2026年4月の高等学校等就学支援金法の改正により、高専(高等専門学校)の授業料支援が大きく変わりました。国公立高専の1〜3年生は、世帯年収にかかわらず授業料(年23万4,600円)が全額カバーされ、実質無償となっています。私立高専も年45万7,200円を上限に支援が受けられます。
ただし高専は5年制のため、注意点があります。就学支援金の対象は1〜3年次のみで、4・5年次は大学と同じ「高等教育の修学支援新制度」に切り替わるのです。すべての人が「高専=5年間ずっと授業料無償」ではありません。
本記事では、高専の学費と無償化のしくみを、1〜3年次と4・5年次に分けて解説します。
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高校の無償化制度全般について知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
→関連記事:高校授業料無償化!所得制限撤廃と私立高校の支援拡大へ【高等学校等就学支援金】
この記事の目次
高専とは?高校・高等専修学校との違い
高専(高等専門学校)は、中学校卒業後に入学し、5年間(商船学科は5年半)の一貫教育でエンジニアを育成する高等教育機関です。学校教育法上は大学や短大と同じ「高等教育機関」に位置づけられ、卒業すると「準学士」の称号が得られます。卒業後は就職のほか、大学3年次への編入学や、専攻科に進学して学士を取得する道もあります。
全国に57校あり、内訳は国立51校・公立3校・私立4校。大半が国立(独立行政法人国立高等専門学校機構が設置)である点が、私立中心の高校とは大きく異なります。
なお、名前のよく似た「高等専修学校」は専修学校の高等課程のことで、高専とはまったく別の学校種です。どちらも就学支援金の対象ですが、支給上限額の区分が異なります。
本記事では高等専門学校(高専)について解説します。
高専の学費はいくらかかる?
国立高専(全51校共通)の学費は次のとおりです。入学料・授業料は文部科学省令で定められた全国一律の金額です。
| 費用項目 | 金額 | 無償化(支援)の対象 |
|---|---|---|
| 入学料 | 8万4,600円 | 対象外(1〜3年次) |
| 授業料 | 年額23万4,600円 | 就学支援金の対象 |
| 検定料(受験料) | 1万6,500円 | 対象外 |
| 教科書・教材費、学生会費など | 学校・学科により異なる | 対象外 |
| 寮費(入寮する場合) | 寄宿料は月700〜800円程度 食費・光熱費等を含め月3万円台後半〜6万円程度が目安(学校による) | 対象外 |
公立高専3校(東京都立産業技術高専、大阪公立大学工業高専、神戸市立工業高専)もおおむね国立に準じた授業料水準です。私立高専4校は学校により大きく異なり、年100万円を超える学校もあります。
注意してほしいのは、無償化されるのは「授業料」だけという点です。入学料や寮費、教材費、実習用のパソコン購入費などは引き続き家庭負担となります。
【1〜3年次】高等学校等就学支援金で国公立高専は授業料実質ゼロ
高専の1〜3年次は高校段階に相当するため、「高等学校等就学支援金」の対象です。2026年4月1日施行の改正法により所得制限が撤廃され、全世帯が支援を受けられるようになりました。
2026年度以降の高専の支給上限額は以下のとおりです。
| 区分 | 支給上限額(月額) | 支給上限額(年額) | 授業料との関係 |
|---|---|---|---|
| 国立高専(1〜3年次) | 1万9,550円 | 23万4,600円 | 授業料と同額=実質無償 |
| 公立高専(1〜3年次) | 1万9,550円 | 23万4,600円 | 授業料と同額=実質無償 |
| 私立高専(1〜3年次) | 3万8,100円 | 45万7,200円 | 上限まで支援 (私立高校と同額) |
出典:文部科学省
国公立高専の上限額(月1万9,550円)は、国立高専の授業料(月額換算1万9,550円)に合わせて設定されています。つまり国公立高専の1〜3年次は、世帯年収を問わず授業料負担が実質ゼロになります。
関連記事:高校授業料無償化!所得制限撤廃と私立高校の支援拡大【高等学校等就学支援金】
2025年度までと何が変わった?
従来、国公立高専の就学支援金は公立高校と同じ月9,900円が基準だったため、授業料の高い国立高専では支援を受けても年11万円超の差額を自己負担する必要がありました。
| 項目 | 2025年度まで | 2026年度から |
|---|---|---|
| 所得制限 | あり(年収目安910万円未満) ※910万円以上の世帯は授業料を全額自己負担 | 撤廃(全世帯対象) |
| 国公立高専の上限額 | 月9,900円(年11万8,800円) ※高校と同基準 | 月1万9,550円(年23万4,600円) |
| 国立高専の授業料自己負担 | 年約11万5,800円の差額負担あり | 0円(実質無償) |
2026年度からは高専専用の上限額が設けられ、この差額負担が解消されています。「高校より学費が高い」という高専進学のハードルが、制度上なくなったことになります。
なお、支給期間は原則通算36か月(3年間)です。また、改正により国籍・在留資格の要件が新設されています(日本国籍、特別永住者、永住者など。対象外の生徒には予算事業「高校生等・新修学支援」で従前同等の支援あり)。
【4・5年次・専攻科】高等教育の修学支援新制度の対象に
高専の4・5年次と専攻科は大学相当の高等教育段階となるため、就学支援金の対象外です。代わりに、大学・短大・専門学校と共通の「高等教育の修学支援新制度」(授業料等減免+給付型奨学金)が適用されます。
就学支援金との最大の違いは、原則として所得要件があることです。1〜3年次(就学支援金)と、4・5年次・専攻科(修学支援新制度)の違いを以下の表にまとめました。
| 項目 | 1〜3年次 (就学支援金) | 4・5年次・専攻科 (修学支援新制度) |
|---|---|---|
| 所得制限 | なし(全世帯) | あり (住民税非課税世帯〜年収約460万円目安) |
| 多子世帯の特例 | ─ | 扶養する子3人以上の世帯は所得制限なし (2025年度〜) |
| 支援内容 | 授業料に充当 | 授業料・入学金の減免+給付型奨学金(JASSO) |
| 申請先 | 学校経由(e-Shien) | 学校・日本学生支援機構(JASSO) |
関連記事:給付型奨学金について詳しく解説!条件や注意点・もらえる確率も
高等教育の修学支援新制度の支援内容
世帯収入に応じた支援区分(第Ⅰ〜第Ⅲ区分等)により、授業料・入学金の全額または3分の2、3分の1が減免されます。国公立高専の場合、満額支援なら授業料(年23万4,600円)が全額免除となります。あわせて、要件を満たせば、返還不要の給付型奨学金が日本学生支援機構(JASSO)から支給されます。
支援額や対象要件の詳細は世帯構成により異なるため、JASSOの進学資金シミュレーターや在籍校の学生課で確認してください。
なお、2025年度からの制度拡充により、扶養する子どもが3人以上いる多子世帯は、所得制限なく授業料・入学金が国の定める上限まで無償となりました。3人きょうだいの家庭なら、高専5年間(+専攻科)を通じて授業料負担を大幅に抑えられる可能性があります。
合わせて読みたい:多子世帯の給付型奨学金が拡充 授業料も無償化 詳しい内容と注意点を解説
私立高専は無償になる?全国4校の状況
私立高専は全国に4校あります。
| 学校名 | 所在地 | 特色 |
|---|---|---|
| サレジオ工業高等専門学校 | 東京都町田市 | デザイン・電気・機械・情報。首都圏唯一の私立高専 |
| 国際高等専門学校(国際高専) | 石川県金沢市・白山市 | 英語で学ぶSTEM教育、1・2年は全寮制 |
| 近畿大学工業高等専門学校 | 三重県名張市 | 近畿大学への特別編入制度 |
| 神山まるごと高等専門学校 | 徳島県神山町 | 2023年開校。テクノロジー×デザイン×起業家精神、全寮制 |
私立高専の就学支援金は私立高校と同じ年45万7,200円が上限です。ただし私立高専は授業料が高額な学校が多く、たとえば全寮制の国際高専や神山まるごと高専では学費・寮費を合わせ年200万円規模になります。
支援を受けてもなお相当の自己負担が残るため、「実質無償」とまでは言えないのが実情です。
一方で、神山まるごと高専が企業からの基金により実質的な学費無償化スキームを独自に設けているように、学校独自の奨学金制度が手厚いケースもあります。私立高専を検討する場合は、国の支援に加えて各校の奨学金制度を必ず確認しましょう。
高専無償化の申請方法
1〜3年次(就学支援金)の申請
就学支援金は自動では支給されず、申請が必須です。流れは高校と同じで、入学後に学校から案内が配布され、オンライン申請システム「e-Shien」または紙の申請書で学校経由で申請します。2026年度からは所得審査が不要になったため、課税証明書等の添付は原則不要です。
支援金は保護者に直接振り込まれるのではなく、学校の授業料に充当されます。国立高専では、あらかじめ支援金相当額を差し引いて授業料を徴収する運用が基本です。
4・5年次(修学支援新制度)の申請
4年次への進級にあわせて、学校を通じてJASSOの給付型奨学金と授業料等減免を申請します。毎年春と秋に在学採用の募集があるほか、家計急変時には随時申請も可能です。1〜3年次とは申請窓口も時期も異なるため、3年次のうちに学生課からの案内を確認しておくと安心です。
無償化の対象外となる費用
就学支援金がカバーするのは授業料のみです。高専で実際にかかる、対象外の費用も把握しておきましょう。
【入学料】
1〜3年次の就学支援金では支援されません。なお4・5年次から適用される修学支援新制度では入学金も減免対象ですが、本科入学時には適用がない点に注意が必要です。
【寮費】
高専は学生寮を備える学校が多く、遠方から進学する場合は寮生活が一般的です。寄宿料自体は月700〜800円程度と安価ですが、食費・光熱費等を含めると月3万円台後半〜6万円程度が目安です(学校・部屋タイプによる)。
【教材費・実習費・ノートPC】
工学系の実習が多いため、教科書代に加えてパソコンや実習用品の購入が必要な学校が大半です。
【学生会費・後援会費・行事費など】
学校によっては、学生会費・後援会費・行事費などが必要になる場合があります。
低所得世帯の場合、1〜3年次は授業料以外の教育費を支援する「高校生等奨学給付金」(返還不要)を併用できます。詳しくはこちらの記事をご覧ください。
関連記事:【2026年度】高校生等奨学給付金とは?対象世帯が年収490万円まで拡大・支給額・申請方法を解説
よくある質問
高専は高校無償化の対象ですか?
はい、1〜3年次は高等学校等就学支援金の対象です。2026年4月から所得制限が撤廃され、国公立高専は年23万4,600円(授業料と同額=実質無償)、私立高専は年45万7,200円を上限に支援されます。4・5年次は対象外で、高等教育の修学支援新制度に切り替わります。
高専の無償化は5年間ずっと続きますか?
いいえ。就学支援金の支給期間は原則36か月(1〜3年次)です。4・5年次は所得要件のある修学支援新制度の対象となるため、世帯収入によっては授業料(国立で年23万4,600円)の自己負担が発生します。ただし扶養する子3人以上の多子世帯は所得制限なく無償化の対象です。
国立高専の授業料はいくらですか?本当に無料になりますか?
国立高専の授業料は年23万4,600円です。2026年度からの就学支援金の上限額がこれと同額に設定されたため、1〜3年次は世帯年収にかかわらず授業料負担が実質ゼロになります。ただし入学料8万4,600円や寮費・教材費は対象外です。
私立高専も無償化されますか?
私立高専(全国4校)も年45万7,200円を上限に就学支援金の対象です。ただし私立高専は授業料がこの上限を超える学校が多く、差額は自己負担となります。各校独自の奨学金制度の確認をおすすめします。
高専と高等専修学校の無償化は同じ制度ですか?
どちらも就学支援金の対象ですが、学校種としては別物で、支給上限額の区分も異なります。高等専修学校は「専修学校高等課程」として私立なら年45万7,200円等の上限が適用されます。
高専の4年生・5年生が使える支援制度はありますか?
高等教育の修学支援新制度(授業料等減免+JASSOの給付型奨学金)があります。住民税非課税世帯〜年収約460万円目安の世帯、および所得制限のない多子世帯(扶養する子3人以上)が対象です。このほかJASSOの貸与型奨学金や各高専独自の授業料免除制度もあります。
まとめ
2026年4月の制度改正で、高専の学費負担は大きく軽減されました。ポイントを整理します。
・私立高専は私立高校と同額の年45万7,200円まで支援される。ただし授業料が高額な学校では自己負担が残る
・4・5年次は所得要件のある「高等教育の修学支援新制度」に切り替わる。多子世帯は所得制限なし
・無償化の対象は授業料のみで、入学料・寮費・教材費・PC代などは家庭負担
・支援を受けるには申請が必須。1〜3年次はe-Shien等で学校経由、4年次以降はJASSOに申請する。遡って支給されないため、案内を見落とさないこと
「中学卒業後の5年間で実践的なエンジニア教育が受けられ、しかも前半3年は授業料無償」という高専の選択肢は、制度面でこれまで以上に魅力を増しています。進学を検討する際は、授業料以外の費用と4年次以降の支援制度まで含めて、トータルで資金計画を立てましょう。
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