新型コロナウイルスにより、文化芸術活動の自粛を余儀なくされた文化芸術関係団体の活動を支援するため、文化庁が公演などに係る経費への全額補助を行う「ARTS for future!」の公募がスタートしました。
補助対象となるのは「文化芸術団体」又は「文化施設の設置者または運営者」で、「団体」については法人以外の任意団体も対象となるため、普段フリーランスで活動している方なども有志で2名以上のグループを作ることにより申請を行うことが可能です。
今回は文化庁の補助金事業「ARTS for future!」について下記で紹介いたします。
この記事の目次
文化庁「ARTS for future!」事業
新型コロナウイルスにより、文化芸術活動の自粛を余儀なくされた文化芸術関係団体が、感染対策を十分に実施した上で、積極的に公演等を開催し、文化芸術振興の幅広い担い手を巻き込みつつ、「新たな日常」ウィズコロナ時代における新しい文化芸術活動のイノベーションを図るとともに、活動の持続可能性の強化に資する取組を行う場合に、経費への支援を行う文化庁の補助金制度です。
前身である「文化芸術活動の継続支援事業※2020年度実施」では約96,300件の申請に対し約79,700件が採択されており、書類の不備や辞退等(約4600件)を除いた実質的な採択率は87%前後と非常に高い水準となっています。
今回の「ARTS for future!」には令和2年度第3次補正により250億円という大きな予算が計上されていますので、前回に続き比較的採択されやすい状況が期待できるのではないでしょうか。
補助対象者
文化芸術分野で公演等の主催の実績のある文化芸術関係団体及び文化施設が補助対象となります。
(1)国内の文化芸術関係団体(地方自治体を除く)
- 団体としての公演等の主催の実績がある法人
- 公演等の主催の実績を有する者が中核となり設立した法人
- 公演等活動の主催の実績を有する任意団体
(2)国内の文化施設の設置者又は運営者
- 主催事業を実施している国内の文化施設の設置者又は運営者
(地方公共団体、独立行政法人を含みます)
※公演等を主催するライブハウスやミニシアターなども対象となります。
対象となる活動
(1)不特定多数の者に公開する公演や展覧会等の活動を行う、営利目的を前提とした『積極的な活動』
(2)2021年1月8日以降に緊急事態措置区域とされた都道府県で実施を予定していた公演活動等及び動画作成。
『積極的な活動』とは?
(1)公演等
・既公演の演出を変えて実施する公演
・新作若しくは当該団体が過去3年間で上演実績がない演目の公演
・他の文化芸術関係団体とコラボレーションした公演
・新たな専門性を有する実演家等を招聘し実施する公演
・経験年数が少ない若手に役を配分して実施する公演
・同時にオンライン配信等を行い顧客の拡大に取り組む公演
・新たな顧客の獲得に向け観賞の仕方等の解説をした上で行う公演
・観客との交流など来場者拡大に資する施策を付加した公演 等
(2)映画製作
・有料一般公開を行う新作映画の製作 等
(3)展覧会等
・企画展、常設作品のテーマ展示、新作の展示
・映画上映(映画祭、監督特集)
・教育普及プログラム、ワークショップ、地域ゆかりの作家と共同して制作するプログラムを実施した上で行う展示 等
(4)ジャンル複合
・展覧会も含んだ公演、ギャラリー空間で行うパフォーマンス 等
補助額
活動の種類と規模に応じて下記の補助上限額の区分が決定し、採択者は決定した補助上限額の範囲で経費について定額(10/10)の補助を受ける事が出来ます。
公演等の場合
公演等(主として人が演じるもの(舞台芸術))の場合は、補助事業に従事する人員の規模をベースに、補助上限額の区分を決定します。
但し、従事人員規模を適正に把握できないことを想定して、①もしくは②の補正基準を適用できます。
展覧会等の場合
展覧会等(主として美術作品等を見せるもの)の場合は、補助事業に従事する人員の規模をベースに、補助上限額の区分を決定します。
但し、従事人員規模を適正に把握できないことを想定して、①もしくは②の補正基準を適用できます。
映画製作の場合
映画製作の場合は、映画製作費を基準に、補助上限額の区分を決定します。
活動に従事した人員の考え方
活動に従事した人員の計算に含める対象として、専門的な技能が必要となる下記の者を原則としています。アルバイトの警備員等は専門的な技能者とは考えないためカウントできません。
【公演等】
• 出演者等
• 演出者等(演出、脚本 等)
• 制作スタッフ等(音響、照明、大道具、小道具、衣装、メイク 等)
※公演等については1回単位で人員を算出します。(複数の公演で申請する場合は、1公演毎の人数を平均して算出)
【 展覧会等】
• 出展者等 (但し、出展料等を主催者に支払う出展者については「従事した人員」にはカウントできません。
• 企画スタッフ等(学芸員、キュレーター 等)
• 展示スタッフ等(会場設営、輸送 等)
※展覧会等については1会期単位で人員を算出します。(複数の展覧会等を申請する場合は、対象会期毎の人数を平均して算出)
補助対象経費
交付決定後、事業実施期間に補助事業のために事業者自身が支出し、事業者名義の証拠書類が確認できる経費のみが対象です。※やむを得ない交付決定前の事前着手については対象となる規定があります。
【人件費】
・出演費(出演料など)
・稽古費(稽古料、リハーサル費など)
・スタッフ費(音響・照明スタッフ費、会場整理員等賃金など)
・諸謝金(講師謝金、指導謝金、翻訳謝金など)
【物件費】
・音楽費(作曲費、編曲費など)
・文芸費(監督料、脚本料、演出料金、監修料、振付料など)
・舞台・美術費(大道具、小道具、衣装費、照明機材費など)
・会場費(会場施設使用料、稽古場使用料など)
・役務・委託費(運搬費、広告宣伝費、映論審査費、配信費など)
・旅費(交通費、宿泊費など)
・借損料(楽器借料、作品借料、権利使用料、付帯設備費など)
・需要費(消耗品費、印刷製本費、感染予防対策費など)
緊急事態措置等を踏まえた対応
2021年1月8日以降に緊急事態措置区域とされた都道府県で実施を予定していた公演活動等
(キャンセルになった場合の開催しなくても発生してしまった経費)及び動画作成にかかる経
費について定額補助を行う。(経過措置及びまん延防止等重点措置区域における一部取組みを
含む。)
事業実施期間・スケジュール
【1次募集】
募集期間(予定) 4月26日(月)~5月24日(月)
交付決定(予定) 5月中旬~6月下旬
【2次募集】
募集期間(予定) 6月下旬~7月下旬
交付決定(予定) 7月中旬~8月下旬
【3次募集※予算の執行状況により実施しない可能性があります】
募集期間(予定) 8月下旬~9月下旬
交付決定(予定) 9月下旬~10月下旬
※概算払いを実施。
【事業実施期間】
交付決定より令和3年12月末まで
ただし、令和3年の緊急事態宣言等以降の活動を支援するために、緊急事態宣言の発令日(令和3年1月8日)まで遡りを認める。
問い合わせ先
【事務局】
特定非営利活動法人映像産業振興機構(VIPO)
https://aff.bunka.go.jp
電話番号(コールセンター)
0120-51-0335(9時30分~17時00分)
まとめ
今回は4月26日から公募がスタートした文化庁の補助金制度「ARTS for future!」事業について紹介しました。
セーフティネットの厳しい芸術分野では、コロナの影響で活動が出来ない実演家等は非常に厳しい経済状況に立たされ続けています。
厳しい状況のなか積極的に活動を行い、実演家等の活動の場の創出に取り組む芸術団体は是非制度の活用をご検討ください。