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【2026年最新】年収の壁対策に使える助成金まとめ|106万円の壁撤廃で企業がすべきこと

公開日:2024/12/2 更新日:2026/8/7
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「もっと働きたいのに、収入を抑えざるを得ない」――そんな悩みを抱えるパートやアルバイトは少なくありません。その背景には、「年収の壁」と呼ばれる税制や社会保険料の負担が関係しています。壁を超えると手取りが減る可能性があるため、多くの人が労働時間を調整する「働き控え」を行ってきました。

そして2026年は、この年収の壁が大きく動く転換点の年です。4月には「130万円の壁」の判定ルールが労働契約ベースに変わり、10月には「106万円の壁」の賃金要件が撤廃されます。壁の構造そのものが変わるなかで、企業には社会保険加入を前提とした処遇改善への対応が求められています。

本記事では、2026年時点の年収の壁の最新状況と、働き控え対策として企業が活用できる助成金・奨励金を解説します。

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この記事の目次

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働き控えとは?年収の壁が引き起こす問題

働き控えとは、パートやアルバイトで働く人が「年収の壁」を意識して、労働時間を減らしたり追加のシフトを断ったりする現象を指します。

年収の壁とは、年収が一定額を超えると税金や社会保険料の負担が発生・増加するラインのことです。壁を超えると、額面収入は増えても手取りが減ってしまう「働き損」が生じる場合があるため、多くの働き手が壁の手前で収入を調整してきました。

特に、年間の収入が壁のラインに近づく年末には、繁忙期を迎える小売店や飲食店でシフトを断るケースが集中し、人手不足に拍車をかけてきました。働き控えは、働き手の収入向上を妨げるだけでなく、企業の労働力確保を難しくし、経済全体の生産性にも影響する社会的課題として認識されています。

【2026年版】年収の壁一覧

2026年時点の主な年収の壁は、以下のとおりです。

壁の名称内容2026年の状況
106万円の壁勤務先で社会保険(厚生年金・健康保険)に加入する目安となるライン2026年10月に賃金要件(月8.8万円)が撤廃。週20時間以上の勤務が実質的な加入基準に
130万円の壁家族の社会保険の扶養から外れるライン2026年4月から労働契約ベースの判定に変更。契約上130万円未満なら一時的な超過で扶養を外れない
160万円の壁
(旧103万円の壁)
所得税が課され始めるライン2025年の税制改正で非課税枠が最大160万円に拡大
150万円/201万円の壁配偶者特別控除が満額適用される/適用が終了するライン2025年の税制改正で配偶者の年収要件も引き上げ
※住民税は自治体により100万円前後から課税されます。

このように、かつて「103万円」「106万円」で語られてきた壁は、2025年〜2026年の制度改正で大きく姿を変えています。次章で、それぞれの変更点を詳しく見ていきましょう。

【2026年の大改正】年収の壁はこう変わった

103万円の壁は最大160万円へ(2025年税制改正)

103万円の壁は、所得税の制度による「税金の壁」です。給与所得控除と基礎控除の合計額を年収が超えると所得税が課され始めるラインで、超えた分だけ課税される仕組みのため手取りが逆転することはありませんが、心理的な調整ラインとして長く意識されてきました。

この103万円の壁は、2025年の税制改正で大きく見直されました。給与所得控除の最低保障額が65万円に引き上げられ、基礎控除も所得に応じて引き上げられた(低所得層への上乗せ特例により最大95万円)ことで、両者を合わせて年収160万円までは所得税がかからない仕組みとなっています。

また、中間所得層に対しても基礎控除の上乗せ措置が講じられており、これまで103万円のラインを意識して働き控えをしていたパート・アルバイトにとって、税の面では大幅に働きやすくなりました。

130万円の壁:2026年4月から「契約ベース判定」に変更

130万円の壁は、健康保険・年金の被扶養者認定の制度による「社会保険の壁」です。年収130万円以上になると見込まれると、配偶者や親などの社会保険の扶養から外れ、自分で保険料を負担する必要が生じるため、手取りが大きく減る可能性があるラインです。

この130万円の壁は、2026年4月から判定方法が変わりました。

従来は実際の収入実績や将来の見込みで判定されていましたが、改正後は労働契約書(労働条件通知書など)に記載された内容をもとに判定されます。つまり、労働契約上の年収が130万円未満であれば、繁忙期の残業やシフト増で実際の収入が一時的に130万円を超えても、直ちに扶養を外れることはありません。

これにより、「130万円を超えそうだから年末のシフトを断る」といった働き控えの大幅な緩和が期待されています。

なお、2023年10月から運用されてきた「事業主の証明による被扶養者認定」(一時的な収入増であることを勤務先が証明すれば扶養を継続できる仕組み)は、2025年10月に恒久的な取り扱いとなり、新ルールと併存しています。契約内容で判定する新ルールに対し、事業主証明は契約外の一時的な収入増に対応する例外的な措置という位置づけです。

106万円の壁:2026年10月に賃金要件が撤廃

106万円の壁は、勤務先での社会保険(厚生年金・健康保険)加入の制度による「社会保険の壁」です。130万円の壁が「家族の扶養から外れるか」の基準であるのに対し、106万円の壁は「勤務先で自ら社会保険に加入するか」の基準で、企業規模や週の労働時間などの要件を満たすと加入義務が発生します。

年収の壁対策のなかでも最大の変更が、この106万円の壁の撤廃です。

2025年6月に成立した年金制度改正法により、2026年10月から、短時間労働者の社会保険加入要件のうち「月額賃金8.8万円以上(年収換算約106万円)」の要件が撤廃されます。これにより、従業員51人以上の企業で週20時間以上働く場合は、収入額にかかわらず社会保険の加入対象となります。

さらに、企業規模要件(従業員51人以上)も、以下のスケジュールで段階的に縮小されます。

時期企業規模要件
2026年10月従業員51人以上(賃金要件のみ撤廃)
2027年10月従業員36人以上
2029年10月従業員21人以上
2032年10月従業員11人以上
2035年10月企業規模要件を撤廃(全企業が対象)

働き手にとっては、社会保険料の負担で手取りが一時的に減る一方、将来の年金額の増加や傷病手当金・出産手当金の対象になるといったメリットがあります。

企業にとっては、社会保険の適用対象者が増えることで保険料の事業主負担が増加します。だからこそ、加入に伴う労働時間の延長や賃金の引き上げを国が支援する助成金の活用が、これまで以上に重要になります。次章から、企業が使える具体的な支援策を紹介します。

年収の壁・支援強化パッケージと企業向け支援策


政府は2023年10月から、働き控えを防ぎ、働き手が収入を増やしやすい環境を整えることを目的とした「年収の壁・支援強化パッケージ」に取り組んできました。

パッケージの柱であった「キャリアアップ助成金(社会保険適用時処遇改善コース)」は、令和7年度末(2026年3月末)をもって支援対象が終了しました。令和8年度(2026年度)以降に社会保険の適用を行う場合の支援は、後継となる「短時間労働者労働時間延長支援コース」に引き継がれています。

詳しくはこちら:年収の壁支援強化パッケージをわかりやすく解説!年収の壁一覧も紹介
年収の壁支援強化パッケージをわかりやすく解説!年収の壁一覧も紹介


キャリアアップ助成金「短時間労働者労働時間延長支援コース」【1人あたり最大75万円】


キャリアアップ助成金(短時間労働者労働時間延長支援コース)は、年収の壁対策を強化するために2025年7月に新設された助成金です。労働者が年収の壁を意識せずに働けるようにし、社会保険への加入を処遇改善につなげるとともに、事業主の人手不足解消を支援することを目的としています。

短時間労働者を新たに社会保険に加入させ、労働時間の延長や賃金の増額に取り組んだ事業主に対し、1人あたり最大75万円(1年目最大50万円+2年目最大25万円)が助成されます。

対象となる労働者と助成の要件


対象となるのは、労働者を新たに社会保険に加入させ、収入増加の取り組みを行った事業主です。対象労働者の主な要件は以下のとおりです。

・社会保険の加入日の6か月前の日以前から継続して雇用され、社会保険の加入要件を満たさない条件で就業していた者
・新たに社会保険の適用を受ける日の前日から起算して過去6か月間、社会保険の適用要件を満たしていなかった者であり、かつ、支給対象事業主の事業所において過去2年以内に社会保険に加入していなかった者


1人あたりの助成額(1年目)

助成額は、企業規模と「週所定労働時間の延長+賃金増額率」の組み合わせによって決まります。小規模企業とは、常時雇用する労働者が30人以下の事業主を指します。

週所定労働時間の延長賃金の増額小規模企業中小企業大企業
5時間以上50万円40万円30万円
4時間以上5時間未満5%以上50万円40万円30万円
3時間以上4時間未満10%以上50万円40万円30万円
2時間以上3時間未満15%以上50万円40万円30万円

※週所定労働時間の延長が2時間以上5時間未満の場合は、延長幅に応じて基本給の増額率(15%以上・10%以上・5%以上)を満たす必要があります。

2年目の取り組みと追加助成額

複数年かけて週所定労働時間の延長に取り組む場合、2年目の取り組みを実施することで追加助成を受けられます。

2年目の取り組み小規模企業中小企業大企業
労働時間をさらに2時間以上延長、または基本給をさらに5%以上増額
(もしくは昇給・賞与・退職金制度の適用)
25万円20万円15万円

なお、助成金を受けるには、社会保険への加入を予定している日の前日までにキャリアアップ計画を都道府県労働局へ提出し、取り組みを6か月間継続したうえで期限内に支給申請を行う必要があります。年収の壁対策に関する相談は、各都道府県の働き方改革推進支援センターのほか、「年収の壁突破・総合相談窓口(コールセンター)」〔0120-030-045/平日 8:30〜18:15〕でも受け付けています。

詳しくはこちら:【年収130万円の壁対策助成金】短時間労働者労働時間延長支援コースとは
【年収130万円の壁対策助成金】短時間労働者労働時間延長支援コースとは


東京都なら「年収の壁突破」総合対策促進奨励金も活用できる【最大50万円】


東京都は、年収の壁による働き控えを防ぐため、都内の中小企業事業主を対象に「年収の壁突破」総合対策促進奨励金を交付しています。令和8年度は以下の2つのコースがあり、1コースにつき30万円、両コースを実施した場合は合計50万円が交付されます。

コース取り組み内容交付額
配偶者手当見直しコース配偶者の収入要件がある家族手当(配偶者手当)の撤廃・他の手当への振り替え・基本給への繰り入れなどの見直し30万円
社会保険加入促進コース社会保険未加入の非正規雇用者に新たな手当等を設け、社会保険加入を促進30万円
両コースを実施合計50万円

主な対象事業者の要件は以下のとおりです。

・都内で事業を営んでいる中小企業事業主等であること
・都内に勤務する常時雇用労働者を1名以上、6か月以上継続して雇用していること
・就業規則を労働基準監督署に届け出ていること


令和8年度の申請受付期間は、2026年5月18日から2027年2月28日までです(電子申請または郵送。申請は1事業主あたり同一年度1回限り)。

詳しくはこちら:【2026年】東京都「年収の壁突破」奨励金とは?30万円・50万円の対象企業と申請方法
【2026年】東京都「年収の壁突破」奨励金とは?30万円・50万円の対象企業と申請方法


よくある質問

働く本人がもらえる「年収の壁の給付金」はある?

労働者本人に直接支給される給付金はありません。助成金・奨励金は企業に支給されますが、賃金増額や手当の新設が要件のため、結果的に働き手の処遇改善につながります。

106万円の壁がなくなったら助成金はどうなる?

2026年10月に撤廃されるのは賃金要件で、「週20時間以上」の労働時間要件は残ります。短時間労働者労働時間延長支援コースはこのラインを超える労働時間延長を支援する制度のため、撤廃後も引き続き活用できます。

従業員50人以下の企業はいつから社会保険の適用対象になる?

企業規模要件は段階的に縮小され、従業員36人以上は2027年10月、21人以上は2029年10月、11人以上は2032年10月から対象となり、2035年10月には全企業が対象になる予定です。

130万円の壁は今後も残る?

はい、106万円の壁の賃金要件が撤廃された後も130万円の壁は残ります。ただし2026年4月から労働契約ベースの判定に変わったため、契約上130万円未満なら一時的な超過で直ちに扶養を外れることはなくなりました。

制度について相談できる窓口はある?

国の「年収の壁突破・総合相談窓口」〔0120-030-045/平日 8:30〜18:15〕や、各都道府県の働き方改革推進支援センターで相談できます。都内の事業者・個人は東京都の相談窓口も利用可能です。



まとめ

2026年は、130万円の壁の判定ルール変更(4月)と106万円の壁の賃金要件撤廃(10月)が重なる、年収の壁の大きな転換点です。企業に求められる対応は、「従業員が壁を超えないよう調整する」ことから、「社会保険への加入を前提に、労働時間の延長と処遇改善を進める」ことへと変わりつつあります。

その移行を支えるのが、キャリアアップ助成金「短時間労働者労働時間延長支援コース」(1人あたり最大75万円)や、東京都の「年収の壁突破」総合対策促進奨励金(最大50万円)です。これらの制度を上手に活用することで、企業は保険料負担の増加を補いながら人材を確保しやすくなり、働く人も安心して労働時間を増やせるようになります。

2026年10月の施行を前に、対象となる従業員の確認と助成金活用の検討を早めに進めておきましょう。

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