東京都は2050年の「ゼロエミッション東京」実現に向け、2030年までに温室効果ガス排出量を50%削減する「カーボンハーフ」を掲げています。脱炭素関連の製品を持つ都内中小企業には追い風が吹いている状況です。
とはいえ「展示会に出たいが、小間料だけで数十万円かかる」——販路開拓の壁に悩む事業者は少なくありません。
そこで活用したいのが、東京都中小企業振興公社の「ゼロエミ推進製品・サービス等の販路拡大助成【ゼロエミ販路】」です。正式名称は「ゼロエミッション推進に向けた事業転換支援事業(販路拡大助成)」で、展示会出展やECサイト出店、Webサイト制作などの費用を最大150万円・助成率2/3で支援します。
令和8年度(2026年度)の申請受付は2026年8月10日(月)10時~8月31日(月)17時。この記事では、対象者・対象経費・申請分野・必要書類・審査の視点までを、令和8年度の募集要項に沿って解説します。
▼▼▼日々配信中!無料メルマガ登録はこちら▼▼▼
メルマガ会員登録する
この記事の目次
ゼロエミ販路(販路拡大助成)とは?最大150万円・助成率2/3で販路開拓費を助成
ゼロエミ販路は、東京都中小企業振興公社が実施する助成金で、ゼロエミッションに資する製品・サービスを製造・販売する都内中小企業の販路開拓費用を、最大150万円・助成率2/3以内(千円未満切捨て)で助成する制度です。公社が令和4年度から実施しており、展示会出展、モール型ECサイトへの出店、自社Webサイトの制作・改修、印刷物・動画・広告の費用が対象になります。
| 令和8年度 ゼロエミ販路の概要 | |
|---|---|
| 実施機関 | 東京都中小企業振興公社 |
| 助成限度額 | 150万円 |
| 助成率 | 対象経費の2/3以内(千円未満切捨て) |
| 申請期間 | 2026年8月10日(月)10時~8月31日(月)17時 |
| 申請方法 | Jグランツ電子申請のみ(持参・郵送・メール不可) |
| 助成対象期間 | 2026年11月1日(日)~2027年11月30日(火)(最長1年1か月) |
| 交付決定 | 2026年10月末(Jグランツで通知) |
| 申請回数 | 同一年度につき一事業者1回限り |
なお公社は同じ事業の枠組みで、製品開発そのものを支援する「製品開発助成」も実施しています。
令和8年度は何が変わった?前年度からの主な変更点
令和8年度のゼロエミ販路では、事前エントリーが廃止され、Jグランツへの直接申請だけで完結する形に簡素化されました。あわせて申請分野が7つの政策単位から4分野に再編されています。助成限度額150万円・助成率2/3という金額条件は前年度と同じです。
| 項目 | 令和7年度 | 令和8年度 |
|---|---|---|
| 通称 | ゼロエミッション販路拡大助成金 | ゼロエミ販路 |
| 事前エントリー | 必要(申請前に別途登録) | 廃止(Jグランツ申請のみ) |
| 申請期間 | 2025年8月4日~8月29日 | 2026年8月10日~8月31日 |
| 申請分野 | 7つの政策から選択 | 4分野から1つ選択 |
| 助成対象期間 | 2025年11月1日~2026年11月30日 | 2026年11月1日~2027年11月30日 |
| 助成限度額・助成率 | 150万円・2/3以内 | 150万円・2/3以内(変更なし) |
ゼロエミ販路の対象になるのはどんな企業?助成対象者の要件
ゼロエミ販路に申請できるのは、東京都内の本店または支店で実質的な事業活動を引き続き1年以上行っている中小企業者(法人または個人事業者)です。大企業が実質的に経営に参画している企業は対象外です。「実質的に事業を行っている」とは登記上の所在地に建物があるだけでは足りず、ホームページ、看板、雇用状況などから総合的に判断されます。中小企業者に該当するかは業種ごとの資本金または従業員数で判定します。
| 業種 | 資本金 又は 常時使用する従業員数 |
|---|---|
| 製造業、その他 | 3億円以下 又は 300人以下 |
| ゴム製品製造業(一部除く) | 3億円以下 又は 900人以下 |
| 卸売業 | 1億円以下 又は 100人以下 |
| 小売業 | 5千万円以下 又は 50人以下 |
| サービス業 | 5千万円以下 又は 100人以下 |
| ソフトウェア業・情報処理サービス業 | 3億円以下 又は 300人以下 |
| 旅館業 | 5千万円以下 又は 200人以下 |
このほか、直近2期分の確定申告書の控えを提出できること(創業2期未満は1期分で可)、事業税等を滞納していないこと(分納期間中も申請不可)も要件です。
ゼロエミ販路の助成対象商品は?4つの申請分野から1つを選択
助成対象商品は、申請者自らが企画・製造し、自社製品として単独で販売する権利を有している商品1種類に限られます。販売代理店など企画・製造元でない事業者は申請できず、申請日までに開発が完了し販売できる状態にあることも必要です。そのうえで「ゼロエミッション東京戦略 Beyond カーボンハーフ」に基づく次の4分野から、該当分野を1つ選んで申請します。
| 分野名 | 対応する政策 | 製品・サービス例 |
|---|---|---|
| ①エネルギー | 再エネの基幹エネルギー化/水素エネルギーの普及拡大 | 次世代型ソーラーセル部材、エネルギー貯蔵システム、小型水電解装置、燃料電池ユニット など |
| ②都市インフラ | ゼロエミッションビルの拡大/ゼロエミモビリティの推進 | 高効率給湯・熱源設備、断熱材、ビル・エネルギー管理システム、公共用急速充電設備 など |
| ③資源・環境 | サーキュラーエコノミーへの移行/フロン対策 | 都市鉱山リサイクル装置、生分解性素材、規格外野菜の加工品、自然冷媒活用機器 など |
| ④気候変動適応 | 気候変動適応策の推進 | 気候適応型栽培システム、早期警戒システム、高性能止水板、熱中症予防ウェア、屋上緑化 など |
なお、ゼロエミッション分野に該当しない製品でも、社会課題の解決に資する商品なら公社の「課題解決型製品・サービス等の販路拡大助成」が候補です。
ゼロエミ販路の助成対象経費は?展示会出展からWeb広告まで
助成対象経費は「販路開拓費」と「販売促進費」の2区分です。販路開拓費の申請は必須で、販売促進費のみの申請はできません。経費ごとの助成限度額は次のとおりです。
| 経費区分 | 経費項目 | 助成限度額 |
|---|---|---|
| 販路開拓費(申請必須) | 展示会等参加費(出展小間料・資材費・輸送費) | 上限なし |
| EC出店初期登録料 | 20万円 | |
| サイト制作・改修費 | 20万円 | |
| 販売促進費(単独申請不可) | 印刷物制作費 | 50万円 |
| 動画制作費 | 20万円 | |
| 広告掲載費 | 20万円 |
いずれの経費も、助成対象期間(2026年11月1日~2027年11月30日)内に契約・実施・支払いが完了していることが条件です。ただし展示会の小間の申込(契約)に限り、対象期間前のものも認められます。
展示会出展で助成を受けるための条件は?
展示会出展で助成を受けるには、その展示会が商談を主たる目的とし、主催者が出展要項を発行・公開しているものである必要があります。国内・海外・オンラインのいずれも対象ですが、次のケースは対象外です。
- 販売を目的とした出展や受注会、資金調達を目的とした出展
- 特定の顧客(会員等)のみを対象とする展示会
- 自社が主催または運営に携わる展示会
- 代理出展、出展代行、市場調査目的の出展
セミナー・体験会の経費、招待券購入費、懇親会参加費、駐車場代、キャンセル料、協賛金も対象外です。なお東京都には「展示会出展助成事業」という別制度もあります。
ECサイト出店・自社サイト制作で注意すべき点は?
EC出店で対象になるのは、モール型ECサイトへの出店にかかる「初期登録料」のみ(上限20万円)です。運用サービス費、構築費、デザイン費、オプション費用は対象外。独自ドメインの自社ECやフリマサイトへの登録料も対象になりません。
サイト制作・改修費(上限20万円)は、令和8年度から障害者差別解消法に基づくWebアクセシビリティのガイドライン対応に取り組んでいることが要件として明示されました。加えて、自社でドメインを取得し運営・管理すること、制作を外部の専門業者に委託すること、ショッピングカート等の販売管理システムを搭載しないことが条件です。
助成対象外になる経費は?
募集要項に記載のない経費はすべて対象外です。特に間違えやすいのは次の経費です。
- 振込手数料、交通費、宿泊費、飲食費などの間接経費
- 消費税や印紙代などの租税公課
- 調査・打ち合わせ等の費用、コンサルタント的要素を含む経費
- 親会社・子会社などグループ企業との取引に係る経費
- 再委託が行われている経費、国内取引で代理店を介した経費
- 手形小切手・電子記録債権による支払い、ポイント相当分
支払いは助成事業者名義の口座からの振込払いが原則です。現金払いはやむを得ない理由があり、かつ総額10万円未満(税込)の場合のみ。クレジットカード払いは法人名義カードでリボ払い・分割払いでないことが条件です。
ゼロエミ販路の申請期間とスケジュールは?2026年8月31日17時締切
令和8年度の申請期間は2026年8月10日(月)10時から8月31日(月)17時まで。交付決定は2026年10月末に通知されます。
| 時期 | 内容 |
|---|---|
| 電子申請前 | GビズIDプライムの取得、募集要項・申請書別紙のダウンロード |
| 2026年8月10日10時~8月31日17時 | Jグランツによる電子申請 |
| 2026年9月~10月 | 書類審査・総合審査 |
| 2026年10月末 | 交付決定(Jグランツで通知) |
| 2026年11月1日~2027年11月30日 | 助成対象期間(事業の実施) |
| 事業完了・支払い後 | 実績報告→完了検査→助成金額の確定 |
| 確定から約1か月後 | 助成金の交付 |
なお助成金額の確定があった年度の翌年度1年間の実施状況も報告が必要です。関係書類・帳簿類は事業完了年度の翌年度から5年間保存します。
申請に必要な書類は?
申請時に必要な書類は次のとおりです。すべてJグランツ上でアップロードし、PDF形式が推奨されます(1ファイル16MBまで)。
| 書類 | 内容・入手先 |
|---|---|
| 申請書【必須】 | Jグランツのフォーム入力+申請書別紙1~5(公社指定様式) |
| 商品説明資料【必須】 | カタログ、機能説明書、図面等(A4・10ページ以内) |
| プレゼン資料【任意】 | 出展企画書や販促企画書など(A4・10ページ以内) |
| 登記簿謄本等【必須】 | 法人は発行後3か月以内の履歴事項全部証明書、個人は開業届 |
| 納税証明書【必須】 | 法人は法人事業税・法人都民税、個人は個人事業税と住民税 |
| 確定申告書【必須】 | 直近2期分(創業2期未満は1期分で可) |
| 展示会等の出展案内 | 主催者・会期・会場・開催目的・来場対象者・小間料の記載が必要 |
マイナンバーが記載された書類は受領されません。確定申告書や開業届に記載がある場合は黒塗り等の処理を施してください。
申請にはGビズIDプライムアカウントが必要
ゼロエミ販路の申請は電子申請システム「Jグランツ」でのみ受け付けられ、利用には事前に「GビズIDプライムアカウント」の取得が必要です。GビズIDは国の審査を経て発行されるため、未取得の場合はまずこの手続きから着手してください。
なお、Jグランツ上の当初申請手続きに限り、行政書士等による代理申請機能を使えます。ただし申請の確認と提出は申請者自身が行い、代理申請者は公社所定の「同意書(代理申請者用)」を提出します。
ゼロエミ販路の審査ではどこが見られる?4つの審査の視点
審査は申請書類に基づく資格審査と書類審査(経理審査を含む)で行われます。公社が公表している審査の視点は次の4つです。
②優秀性:他社製品と比較調査しているか、独自性や優位性はあるか、法令・環境・安全確保は厳格になされているか
③市場性:市場規模やエンドユーザーのニーズを把握できているか、市場での成長や新市場の掘り起こしが期待できるか
④必要性:申請事業者における事業の必要性や企画内容の妥当性
つまり「ゼロエミッションに貢献する製品です」と主張するだけでは不十分です。CO2削減量を定量的に示し、競合製品との比較で優位性を説明し、狙う市場の規模とニーズを裏付ける。この3点を申請書別紙と商品説明資料で書き切れるかが採否を分けます。なお審査は非公開で、交付決定時の助成予定額は申請額から減額される場合があります。
ゼロエミ販路(販路拡大助成)に関するよくある質問
ゼロエミ販路の令和8年度の申請期間はいつまでですか?
令和8年度のゼロエミ販路の申請期間は、2026年8月10日(月)10時から8月31日(月)17時までです。申請はJグランツによる電子申請のみで、持参・郵送・電子メールでの提出は受け付けられません。
ゼロエミ販路は個人事業主でも申請できますか?
個人事業者も申請できます。ただし「個人事業の開業・廃業等届出書」の控えで都内所在が確認でき、「個人事業税の納税証明書」と「住民税の納税証明書」を提出できることが条件です。非課税の場合は「所得税納税証明書(その1)」と「住民税の非課税証明書」で代替します。
ゼロエミ販路の助成率と上限額はいくらですか?
助成率は経費の2/3以内(千円未満切捨て)、助成限度額は150万円です。経費項目ごとにも上限があり、EC出店初期登録料20万円、サイト制作・改修費20万円、印刷物制作費50万円、動画制作費20万円、広告掲載費20万円です。展示会等参加費に項目別の上限はありません。
販売促進費だけを申請することはできますか?
できません。ゼロエミ販路では「販路開拓費」の申請が必須で、印刷物制作費・動画制作費・広告掲載費からなる「販売促進費」のみの申請は認められていません。販売促進費は、展示会等参加費・EC出店初期登録料・サイト制作改修費のいずれかとセットで申請します。
令和8年度からエントリー手続きは必要ですか?
令和8年度のゼロエミ販路では、前年度まで必要だった事前エントリーが廃止されました。GビズIDプライムアカウントを取得したうえで、申請期間内にJグランツから直接申請します。GビズIDの発行には国の審査があり時間を要するため、早めの手続きが必要です。
海外の展示会に出展する費用も助成対象になりますか?
海外展示会への出展も助成対象です。海外展示会に限り、主催者が認める代理店を経由した申込み・支払いも対象になります。ただし日本語以外の出展案内は、主催者・会期・会場・開催目的・来場対象者・小間料に翻訳の追記が必要です。小間料には適用為替レートなど算出根拠の説明も添えます。
他の補助金と併用することはできますか?
同一の内容(展示会・経費)について、公社の他事業や国・都道府県・区市町村等から助成を受けることはできず、採択後に受けることも不可です。同一内容で公社の他助成事業へ併願申請することも認められていません。本助成事業への申請は同一年度につき一事業者1回限りです。
助成対象商品は複数申請できますか?
助成対象商品は原則として1種類です。自社の製品・サービスを1つ指定し、「エネルギー」「都市インフラ」「資源・環境」「気候変動適応」の4分野から該当分野を1つ選んで申請します。指定できるのは申請者自らが企画・製造し単独で販売する権利を有する商品に限られ、販売代理店等は申請できません。
助成金はいつ振り込まれますか?
ゼロエミ販路は精算払いのため、事業実施後の受け取りです。助成対象期間(2026年11月1日~2027年11月30日)内に事業実施と支払いを完了させ、Jグランツで実績報告を提出します。完了検査を経て助成金額が確定し、確定から約1か月後に指定口座へ振り込まれます。実施が確認できない経費は対象外となり、確定額が減額される場合があります。
行政書士などに申請を代行してもらえますか?
Jグランツ上の当初申請手続きに限り、代理申請機能で第三者が申請を作成できます。GビズIDプライムを保有する委任者・受任者がマイページ上で委任申請と承認を行い、代理申請者は公社所定の「同意書(代理申請者用)」を提出します。ただし申請の確認と提出は申請者自身が行い、外注先事業者や公社職員等は代理申請を請け負えません。
まとめ
令和8年度のゼロエミ販路は、都内中小企業の脱炭素関連製品の販路開拓を最大150万円・助成率2/3で支援する制度です。展示会出展からEC出店、自社サイト制作、印刷物・動画・広告までを幅広くカバーし、事前エントリーの廃止で手続きも簡素になりました。
一方で申請期間は2026年8月31日(月)17時までと限られ、GビズIDの取得には国の審査期間を要します。審査では適合性・優秀性・市場性・必要性の4視点で評価されるため、CO2削減効果や競合比較、市場規模の裏付けを具体的に書き込むことが欠かせません。
自社の製品が「ゼロエミッション東京戦略 Beyond カーボンハーフ」の4分野に当てはまりそうだと感じた方は、まず募集要項で助成対象商品の要件を確認してみてはいかがでしょうか。
▼▼▼日々配信中!無料メルマガ登録はこちら▼▼▼
メルマガ会員登録する


