児童扶養手当は、ひとり親家庭などの生活の安定と自立を支えるために国が支給する手当です。令和8年4月分から金額が改定され、子ども1人の全部支給で月額48,050円となりました。こども家庭庁によると、令和7年3月時点で777,962人が受給しています。
さらに令和6年11月分から所得制限限度額が大幅に引き上げられ、子ども1人の場合で給与収入385万円まで一部支給の対象となりました。こども家庭庁の試算では、この見直しで約44万人が新たに一部支給の対象または増額の対象になっています。「以前調べたら対象外だった」という方も、いま計算し直すと受給できる可能性があります。
8月に提出した現況届の審査結果にもとづき、令和8年11月分から令和9年10月分までの1年間の手当額が新たに決まります。「所得が増えたので減額になるのか」「逆に増えるのか」が気になる時期です。
この記事では、令和8年度の支給額、所得制限の年収早見表、自分の手当額を計算する3ステップ、2026年以降の支給日、申請方法までを、ケース別のシミュレーションつきでわかりやすく解説します。
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この記事の目次
児童扶養手当(母子手当)とは?月額最大48,050円が支給される国の制度
児童扶養手当は、離婚や死別などによって父または母と生計を同じくしていない児童を育てる家庭に、月額最大48,050円(令和8年4月分〜・子ども1人の全部支給)が支給される国の手当です。かつて母子家庭のみが対象だった時期に「母子手当」と呼ばれていた名残から、いまも母子手当と検索されることが多い制度です。
児童扶養手当法にもとづく制度で、所管はこども家庭庁、申請窓口はお住まいの市区町村です。令和8年度予算は1,532億円が計上、令和9年度の概算要求でも約1,530億円と、ほぼ横ばいの規模で推移する見込みです。受給者の内訳は母が738,913人、父が35,915人、養育者が3,134人(令和7年3月時点)で、平成22年8月分から父子家庭も対象に加わっています。
・支給額:月額48,050円〜11,340円(子ども1人・令和8年4月分〜)
・2人目以降の加算:1人につき月額11,350円〜5,680円
・支給時期:奇数月(1・3・5・7・9・11月)の年6回、前2か月分をまとめて支給
・所得制限:あり(本人だけでなく同居の扶養義務者の所得も審査対象)
・窓口:お住まいの市区町村
児童扶養手当(母子手当)をもらえるのはどんな人?
児童扶養手当は、次のいずれかに該当する児童を監護する母、監護し生計を同じくする父、または父母に代わって養育する養育者に支給されます。ひとり親であれば無条件にもらえるわけではなく、児童が支給要件のいずれかに当てはまることが前提です。
・父または母が死亡した児童
・父または母が政令で定める程度の障害の状態にある児童
・父または母の生死が明らかでない児童
・父または母から1年以上遺棄されている児童
・父または母が裁判所からのDV保護命令を受けた児童
・父または母が1年以上拘禁されている児童
・婚姻によらないで生まれた児童 など
一方で、児童が児童福祉施設等に入所している場合や、父または母の事実婚の相手方に養育されている場合などは支給対象外です。住民票を分けていても、実態として事実婚と判断されると受給資格を失う点には注意が必要です。
児童扶養手当は何歳まで支給される?
児童扶養手当が支給されるのは、児童が18歳に達した日以後の最初の3月31日までです。つまり高校卒業年度の3月末までが支給期限で、子どもが大学や専門学校に進学しても手当は継続しません。
ただし例外があり、政令で定める程度の障害の状態にある児童の場合は20歳未満まで支給されます。子どもが18歳になった年度末で自動的に支給が終わるため、卒業後の生活費や学費の準備は早めに考えておきたいところです。
児童扶養手当と児童手当は両方もらえる?違いを比較
児童扶養手当と児童手当は根拠となる法律も対象者も異なる別制度で、要件を満たせば両方を同時に受給できます。児童手当がすべての子育て世帯を対象とするのに対し、児童扶養手当はひとり親家庭等を対象としている点が最大の違いです。
| 比較項目 | 児童扶養手当(母子手当) | 児童手当 |
|---|---|---|
| 対象 | ひとり親家庭等 | 子どもを養育するすべての家庭 |
| 手当月額 | 1人目:最大48,050円/2人目以降:1人につき最大11,350円(所得に応じて減額) | 3歳未満:15,000円/3歳〜18歳年度末:10,000円(第3子以降は一律30,000円) |
| 対象年齢 | 18歳到達後最初の3月31日まで(障害がある場合は20歳未満) | 18歳到達後最初の3月31日まで |
| 所得制限 | あり | なし(令和6年10月分から撤廃) |
| 支給月 | 年6回(奇数月) | 年6回(偶数月) |
| 所管 | こども家庭庁(申請は市区町村) | こども家庭庁(申請は市区町村) |
「所得制限が撤廃された」というニュースを見て、児童扶養手当も対象になったと考える方がいますが、撤廃されたのは児童手当のほうだけです。児童扶養手当の所得制限は令和8年9月時点でも維持されています。
児童扶養手当はいくら?令和8年度の支給額と月額早見表
令和8年4月分からの児童扶養手当は、子ども1人の場合で月額48,050円(全部支給)、48,040円〜11,340円(一部支給)です。令和7年度の全部支給46,690円から1,360円の増額となり、こども家庭庁が公表した令和8年度予算案でも同額が見込まれています。手当額は物価スライド制により毎年4月に改定される仕組みで、令和7年の全国消費者物価指数の上昇を反映しました。
| 区分 | 全部支給 | 一部支給 |
|---|---|---|
| 児童1人目(本体額) | 48,050円 | 48,040円〜11,340円 |
| 児童2人目以降(1人につき加算) | 11,350円 | 11,340円〜5,680円 |
なお令和6年11月分から、第3子以降の加算額が第2子と同額に引き上げられています。以前は3人目以降だけ加算額が少なく設定されていましたが、現在は2人目も3人目も同じ金額です。
子どもの人数別・満額(全部支給)でいくらもらえる?
全部支給の場合、子どもの人数が増えるごとに月額11,350円ずつ加算されます。子ども2人なら48,050円+11,350円=月額59,400円、子ども3人なら70,750円が満額です。
| 子どもの人数 | 全部支給の月額合計 | 年額の目安 |
|---|---|---|
| 1人 | 48,050円 | 約57万6,600円 |
| 2人 | 59,400円 | 約71万2,800円 |
| 3人 | 70,750円 | 約84万9,000円 |
| 4人 | 82,100円 | 約98万5,200円 |
一部支給の手当額はどう計算する?計算式と係数
所得が「全部支給の限度額以上、一部支給の限度額未満」の場合は、所得に応じて次の計算式で手当額が決まります。10円未満は四捨五入です。
| 児童1人目(本体額) | 48,050円 −〔(受給資格者の所得額 − 全部支給の所得制限限度額)× 0.0264029 + 10円〕 |
|---|---|
| 児童2人目以降の加算額 | 11,350円 −〔(受給資格者の所得額 − 全部支給の所得制限限度額)× 0.0040719 + 10円〕 |
計算式の係数は物価変動等により毎年改定されます。令和7年度は0.0256619(本体額)でしたが、令和8年度は0.0264029に変更されている点に注意してください。ネット上の計算ツールが古い係数のままだと、金額がずれることがあります。
年収いくらでいくらもらえる?年収別の手当額早見表(子ども1人)
こども家庭庁が公表している令和8年度の手当額の例をもとにすると、子ども1人の家庭の年収別の目安は次のとおりです。就労収入が増えるにつれて手当は減りますが、手当を含めた総収入は必ず増える設計になっています。
| 就労等の年収 | 手当月額 | 手当年額の目安 | 手当を含む総収入 |
|---|---|---|---|
| 190万円以下 | 48,050円(全部支給) | 約58万円 | 約248万円 |
| 230万円 | 40,650円 | 約49万円 | 約279万円 |
| 280万円 | 31,410円 | 約38万円 | 約318万円 |
| 320万円 | 24,010円 | 約29万円 | 約349万円 |
| 385万円 | 11,340円 | 約14万円 | 約399万円 |
| 385万円超 | 0円(支給停止) | ー | ー |
子ども1人で満額(全部支給)を受け取れるのは給与収入190万円まで、1円でも支給されるのは385万円までが目安です。ただしこれは諸控除や養育費を考慮しない概算であり、実際は次の章で解説する所得ベースの判定が行われます。
児童扶養手当の所得制限は年収いくらまで?令和8年度の限度額表
児童扶養手当の所得制限は、扶養親族等の数によって変わります。子ども1人(扶養親族等1人)の場合、全部支給は所得107万円(給与収入190万円)まで、一部支給は所得246万円(給与収入385万円)までが限度額です。
審査の対象になるのは受給資格者本人の所得だけではありません。同居している扶養義務者(父母・兄弟姉妹などの直系血族等)や配偶者の所得も別枠で審査され、いずれかが限度額以上なら手当は全額支給停止となります。
所得制限限度額表(令和8年度・本人/扶養義務者)
| 扶養親族等の数 | 本人・全部支給(所得) | 同(収入目安) | 本人・一部支給(所得) | 同(収入目安) | 扶養義務者等(所得) | 同(収入目安) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 0人 | 69万円 | 152.0万円 | 208万円 | 334.3万円 | 236万円 | 372.5万円 |
| 1人 | 107万円 | 190.0万円 | 246万円 | 385.0万円 | 274万円 | 420.0万円 |
| 2人 | 145万円 | 244.3万円 | 284万円 | 432.5万円 | 312万円 | 467.5万円 |
| 3人 | 183万円 | 298.6万円 | 322万円 | 480.0万円 | 350万円 | 515.0万円 |
| 4人 | 221万円 | 352.9万円 | 360万円 | 527.5万円 | 388万円 | 562.5万円 |
| 5人 | 259万円 | 401.3万円 | 398万円 | 575.0万円 | 426万円 | 610.0万円 |
収入目安は給与所得者を例に、給与所得控除額等を加えて表示した金額です。政令上はあくまで所得額で規定されているため、判定は必ず所得ベースで行われます。本人の所得を限度額と比較して、次の3パターンに決まります。
| 判定結果 | 本人の所得 |
|---|---|
| 全部支給 | 全部支給の限度額未満 |
| 一部支給 | 全部支給の限度額以上、一部支給の限度額未満 |
| 全部支給停止(支給なし) | 一部支給の限度額以上 |
扶養親族等の数え方と限度額の加算
「扶養親族等の数」とは、所得税法上の扶養親族等の人数です。子どもの人数とほぼ一致しますが、同居する高齢の親を扶養していればその人数も含みます。扶養親族等が6人以上の場合は、1人増えるごとに限度額に38万円が加算されます。
さらに、扶養している家族の種類によっては限度額に上乗せがあります。
| 対象 | 加算される内容 |
|---|---|
| 受給資格者本人 | 老人控除対象配偶者・老人扶養親族1人につき10万円/特定扶養親族(19歳以上23歳未満)および16歳以上19歳未満の控除対象扶養親族1人につき15万円 |
| 扶養義務者・配偶者・孤児等の養育者 | 老人扶養親族1人につき6万円(扶養親族が老人扶養親族のみの場合は1人を除く) |
実家暮らしだと児童扶養手当はもらえない?扶養義務者の所得制限
本人の所得が限度額内でも、同居する扶養義務者の所得が限度額以上なら手当は全額支給停止となります。実家で親と同居しているケースでは、親の所得が扶養義務者の限度額(扶養親族等0人で所得236万円・収入372.5万円)を超えていると受給できません。
児童扶養手当の所得制限は撤廃される?いつから?
令和8年9月時点で、児童扶養手当の所得制限を撤廃する方針は示されていません。所得制限が撤廃されたのは児童手当のほうで、令和6年10月分(同年12月支給分)から適用されています。
児童扶養手当については令和6年11月分から限度額の引き上げが行われ、子ども1人の場合で全部支給が給与収入160万円から190万円に、一部支給が365万円から385万円に拡大されました。こども家庭庁はこの見直しにより約44万人が影響を受けると見込んでおり、内訳は一部支給から全部支給になる人が約5万人、一部支給額が増額される人が約37万人、支給停止から一部支給になる人が約2万人です。
児童扶養手当の所得を計算する3ステップ
児童扶養手当で審査される所得は、住民税や所得税の計算とは異なる独自のルールで算出します。ポイントは「養育費の8割を加算する」ことと「一律8万円を控除する」ことの2つです。
判定に使う所得の年は月によって変わります。11月分から翌年10月分までの手当は前年の所得、1月分から10月分までの手当を新規申請する場合は前々年の所得が使われます。
ステップ①:源泉徴収票・確定申告書で所得を確認する
まず、1年間(1月〜12月)の所得を確認します。「収入金額(額面)」や「課税標準額」ではなく、所得の金額を使う点に注意してください。
| 働き方 | 確認する数字 |
|---|---|
| 給与所得者 | 源泉徴収票の「給与所得控除後の金額」 |
| 自営業など確定申告をしている方 | 確定申告書の「所得金額の合計」 |
給与所得または公的年金等に係る所得がある方は、その合計額からさらに10万円を控除します(合計額が10万円未満の場合はその額)。
ステップ②:養育費の8割を加算する
受給資格者が母または父の場合、本人と児童が別れた児童の親から受け取った養育費の8割を所得に加算します(1円未満四捨五入)。現金だけでなく、家賃や学費の肩代わりなど金銭的な援助も養育費に含まれます。
例えば月3万円(年36万円)の養育費を受け取っている場合、28万8,000円を所得に足します。手当が減るのを避けようと養育費を申告しないと、後から返還を求められることがあるため必ず申告しましょう。
ステップ③:8万円と諸控除を差し引く
社会保険料相当額として一律8万円を差し引きます。さらに、該当する場合は次の諸控除も差し引けます。
| 控除の種類 | 控除額 |
|---|---|
| 障害者控除 | 27万円 |
| 特別障害者控除 | 40万円 |
| 勤労学生控除 | 27万円 |
| 小規模企業共済等掛金控除 | 地方税で控除された額 |
| 配偶者特別控除 | 地方税で控除された額 |
| 医療費控除 | 地方税で控除された額 |
| 雑損控除 | 地方税で控除された額 |
間違えやすいのが寡婦控除(27万円)・ひとり親控除(35万円)の扱いです。これらは受給資格者が母または父の場合には適用されません。差し引けるのは、養育者(父母以外で児童を養育する方)や扶養義務者の所得を計算する場合だけです。
また、令和7年度税制改正で新設された「特定親族特別控除」は、令和8年11月以降の月分から諸控除に加わります。19歳以上23歳未満の親族を扶養している方は、令和9年度以降の判定で控除額が増える可能性があります。
【ケース別】児童扶養手当のシミュレーション
実際の金額イメージをつかむために、3つのケースで計算してみます。いずれも諸控除は考慮せず、給与所得控除の最低保障額65万円(令和7年分以降)を前提とした概算です。
ケース1|給与収入180万円・子ども1人・養育費なし
・給与所得控除後の金額:180万円−65万円=115万円
・給与所得者の10万円控除:115万円−10万円=105万円
・一律8万円を控除:105万円−8万円=所得97万円
扶養親族等1人の全部支給限度額は107万円なので、全部支給に該当し、手当は月額48,050円です。年額にすると約57万6,600円になります。
ケース2|給与収入250万円・子ども1人・養育費月3万円
・給与所得控除後の金額:250万円−83万円=167万円
・給与所得者の10万円控除:167万円−10万円=157万円
・養育費の8割を加算:36万円×0.8=28万8,000円 → 185万8,000円
・一律8万円を控除:所得177万8,000円
扶養親族等1人の限度額は全部支給107万円・一部支給246万円なので一部支給に該当します。手当月額は次のとおりです。
ケース3|給与収入330万円・子ども2人・養育費なし
・給与所得控除後の金額:330万円−107万円=223万円
・給与所得者の10万円控除:223万円−10万円=213万円
・一律8万円を控除:213万円−8万円=所得205万円
扶養親族等2人の限度額は全部支給145万円・一部支給284万円なので一部支給です。本体額と第2子加算額をそれぞれ計算します。
第2子加算額:11,350円 −〔(2,050,000円 − 1,450,000円)× 0.0040719 + 10円〕= 8,900円
合計:月額41,100円
児童扶養手当の支給日はいつ?2026年以降の振込スケジュール
児童扶養手当は、1月・3月・5月・7月・9月・11月の年6回、それぞれ前2か月分がまとめて指定口座に振り込まれます。11月・12月分が支給されるのは翌年1月というように、後払いになる点を押さえておきましょう。
支給日は多くの自治体で毎月11日とされており、11日が土日祝など金融機関の休業日にあたる場合は直前の営業日に前倒しされます。支給日は自治体によって異なる場合があるため、正確な日付はお住まいの市区町村の案内でご確認ください。
| 支給日(11日が支給日の自治体の場合) | 対象となる月分 |
|---|---|
| 2026年11月11日(水) | 9月分・10月分 |
| 2027年1月8日(金)※11日が成人の日のため前倒し | 11月分・12月分 |
| 2027年3月11日(木) | 1月分・2月分 |
| 2027年5月11日(火) | 3月分・4月分 |
| 2027年7月9日(金)※11日が日曜日のため前倒し | 5月分・6月分 |
| 2027年9月10日(金)※11日が土曜日のため前倒し | 7月分・8月分 |
| 2027年11月11日(木) | 9月分・10月分 |
2か月分でいくら振り込まれる?
1回の振込額は手当月額の2か月分です。子ども1人で全部支給なら48,050円×2か月=96,100円、子ども2人で全部支給なら59,400円×2か月=118,800円が一度に振り込まれます。
なお、毎年8月に提出する現況届の審査結果は、翌年1月の支給分から反映されます。11月分・12月分から手当額が変わっていても、実際に金額が変わった振込を受け取るのは1月ということです。
児童扶養手当の申請方法と必要書類
申請(認定請求)は、お住まいの市区町村のひとり親支援担当窓口で行います。郵送やオンラインでは受け付けていない自治体が多く、原則として本人が窓口を訪れる必要があります。主な必要書類は次のとおりです。
・請求者と対象児童の戸籍謄本(離婚日等の記載があるもの)
・マイナンバーが確認できる書類、本人確認書類
・請求者名義の預金通帳など振込先がわかるもの
・そのほか、支給要件に応じた書類(年金手帳、障害の状態を証明する診断書など)
必要書類は世帯の状況によって異なります。離婚届を出した直後は戸籍への反映に1〜2週間かかることもあるため、事前に窓口へ確認しておくとスムーズです。
支給はいつから始まる?さかのぼり受給はできない
手当は認定請求をした月の翌月分から支給されます。さかのぼって受給することはできないため、離婚などで支給要件に該当したら1日でも早く申請することが受給額に直結します。
例えば9月に離婚し9月中に申請すれば10月分から対象になりますが、10月に申請すると11月分からになります。子ども1人の全部支給なら、1か月遅れるだけで48,050円を受け取り損ねる計算です。
また手当は2か月分をまとめた後払いのため、10月分から支給対象になっても、実際の振込は11月支給日(9月分・10月分)または翌年1月になります。審査に時間がかかった場合は初回の振込がさらに後ろにずれることもあるため、当面の生活費は別途確保しておきましょう。
受給後に必要な手続き|現況届と5年経過後の一部支給停止
児童扶養手当は、一度認定されれば自動的に支給が続くわけではありません。受給中も定期的な届出が必要で、手続きを忘れると支給が止まります。特に次の2つは必ず押さえておきましょう。
毎年8月の現況届|提出しないと11月分から支給停止
受給者は毎年8月に「現況届」を提出し、所得や養育状況の審査を受けます。提出しないと11月分以降の手当が支給されず、2年間未提出の場合は受給資格そのものが失われます。
8月中に提出できなかった場合でも、多くの自治体では期限後の提出を受け付けており、提出後に11月分以降の手当が改めて支給されます(振込時期は遅れます)。未提出のままにせず、早めに窓口へ連絡してください。
所得超過で支給停止中の方も、資格を継続するために提出が必要です。現況届の審査で手当額が変わる場合、新しい金額が反映されるのは翌年1月の支給分からとなります。
受給開始5年経過後の一部支給停止と適用除外
手当の支給開始から5年(または支給要件に該当してから7年)を経過すると、手当額の2分の1が支給停止となる制度があります。平成14年の法改正で導入され、平成20年4月から適用されているものです。
ただし、次のいずれかに該当することを届け出れば、適用除外となり従来どおり支給されます。実際に一部支給停止となっているのは令和7年3月末時点で約3,000人、全受給者の0.4%にとどまります。
・就業している
・求職活動等、自立を図るための活動をしている
・身体上または精神上の障害がある
・負傷または疾病等により就業することが困難である
・監護する児童や親族が障害・負傷・疾病・要介護状態等にあり、介護のため就業が困難である
届出は5年等満了月の直前の現況届(8月)とあわせて行います。3歳未満の児童を育てている場合、3歳になるまでの期間は5年の受給期間に含めない取扱いです。対象となる方には自治体から個別に案内が届くため、必ず期限内に手続きを行いましょう。
児童扶養手当と併せて使えるひとり親家庭の支援制度
児童扶養手当だけで生活費をまかなうのは簡単ではありません。ひとり親家庭が利用できる支援制度は、手当以外にも税制上の優遇、教育費の支援、医療費の助成など数多くあります。児童扶養手当の受給者証があることで自動的に対象になる制度もあるため、あわせて確認しておきましょう。
高校生の教育費については、返済不要の「高校生等奨学給付金」があります。児童扶養手当の受給世帯は、住民税非課税世帯と同じ区分で支給対象となる自治体が多い制度です。
子どもの年齢別に使える支援制度を一覧で確認したい方は、次の記事も参考にしてください。
物価高対策として実施されている給付金や、目的別にもらえる支援金をまとめて知りたい場合はこちらです。
児童扶養手当に関するよくある質問
児童扶養手当は年収いくらまでもらえる?
子ども1人の場合、給与収入190万円までが全部支給、385万円までが一部支給の目安です。子ども2人なら全部支給244.3万円まで、一部支給432.5万円まで、子ども3人なら全部支給298.6万円まで、一部支給480万円までとなります。ただしこれは給与所得者の概算で、実際は所得ベースで判定されます。養育費を受け取っている場合はその8割が所得に加算されるため、目安より早く支給停止になることがあります。
養育費をもらうと児童扶養手当は減る?
受け取った養育費の8割が所得に加算されるため、所得制限の判定や一部支給の手当額に影響します。ただし養育費を受け取ったら必ず減額・停止になるわけではなく、加算後の所得が全部支給の限度額内であれば満額を受け取れます。なお、現金だけでなく家賃や学費の肩代わりなど金銭的な援助も養育費に含まれます。申告しないと後から返還を求められる場合があるため、正確に申告しましょう。
実家に同居していると児童扶養手当は受給できない?
同居している扶養義務者(父母・祖父母・兄弟姉妹など)の所得が限度額以上の場合、本人の所得が低くても手当は支給されません。扶養親族等0人の扶養義務者の限度額は所得236万円(給与収入372.5万円)です。住民票を分けていても、実態として同居していれば扶養義務者として扱われます。玄関や台所が別で生計も完全に分かれている二世帯住宅などは別世帯と認められるケースもあるため、窓口で相談してみましょう。
児童扶養手当の所得制限撤廃はいつから?
令和8年9月時点で、児童扶養手当の所得制限を撤廃する方針は示されていません。所得制限が撤廃されたのは児童手当のほうで、令和6年10月分(同年12月支給分)から適用されています。児童扶養手当については令和6年11月分から限度額の引き上げが行われ、子ども1人の場合で全部支給が給与収入160万円から190万円に、一部支給が365万円から385万円に拡大されました。こども家庭庁はこの見直しで約44万人が影響を受けると見込んでいます。
児童手当と児童扶養手当は両方もらえる?
両方受給できます。児童手当は子どもを養育するすべての家庭が対象で所得制限がなく、児童扶養手当はひとり親家庭等を対象とする別制度です。それぞれの要件を満たせば併給に制限はありません。支給月も異なり、児童手当は偶数月、児童扶養手当は奇数月に振り込まれます。どちらも申請しなければ支給されないため、離婚等で受給者が変わった場合は児童手当の受給者変更手続きも忘れずに行いましょう。
遺族年金や障害年金と併給できる?
公的年金等の受給額が児童扶養手当額を下回る場合、その差額分の手当を受給できます(平成26年12月分から)。また令和3年3月分からは、障害基礎年金等を受給するひとり親について、児童扶養手当額が障害年金の子の加算部分の額を上回る場合にその差額を受給できるよう見直されています。対象となる公的年金等には老齢年金・遺族年金・労災年金・遺族補償などが含まれます。
申請前の分もさかのぼって受け取れる?
受け取れません。手当は認定請求をした月の翌月分からの支給となり、離婚などで要件に該当していても申請前の期間分をさかのぼって受給することはできません。子ども1人の全部支給であれば、申請が1か月遅れるごとに48,050円を受け取り損ねる計算になります。書類がすべてそろっていなくても相談だけは早めに行い、受付日を確保できるか窓口に確認するとよいでしょう。
子どもがアルバイトを始めたら児童扶養手当に影響する?
子ども自身の収入が手当額から直接差し引かれることはありませんが、子どもが扶養親族から外れると「扶養親族等の数」が1人減り、所得制限限度額が下がります。令和7年分以降、扶養親族となるのは合計所得金額58万円以下(給与収入123万円以下)の場合です。扶養親族等が1人から0人になると、全部支給の限度額は所得107万円から69万円に下がるため、これまで全部支給だった方が一部支給や支給停止になる可能性があります。
児童扶養手当に税金はかかる?
児童扶養手当は非課税所得で、所得税・住民税はかかりません。児童扶養手当法により公課を課すことが禁じられており、確定申告や年末調整で収入として申告する必要もありません。住民税額をもとに算定される保育料や、住民税非課税世帯向けの給付金の判定においても、手当が所得として加算されることはありません。
支給日が土日祝日にあたる場合はいつ振り込まれる?
支給日が金融機関の休業日にあたる場合、原則として直前の営業日に前倒しで振り込まれます。多くの自治体は各支給月の11日を支給日としているため、例えば2027年1月11日は成人の日にあたり、1月8日(金)の振込となる見込みです。ただし支給日そのものが11日ではない自治体もあるため、正確な日程はお住まいの市区町村の案内でご確認ください。
まとめ
児童扶養手当(母子手当)は、ひとり親家庭の生活を支える月額最大48,050円(子ども1人・令和8年4月分〜)の手当で、児童手当とは別に受給できます。令和6年11月分から所得制限限度額が引き上げられ、子ども1人の場合で給与収入385万円まで一部支給の対象となりました。
判定に使われるのは額面の年収ではなく、養育費の8割を加算し一律8万円と諸控除を差し引いた「所得」です。同居する親など扶養義務者の所得も別枠で審査される点も見落としがちなポイントといえるでしょう。
手当は申請した月の翌月分からしか支給されず、さかのぼって受け取ることはできません。「自分は対象外かも」と思っている方も、まずはこの記事の計算手順とシミュレーションでおおよその金額を確認し、お住まいの市区町村の窓口に相談してみてください。
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