人手不足が深刻化する中で、「IoTやロボットを導入して業務を効率化したいけれど、何を選べばいいかわからない」「補助金の申請は書類作成が大変そうでハードルが高い」と感じている経営者の方も多いのではないでしょうか。
そんな中小企業の強い味方となるのが、「中小企業省力化投資補助金(カタログ注文型)」です。
この補助金は、あらかじめ登録された「製品カタログ」から自社に合った省力化製品を選ぶだけで導入できるのが最大の特徴で、さらに令和7年12月19日適用の交付規程改定により、補助上限額が大幅に引き上げられました。
本記事では、カタログ注文型の仕組みや最新の補助額、申請要件、手続きの流れまで、ポイントを絞って分かりやすく解説します。省力化投資による生産性向上と賃上げを検討している方は、ぜひ参考にしてください。
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・中小企業省力化投資補助金とは
・中小企業省力化投資補助金「一般型」とは?カタログ注文型との違いも解説
・省力化投資補助金(一般型)第4回の採択結果が公開!採択率と活用事例を紹介
・中小企業省力化投資補助金の採択事例5選!一般型の傾向と評価のポイントは
この記事の目次
中小企業省力化投資補助金(カタログ注文型)とは
中小企業省力化投資補助金(カタログ注文型)とは、人手不足の解消や業務効率化を目的に、IoTやロボットなどの省力化設備の導入を支援する補助金です。あらかじめ登録された「製品カタログ」の中から、自社の課題や業務に合った設備を選んで導入できる仕組みとなっており、比較的スムーズに申請・導入を進められる点が特徴です。
また、申請は設備を取り扱う販売事業者と共同で行う形式となっており、補助金申請の手続きや要件確認についてサポートを受けながら進めることができます。さらに、本制度は随時公募となっているため、公募回ごとの締切を待つ必要がなく、導入のタイミングに合わせて申請しやすい点も大きなメリットです。
一般型との違いとしては、カタログ注文型は「登録された製品から選ぶ」方式であるのに対し、一般型はカタログに掲載されていない設備も含めて自由に選定できる点にあります。そのため、手続きのしやすさやスピードを重視する場合はカタログ注文型、より柔軟な設備導入を行いたい場合は一般型を検討するとよいでしょう。
カタログ注文型の4つの特徴
中小企業省力化投資補助金(カタログ注文型)は、申請のしやすさと導入までのスピードが大きな特徴です。ここでは、公式サイトで示されている4つの特徴をもとに、事業者にとってのメリットとあわせて解説します。カタログ注文型では、あらかじめ登録された省力化製品の中から、自社に合った設備を選ぶだけで申請が可能です。設備選定の自由度は一般型より限定されますが、その分「どの設備が対象になるのか分からない」といった悩みがなく、導入までの意思決定をスムーズに進められる点がメリットです。
【②販売事業者が申請をサポート】
申請は製品を取り扱う販売事業者と共同で行うため、必要書類の作成や要件の確認などをサポートしてもらうことができます。補助金申請に不慣れな事業者でも進めやすく、手続きの負担を大きく軽減できる点が魅力です。
【③随時公募でいつでも申請できる】
カタログ注文型は随時公募のため、公募回ごとの締切を待つ必要がありません。設備投資のタイミングに合わせて申請できるため、「今すぐ導入したい」というニーズにも対応しやすく、機会損失を防ぐことができます。
【④スピーディーな審査で早期導入が可能】
申請内容が標準化されていることから、一般型と比べて審査が比較的スピーディーに進む傾向があります。これにより、設備導入までのリードタイムを短縮でき、早期に業務効率化や人手不足解消の効果を実感しやすい点が特徴です。
このように、カタログ注文型は「簡便さ」と「即効性」に優れた制度です。補助金申請のハードルを下げつつ、スピーディーに設備投資を進めたい事業者にとって、非常に活用しやすい仕組みといえるでしょう。
補助額・補助率
2026年3月19日の制度改定により、中小企業省力化投資補助金(カタログ注文型)の補助上限額が見直されました。従業員数に応じて補助上限額が設定されており、賃上げ目標を達成した場合は上限額が引き上げられる仕組みとなっています。
今回の制度改定(2026年3月19日)では、特に従業員20名以下の事業者の補助上限額が大幅に引き上げられました。
| 従業員数 | 改定前(〜2026/3/18) | 改定後(2026/3/19〜) |
|---|---|---|
| 5名以下 | 200万円(300万円) | 500万円(750万円) |
| 6〜20名 | 500万円(750万円) | 750万円(1,000万円) |
| 21名以上 | 1,000万円(1,500万円) | 1,000万円(1,500万円)※変更なし |
※()内は大幅賃上げ特例達成時
従業員5名以下の事業者では補助上限が最大2.5倍、6〜20名の事業者では1.5倍に引き上げられており、特に小規模事業者にとって大きく使いやすくなった制度改定といえます。
| 従業員数 | 補助上限額 | 補助率 |
|---|---|---|
| 5名以下 | 500万円(750万円) | 1/2以内 |
| 6〜20名 | 750万円(1,000万円) | 1/2以内 |
| 21名以上 | 1,000万円(1,500万円) | 1/2以内 |
※()内は大幅な賃上げ特例要件を達成した場合の補助上限額です。
※2回目以降の交付申請の場合、1事業者あたりの累計補助上限額は「各申請時点の補助上限額×2」となります。前回までの累計交付額を差し引いた範囲内で申請が可能です。ただし、各申請において当該申請時点の補助上限額を超える金額の申請はできません。
【累計補助上限額の目安(大幅賃上げ特例なし/あり)】
| 従業員数 | 1回あたり補助上限 | 累計補助上限(2回目以降) |
|---|---|---|
| 5名以下 | 500万円(750万円) | 1,000万円(1,500万円) |
| 6〜20名 | 750万円(1,000万円) | 1,500万円(2,000万円) |
| 21名以上 | 1,000万円(1,500万円) | 2,000万円(3,000万円) |
今回の制度改定では、賃上げを行う事業者へのインセンティブが強化され、賃上げ達成時の補助上限額が引き上げられた点が大きな特徴です。これにより、単なる設備投資だけでなく、従業員の待遇改善とあわせた取り組みがより評価される仕組みとなっています。
また、2026年3月18日以前の制度と比べて、補助上限額の見直しや条件の整理が行われており、より使いやすい制度へと改善されています。今後は、設備導入とあわせて賃上げ計画を組み込むことで、より高い補助額を活用できる点が重要なポイントとなります。
申請要件
中小企業省力化投資補助金(カタログ注文型)を活用するためには、事業計画において以下の基本要件を満たす必要があります。
- 労働生産性の向上:補助事業終了後3年間で、申請時と比較して
労働生産性を年平均成長率(CAGR)3.0%以上向上させる事業計画を策定すること - 最低賃金の遵守:全ての従業員の賃金が、申請時点で地域別最低賃金を上回っていること
補助上限額の引き上げを受けるには、以下の2条件をどちらも達成する必要があります。
- 事業場内最低賃金を3.0%以上増加させること(日本銀行が定める「物価安定の目標」+1.0%)
- 給与支給総額を6%以上増加させること
目標未達の場合は補助額が減額されます。
なお、従来は補助事業によって収益が得られた場合の収益納付がありましたが、2026年3月19日以降の交付申請からは撤廃されました。
人手不足の状態であることの確認
カタログ注文型では、自社が人手不足の状態にあることを示すことが申請の前提条件となっています。以下の4つから該当する理由を1つ選び、それぞれに応じた証憑を提出する必要があります。
| 選択肢 | 内容 | 必要な証憑 |
|---|---|---|
| ① 残業時間 | 限られた人手で業務を遂行するため、直近1か月の従業員の平均残業時間が30時間を超えている | 【指定様式】時間外労働時間 |
| ② 従業員減少 | 整理解雇に依らない離職・退職によって従業員が前年度比で5%以上減少している | 【指定様式】従業員減少の確認用 |
| ③ 採用未充足 | 採用活動を行い求人掲載したものの、充足には至らなかった | 求人サイトのキャプチャ等(申請日から1年以内の求人情報) |
| ④ その他 | その他、省力化を推し進める必要に迫られている | 申請時の入力欄に具体的かつ合理的な説明を記載 |
なお、②については「常時使用する従業員」ではない者が主体の事業者の場合、従業員数の代わりに総労働時間で代替することも認められています(直近1年間のうち、月の総労働時間が前年同月比で5%以上減少していること)。
④を選択した場合は例外的な扱いとなり、省力化投資の必要性についてより厳格な審査が行われます。場合によっては追加書類の提出を求められることもあり、採択結果の通知が大幅に遅れる可能性があるため、可能な限り①〜③のいずれかに該当するかを先に確認することをおすすめします。
※従業員数が0人の事業者は、①の理由(残業時間)は選択できません。
補助対象経費——何に使えるか
中小企業省力化投資補助金(カタログ注文型)では、主に「製品本体価格」と「導入経費」の2つが補助対象となります。いずれも、省力化につながる設備を実際に導入・稼働させるために必要な費用であることが前提です。
① 製品本体価格
カタログに登録された、単価50万円(税抜)以上の省力化製品の購入費用が対象となります。具体的には、以下のような設備が該当します。
- 機械装置(ロボット、製造設備など)
- 工具・器具
- 専用ソフトウェア(業務効率化システムなど)
これらは、人手不足の解消や業務効率化に直接寄与する設備であることが求められます。
② 導入経費
設備を実際に使用できる状態にするための費用も補助対象となります。主な例は以下の通りです。
- 設置作業費
- 運搬費
- 動作確認費
- 初期設定費(マスタ設定など)
単に機器を購入するだけでなく、「現場で使える状態にするまでの費用」が含まれる点が特徴です。
補助対象外となる経費
一方で、以下のような経費は補助対象外となるため注意が必要です。
・交付決定前に購入した省力化製品(いかなる理由でも事前着手は不可)
・対象リース会社が結ぶリース契約の金利や保険料
・公租公課(消費税)
・対外的に無償で提供されているもの
・補助事業者の顧客が実質負担する費用が含まれるもの
・省力化製品の試運転に伴う原材料費、光熱費等
・委託・外注費(導入経費側)
・移動交通費・宿泊費(導入経費側)
・補助金申請、報告に係る申請代行費
補助対象となるかどうかは、「省力化に直接つながる専用設備かどうか」が判断基準となります。そのため、申請前には対象となる経費の範囲を確認し、設備導入計画を整理しておくことが重要です。
対象事業者——誰が申請できるか
中小企業省力化投資補助金(カタログ注文型)は、日本国内で事業を営む中小企業等が対象となります。ただし、単に中小企業であればよいわけではなく、いくつかの要件を満たしている必要があります。
主な対象要件は以下の通りです。
- 日本国内で法人登記されている中小企業等であること
- 人手不足の状態にあり、省力化投資によって生産性向上を目指す事業であること
- 全従業員の賃金が地域別最低賃金を上回っていること
- 申請時および事業実施期間中に、賃上げの取り組みを実施する計画があること
- 同一の設備投資に対して、他の補助金との重複申請・受給に該当しないこと
- 反社会的勢力に該当しないなど、補助金の基本的な交付要件を満たしていること
これらの要件を満たしたうえで、事業計画に基づく設備導入を行うことが求められます。特に「人手不足の解消」と「賃上げ」の両立が重要なポイントとなるため、自社の状況を整理したうえで申請を検討することが大切です。
製品カタログとは——どんな製品が対象か
中小企業省力化投資補助金(カタログ注文型)では、あらかじめ登録された「製品カタログ」の中から導入する設備を選ぶ仕組みとなっています。このカタログには、人手不足の解消や業務効率化に効果があると認められた「省力化製品(汎用製品)」が掲載されており、対象製品を選ぶことでスムーズに申請・導入を進めることができます。
カタログに掲載されている製品は、「製品カテゴリ」という単位で整理されています。これは、同じような機能や効果を持つ製品をグループ化したもので、例えば「自動で作業を行う」「作業を効率化する」など、一定の省力化効果が見込める製品群ごとに分類されています。このカテゴリの中から、自社の業務や課題に合った製品を選定することがポイントとなります。
主な製品カテゴリ・製品の例は以下の通りです。
| カテゴリ | 概要 | 主な製品例 |
|---|---|---|
| ① 飲食・小売向け省力化設備 | 注文・会計・配膳などの業務を自動化し、人手不足の解消と業務効率化に寄与します。 | 券売機(セルフ注文機) 自動精算機 配膳ロボット セルフレジ |
| ② 搬送・物流の自動化設備 | 工場や倉庫内での搬送業務を自動化し、作業負担の軽減と効率化を実現します。 | AGV(無人搬送車) AMR(自律走行搬送ロボット) コンベアシステム |
| ③ 製造業向け自動化設備 | 製造工程の自動化により、生産性向上と品質の安定化を図ります。 | 産業用ロボット 協働ロボット 自動加工機・自動組立装置 |
| ④ 業務効率化(IT・IoT)設備 | 業務の見える化・自動化を通じて、間接業務の削減や生産性向上に貢献します。 | 在庫管理システム 勤怠・シフト管理システム IoTセンサー・データ管理システム |
| ⑤ サービス業向け省力化設備 | 宿泊・医療・介護などの現場で活用され、業務負担軽減とサービス品質向上に寄与します。 | 受付・案内ロボット 清掃ロボット 見守り・管理システム |
申請の流れ——応募・交付申請フロー
中小企業省力化投資補助金(カタログ注文型)は、以下の流れで申請から補助金受領まで進みます。販売事業者のサポートを受けながら進められる点が特徴です。
| ステップ | 内容 |
|---|---|
| ① 応募・交付申請 | 販売事業者と共同で、申請マイページ(補助事業者)および販売事業者ポータル(販売事業者)を通じて申請を行います。 |
| ② 審査 | 申請内容に基づき、事業計画や要件適合性について審査が行われます。 |
| ③ 採択通知・交付決定 | 審査を通過すると採択通知が届き、正式に交付決定となります。 |
| ④ 製品導入 | 交付決定後に設備の発注・導入を行います(補助事業期間:原則12か月以内)。 |
| ⑤ 実績報告 | 設備導入完了後、実績報告書を提出します。 |
| ⑥ 補助金の交付 | 実績報告の内容が確認されると、補助金が支払われます。 |
| ⑦ 効果報告 | 補助事業終了後、3年間にわたり生産性や賃上げの達成状況を報告します。 |
申請時の注意点
- 申請は販売事業者と共同で行うため、事前に相談しながら進めることが重要です。
- 申請には「GビズIDプライムアカウント」が必要となるため、未取得の場合は早めに準備しておきましょう。
- 交付決定前に設備の発注や契約を行った場合、その費用は補助対象外となるため注意が必要です。
スムーズに申請を進めるためには、販売事業者と連携しながら、スケジュールと手続きを事前に整理しておくことが重要です。
一般型との違い——どちらを選ぶべきか
中小企業省力化投資補助金には、「カタログ注文型」と「一般型」の2つの申請方法があります。それぞれ特徴が異なるため、自社の目的や状況に応じて適切なタイプを選ぶことが重要です。
| 項目 | カタログ注文型 | 一般型 |
|---|---|---|
| 製品選択 | カタログから選ぶ | 自由に選定 |
| 事業計画書 | 簡易な事業計画と省力化効果判定シートを提出 | 詳細な事業計画書が必要 |
| 申請サポート | 販売事業者がサポート | 自社で作成 |
| 補助上限 | 最大1,500万円 | 最大1億円 |
| 審査難易度 | 比較的簡易 | 審査項目が多い |
| 向いている事業者 | 導入実績のある製品を手軽に使いたい | 現場に合わせたオーダーメイド投資をしたい |
カタログ注文型は、あらかじめ登録された製品から選ぶ仕組みのため、申請手続きがシンプルで導入までのスピードが早い点が特徴です。補助金申請に不慣れな事業者や、早期に設備導入を進めたい場合に適しています。
一方で一般型は、設備の選定自由度が高く、自社の業務に最適な設備投資を行える点がメリットです。その分、事業計画の作成や審査のハードルは高くなりますが、大規模な投資や独自性の高い取り組みを行いたい場合に向いています。
そのため、「スピードと簡便さ」を重視するならカタログ注文型、「自由度と補助額の大きさ」を重視するなら一般型を選ぶのが基本的な考え方です。
まとめ
中小企業省力化投資補助金(カタログ注文型)は、あらかじめ登録された省力化製品の中から設備を選ぶことで、スムーズに導入・申請ができる制度です。販売事業者のサポートを受けながら進められる点や、随時公募で申請できる点など、「簡便さ」と「スピード」に優れていることが大きな特徴です。
また、2026年3月19日の制度改定により、補助上限額が最大1,500万円まで引き上げられ、賃上げに取り組む事業者にとってより活用しやすい制度へと強化されています。労働生産性の向上や賃上げの要件はあるものの、適切に計画を立てることで、人手不足の解消と業務効率化を同時に実現できる補助金といえるでしょう。
「できるだけ早く設備を導入したい」「補助金申請の手間を減らしたい」といった事業者にとって、カタログ注文型は非常に有効な選択肢です。自社に合った製品や申請方法について不安がある場合は、販売事業者や専門家に相談しながら、早めに申請準備を進めていくことをおすすめします。
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