子育てしながら生活を支えることは、ひとり親家庭にとって難しい問題です。特に子供が小さいうちは、収入が安定せず、資金的な余裕の足りない場面もあるでしょう。
そんなひとり親家庭を支援するための税制度が「ひとり親控除」です。2026年(令和8年)からは所得税の基礎控除の見直し等が施行され、ひとり親控除の所得要件等が一部緩和されています。
「実際いくら税金が戻るの?」「確定申告の手続きはどうすればいい?」「ひとり親手当・支援金との違いは?」といった疑問にもお答えします。
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この記事の目次
ひとり親控除とは?わかりやすく解説
ひとり親控除は、2020年の税制改正で新設された所得控除です。合計所得が1,000万円以下(2025年以前は500万円)で配偶者がなく、1人で子どもを育てている場合に適用されます。
それまでの寡婦(夫)控除では未婚のひとり親は対象外でしたが、制度の見直しにより婚姻歴がなくても受けられるようになりました。
| 項目 | 内容(2026年・令和8年以降) |
|---|---|
| 対象 | 婚姻歴不問・性別不問のひとり親(シングルマザー・シングルファザー) |
| 所得要件 | 合計所得金額1,000万円以下(2025年以前は500万円) |
| 控除額(所得税) | 38万円(2025年以前は35万円) |
| 控除額(住民税) | 33万円(2025年以前は30万円) |
| 申告方法 | 年末調整または確定申告 |
| 扶養控除との併用 | 可能(16歳以上の子が対象) |
ひとり親控除の控除額
ひとり親控除の所得税への控除額は、2026年度より38万円(2025年以前は35万円)です。住民税は33万円(2025年以前は30万円)です。ひとり親控除は、自分で申請しないと受けられないため、該当する場合は忘れずに申告を行いましょう。
ひとり親控除の対象者と要件(所得制限)
ひとり親控除を受けるための主な要件は以下のとおりです。
・事実上婚姻関係と同様の事情にあると認められる相手がいないこと。
・生計を一にする子がいること。
・合計所得金額が1,000万円以下であること(2026年・令和8年分以降)。
なお、子は総所得金額等が58万円以下で、他の人の同一生計配偶者や扶養親族になっていない人に限られます。
未婚のシングルマザー・シングルファザーも対象
ひとり親控除は、未婚のシングルマザー・シングルファザーも対象となります。これは従来の制度では離婚や死別による場合のみが対象とされていた控除を、婚姻歴に関係なく適用できるよう改正された結果です。
未婚で出産し子育てをする人や、法的な婚姻関係のないまま子育てをしている人も、要件を満たせば控除の対象となります。
2026年(令和8年)以降の変更内容
ひとり親の自立支援を進める観点から、2026年(令和8年)の所得分以降、ひとり親控除は以下の内容に拡充されました。
| 区分 | 現行(2025年・令和7年まで) | 2026年(令和8年)以降 |
|---|---|---|
| 所得要件 | 500万円以下 | 1,000万円以下 |
| 控除額(所得税) | 35万円 | 38万円 |
| 控除額(住民税) | 30万円 | 33万円 |
令和8年度の所得分以降、ひとり親控除が適用される所得要件が上限500万円から1,000万円、所得税の控除額は35万円→38万円、住民税の控除額は30万円→33万円に引き上げられています。
また、扶養する子供の所得要件も48万円から58万円に引き上げられており、令和7年分以後の所得税について適用されます。
参考:国税庁 令和7年度税制改正(基礎控除の見直し等関係)Q&A
所得要件が変更されたことで、これまで対象外だった方もひとり親控除を受けられる可能性があります。税制優遇を受けるため、ひとり親の方は改めて所得や家族構成を確認しておきましょう。
ひとり親控除でいくら戻る?税金の節税額を計算
「ひとり親控除 いくら戻る」「ひとり親 年末調整 いくら戻る」という検索が非常に多くあります。実際に手元に戻る金額(節税額)の目安を解説します。節税額(所得税)= 控除額38万円 × 所得税率(課税所得によって5〜45%)
| 課税所得の目安 | 所得税率 | ひとり親控除38万円による節税額の目安 |
|---|---|---|
| 195万円以下 | 5% | 約1万9,000円 |
| 195万円超〜330万円以下 | 10% | 約3万8,000円 |
| 330万円超〜695万円以下 | 20% | 約7万6,000円 |
| 695万円超〜900万円以下 | 23% | 約8万7,400円 |
例)年収400万円のひとり親の場合、所得税で約7万6,000円+住民税で約3万3,000円の計約11万円程度が軽減される目安となります。
※実際の節税額は各種控除の合算によって変わります。詳しくは税理士または税務署にご相談ください。
ひとり親家庭の支援金・手当との違い
「ひとり親家庭支援金」「ひとり親手当」「シングルマザー 手当」という検索も非常に多くあります。ひとり親控除(税の軽減)と、手当・支援金(現金給付)は別の制度です。
| 制度名 | 種類 | 特徴 |
|---|---|---|
| ひとり親控除(本記事) | 税の軽減(所得控除) | 年末調整・確定申告で申告。収入が一定以上ないと節税効果は出ない |
| 児童扶養手当 | 現金給付 | ひとり親家庭の生活安定を目的に、月額支給。所得に応じて支給額が異なる |
| 母子父子寡婦福祉資金貸付金 | 貸付(無利子〜低利子) | 生活資金・教育資金などを低利で借りられる制度 |
| 各自治体の独自支援 | 給付・補助 | 医療費助成・住宅支援等は自治体によって異なる |
ひとり親控除はいつまで受けられる?
ひとり親控除を受けられるのは、要件を満たしている期間のみです。ここでは、ひとり親控除がいつまで受けられるのか確認していきましょう。
子供が就職したら?子が巣立った後の税金はどうなる?
「シングルマザー 子供が巣立ったら 税金」「ひとり親 子供が就職 年末調整」という検索が多くあります。子供が就職してアルバイトやパート、正社員として働き始めた場合、収入によってはひとり親控除が適用されなくなる場合があります。
ひとり親控除を受けるには、扶養する子供の総所得金額等が58万円以下であることが必要です。子供の収入が給与額で年収123万円(令和7年度分までは103万円)までなら、引き続きひとり親控除の対象となります。
子が就職・独立後の税金の変化についての目安は以下のとおりです。
| 子供の状況 | ひとり親控除 | 扶養控除(16歳以上) |
|---|---|---|
| 大学生(アルバイト年収123万円以下) | ○ 適用 | ○ 適用 |
| 就職(年収が123万円超) | × 対象外 | × 対象外 |
| 就職・同居でも別生計 | × 対象外 | × 対象外 |
| 障害・就労困難で収入が要件以下 | ○ 適用 | ○ 適用(条件による) |
子供が何歳までが、控除の対象?
ひとり親控除における「子供」の年齢制限は、明確に定められていません。子供が何歳であっても、子供の総所得金額等が58万円以下等の要件を満たしていれば、ひとり親控除を受けることができます。
扶養控除のように「16歳以上」といった年齢要件は設けられていません。子供の成人後も、学生で収入が少ない場合や、障害などの理由で就労が困難な場合には、ひとり親控除の対象となります。
寡婦控除との違いと注意点
ひとり親控除と寡婦控除は、混同されやすい制度です。両制度について、それぞれの特徴や違いをまとめました。
寡婦控除とは?
寡婦控除は、夫と死別または離婚した女性のための所得控除制度です。子ども以外の扶養家族がいる場合が対象となります。対象となるのは以下の人です。
■事実上婚姻関係と同様の事情にあると認められる相手がいないこと
■合計所得金額が500万円以下で、以下のいずれかであること
・夫と離婚した後婚姻をしておらず、扶養親族がいる人
・夫と死別した後婚姻をしていない人または夫の生死が明らかでない人
(夫と死別等の場合は扶養親族の有無は不問)
寡婦控除とひとり親控除は同時に適用されないため、該当するものがどちらか1つのみ対象となります。
ひとり親控除と寡婦控除の違い(わかりやすく比較)
「ひとり親と寡婦の違い」「寡婦 ひとり親 違い」という検索が非常に多くあります(計約1万インプレッション超)。下表でわかりやすく整理します。
| 項目 | ひとり親控除 | 寡婦控除 |
|---|---|---|
| 対象性別 | 男女問わず | 女性のみ |
| 婚姻歴 | 不問(未婚でも可) | 離婚・死別のみ |
| 子どもの要件 | 生計を一にする子(所得58万円以下)が必要 | 死別の場合は不問。離婚の場合は子ども以外の扶養親族が必要 |
| 所得要件 | 1,000万円以下(2026年以降) | 500万円以下 |
| 控除額(所得税) | 38万円(2026年以降) | 27万円 |
| 控除額(住民税) | 33万円(2026年以降) | 26万円 |
ひとり親控除の方が控除額が大きく、対象範囲も広い制度です。両方の要件を満たす場合はひとり親控除が優先されます。
なお寡婦またはひとり親の場合、「前年の合計所得金額が135万円を下回る」などの要件を満たせば、住民税も非課税となります。
適用判断で注意が必要な例
実際の適用判断では、いくつか注意が必要な事例があります。以下の場合は対象にならないことに留意しましょう。
・特定の相手と事実婚状態にある
・子どもや扶養親族の所得が58万円を超えている
事実婚状態にある場合は、いずれの控除も受けることができません。また単身赴任中の配偶者がいる場合なども対象外です。
また、寡婦控除を受けようとする際には、対象の親族が「扶養親族」の要件を満たす必要があります。青色申告者の事業専従者として給与の支払いを受けた者は、扶養親族に該当しません。
なお子どもが独立したり、再婚したりして要件を満たさなくなると、いずれの控除も適用されなくなります。ただし子どもの独立によってひとり親控除の対象外となった場合、代わりに寡婦控除が受けられることもあります。
わからないときは、税務署や市区町村の窓口に確認してみましょう。
ひとり親控除は、年末調整か確定申告で申告を
ひとり親控除の手続きは、年末調整や確定申告で行います。具体的な控除額や申告の流れをまとめました。
ひとり親控除の申告方法(年末調整・確定申告)
ひとり親控除の申告方法は、就業形態によって異なります。各申請方法は、以下のとおりです。
毎年年末に会社に提出する「年末調整」の際に、「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」にひとり親である旨を申請しましょう。「ひとり親」の欄にチェックを入れ、扶養する子どもの情報も併せて記入します。
■確定申告が必要な場合(自営業者・フリーランスなど)
確定申告書の「本人に関する事項」や「寡婦控除・ひとり親控除」の欄で申告します。第一表と第二表の両方に記載する必要があります。
特に確定申告書第一表では、控除金額(2027年申告分より38万円)も併せて記載します。
確定申告でひとり親控除を申告する際の注意点
「確定申告 ひとり親控除」という検索が非常に多くあります(約4,331インプレッション)。確定申告でひとり親控除を申告する際の主な注意点を整理します。
- 申告書第一表の「所得から差し引かれる金額」の欄に38万円(2026年分以降)を記入する
- 申告書第二表の「本人に関する事項」で「ひとり親」にチェックを入れる
- 扶養する子どもの氏名・生年月日・続柄・所得を第二表「扶養親族等の氏名等」に記入する
- e-Tax(電子申告)でも同様に入力できる
- 年末調整で申告し忘れた場合は、翌年3月15日までの確定申告で申告できる
ひとり親控除と扶養控除の併用申請も可能
ひとり親控除は、扶養控除との併用申請が可能です。扶養控除の要件と控除額は、以下のとおりです。
| 控除の種類 | 控除額 | 対象 | |
| ひとり親控除 | 38万円(2026年以降) | 配偶者がなく生計を一にする子がある人 | |
| 扶養控除 | 控除対象扶養親族 | 38万円 | 16歳以上の扶養親族がある者 |
| 特定扶養親族 | 63万円 | 19歳から23歳までの控除対象扶養親族がいる者 | |
| 老人扶養親族 | 58万円 | 70歳以上の同居老親等(それ以外の場合は控除額は48万円) | |
ひとり親控除と扶養控除を併用した場合、控除額の例は以下のとおりです。
①16歳の子供が1人
・ひとり親控除 38万円(2026年以降)
・扶養控除 38万円
合計 76万円
②14歳の子供が1人
・ひとり親控除 38万円(2026年以降)
・扶養控除 対象外
合計 38万円
③16歳の子供が2人
・ひとり親控除 38万円(2026年以降)
・扶養控除 38万円×2=76万円
合計 114万円
なおひとり親控除に子どもの年齢制限はありませんが、扶養控除は16歳以上の扶養親族のみが対象です。
ひとり親控除についてよくある質問
ひとり親控除について、よくある疑問と回答をまとめました。ひとり親控除は年収何円までなら受けられる?
2026年度以降、ひとり親控除を受けられるのは、合計所得金額が1,000万円以下の方です。給与収入のみの場合、年収約1,195万円が目安となります。2025年以前は合計所得金額500万円以下(給与収入のみの場合、年収約688万円)が上限でした。
所得要件が1,000万以上になるのはいつから?
ひとり親控除の所得要件が1,000万円以下に引き上げられるのは、2026年分の所得税から(住民税は2027年度分から)の予定です。
ひとり親控除でいくら税金が戻る?
節税額は所得税率によって異なります。2026年以降の控除額38万円に対して、課税所得が330万〜695万円の方(税率20%)であれば所得税で約7万6,000円、住民税で約3万3,000円の合計約11万円程度が軽減される目安です。年収・課税所得によって変わるため、詳しくは税務署または税理士にご相談ください。
子供が大学生でも、ひとり親控除を受けられる?
ひとり親控除は年齢要件が設けられていないため、扶養する子供が大学生の場合も対象です。ただし、子供の総所得金額等が58万円以下(給与なら年収123万円以下)であることが必要です。
ひとり親控除と寡婦控除は併用できる?
ひとり親控除と寡婦控除を同時に受けることはできません。両方の要件を満たす場合は、ひとり親控除が優先して適用されます。
ひとり親控除を適用している人は、子どもが就職したら寡婦控除にできる?
ひとり親控除を使っている人の子どもが就職等して扶養から外れた場合、寡婦控除を使えるかどうかはケースによります。夫と死別等の場合、子どもが扶養から外れると寡婦控除の対象となります。一方で離婚の場合、寡婦控除を適用するためには子ども以外の扶養親族がいる必要があります。なお、どちらの場合も合計所得金額500万円以下が対象です。
未婚のシングルマザーでもひとり親控除は受けられる?
受けられます。ひとり親控除は2020年の税制改正により、婚姻歴の有無に関わらず適用されるようになりました。未婚で出産し子育てをしている場合でも、要件を満たせば、ひとり親控除の対象となります。
事実婚の相手がいる場合はどうなる?
事実婚状態にある場合、ひとり親控除は受けられません。要件には「事実上婚姻関係と同様の事情にあると認められる相手がいないこと」が含まれています。法律上の婚姻関係がなくても、同居して生計を共にしている相手がいる場合は対象外です。
子供が複数いる場合、控除額は増える?
ひとり親控除の控除額は定額(38万円)です。子供が多い場合でも、ひとり親控除の控除額は変わりません。ただし子供が16歳以上であれば、ひとり親控除とは別に扶養控除(38万円〜63万円)を併用できるので、実質的な控除額は増えます。
年末調整で申告し忘れた場合はどうなる?
年末調整でひとり親控除を申告し忘れた場合、翌年3月15日までに確定申告を行うことで控除を受けられます。また過去分については、法定申告期限(その年の翌年3月15日)から5年以内であれば更正の請求を行って取り戻すことも可能です。
まとめ
ひとり親控除は、子育てをしながら働くひとり親家庭の生活を支援するための税制度です。2020年からは婚姻歴に関係なく適用できるようになり、2026年度からは所得要件と控除額が拡充されています。
ポイントを整理します。
- 控除額(2026年以降):所得税38万円・住民税33万円。以前の35万円・30万円から引き上げ
- 所得要件(2026年以降):合計所得金額1,000万円以下(以前は500万円以下)に拡充
- 節税効果の目安:年収400万円台のひとり親で所得税・住民税合計で約11万円程度の軽減
- 申告方法:給与所得者は年末調整、自営業者・フリーランスは確定申告で申告(申告漏れは5年以内に更正の請求可能)
- 手当・支援金との違い:ひとり親控除は税の軽減。現金給付は児童扶養手当など別制度
ひとり親家庭の貧困問題は、社会的な課題のひとつです。制度を上手に活用し、経済的負担の軽減を目指しましょう。
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