5万円)です。住民票を分けていても、実態として同居していれば扶養義務者として扱われます。玄関や台所が別で生計も完全に分かれている二世帯住宅などは、別世帯と認められるケースもあります。
児童扶養手当の所得制限撤廃はいつから?
令和8年10月時点で、児童扶養手当の所得制限を撤廃する方針は示されていません。所得制限が撤廃されたのは児童手当で、令和6年10月分から適用されています。児童扶養手当は令和6年11月分から限度額が引き上げられ、子ども1人の場合で全部支給が給与収入160万円から190万円に、一部支給が365万円から385万円に拡大されました。
2027年(令和9年度)に児童扶養手当は増額される?
令和8年10月時点で、令和9年度の手当額は決まっていません。こども家庭庁の令和9年度概算要求でも、手当額は予算編成過程で検討するとされています。手当額は前年の全国消費者物価指数に連動して毎年4月分から改定されるため、2026年の物価上昇率によって令和9年4月分からの金額が決まります。
児童手当と児童扶養手当は両方もらえる?
両方受給できます。児童手当は子どもを養育するすべての家庭が対象で所得制限がなく、児童扶養手当はひとり親家庭等を対象とする別制度です。子ども1人(3歳〜高校生)で児童扶養手当が全部支給なら、2つの合計は月額58,050円です。支給月は児童手当が偶数月、児童扶養手当が奇数月で、どちらも申請しなければ支給されません。
遺族年金や障害年金と併給できる?
公的年金等の受給額が児童扶養手当額を下回る場合、その差額分の手当を受給できます(平成26年12月分から)。また令和3年3月分からは、障害基礎年金等を受給するひとり親について、児童扶養手当額が障害年金の子の加算部分の額を上回る場合にその差額を受給できるよう見直されています。対象となる公的年金等には老齢年金・遺族年金・労災年金・遺族補償などが含まれます。
申請前の分もさかのぼって受け取れる?
受け取れません。手当は認定請求をした月の翌月分からの支給となり、離婚などで要件に該当していても申請前の期間分はさかのぼって受給できません。子ども1人の全部支給であれば、申請が1か月遅れるごとに48,050円を受け取り損ねる計算です。書類がすべてそろっていなくても、早めに窓口へ相談しましょう。
児童扶養手当に税金はかかる?
児童扶養手当は非課税で、所得税・住民税はかかりません。児童扶養手当法により公課を課すことが禁じられており、確定申告や年末調整で収入として申告する必要もありません。会社から支給される扶養手当(家族手当)は給与として課税される点が異なります。
支給日が土日祝日にあたる場合はいつ振り込まれる?
支給日が金融機関の休業日にあたる場合、原則として直前の営業日に前倒しで振り込まれます。多くの自治体は各支給月の11日を支給日としており、2027年1月11日は成人の日のため1月8日(金)の振込となる見込みです。支給日が11日ではない自治体もあるため、正確な日程はお住まいの市区町村の案内でご確認ください。
まとめ
児童扶養手当(母子手当)は、ひとり親家庭の生活を支える月額最大48,050円(子ども1人・令和8年4月分〜)の国の手当で、児童手当とは別に受給できます。子ども1人なら給与収入約190万円未満で満額、約385万円未満で一部支給が目安です。
判定に使われるのは額面の年収ではなく、養育費の8割を加算し一律8万円と諸控除を差し引いた「所得」です。同居する親など扶養義務者の所得も別枠で審査されます。令和8年11月分からの新しい手当額は、2027年1月の振込から反映されます。
手当は申請した月の翌月分からしか支給されず、さかのぼって受け取ることはできません。まずはこの記事の早見表と計算ステップでおおよその金額を確認し、お住まいの市区町村の窓口に相談してみてください。
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