東京都が12月上旬にも自治体初のコロナ向け地方債を発行することを決定し、その詳細が発表されました。
調達した資金はコロナ禍で資金繰りが悪化している中小企業への融資にあてる方針で、使途をコロナ対策に絞ることで、東京都における企業や住民への支援をより充実させることを目的としています。
今回はこのコロナ向け地方債(コロナ債)について、現在判明している情報や、地方債の仕組みなどについて紹介したいと思います。
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この記事の目次
地方債とは何か?
地方債とは地方自治体が発行する公債のことで、自治体が政策に必要な資金を調達するために民間の投資家等に対し金銭債権を発行すること(債務を負う事)を指します。
自治体が独自の判断で起こす(起債する)事が出来るものですが、起債する際は地方自治法に従い予算によって下記の事項を定めることが義務付けられています。
(1)記載の目的
(2)限度額
(3)起債の方法
(4)利率及び償還の方法
(1)東京都コロナ債の起債目的は?
「コロナ債」という通称で呼ばれていることからもわかるとおり、起債の目的は「新型コロナウイルスへの対応」のための資金調達で、東京都は調達した資金の全額を都内中小企業に向けた融資の預託金に充てる方針です。
東京都はこれまでも制度融資の財源の一部を都債(東京都の地方債)で賄ってきましたが、調達資金の全額をコロナ対応の融資に活用するのは初めてのことになります。
(2)発行限度額について
当初予定していた最大発行額は300億円でしたが、ESGに関心のある投資家等から1600億円を超える需要が見込まれることから最終的に600億円に倍増しています。
(3)起債方法、投資したい場合は?
今回の東京都コロナ債は、みずほ銀行が発行代理人となり、「三菱UFJモルガン・スタンレー証券」「SMBC日興証券」「ゴールドマンサックス証券」が引受幹事となります。
投資家等がこの都債(正式名称は『東京都公募公債(5年)第33回』)に興味がある場合は、引受幹事を務める上記3社のいずれかから申し込みを行うことになります。
(4)利率及び償還について
表面利率は0.01%(絶対値)、今回は5年債ですので償還期間は5年となっています。
ESGに関心のある投資家からの需要が拡大
ESGは環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)の頭文字をあわせた言葉で、投資するために企業の価値を測る材料として近年重要視されるようになった新たな観点を表しています。
ESGは、投資家が企業の価値を測る材料としてキャッシュフローや利益率などの定量的な財務情報とともに考慮されるものであると同時に、「社会課題の解決が事業機会と投資機会を生む」というSDGsに基づく考え方から、投資家による社会貢献活動の一環としても注目をあつめており、こうした環境・社会・企業統治に配慮している企業を重視・選別して行なう投資は「ESG投資」とも呼ばれています。
ESG評価の高い企業は事業の社会的意義、成長の持続性など優れた企業特性を持つと言え、また投資家にとってはこうした企業の取組を支援することが自身の社会的価値の創造にもつながります。
こうした背景のなか、今回はコロナ禍を社会全体の課題と考える投資家達から、倒産が相次ぐ中小企業への支援に需要殺到し、結果としてコロナ債の最大発行額の倍増が決定したようです。
まとめ
今回は国内では東京都が初めて起債することとなった「コロナ債」がどういったものかについて紹介いたしました。
国債に次ぐローリスクローリターンな地方債の一種ではありますが、社会貢献という付加価値から需要が殺到することになり、財政がひっ迫する自治体にとっては今後のコロナ対応への資金調達に一定の道筋が示される形となりそうです。
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