2026年5月29日、政府は「第3次自転車活用推進計画」を閣議決定し、脱炭素・健康増進・安全な地域交通の柱として自転車の活用がこれまで以上に重視される方針を打ち出しました。この流れを受けて、機械産業や研究開発の現場でも、自転車・モーターサイクルを軸にした技術革新への期待が高まっています。
こうした動きと歩調を合わせるように、公益財団法人JKAは2026年7月1日に「2027年度 補助方針」を公示し、機械振興補助事業の要望受付を開始しました。競輪・オートレースの売上げの一部を原資に、機械産業の振興や研究開発、福祉機器の整備などを最大1億5,000万円まで支援する制度です。
2027年度は「チャレンジ」「チェンジ」をキーワードに、AI技術革新をはじめとするDXや第3次自転車活用推進計画への対応、カーボンニュートラルの推進など、社会環境の変化を踏まえた事業が積極的に支援されます。この記事では、2027年度JKA機械振興補助事業の対象事業、補助率、上限額、申請スケジュールをわかりやすく解説します。
▼▼▼日々配信中!無料メルマガ登録はこちら▼▼▼
メルマガ会員登録する
この記事の目次
JKA機械振興補助事業とは?競輪・オートレース収益を原資とする支援制度
JKA機械振興補助事業は、競輪・オートレースの売上げの一部を原資に、機械産業の振興や研究開発、福祉機器の整備などを支援する補助事業です。公益財団法人JKAが実施主体となり、自転車競技法および小型自動車競走法にもとづいて実施されています。
JKAは、競輪振興法人・オートレース振興法人としての役割を担う公益財団法人で、地方自治体が施行する競輪・オートレースの収益を広く社会に還元する取組みを続けています。1949年に競輪の国庫納付金を原資とした自転車産業振興が始まったことが実質的なルーツで、時代の変化に合わせて支援分野を広げてきました。
補助事業は「機械振興補助事業」と「公益事業振興補助事業」の2本立てで構成されており、本記事では前者の機械振興補助事業を扱います。公益事業振興補助事業(社会福祉・医療・文教などの分野)については、以下の関連記事をご覧ください。
2027年度の基本方針は「チャレンジ」「チェンジ」
2027年度の機械振興補助事業では、「チャレンジ」「チェンジ」をキーワードに、次のような社会的課題を解決する取組みが積極的に支援されます。
- SDGs(持続可能な開発目標)の推進
- ジェンダー平等の実現に向けた取組み
- カーボンニュートラルの実現に向けた取組み
- AIによる技術革新をはじめとするDX(デジタルトランスフォーメーション)による事業変革
- 「人生100年時代」に向けた予防・健康づくりの推進
- こども・若者の貧困やヤングケアラーへの対応、居場所づくり
- 非常災害など国民の安全・安心な生活に影響を及ぼす緊急事態への対応
- ギャンブル等依存症対策基本法に則った対策の実施
- 第3次自転車活用推進計画(2026年5月29日閣議決定)に基づく取組みの推進
2027年度から新たに「AI技術革新」と「第3次自転車活用推進計画」への対応が明記された点が、前年度からの大きな変化です。
2027年度機械振興補助事業の対象事業と補助率・上限額
2027年度の機械振興補助事業は、大きく「振興事業補助」「公設工業試験研究所への支援」「研究補助」「緊急的な対応を必要とする事業への支援」の4本柱で構成されます。それぞれの補助率と上限額は以下のとおりです。| 事業区分 | 補助率 | 上限額 |
|---|---|---|
| 自転車・モーターサイクル・障がい者スポーツ | 9/10 | 1億5,000万円 |
| 安全・安心、生活の質の向上、防災・減災 | 4/5 | 5,000万円 |
| 機械技術を活用した福祉機器の振興 | 3/4 | 3,000万円 |
| 福祉機器の整備 | 3/4 | 500万円 |
| 国際競争力強化に資する標準化の推進 | 3/4 | 5,000万円 |
| ものづくり支援・地域機械産業・省エネ・医療機器の振興 | 1/2 | 5,000万円 |
| 医療機器の整備 | 1/2 | 2,500万円 |
| 教育用機器の整備 | 1/1 | 300万円 |
| 公設試(機械設備拡充) | 2/3 | 5,000万円 |
| 公設試(人材育成) | 2/3 | 400万円 |
| 公設試(共同研究) | 2/3 | 300万円 |
補助率とは補助対象経費に対する補助金額の割合、上限額は1事業当たりの補助金の上限を指します。事業内容によっては別途基準単価が設定されており、上限額を超える事業でも要望自体は可能です。
振興事業補助の対象となる事業
振興事業補助は、機械技術を通じた社会課題の解決に取り組む事業を幅広く支援する枠組みです。次の6つの分野で構成されます。
- 自転車・モーターサイクル・障がい者スポーツ:競技力向上、環境・安全に資する機材の開発、IoT化の促進など
- 安全・安心、生活の質の向上、防災・減災:健康・医療・介護分野の技術開発、防災機器の開発、BCP関連研究など
- 機械技術を活用した福祉機器の振興:福祉機器の開発・改良や、特殊浴槽など福祉機器の整備
- 国際競争力強化に資する標準化の推進:機械産業の標準化事業、人材育成・交流
- ものづくり支援・地域産業振興・省エネ・医療機器振興:知的財産の創出、ロボット・ICTの活用、再エネ技術開発、医工連携など
- 教育用機器の整備:2027年度から新設された枠で、工業・工科・科学技術高等学校の教育用機器を1/1補助・上限300万円で支援
福祉機器の整備は特殊浴槽および関連する専用機器(ストレッチャー、入浴用車いす、特殊浴槽用リフト等)が対象で、浴槽本体の導入が必須です。一般浴槽や見守りシステムなど、特殊浴槽に関連しない機器は対象になりません。
公設工業試験研究所(公設試)への支援
公設工業試験研究所への支援は、地域中小企業のものづくりを下支えする機械設備の拡充や、人材育成、共同研究を対象とします。補助率はいずれも2/3で、以下の3種類があります。
- 機械設備拡充:上限5,000万円(1機器あたり3,000万円)
- 人材育成:上限400万円
- 共同研究:上限300万円
対象者は普通地方公共団体や地方独立行政法人などの「その他公共的な法人」です。地域の特性を活かした新産業の創出や、地元企業・大学との共同研究を通じて、産業の高付加価値化に貢献する事業が支援されます。
研究補助は6タイプ、大学等の研究者が対象
研究補助は、機械振興に資する独創的な研究や、若手研究者のキャリアアップを目的とした支援制度です。対象は大学等研究機関に所属し、当該組織の研究活動に実際に従事している研究者で、大学院生等の学生は対象外です。
| 研究の種類 | 上限額 | 期間 |
|---|---|---|
| 個別研究 | 500万円 | 1年 |
| 若手研究 | 200万円 | 1年 |
| 開発研究 | 1,500万円 | 1年 |
| ステップアップ研究 | 1,000万円 | 1年 |
| 複数年研究 | 500万円×2年 | 2年 |
| 国際交流 | 50万円 | 1か月以内 |
補助率はすべて1/1(全額補助)です。若手研究は「研究に従事してから概ね15年以内」の研究者が対象で、ステップアップ研究は過去5年以内(2021~2025年度)に個別研究・若手研究で採択された研究の発展を目的とする研究が対象となります。
2027年度は「国際交流」枠が明確化され、海外で開催される国際会議やシンポジウム等で研究発表を行う大学院生の研究交流活動が上限50万円で支援されます。国際交流は大学院生の指導教員が要望する仕組みで、申請時期は2027年4月頃に別途案内されます。
補助の対象者と対象外となるケース
補助の対象者は事業区分ごとに異なります。振興事業補助は財団法人・社団法人、技術研究組合、特定非営利活動法人(NPO法人)、特別の法律に基づいて設立された法人が基本で、事業内容によっては次のような追加対象があります。
- 自転車・モーターサイクル関連事業:日本国内に法人格を有する企業も対象
- 福祉機器の整備:社会福祉法人も対象
- 教育用機器の整備:工業・工科・科学技術高等学校が対象
- 公設試の事業:普通地方公共団体、地方独立行政法人など「その他公共的な法人」
- 研究補助:大学等研究機関(大学・大学共同利用機関法人・高等専門学校)に所属する研究者
対象外となる事業者・法人
以下に該当する場合、2027年度の補助対象外となります。申請前に必ず確認しましょう。
・同一事業について国や他団体(他の公営競技・宝くじ・民間助成団体等)から補助を受けている者
・自らのホームページで活動状況等を継続的に情報発信していない者、またはSNSのみで情報発信をしている者
福祉機器の整備事業のみ対象外
・2025~2027年度に本財団から福祉機器の交付決定を受けた法人
研究補助事業のみ対象外(国際交流は除く)
・2026年度複数年研究における2年目の者
補助対象となる経費
補助対象経費は事業を実施するために直接必要な旅費、物件費、事業費です。振興事業補助では、旅費(運賃・航空賃・宿泊料)、物件費(機械装置・試薬・備品等)、事業費(委員手当・謝金・研究員手当・臨時傭役費・会場費・運送料・印刷費・委託事業費等)が対象になります。
タクシー代や特別車両料金、飲食費、事業者の事務所借室料などは対象外です。研究補助では人件費や事務管理費、学会参加費なども対象に含まれますが、飲食費、有料出版物の刊行費用、大学等の研究室に通常配備されている機器(パソコンを含む)は対象になりません。
2027年度JKA機械振興補助事業の申請スケジュール
2027年度の申請は、事業区分ごとに受付期間が異なります。早いものは2026年7月1日から9月11日までと、公示から約2か月半で締め切られるため、早期の準備が不可欠です。
| 事業区分 | 申請期間 |
|---|---|
| 振興事業補助(下記以外) | 2026年7月1日~9月11日15時 |
| 研究補助(国際交流除く) | 2026年9月24日~10月30日15時 |
| 福祉機器(第1回)・医療機器・教育用機器の整備・公設試 | 2026年9月30日~10月30日15時 |
| 福祉機器・福祉車両(第2回募集) | 2027年5月24日~6月18日15時 |
| 研究補助(国際交流) | 2027年4月頃に別途案内 |
申請はJKA「競輪とオートレースの補助事業」ホームページからの事業者登録後、インターネット申請となります。事業者登録には期限があり、たとえば通常事業では2026年9月4日15時までに登録が完了していないと申請できません。
採択発表は2027年3月頃、採択者には2027年4月に交付決定が通知されます。事業実施期間は2027年4月1日から2028年3月31日までが原則です。
2026年度の採択実績から見るJKA機械振興補助事業の採択率
2027年度に申請を検討する際の目安として、2026年度の採択実績を確認しておきましょう。2026年度の機械振興補助事業は要望1,300件・約92億円に対し、採択672件・約53億円(採択率52%)という結果でした。
| 事業区分 | 要望件数 | 採択件数 | 採択率 |
|---|---|---|---|
| 振興事業補助(合計) | 666件 | 421件 | 63% |
| 福祉機器の整備 | 497件 | 268件 | 54% |
| 公設試(機械設備拡充) | 52件 | 52件 | 100% |
| 教育用機器の整備 | 44件 | 44件 | 100% |
| 研究補助(合計) | 634件 | 251件 | 40% |
| 個別研究 | 322件 | 134件 | 42% |
| 若手研究 | 78件 | 39件 | 50% |
| 開発研究 | 40件 | 9件 | 23% |
| ステップアップ研究 | 37件 | 11件 | 30% |
| 複数年研究 | 157件 | 58件 | 37% |
公設試の機械設備拡充や教育用機器の整備は採択率100%と非常に高い一方、研究補助の開発研究は23%、ステップアップ研究は30%と狭き門です。事業区分によって難易度が大きく異なるため、自団体の事業内容にマッチした区分を選ぶことが重要です。
審査基準と交付条件のポイント
JKA機械振興補助事業の採否は、外部委員から構成される補助事業審査・評価委員会が透明性を確保して審査します。審査基準は、組織の適格性・事業遂行力を見る「組織の審査」、補助対象事業との適合性・公益性を見る「要件審査」、社会的課題への解決策の妥当性を見る「事業審査」の3層構造です。
採択後は、補助事業者ホームページや成果物、イベント看板等に「競輪・オートレースの補助事業である旨」の表示が交付条件となります。取得物件や報告書・研究論文・ポスター等はJKAが「競輪とオートレースの補助事業」ホームページや指定図書館で公表することも定められています。
また、補助事業完了後は自己評価を提出し、事業の実施内容と成果をホームページ・機関誌等で自ら公表する必要があります。事業報告と情報公開はセットで求められる点を押さえておきましょう。
JKA機械振興補助事業に関するよくある質問
2027年度JKA機械振興補助事業の申請期間はいつからいつまでですか?
通常の振興事業補助は2026年7月1日10時から9月11日15時までです。研究補助(国際交流を除く)は2026年9月24日~10月30日、福祉機器(第1回)・医療機器・教育用機器の整備・公設試は2026年9月30日~10月30日、福祉機器・福祉車両の第2回募集は2027年5月24日~6月18日です。事業区分ごとに期間が異なるため、必ずJKA公式サイトで確認してください。
JKA機械振興補助事業の補助金上限額はいくらですか?
最大は自転車・モーターサイクル・障がい者スポーツ関連事業の1億5,000万円(補助率9/10)です。安全・安心や防災・減災に関する事業は5,000万円(4/5)、福祉機器の振興は3,000万円(3/4)、研究補助の開発研究は1,500万円(1/1)が上限となっています。事業区分により補助率・上限額が異なります。
2027年度から新設された事業区分はありますか?
2027年度は「教育用機器の整備」が振興事業補助に新設されました。工業・工科・科学技術高等学校を対象に、補助率1/1、上限300万円で、日本の工業や産業の専門技術・知識を会得するための教育用機器の整備を支援します。また、研究補助の「国際交流」枠が明確化され、海外国際会議での研究発表を行う大学院生の研究交流活動が上限50万円で支援対象になりました。
JKA機械振興補助事業は民間企業でも申請できますか?
原則として振興事業補助の対象は財団法人・社団法人、技術研究組合、NPO法人、特別の法律に基づいて設立された法人です。ただし、自転車・モーターサイクルの支援に資する事業については、日本国内に法人格を有する企業も対象となります。福祉機器の整備は社会福祉法人も対象、教育用機器の整備は工業・工科・科学技術高等学校が対象など、事業区分ごとに対象法人が異なる点に注意してください。
2026年度の採択率はどのくらいでしたか?
2026年度の機械振興補助事業全体の採択率は52%(要望1,300件に対し採択672件)でした。振興事業補助が63%、研究補助が40%と、研究補助のほうが競争が厳しい傾向にあります。特に開発研究は23%、ステップアップ研究は30%と狭き門ですが、公設試の機械設備拡充や教育用機器の整備は採択率100%と、事業区分によって難易度に大きな差があります。
研究補助はどのような研究者が対象ですか?
大学等研究機関(大学・大学共同利用機関法人・高等専門学校)に所属し、当該組織の研究活動に実際に従事している研究者が対象です。大学院生等の学生は対象外です。若手研究は「研究に従事してから概ね15年以内」の研究者、ステップアップ研究は過去5年以内に個別研究・若手研究で採択された研究の発展を目的とする研究が対象となります。申請には所属長の了承が必要です。
他の補助金と併用できますか?
同一事業について国や他の団体(他の公営競技・宝くじ・その他民間助成団体)から補助を受けている場合、JKA機械振興補助事業の対象外となります。ただし、まったく別の事業について他の補助金を活用することは可能です。同一事業か否かの判断は事業計画の内容によるため、不安な場合はJKAに事前確認することをおすすめします。
申請方法と必要な手続きを教えてください
JKA「競輪とオートレースの補助事業」ホームページで事業者登録を行った後、インターネットから申請します。通常の振興事業補助では、事業者登録は2026年9月4日15時までに完了させる必要があります。研究補助(国際交流除く)や福祉機器の整備等では、それぞれ事業者登録の締切日が異なるため、公式サイトで確認してください。施設の建築・補修事業では別途要望書類の郵送も必要となります。
採択された場合の交付条件は何ですか?
主な交付条件は、補助事業者ホームページ・取得物件・成果物・イベント看板等に「競輪・オートレースの補助事業である旨」を表示すること、実施内容と成果をホームページや機関誌等で自ら公表すること、事業実施前後に自己評価を提出することです。加えて、定款や事業報告書、財産目録、貸借対照表、収支決算書、役員名簿の情報公開も交付条件となっています。取得物件は原則5年間の管理が必要です。
緊急的な対応を必要とする事業への支援とはどのような制度ですか?
災害救助法等の適用を受けた被災地域における救援・救助活動、復旧・復興活動などを対象とした特別枠です。過去には2019年度の台風19号支援、2020年度の新型コロナウイルス感染症拡大防止策、2023年度の能登半島地震支援、2024年度の秋田県・山形県水害支援などが実施されました。詳細はJKAホームページの「お問い合わせフォーム」から確認してください。過去に実施された新型コロナ関連の緊急支援については、以下の記事もご参照ください。
まとめ|JKA機械振興補助事業を活用して社会課題解決を進めよう
2027年度JKA機械振興補助事業は、AI技術革新をはじめとするDXや第3次自転車活用推進計画への対応など、新しい社会的要請に応える形で拡充されました。教育用機器の整備や研究補助の国際交流枠が新たに整理され、活用の裾野がさらに広がっています。
補助率は事業区分により1/2から1/1まで、上限額は最大1億5,000万円と、公的助成のなかでも大型の支援制度です。2026年度の採択率は事業区分によって23%から100%までばらつきがあり、事業内容と補助枠のマッチングが採択の鍵となります。
通常の振興事業補助は2026年9月11日15時が申請締切と、公示から実質2か月半の準備期間しかありません。要望書類の作成や事業者登録には時間を要するため、活用を検討している方は早めに準備を進めましょう。
▼▼▼日々配信中!無料メルマガ登録はこちら▼▼▼
メルマガ会員登録する


