2026年8月1日、厚生労働省は雇用保険の基本手当日額を引き上げました。30歳未満の上限は7,450円、30歳以上45歳未満は8,270円へ。実はこの改定、離職して学び直す方の生活費を支える「教育訓練支援給付金」の1か月の受給額にも直結します。同給付金は基本手当日額の60%で計算されるためです。
とはいえ、「教育訓練給付金」と「教育訓練支援給付金」——この2つ、名前が1文字違うだけで中身はまったく別物だとご存じでしょうか。片方は学費の補助、もう片方は生活費の支援。しかも受給条件の厳しさが桁違いです。
さらに見落とされがちなのが、教育訓練支援給付金は「過去に教育訓練給付金を受けたことがない人」しか使えないという条件。原則、一生に一度きりの制度です。
この記事では、2つの制度の違い、2026年8月改定を反映した金額早見表、11項目の受給条件、令和9年3月31日で終わる時限措置の見通し、45歳以上の方が使える代替制度まで、厚生労働省の公式情報をもとに整理します。
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この記事の目次
教育訓練給付金と教育訓練支援給付金の違いは?比較表で整理
2つの決定的な違いは「お金の使い道」です。教育訓練給付金は学費(受講料・入学金)の補助、教育訓練支援給付金は離職中の生活費の支援です。対象者も年齢制限も、受給できる回数も異なります。
教育訓練支援給付金=「生活費」の支援。失業保険が終わったあと、訓練中の暮らしを支える。離職者限定。
主要な項目を並べると、違いは一目瞭然です。
| 比較項目 | 教育訓練給付金(学費補助) | 教育訓練支援給付金(生活費支援) |
|---|---|---|
| お金の性格 | 受講料・入学金の一部を還付 | 離職中の所得を補う手当 |
| 対象者 | 在職者・離職者のどちらも可 | 離職者のみ(受講開始日時点で離職していること) |
| 対象講座 | 一般・特定一般・専門実践の3種類 | 専門実践のみ(通信制・夜間制を除く) |
| 年齢制限 | なし | 受講開始時に45歳未満 |
| 金額 | 受講費用の20〜80% | 基本手当日額の60% |
| 受給できる回数 | 条件を満たせば複数回可 | 原則1回限り |
| 制度の期限 | 恒久的な制度 | 令和9年3月31日までの受講開始者が対象 |
| 失業保険との同時受給 | 可能 | 不可(基本手当の終了後にバトンタッチ) |
教育訓練に関する給付金は全部で3種類
雇用保険から支給される教育訓練関連の給付金は、2026年現在3種類あります。「学費」を補助するのが教育訓練給付金、「離職中の生活費」を補助するのが教育訓練支援給付金、「在職のまま学ぶ人の生活費」を補助するのが教育訓練休暇給付金です。
| 給付金の名称 | 支える対象 | 主な対象者 | 年齢制限 |
|---|---|---|---|
| 教育訓練給付金 | 受講料・入学金(学費) | 在職者・離職者 | なし |
| 教育訓練支援給付金 | 離職中の生活費 | 離職者のみ | 受講開始時45歳未満 |
| 教育訓練休暇給付金 | 無給の教育訓練休暇中の生活費 | 在職者(教育訓練休暇取得者) | なし |
このうち「教育訓練休暇給付金」は2025年10月1日に新設された制度で、会社に籍を置いたまま休暇を取って学ぶ方が対象です。仕事を辞めるか、休むかで使える制度が変わります。
教育訓練支援給付金はいくらもらえる?2026年8月改定の金額早見表
教育訓練支援給付金の1日あたりの支給額は、基本手当日額の60%です(令和7年4月1日以降に受講を開始した場合)。基本手当日額とは、失業保険(基本手当)として1日あたり受け取れる金額のことで、離職前6か月の賃金をもとに算出されます。教育訓練支援給付金の日額 = 基本手当日額 × 60%
1か月の支給額 = 日額 × 30日(目安)
※令和7年3月31日以前に受講を開始した方は80%で計算されます
2026年8月1日から基本手当日額の上限が引き上げ
厚生労働省は令和8年7月31日、8月1日からの基本手当日額の変更を発表しました。令和7年度の平均給与額が前年度比で約2.7%上昇したことに伴う改定です。
| 年齢区分 | 改定前(〜2026年7月31日) | 改定後(2026年8月1日〜) |
|---|---|---|
| 30歳未満 | 7,255円 | 7,450円(+195円) |
| 30歳以上45歳未満 | 8,055円 | 8,270円(+215円) |
| 45歳以上60歳未満 | 8,870円 | 9,110円(+240円) |
| 60歳以上65歳未満 | 7,623円 | 7,830円(+207円) |
| 最低額(年齢共通) | 2,411円 | 2,562円(+151円) |
教育訓練支援給付金の対象は45歳未満のため、実際に関係するのは30歳未満の7,450円と、30歳以上45歳未満の8,270円という2つの上限です。
教育訓練支援給付金の金額早見表(1か月あたりの目安)
基本手当日額ごとの支給額をまとめました。1か月あたりの目安は30日で計算しています。ご自身の金額を知りたい方は、「雇用保険受給資格者証」第1面19欄に記載された基本手当日額に0.6を掛けるとおおよその日額が算出できます。
| 基本手当日額 | 支援給付金の日額(60%) | 1か月(30日)の目安 |
|---|---|---|
| 2,562円(最低額) | 約1,537円 | 約46,110円 |
| 3,500円 | 2,100円 | 63,000円 |
| 4,500円 | 2,700円 | 81,000円 |
| 5,500円 | 3,300円 | 99,000円 |
| 6,500円 | 3,900円 | 117,000円 |
| 7,450円(30歳未満の上限) | 4,470円 | 約134,100円 |
| 8,270円(30〜44歳の上限) | 約4,962円 | 約148,860円 |
たとえば離職前の月収が30万円だった30代の方であれば、賃金日額はおおむね10,000円前後、基本手当日額は6,000円弱、教育訓練支援給付金の日額は約3,600円、1か月で約10万8,000円が目安になります。
支給のタイミングは原則2か月に1回
教育訓練支援給付金は、指定された来所日にハローワークで失業の認定を受けたうえで支給されます。原則として2か月に1回、まとめて振り込まれる形です。認定の際には、学校が発行する「教育訓練支援給付金受講証明書」の提出が必要になります。
なお、雇用保険から支給される給付金は非課税です。確定申告の対象にはならず、翌年の住民税や所得税が上がることもありません。
教育訓練支援給付金の受給条件は?11項目チェックリスト
教育訓練支援給付金の受給条件は、教育訓練給付金と比べて格段に厳しく設定されています。厚生労働省が公表する条件は次のとおりで、すべてを満たす必要があります。
■専門実践教育訓練給付金の受給資格があること
■離職日の翌日から1年以内に専門実践教育訓練を開始すること(適用対象期間の延長をした方も、離職日の翌日から最大4年以内)
■専門実践教育訓練を修了する見込みがあること
■受講開始時に45歳未満であること
■受講する講座が通信制・夜間制でないこと
■受給資格確認時に一般被保険者でないこと(離職していること)
■離職後、短期雇用特例被保険者・日雇労働被保険者になっていないこと
■会社などの役員に就任していないこと
■自治体の長に就任していないこと
■過去に教育訓練支援給付金を受けたことがないこと
■過去に教育訓練給付金を受けたことがないこと(平成26年10月1日より前の受給は例外)
■受講開始日が令和9年3月31日以前であること
とくに注意したいのが、最後から2番目と3番目の条件です。過去に一度でも教育訓練給付金を受け取っていると、教育訓練支援給付金は使えません。「以前、資格講座で一般教育訓練給付金を20%もらった」という方は対象外になります。
在職中に受講を始めた人は、途中で離職しても対象外
判定の基準はあくまで「受講開始日」です。厚生労働省の見解では、在職中に専門実践教育訓練を開始した方が受講途中で離職しても、教育訓練支援給付金の支給対象にはなりません。受講開始日の時点で一般被保険者だったためです。
会社を辞めて学ぶ計画があるなら、離職してから受講を開始するという順序が決定的に重要になります。1か月順序を間違えるだけで、数十万〜100万円超の給付を逃す可能性があります。
教育訓練支援給付金はなくなる?令和9年3月31日までの時限措置
「教育訓練支援給付金 なくなる」という検索が絶えませんが、2026年8月時点の結論はこうです。
教育訓練支援給付金は2014年(平成26年)に5年間の暫定措置として創設され、延長を重ねてきました。直近では令和6年5月10日に成立した改正雇用保険法により、令和7年度から2年間の延長が決定。同時に給付率が基本手当日額の80%から60%へ引き下げられています。
基準は「受講開始日」。開始していれば修了まで支給される
勘違いされやすいのですが、令和9年3月31日を過ぎたら支給が打ち切られるわけではありません。期限までに受講を開始していれば、令和9年4月1日以降も訓練修了まで支給が続きます。
| ポイント | 内容 |
|---|---|
| 判定の基準日 | 受講開始日。令和9年3月31日までに開始すれば、卒業まで支給対象 |
| 令和8年4月入学の場合 | 2〜4年制の課程でも、卒業まで支給される |
| 令和9年4月1日以降の開始 | 支給されるかは今後の延長判断次第。2026年8月時点で決定は出ていない |
| 専門学校の開講時期 | 専門実践教育訓練は4月開講が中心。令和9年4月入学を検討する方は最も影響を受ける |
延長されるかどうかは、いつわかる?
過去の経緯をたどると、決定のタイミングにはパターンがあります。前回は令和5年12月の労働政策審議会(職業安定分科会雇用保険部会)で延長案が示され、令和6年2月に法律案が国会へ提出、5月に成立という流れでした。期限のおよそ1年3か月前から審議が動き始めた計算になります。
同じペースであれば、令和9年4月以降の扱いは2026年秋から冬にかけての雇用保険部会で議論され、2027年の通常国会で結論が出る可能性があります。リスキリング推進という政策の追い風はあるものの、給付率が80%から60%へ引き下げられた経緯を踏まえると、無条件の再延長を前提に計画を立てるのは危険です。令和8(2026)年度中の受講開始が、現行制度を確実に活用できる選択肢といえます。
教育訓練支援給付金は2回目も使える?結論は「原則不可」
教育訓練支援給付金は、原則として一生に1回しか受けられません。受給条件に「今回の受講開始日前に教育訓練支援給付金を受けたことがないこと」が明記されているためです。教育訓練給付金のように「3年空ければ再度使える」という仕組みは用意されていません。
学費補助(教育訓練給付金)は2回目も使える
一方、学費を補助する教育訓練給付金は、条件を満たせば複数回の利用が可能です。ただし2回目以降は、雇用保険の加入期間の条件が厳しくなります。
| 項目 | 初回 | 2回目以降 |
|---|---|---|
| 支給要件期間(専門実践) | 2年以上 | 3年以上 |
| 前回受給からの経過 | — | 前回の支給日から今回の受講開始日の前日までに3年以上経過 |
| 期間のカウント起点 | — | 前回の受講開始日より前の被保険者期間は通算されない |
つまり、前回の受講開始日以降に3年以上の被保険者期間を積み上げないと、新たな受給資格は得られません。また専門実践教育訓練については、最初に受給した受講開始日から10年間の給付合計額は192万円が上限と定められています。
失業保険と教育訓練支援給付金は同時にもらえる?
教育訓練支援給付金と失業保険(基本手当)の同時受給はできません。基本手当の支給がすべて終わったあと、まだ訓練が続いている期間について、バトンタッチする形で教育訓練支援給付金が支給されます。
① 失業保険(基本手当)を所定給付日数まで受給
② 基本手当の終了後、訓練が継続している期間は教育訓練支援給付金を受給
教育訓練給付金(学費補助)は別枠
学費を補助する教育訓練給付金は、失業保険と同時に受け取れます。生活費は基本手当、学費は教育訓練給付金という組み合わせが可能です。
所定給付日数が90日の方であれば、およそ3か月で基本手当が尽きます。2年制・3年制の課程に通う場合、残りの期間の生活費を支えるのが教育訓練支援給付金というわけです。この「切れ目」を理解しておくと、資金計画が立てやすくなります。
教育訓練支援給付金を受けながらアルバイトはできる?
教育訓練支援給付金の受給中にアルバイトをすること自体は禁止されていません。ただし「失業している日」についてのみ支給される仕組みのため、働いた日は支給対象から外れたり、減額されたりします。
| 注意点 | 内容 |
|---|---|
| 申告は必須 | 失業認定の際に、就労・収入をすべて申告する必要があります |
| 働いた日の扱い | 労働時間や収入額に応じて、不支給または減額となります |
| 雇用保険への加入 | 週20時間以上などの働き方で被保険者になると、受給資格を失う可能性があります |
| 無申告のリスク | 不正受給と判断されると、支給停止・返還に加えて2倍の納付命令(3倍返し)の対象になります |
そもそも教育訓練支援給付金は「訓練に専念する方」を支えるための制度です。アルバイトを検討する場合は、必ず事前にハローワークへ相談し、認定日に正しく申告してください。
教育訓練給付金は45歳・50歳以上でも使える?年齢別の対応表
教育訓練支援給付金は受講開始時に45歳未満であることが必須条件です。45歳の誕生日を迎えた時点で対象外となります。若年層の長期的なキャリア形成を重点的に支援するという制度目的によるものです。
一方、学費を補助する教育訓練給付金には年齢制限がありません。45歳以上・50歳以上・60歳以上の方も、雇用保険の加入期間の条件を満たせば利用できます。
| 制度 | 年齢制限 | 45歳以上の利用可否 | 50歳以上・60歳以上の利用可否 |
|---|---|---|---|
| 一般教育訓練給付金(20%) | なし | 可 | 可 |
| 特定一般教育訓練給付金(40%〜50%) | なし | 可 | 可 |
| 専門実践教育訓練給付金(最大80%) | なし | 可 | 可 |
| 教育訓練休暇給付金(在職者向け) | なし | 可 | 可 |
| 教育訓練支援給付金(生活費) | 45歳未満 | 不可 | 不可 |
45歳以上が生活費支援を受けるなら「教育訓練休暇給付金」
2025年10月1日に新設された教育訓練休暇給付金には、年齢制限がありません。会社を辞めるのではなく、在籍したまま無給の教育訓練休暇を取得して学ぶという選択肢です。
支給額は離職した場合の基本手当と同額で、給付日数は雇用保険の被保険者期間に応じて90日・120日・150日のいずれか。休暇開始前2年間に12か月以上の被保険者期間があること、休暇開始前に5年以上雇用保険に加入していたことなどが条件です。ただし、勤務先に教育訓練休暇制度がなければ利用できず、令和6年度の能力開発基本調査では導入企業はわずか7.5%にとどまります。「辞める」以外の道があることを知っておくと、選択肢が広がります。
雇用保険に入っていない方は「求職者支援制度」も選択肢
雇用保険の加入期間が足りない方や、そもそも被保険者でなかった方は、求職者支援制度による職業訓練受講給付金が現実的な選択肢です。月10万円+通所手当を受給しながら、無料で職業訓練を受けられます。世帯収入や資産の条件はありますが、雇用保険の被保険者期間が不要な点が大きな違いです。
専門実践教育訓練給付金で最大80%を受け取る条件は?
学費補助である専門実践教育訓練給付金は、3段階で給付率が上がる仕組みです。最初から80%が一括で支給されるわけではありません。
| 段階 | 給付率・年間上限 | 支給タイミング・条件 |
|---|---|---|
| 基本給付 | 受講費用の50%(年間上限40万円) | 受講開始日から6か月ごとに支給申請して受給 |
| 資格取得・就職の追加給付 | 合計70%(年間上限56万円) | 修了後1年以内に目標資格を取得し、雇用保険の被保険者として就職した場合 |
| 賃金上昇加算 | 合計最大80%(年間上限64万円) | 上記に加え、修了後の賃金が受講開始前より5%以上上昇した場合 |
なお80%まで到達するには、令和6年10月1日以降に開講した講座を受講している必要があります。また「資格の取得等」は試験合格だけでは足りず、登録手続や免許の取得まで完了して初めて該当します。公務員として就職した場合は雇用保険の被保険者にならないため、追加給付の対象外です。
一般・特定一般を含めた3区分の給付率は次のとおりです。
| 区分 | 給付率・上限額 | 対象講座の例 |
|---|---|---|
| 一般教育訓練給付金 | 受講費用の20%(上限10万円) | 語学・IT・簿記などの資格系講座 |
| 特定一般教育訓練給付金 | 40%(上限20万円)+資格取得・就職で50%(上限25万円) | 速効性の高い資格取得講座 |
| 専門実践教育訓練給付金 | 50%→70%→最大80%(年間上限64万円) | 看護師・保育士・MBA・専門学校の職業実践専門課程など |
教育訓練給付金の利用は会社にバレる?
在職中に申請する場合、自分から伝えない限り、会社に知られることはほぼありません。理由は3つあります。
給付金の手続きは、本人とハローワークの間で完結します。会社へ照会や通知が行くことはありません。
② 提出書類は個人で用意できる
雇用保険被保険者証を紛失していても、ハローワークで再発行が可能です。会社を経由する書類はありません。
③ 税金への影響がない
教育訓練給付金は非課税です。確定申告の必要がなく、住民税額の変動から給与担当者に気づかれることもありません。
ただし例外もあります。教育訓練休暇給付金は会社の承認が前提のため報告が必須ですし、専門実践教育訓練の賃金上昇加算(+10%)を申請する際は、会社が発行する賃金の証明が必要になります。
申請の流れと、つまずきやすい3つのポイント
専門実践教育訓練給付金・教育訓練支援給付金の手続きは、受講開始前から始まります。ここでつまずくと、条件を満たしていても1円も受け取れません。
| 時期 | 手続き内容 |
|---|---|
| 受講の3か月前〜 | 講座が厚生労働大臣の指定講座か確認。ハローワークで支給要件照会 |
| 受講の1〜2か月前 | 訓練前キャリアコンサルティングを受け、ジョブ・カードを作成 |
| 受講開始日の原則2週間前まで | 受給資格確認票とジョブ・カードをハローワークへ提出 |
| 受講中 | 6か月ごとに支給申請(教育訓練支援給付金は原則2か月に1回の失業認定) |
| 修了後1か月以内 | 修了時の支給申請 |
| 修了後1年以内 | 資格取得・就職・賃金上昇による追加給付の申請 |
訓練前キャリアコンサルティングの予約やジョブ・カードの作成には時間がかかります。逆算すると、遅くとも受講の2〜3か月前から動き出すのが安全です。
② 支給申請の期限を過ぎると受け取れない
6か月ごとの支給単位期間の末日の翌日から1か月が申請期間です。修了時は修了日の翌日から1か月以内。期限を1日でも過ぎると受給できません。
③ 教育訓練経費に含まれない費用がある
対象となるのは入学料と受講料のみです。検定試験の受験料、交通費、パソコン代、クレジット会社への手数料は対象外。また販売代理店が発行した領収書は認められず、指定教育訓練実施者が発行した領収書が必要です。
混同しやすい類似制度との違い
「教育訓練」「訓練給付」と名前のつく制度は複数あり、検索でも頻繁に混同されています。所管と対象者で整理すると区別しやすくなります。
| 制度名 | 主な目的 | 所管・財源 | 本記事の制度との違い |
|---|---|---|---|
| 教育訓練給付金 | 労働者の自発的なスキルアップ | 厚生労働省・雇用保険 | — |
| 教育訓練支援給付金 | 離職して専門実践教育訓練を受ける方の生活費 | 厚生労働省・雇用保険 | — |
| 職業訓練受講給付金(求職者支援制度) | 雇用保険を受給できない求職者の職業訓練支援 | 厚生労働省・一般財源等 | 月10万円+通所手当。雇用保険の被保険者期間が不要 |
| 自立支援教育訓練給付金 | ひとり親家庭の親の資格取得支援 | こども家庭庁・自治体 | ひとり親限定。自治体へ申請する |
| 人材開発支援助成金 | 事業主が従業員に研修を行う場合の支援 | 厚生労働省・雇用保険 | 個人ではなく事業主が申請する |
| 教育訓練休暇給付金 | 在職者が無給の教育訓練休暇を取得した際の生活支援 | 厚生労働省・雇用保険 | 在職者向け。会社の休暇制度の利用が前提 |
とくに雇用保険の加入期間が足りない方や、すでに基本手当を受け終えた方は、職業訓練受講給付金(求職者支援制度)が現実的な選択肢になります。
教育訓練支援給付金・教育訓練給付金に関するよくある質問
教育訓練支援給付金はなくなるって本当?いつまで利用できますか?
2026年8月時点では継続中です。ただし時限措置のため、令和9(2027)年3月31日までに専門実践教育訓練の受講を開始した方が対象となります。判定の基準は受講開始日であり、期限までに開始していれば令和9年4月1日以降も訓練修了まで支給は続きます。令和9年4月1日以降に受講を開始する場合に支給されるかは、今後の延長判断次第です。前回は期限の約1年3か月前から労働政策審議会での審議が始まったため、2026年秋以降の議論に注目が集まっています。
教育訓練支援給付金はいくらもらえますか?計算方法を教えてください
日額は基本手当日額の60%で計算します(令和7年4月1日以降に受講開始の場合)。2026年8月1日改定の基本手当日額の上限は、30歳未満が7,450円、30歳以上45歳未満が8,270円のため、支援給付金の日額上限はそれぞれ4,470円、約4,962円となります。1か月30日で計算すると、上限に達している場合で約134,100円〜約148,860円です。最低額は基本手当日額2,562円の60%で約1,537円、1か月あたり約46,110円となります。ご自身の金額は「雇用保険受給資格者証」第1面19欄の基本手当日額に0.6を掛けると算出できます。
教育訓練支援給付金は2回目も受けられますか?
原則として受けられません。受給条件に「今回の受講開始日前に教育訓練支援給付金を受けたことがないこと」が明記されているため、一生に1回限りの制度です。さらに「過去に教育訓練給付金を受けたことがないこと」も条件のため、以前に一般教育訓練給付金などを受給した経験がある方も対象外となります(平成26年10月1日より前の受給は例外)。一方、学費を補助する教育訓練給付金は、前回の支給日から3年以上経過し、支給要件期間が3年以上あれば再度利用できます。
在職中に受講を始めて、途中で会社を辞めた場合は支援給付金をもらえますか?
もらえません。教育訓練支援給付金は「受講開始日に一般被保険者でないこと」が要件のため、在職中に受講を開始した方は、その後離職しても対象外となります。会社を辞めて学ぶ計画がある場合は、離職してから受講を開始する順序が重要です。なお離職日の翌日から1年以内に受講を開始する必要があるため、退職後の準備期間にも注意してください。
失業保険と教育訓練支援給付金は同時に受け取れますか?
同時には受け取れません。基本手当を受給できる期間中は教育訓練支援給付金は支給されず、基本手当の支給が終了したあとにバトンタッチする形で支給が始まります。所定給付日数が90日の方であれば、およそ3か月で基本手当が尽き、その後の訓練期間について教育訓練支援給付金が支給されます。一方、学費を補助する教育訓練給付金は失業保険と同時に受け取れるため、生活費は基本手当、学費は教育訓練給付金という組み合わせが可能です。
教育訓練支援給付金を受給しながらアルバイトはできますか?
アルバイト自体は禁止されていませんが、「失業している日」についてのみ支給される仕組みのため、働いた日は労働時間や収入額に応じて不支給または減額となります。失業認定の際にはすべての就労と収入を申告する義務があり、無申告は不正受給として支給停止・返還・2倍の納付命令の対象になります。週20時間以上の勤務などで雇用保険の被保険者になると受給資格を失う可能性もあるため、必ず事前にハローワークへ相談してください。
教育訓練給付金は45歳以上・50歳以上・60歳以上でも受けられますか?
受けられます。年齢制限があるのは「教育訓練支援給付金」だけで、学費を補助する教育訓練給付金(一般・特定一般・専門実践)には年齢の上限がありません。45歳以上・50代・60代の方も雇用保険の加入要件を満たせば利用でき、60歳以上の方が看護師・介護福祉士・保育士などの資格取得を目指すケースも増えています。また2025年10月に新設された「教育訓練休暇給付金」も年齢制限がなく、在職のまま無給の教育訓練休暇を取得して学ぶ際の生活費を支援します。ただし勤務先に教育訓練休暇制度がなければ利用できない点に注意が必要です。
専門実践教育訓練で最大80%を受け取るにはどうすればいいですか?
3段階の条件をすべて満たす必要があります。まず基本給付として受講費用の50%(年間上限40万円)が6か月ごとに支給されます。次に修了後1年以内に目標として設定した資格を取得し、雇用保険の被保険者として就職すると合計70%(年間上限56万円)に。さらに修了後の賃金が受講開始前より5%以上上昇すると合計80%(年間上限64万円)となります。80%の適用には令和6年10月1日以降に開講した講座であることが必要です。なお「資格の取得等」は試験合格だけでは足りず、登録手続や免許取得まで完了している必要があります。
教育訓練給付金を使うと会社にバレますか?
自分から伝えない限り、会社に知られることはほぼありません。給付金の手続きは本人とハローワークの間で完結し、会社への照会や通知はありません。提出書類も個人で用意でき、雇用保険被保険者証を紛失していてもハローワークで再発行できます。給付金は非課税のため、確定申告や住民税額の変動から給与担当者に気づかれることもありません。ただし専門実践教育訓練の賃金上昇加算(+10%)を申請する際は会社発行の賃金証明書が必要になるほか、教育訓練休暇給付金は会社の休暇制度を利用する前提のため、これらは例外的に会社の関与が発生します。
教育訓練給付金の対象講座はどこで調べられますか?
厚生労働省の「教育訓練講座検索システム」で検索できます。看護師、保育士、MBA、IT・データサイエンス、語学、簿記など幅広い分野の講座が指定されており、令和8年10月1日からは専門実践教育訓練が3,485講座、特定一般教育訓練が1,532講座になる予定です(令和8年8月6日公表)。ハローワークの窓口でも指定講座の閲覧が可能です。スクールが「給付金対応」と広告していても、自分が希望するコースや受講期間が指定を受けているとは限らないため、申し込み前に必ず確認してください。とくに教育訓練支援給付金を狙う場合は、通信制・夜間制の講座が対象外である点に注意が必要です。
まとめ
教育訓練給付金と教育訓練支援給付金は、名前は似ていても「学費」と「生活費」というまったく別の役割を担う制度です。要点を整理すると次のとおりです。
| 比較項目 | 教育訓練給付金(学費補助) | 教育訓練支援給付金(生活費支援) |
|---|---|---|
| 目的 | 受講料・入学金の補助 | 離職中の生活費の支援 |
| 対象者 | 在職中・離職中どちらも可 | 離職者のみ(受講開始日時点) |
| 年齢制限 | なし | 受講開始時45歳未満 |
| 金額 | 受講費用の20〜80% | 基本手当日額の60%(日額上限4,470〜約4,962円) |
| 失業保険との同時受給 | 可能 | 不可(終了後にバトンタッチ) |
| 制度の継続性 | 恒久的な制度 | 令和9年3月31日までの受講開始者が対象 |
| 受給回数 | 3年以上の期間を積めば再度可 | 原則1回限り。過去の教育訓練給付金受給歴があると対象外 |
とくに押さえておきたいのは3点です。教育訓練支援給付金は過去に教育訓練給付金を受けたことがない方に限られること、離職してから受講を開始しなければ対象外になること、そして令和9年3月31日までの受講開始が現行制度の条件であることです。
学ぶ順番と辞めるタイミングを1か月間違えるだけで、受け取れる金額が数十万円変わることもあります。検討している講座がどの区分に該当するか、自分の雇用保険加入期間がどれだけあるかを確認したうえで、最寄りのハローワークで支給要件照会を受けることから始めましょう。
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