近年、人手不足を背景とした企業の採用意欲の高まりや積極的な賃上げにより、転職市場は活発な状態が続いています。総務省統計局「労働力調査(詳細集計)」によると、2025年の転職者数は330万人、転職等希望者数は1,023万人にのぼります。失業保険を受け取りながら次の仕事を探している方にとって、見逃せない制度が「再就職手当」ではないでしょうか。
再就職手当は、失業保険の給付日数を残して早く就職した方に支給される一時金で、「就職祝い金」「早期就職手当」とも呼ばれます。残った日数分の基本手当の最大70%を、まとめて受け取れる仕組みです。さらに2026年8月1日からは、計算に使う基本手当日額の上限が60歳未満で6,745円(+175円)、60歳以上65歳未満で5,454円(+144円)に引き上げられ、受け取れる金額の上限も増えました。
とはいえ、「残日数は足りているか」「就職経路は条件を満たすか」「内定日はいつと扱われるか」など、細かな要件を1つでも外すと受給できません。申請期限を過ぎたり、要件を勘違いしたりして、数十万円単位の手当を受け取り損ねるケースもあります。
そこでこの記事では、再就職手当の支給条件と計算方法を軸に、月給別の受給額シミュレーション、満額をもらう方法、いつ振り込まれるか、必要書類と申請の流れ、「もらわない方がいい」ケースまで、2026年8月改定後の最新情報で解説します。
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この記事の目次
再就職手当とは?失業保険の残日数の最大70%を一括でもらえる「就職祝い金」
再就職手当とは、雇用保険の基本手当(失業保険)の受給資格が決まった後、支給残日数を所定給付日数の1/3以上残して安定した職業に就いた場合(または事業を開始した場合)に支給される一時金です。雇用保険の「就職促進給付」のうち「就業促進手当」の一つで、支給額は「基本手当日額×支給残日数×60%または70%」で決まります。
ネット上では「早期就職手当」「就職祝い金」「ハローワークのお祝い金」、あるいは「再雇用手当」と呼ばれることもありますが、いずれも正式名称は再就職手当です。早く就職するほど支給率が高くなり、受け取れる金額も多くなります。
| 再就職手当の基本情報 | |
|---|---|
| 正式名称 | 再就職手当(雇用保険の就業促進手当の一つ) |
| 対象者 | 基本手当の受給資格決定を受け、支給残日数を所定給付日数の1/3以上残して就職・開業した人 |
| 支給額 | 基本手当日額×支給残日数×60%(残1/3以上)または70%(残2/3以上) |
| 基本手当日額の上限 | 60歳未満6,745円/60歳以上65歳未満5,454円(2027年7月31日まで) |
| 申請期限 | 就職日の翌日から1か月以内 |
| 申請先 | 住所地を管轄するハローワーク |
| 振込時期の目安 | 申請から約1〜2か月 |
| 税金 | 非課税(所得税・住民税はかからない) |
再就職手当を受け取るための大前提は?内定前にハローワークで受給手続きを済ませること
再就職手当の大前提は、内定が出る前に、ハローワークで失業保険の受給手続き(求職申込み・受給資格決定)を済ませていることです。退職前や受給手続き前にすでに内定していた会社への就職は、支給対象外となります。
退職後は、離職票が届いたらできるだけ早く、住所地を管轄するハローワークで手続きを行いましょう。再就職手当の申請窓口もハローワークで、市役所や区役所では受け付けていません。
失業保険を最後までもらうのと再就職手当はどちらが得?
結論として、所定給付日数の1/3以上を残して就職できる見込みがあるなら、再就職手当を選ぶ方が収入の総額で有利になるケースが多いです。失業保険(基本手当)の受け取り方との違いを整理しました。
| 比較項目 | 基本手当を最後まで受給する | 再就職手当を受け取る |
|---|---|---|
| 支給の目的 | 失業中の生活保障 | 早期就職の奨励・促進 |
| 受け取り方 | 4週間に一度の失業認定後に分割 | 就職後に一括(一時金) |
| 受け取れる時期 | 所定給付日数の最終日まで | 申請から約1〜2か月後 |
| 主なメリット | 再就職先をじっくり探せる | 手当+給与で再就職直後の資金を厚くできる |
| 金額の特徴 | 支給残日数がなくなれば終了 | 早く就職するほど支給率が高い(70%) |
たとえば月給20万円(基本手当日額5,036円)で所定給付日数90日の方の場合、基本手当を最後まで受け取ると総額は453,240円です。一方、90日をすべて残して就職すれば再就職手当は317,268円となり、これに新しい職場の給与が加わります。手当単体では約13.6万円少なくなりますが、給与を1か月分受け取った時点で総収入は逆転します。
【2026年8月改定】再就職手当の計算に使う基本手当日額の上限額は?
再就職手当の計算に使う基本手当日額の上限額は、2026年8月1日から60歳未満6,745円、60歳以上65歳未満5,454円です。令和7年度の平均給与額が令和6年度と比べて約2.7%上昇したことを受けた改定です。
| 離職時の年齢 | 改定前(〜2026年7月31日) | 改定後(2026年8月1日〜) |
|---|---|---|
| 60歳未満 | 6,570円 | 6,745円(+175円) |
| 60歳以上65歳未満 | 5,310円 | 5,454円(+144円) |
この上限額は毎年8月1日に、厚生労働省「毎月勤労統計」の平均給与額の変動に応じて見直されます。現在の額は2027年7月31日まで適用される予定です。
なお、基本手当日額そのものの上限(例:45〜59歳は9,110円)とは別の基準です。基本手当日額が6,745円を超える方でも、再就職手当の計算では6,745円(60〜64歳は5,454円)で頭打ちになる点に注意しましょう。
再就職手当はいくらもらえる?計算方法と月給別シミュレーション
再就職手当の金額は、「基本手当日額×支給残日数×支給率(60%または70%)」で計算します。支給残日数が所定給付日数の2/3以上なら支給率70%、1/3以上2/3未満なら60%です。1円未満の端数は切り捨てとなります。
基本手当日額はどう決まる?賃金日額と給付率の関係
基本手当日額は、「賃金日額×給付率(60歳未満は50〜80%)」で計算します。賃金日額とは、離職前6か月間に毎月決まって支払われた賃金(賞与を除き、残業代や通勤手当は含む)の合計を180で割った金額です。
給付率は賃金が低いほど高く、賃金が高いほど低くなります。2026年8月1日以降の60歳未満の区分は以下のとおりです。
| 賃金日額 | 給付率 | 基本手当日額 |
|---|---|---|
| 3,203円以上5,480円未満 | 80% | 2,562円〜4,383円 |
| 5,480円以上13,490円以下 | 80%〜50% | 4,384円〜6,745円 |
| 13,490円超 | 50% | 6,745円〜年齢別の上限額 |
基本手当日額が6,745円に達するのは、賃金日額13,490円(月給換算で約40万5,000円)からです。つまり月給がおおむね40万円を超える方は、再就職手当の計算上は上限の6,745円が適用されます。60歳以上65歳未満の方は給付率が45〜80%となり、上限は5,454円です。
【月給別】再就職手当はいくら?月給20万・25万・30万・35万円のシミュレーション
月給20万円の方が所定給付日数90日をすべて残して就職した場合、再就職手当は約31.7万円です。60歳未満の方について、2026年8月1日以降の計算式で月給別の目安を試算しました。
月給は残業代・通勤手当を含む額面(賞与除く)で、離職前6か月間同額と仮定しています。基本手当日額は厚生労働省の計算式(2026年8月1日〜)で算出した概算です。
| 月給(額面) | 基本手当日額の目安 | 所定給付日数90日・残90日(支給率70%) | 所定給付日数90日・残45日(支給率60%) |
|---|---|---|---|
| 15万円 | 4,000円 | 252,000円 | 108,000円 |
| 20万円 | 5,036円 | 317,268円 | 135,972円 |
| 25万円 | 5,775円 | 363,825円 | 155,925円 |
| 30万円 | 6,307円 | 397,341円 | 170,289円 |
| 35万円 | 6,629円 | 417,627円 | 178,983円 |
| 40万円 | 6,744円 | 424,872円 | 182,088円 |
| 45万円以上 | 上限6,745円を適用 | 424,935円(上限) | 182,115円(上限) |
【所定給付日数別】再就職手当の満額(最大額)はいくら?
再就職手当の満額は、所定給付日数330日・支給率70%・上限日額6,745円で計算すると1,558,095円です。所定給付日数別の最大額(60歳未満・上限日額で計算)は以下のとおりです。
| 所定給付日数 | 満額(全日数残・支給率70%) | 最低額(残1/3・支給率60%) | 60〜64歳の満額(上限5,454円) |
|---|---|---|---|
| 90日 | 424,935円 | 121,410円(残30日) | 343,602円 |
| 120日 | 566,580円 | 161,880円(残40日) | 458,136円 |
| 150日 | 708,225円 | 202,350円(残50日) | 572,670円 |
| 180日 | 849,870円 | 242,820円(残60日) | 687,204円 |
| 210日 | 991,514円 | 283,290円(残70日) | 801,738円 |
| 240日 | 1,133,160円 | 323,760円(残80日) | 916,272円 |
| 270日 | 1,274,805円 | 364,230円(残90日) | 1,030,805円 |
| 300日 | 1,416,450円 | 404,700円(残100日) | 1,145,340円 |
| 330日 | 1,558,095円 | 445,170円(残110日) | 1,259,874円 |
| 360日 | 1,699,740円 | 485,640円(残120日) | 1,374,408円 |
所定給付日数は年齢・被保険者期間・離職理由で決まります。自己都合退職は90〜150日、倒産・解雇などの会社都合退職は90〜330日、障害のある方など就職困難者は150〜360日です。年齢区分によって実際には該当しない日数もあるため、ご自身の日数は受給資格者証で確認してください。
再就職手当を満額もらうには?全日数を残して就職するのが条件
再就職手当を満額もらうには、所定給付日数をすべて残した状態で就職することが必要です。具体的には、7日間の待期期間が終わった直後、または給付制限期間中に就職すれば、基本手当を1日も受け取っていないため全日数が支給残日数になります。
ただし、給付制限がある自己都合退職の方は、待期期間満了後1か月以内の就職はハローワークまたは職業紹介事業者の紹介に限られます。支給率70%を確保するには、以下の残日数を守りましょう。
| 所定給付日数 | 支給率70%に必要な残日数 | 支給率60%に必要な残日数 |
|---|---|---|
| 90日 | 60日以上 | 30日以上 |
| 120日 | 80日以上 | 40日以上 |
| 150日 | 100日以上 | 50日以上 |
| 180日 | 120日以上 | 60日以上 |
| 240日 | 160日以上 | 80日以上 |
| 270日 | 180日以上 | 90日以上 |
| 330日 | 220日以上 | 110日以上 |
なお、受給期間(原則として離職日の翌日から1年)の満了日までの日数が支給残日数より少ない場合は、満了日までの日数が支給残日数として扱われます。延長給付の日数も支給残日数には含まれません。
【計算例】基本手当日額4,000円の場合の再就職手当はいくら?
厚生労働省のリーフレットでは、基本手当日額4,000円の方を例に次の計算例を示しています。
| ケース | 支給残日数 | 再就職手当の額 |
|---|---|---|
| 所定給付日数90日・給付制限期間中に就職 | 90日(支給率70%) | 4,000円×90日×70%=252,000円 |
| 所定給付日数270日・受給資格決定日から50日目に就職 | 228日(支給率70%) | 4,000円×228日×70%=638,400円 |
| 所定給付日数270日・受給資格決定日から100日目に就職 | 178日(支給率60%) | 4,000円×178日×60%=427,200円 |
同じ所定給付日数270日でも、就職が50日遅れるだけで約21万円の差が生じます。支給率が70%から60%に下がる境目を意識して、就職時期を検討しましょう。
再就職手当の8つの受給条件
再就職手当を受け取るには、以下の8つの要件をすべて満たす必要があります。1つでも欠けると支給されません。
- 7日間の待期期間満了後に就職、または事業を開始したこと
- 就職日の前日までの失業認定を受けたうえで、基本手当の支給残日数が所定給付日数の1/3以上あること
- 離職前の事業主(資本・資金・人事・取引面で密接な関係にある事業主を含む)に再び就職していないこと
- 給付制限がある人は、待期期間満了後1か月間はハローワークまたは職業紹介事業者の紹介で就職したこと
- 1年を超えて勤務することが確実であること
- 原則として雇用保険の被保険者になっていること
- 過去3年以内の就職で、再就職手当または常用就職支度手当を受けていないこと
- 受給資格決定(求職申込み)前から採用が内定していた事業主への就職ではないこと
待期期間7日間が終わる前に就職するとどうなる?
再就職手当は、ハローワークで受給手続きをした後、7日間の待期期間が満了してから就職(または事業を開始)した場合に限り支給されます。待期期間中に入社すると対象外です。
待期期間中にアルバイトなどで働いた日や、失業の認定を受けていない日は、待期期間の7日に数えられません。一方で、待期期間中に面接を受けたり内定が出たりすること自体は問題ありません。入社日(就職日)が待期期間満了後であれば要件を満たします。
支給残日数はどう数える?所定給付日数の1/3以上が必要
就職日の前日までの失業認定を受けたうえで、基本手当の支給残日数が所定給付日数の1/3以上残っていることが条件です。所定給付日数は失業保険を受け取れる日数、支給残日数は所定給付日数からすでに支給を受けた日数を引いた残りの日数を指します。

所定給付日数が90日なら、30日以上を残して再就職すれば対象になります。60日以上残っていれば支給率は70%に上がります。就職日の前日に必ずハローワークで失業認定を受けることが、残日数を確定させるポイントです。
給付制限期間中に就職したら再就職手当はもらえる?(自己都合退職の場合)
給付制限期間中の就職でも、再就職手当はもらえます。ただし待期期間満了後1か月間は、ハローワークまたは許可・届出のある職業紹介事業者の紹介による就職に限られます。
自己都合退職の給付制限期間は、2025年4月の改正で原則1か月に短縮されました。ただし、5年間で3回以上自己都合退職している場合は3か月です。

経路の制限がかかるのは「待期期間満了後1か月間」だけです。給付制限が3か月の方でも、待期期間満了から1か月を過ぎれば、給付制限期間中であっても知人の紹介や求人広告への自己応募で就職して対象になります。自営を開始した場合も、待期期間満了後1か月を経過した後の開業が対象です。
倒産・解雇などで給付制限がない方は、待期期間経過後であれば就職経路は問われません。また、教育訓練を受けたことなどにより給付制限が解除された方も、待期期間満了後1か月間はハローワークまたは職業紹介事業者の紹介による就職が必要です。
前の会社・グループ会社に再就職した場合はもらえる?
離職前の会社に再び就職した場合は、再就職手当を受け取れません。離職前の事業主と資本・資金・人事・取引面で密接な関わりがある事業主(グループ会社・関連会社など)への就職も対象外です。
「同じグループの別会社に転籍したから大丈夫」と考えがちですが、実質的な雇用主が変わっていないと判断されると支給されません。転籍・出向による就職を検討している場合は、事前にハローワークへ確認しましょう。
「1年を超えて勤務することが確実」とはどういう意味?パートや契約社員は対象?
再就職先で1年を超えて勤務することが確実でなければ、再就職手当は支給されません。雇用期間の定めがない正社員はもちろん、パート・アルバイト・契約社員でも、1年を超える雇用契約や更新の見込みがあれば対象になります。
一方、生命保険会社の外務員や損害保険会社の代理店研修生のように、1年以下の雇用期間を定め、契約更新に一定の目標達成が条件付けられている場合は対象外です。雇用期間の定めがある派遣就業で、契約更新が見込まれない場合も対象外となります。
雇用保険に加入しない働き方や起業した場合はどうなる?
再就職先では、原則として雇用保険の被保険者になっている必要があります。現行制度では、週の所定労働時間が20時間未満の働き方や、31日以上の雇用見込みがない短期の雇用は雇用保険に加入できないため、再就職手当の対象外です。
事業を開始(起業・独立)した場合は雇用保険の被保険者にはなりませんが、要件を満たせば再就職手当の対象になります。事業の実態や継続性を確認するため、開業届などの書類提出を求められることが一般的です。業務委託での就業が「事業の開始」にあたるかは個別判断となるため、事前にハローワークへ相談しましょう。
過去3年以内に再就職手当をもらっていたら対象外?
対象外です。就職日前3年以内の就職で再就職手当または常用就職支度手当を受けている場合、再就職手当は支給されません。事業開始にかかる再就職手当を受けた場合も含まれます。
基準となるのは「前回の再就職手当の対象となった就職日」です。たとえば2023年10月1日の就職で再就職手当を受けた方は、そこから3年が経過した後の就職でなければ対象になりません。短期間で転職を繰り返す予定がある方は注意が必要です。
受給手続きの前に内定していた場合はもらえない?
もらえません。ハローワークで受給資格決定(離職票の提出と求職申込み)を受けた日より前に採用が内定していた事業主への就職は、再就職手当の対象外です。
口約束であっても、事業主から「採用します」と明確に伝えられていた場合は内定とみなされる可能性があります。トラブルを避けるため、退職後は真っ先にハローワークで手続きを済ませ、その後で応募・内定を受けるようにしましょう。
再就職手当の申請に必要な書類と申請の流れ(もらい方)
再就職手当の申請に必要な主な書類は、再就職手当支給申請書・雇用保険受給資格者証・採用証明書の3点です。就職が決まったら、まず採用証明書を再就職先に記入してもらいましょう。
- 採用証明書:再就職先の事業主に記入してもらい、就職日の前日の失業認定の際にハローワークへ提出する書類
- 雇用保険受給資格者証:受給手続き時に交付されたもの(マイナンバーカードで手続きしている方は「受給資格通知」とマイナンバーカード)
- 再就職手当支給申請書:ハローワークで受け取り、再就職先に事業主の証明欄を記入してもらう書類
再就職手当のもらい方は?申請の流れを6ステップで解説
再就職手当は、就職が決まったら自動的に振り込まれるわけではありません。就職日の前日に失業認定を受け、就職後1か月以内に支給申請書を提出するという流れで手続きします。
| ステップ | タイミング | やること |
|---|---|---|
| ① 受給手続き | 退職後すぐ | ハローワークで離職票を提出し求職申込み。7日間の待期期間に入る |
| ② 内定・報告 | 内定が出たら | ハローワークに就職が決まったことを伝え、再就職先に採用証明書の記入を依頼する |
| ③ 最後の失業認定 | 就職日の前日 | ハローワークで採用証明書と受給資格者証などを提出し、就職日の前日までの失業認定を受ける |
| ④ 申請書の準備 | 就職後 | 再就職手当支給申請書の事業主証明欄を再就職先に記入してもらう |
| ⑤ 支給申請 | 就職日の翌日から1か月以内 | 支給申請書などをハローワークへ提出(窓口・郵送・代理人) |
| ⑥ 審査・振込 | 申請から約1〜2か月 | 在籍確認などの審査後、支給決定通知書が届き、指定口座に振り込まれる |
手順の細部は管轄ハローワークによって異なる場合があります。受給説明会で配られる「受給資格者のしおり」もあわせて確認しましょう。
申請期限はいつまで?過ぎた場合も2年以内なら申請できる
再就職手当の申請期限は、原則として「就職日の翌日から1か月以内」です。ただし期限を過ぎても、雇用保険の給付を受ける権利の時効である2年が経過するまでは申請できます。
とはいえ、期限を過ぎると再就職先からの証明取得や、ハローワークとのやりとりに時間がかかりがちです。支給が遅れる原因にもなるため、原則の1か月以内に申請しましょう。期限を過ぎてしまった場合は、早めに管轄ハローワークへ相談してください。
郵送や代理人でも申請できる?
申請できます。再就職手当支給申請書は、本人による窓口提出のほか、郵送や代理人による提出が認められています。就職直後で平日にハローワークへ行けない方でも手続き可能です。
| 申請方法 | 特徴・注意点 |
|---|---|
| 窓口持参 | その場で書類の不備を確認してもらえるため確実。就職直後は平日の時間が取りにくい点が難点 |
| 郵送 | 管轄ハローワークの給付窓口宛てに送付。紛失に備え、簡易書留やレターパックなど追跡できる方法が安心。期限に余裕をもって発送する |
| 代理人 | 本人の委任状があれば家族などが窓口で提出できる。代理人の本人確認書類も必要 |
電子申請の対応状況は手続きや地域によって異なるため、利用を希望する場合は管轄ハローワークに確認しましょう。
再就職手当はいつ振り込まれる?審査内容と支給スケジュール
再就職手当は、申請から振込まで約1か月〜2か月が目安です。申請後にハローワークが在籍確認などの審査を行い、支給決定通知書の送付を経て振り込まれます。
申請から振込までのスケジュール目安
手続きのスピードは、ハローワークの審査状況や再就職先への在籍確認の早さに左右されます。
| フェーズ | 所要期間の目安 | 内容 |
|---|---|---|
| ① 支給申請 | 就職日の翌日から1か月以内 | 必要書類をハローワークへ提出(窓口・郵送・代理人) |
| ② 審査・在籍確認 | 約2〜4週間 | ハローワークが再就職先に在籍状況などを確認 |
| ③ 支給決定通知 | 審査完了後 | 自宅に「就業促進手当支給決定通知書」が届く |
| ④ 指定口座へ振込 | 通知書の到着から約1週間 | 通知書に記載された金額が振り込まれる |
【日付例】10月1日に就職した場合、再就職手当はいつもらえる?
10月1日に就職し、10月上旬に申請した場合、再就職手当が振り込まれるのは11月上旬〜12月上旬ごろが目安です。自己都合退職で9月1日に受給手続きをしたケースで流れを整理しました。
| 日付(例) | 手続き・出来事 |
|---|---|
| 9月1日 | ハローワークで受給手続き(受給資格決定)。この日から7日間が待期期間 |
| 9月7日 | 待期期間満了。翌日から10月7日までは、ハローワーク等の紹介による就職のみ対象 |
| 9月中旬 | ハローワークの紹介求人に応募し内定 |
| 9月30日 | 就職日の前日。採用証明書を提出し失業認定を受ける |
| 10月1日 | 就職(入社) |
| 10月上旬 | 再就職手当支給申請書を提出(期限は11月1日まで) |
| 10月下旬〜11月下旬 | 在籍確認などの審査を経て、支給決定通知書が届く |
| 11月上旬〜12月上旬 | 指定口座に振込 |
申請が遅れるほど振込も後ろにずれます。就職後すぐに事業主証明欄の記入を依頼し、早めに提出することが「最短でもらう」コツです。
審査では何を調べる?在籍確認の内容
ハローワークの審査では、「再就職先に在籍しているか」「1年を超えて勤務する見込みがあるか」「雇用保険に加入しているか」が中心に確認されます。多くの場合、ハローワークから再就職先の事業所へ電話で在籍確認が行われます。
受給手続き前の内定やグループ会社への就職が疑われるケースでは、追加の書類提出や事情の聴取を求められることもあります。事業主に「ハローワークから在籍確認の電話が来る可能性がある」と伝えておくと、審査がスムーズに進みます。
支給決定通知書はいつ届く?振込の名義は?
支給決定通知書(就業促進手当支給決定通知書)は、審査が完了した後、振込の前に自宅へ郵送されます。支給額や振込予定日などが記載されているため、大切に保管しましょう。通知書が届いてから実際に入金されるまでは、1週間程度かかるのが一般的です。
振込の名義は、通帳やインターネットバンキングに「ショクギョウアンテイキョク」などと表示されるケースが多く、基本手当(失業手当)と同じ名義で振り込まれます。見慣れない名義でも、ハローワークからの振込であれば心配ありません。
内定日・就職経路のよくある疑問
内定日の扱いと就職経路は、再就職手当の受給可否に直結する論点です。検索の多い疑問を整理します。
内定日と就職日はどっちが基準?支給残日数は「就職日」で数える
再就職手当の支給残日数のカウント基準は「就職日(入社日)」で、内定日ではありません。就職日の前日までの失業認定を受けた時点の残日数で、支給率と金額が決まります。
- 内定日:採用が正式に決定した日(採用通知を受けた日)
- 就職日:実際に雇用関係が始まった日(入社日)
内定日をずらしてもらうのはOK?
結論として、実際の内定日を意図的に変えて届け出る行為は不正受給にあたるおそれがあり、絶対に避けるべきです。採用証明書に記載する内定日・就職日は、事実どおりに記入しなければなりません。
不正受給と判断されると、支給された手当の返還に加え、不正に受け取った額の2倍に相当する額以下の納付を命じられる場合があります(いわゆる「3倍返し」)。待期期間中に内定が出ても、就職日が待期期間満了後なら受給要件を満たすため、日付を操作する必要はありません。
ハローワーク以外(転職エージェント・自己応募)で仕事を見つけた場合はもらえる?
もらえるケースがあります。受給できるかどうかは、離職理由と就職時期、就職経路の組み合わせで決まります。
| 離職理由 | 就職時期 | 就職経路 | 受給可否 |
|---|---|---|---|
| 会社都合(倒産・解雇等) | 待期期間(7日間)経過後 | 経路は問わない | ○ |
| 自己都合(給付制限あり) | 待期期間満了後1か月以内 | ハローワーク・許可/届出のある職業紹介事業者(転職エージェント等)の紹介 | ○ |
| 自己都合(給付制限あり) | 待期期間満了後1か月以内 | 自己応募・知人の紹介・求人広告など | ✕ |
| 自己都合(給付制限あり) | 待期期間満了後1か月経過後 | 経路は問わない | ○ |
転職エージェント(許可・届出のある民間の職業紹介事業者)の紹介は「ハローワーク等の紹介」に含まれるため、待期期間満了後1か月以内の就職でも対象です。一方、求人サイトを見て自分で応募した場合は「自己応募」の扱いとなり、待期期間満了後1か月を過ぎてからの就職のみ対象となります。
退職前・受給手続き前に次の仕事が決まっている場合は?
退職前やハローワークでの受給手続き前に転職先が決まっている場合は、原則として再就職手当の対象外です。要件の1つに「受給資格決定(求職申込み)前から採用が内定していた事業主への就職ではないこと」があるためです。
受給手続きの後に応募・内定した就職であれば、対象になります。再就職手当を受け取りたい方は、ハローワークでの手続きを済ませてから本格的な応募を始めることが重要です。
再就職手当のデメリット・注意点|「もらわない方がいい」ケースはある?
再就職手当はメリットの大きい制度ですが、受け取ると残りの基本手当が打ち切りになり、3年間は再受給できないといった注意点があります。受給前に把握しておきましょう。
- 残りの基本手当は打ち切りになる:再就職手当として受け取った分は、基本手当を受給したものとみなされます。
- 3年間は再び受給できない:次の就職日前3年以内に再就職手当を受けていると対象外です。短期間で転職を繰り返す予定の方は注意が必要です。
- 短期離職が前提だと不正受給になるおそれ:受給後にやむを得ず退職しても原則返還は不要ですが、当初から1年以内の退職が決まっていた場合は不正受給とみなされる可能性があります。
- 就業促進定着手当の上限が下がった:2025年4月の改正で、就業促進定着手当の上限は支給残日数の一律20%相当に引き下げられました。
再就職手当をもらった後すぐ辞めたら?残りの失業保険はもらえる?
受給期間内であれば、再就職手当分を除いた残りの日数分の基本手当を受け取れる可能性があります。受給期間は原則として離職日の翌日から1年間です。
たとえば所定給付日数90日の方が90日を残して就職し、支給率70%で再就職手当を受けた場合、63日分(90日×70%)を受給済みとみなされます。再就職先を受給期間内に離職して失業状態になれば、残りの27日分を受け取れる可能性があります。ただし、再就職先で新たに受給資格を得た場合などは扱いが異なるため、離職したらまずハローワークに相談しましょう。
「再就職手当をもらわない方がいい」ケースはある?
結論として、要件を満たしているなら基本的には受給した方が得です。再就職手当を受け取った人だけが「就業促進定着手当」を追加で受け取れる点もメリットです。そのうえで、次のケースでは慎重に検討する余地があります。
- 再就職先を1年以内に辞めることが最初から決まっている場合(不正受給のリスクがある)
- 3年以内に再び早期転職する可能性が高く、次回の転職で受給したい場合
- ハローワークの指示で公共職業訓練を受けたい場合(訓練期間中は所定給付日数を超えても基本手当が延長支給される)
これらは例外的なケースです。多くの方にとっては、再就職手当を受け取る方がメリットは大きくなります。
再就職手当とあわせて確認したい「就業促進定着手当」
就業促進定着手当は、再就職手当を受けた人が再就職先で6か月以上働き、その6か月間の賃金が離職前より下がった場合に支給される手当です。再就職手当を受け取っていない人は対象になりません。
支給額は「離職前の賃金日額−再就職後6か月間の賃金の1日分の額」×6か月間の賃金支払基礎日数で、「基本手当日額×再就職手当を受ける前の支給残日数×20%」が上限です。2025年4月の改正で上限が従来の30〜40%から一律20%に引き下げられ、2026年8月1日からは計算に使う基本手当日額の上限が6,745円(60〜64歳は5,454円)に引き上げられています。申請は、再就職先で6か月が経過した日の翌日から2か月以内に行います。
詳細はこちらの記事で解説しています↓
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再就職手当に関するよくある質問
再就職手当と失業手当(基本手当)は何が違うのですか?
失業手当(基本手当)は、失業中の生活を支えるために4週間ごとの失業認定を経て分割で支給される給付です。一方、再就職手当は早期に就職した人への奨励金で、支給残日数分の基本手当の60%または70%を一時金として受け取れます。所定給付日数の1/3以上を残して就職できる見込みがあれば、手当と給与をあわせた総収入は再就職手当の方が多くなるケースが一般的です。
早期就職手当や就職祝い金は再就職手当と同じものですか?
はい。「早期就職手当」「就職祝い金」「ハローワークのお祝い金」などは、いずれも雇用保険の再就職手当を指す通称です。正式名称は再就職手当で、基本手当の支給残日数を所定給付日数の1/3以上残して就職した場合に、残日数分の60%または70%が支給されます。なお、転職サイトなどが独自に支給する「転職祝い金」とは別の制度です。
再就職手当はいつもらえますか?いつ振り込まれますか?
支給申請から振込まで約1〜2か月が目安です。就職日の翌日から1か月以内に支給申請書を提出し、ハローワークの在籍確認などの審査が終わると「就業促進手当支給決定通知書」が郵送され、通知書の到着から1週間程度で指定口座に振り込まれます。10月1日に就職して10月上旬に申請した場合、振込は11月上旬〜12月上旬ごろが目安です。
再就職手当を受け取るための条件は?
条件は8つです。①7日間の待期期間満了後の就職、②支給残日数が所定給付日数の1/3以上、③前の事業主やグループ会社への再就職でない、④給付制限がある人は待期満了後1か月間はハローワーク等の紹介で就職、⑤1年を超えて勤務することが確実、⑥原則として雇用保険に加入、⑦過去3年以内に再就職手当や常用就職支度手当を受けていない、⑧受給手続き前から内定していた会社でない、のすべてを満たす必要があります。
再就職手当は月給20万円・30万円でいくらもらえますか?満額はいくらですか?
60歳未満・所定給付日数90日を全日数残して就職(支給率70%)した場合の目安は、月給20万円(基本手当日額5,036円)で317,268円、月給30万円(同6,307円)で397,341円です。月給がおおむね40万円を超えると上限日額6,745円が適用され、90日なら424,935円が上限です。満額は所定給付日数330日・支給率70%で1,558,095円(就職困難者の360日なら1,699,740円)です。正確な額はハローワークで確認してください。
再就職手当をもらってすぐ退職したら返金が必要ですか?残りの失業保険はもらえますか?
やむを得ず退職した場合、原則として返金は求められません。また受給期間(原則として離職日の翌日から1年)内であれば、再就職手当分を除いた残りの日数分の基本手当を受け取れる可能性があります。ただし、就職の時点で1年以内の退職が決まっていた場合は不正受給とみなされ、返還を求められるおそれがあります。離職したらまずハローワークに相談しましょう。
申請に必要な書類は何ですか?
主な書類は、①再就職手当支給申請書(再就職先に事業主証明欄を記入してもらう)、②雇用保険受給資格者証(マイナンバーカードで手続きしている方は受給資格通知)、③採用証明書(就職日の前日の失業認定時に提出)の3点です。ハローワークによっては出勤簿や雇用契約書の写しなどを求められることもあります。
再就職手当は郵送や代理人でも申請できますか?
できます。再就職手当支給申請書は、本人の窓口提出のほか、郵送や代理人(委任状が必要)による提出が認められています。郵送の場合は簡易書留など追跡できる方法が安心です。申請先は住所地を管轄するハローワークで、市役所や区役所では受け付けていません。
申請期限の1か月を過ぎてしまった場合はどうなりますか?
原則の申請期限は就職日の翌日から1か月以内ですが、雇用保険の給付を受ける権利の時効である2年が経過するまでは申請できます。期限を過ぎると事業主の証明取得などに時間がかかり、振込も遅れやすくなるため、気づいた時点ですぐ管轄ハローワークに相談してください。
自己都合退職と会社都合退職で違いはありますか?
あります。自己都合退職など給付制限がある場合は、待期期間満了後1か月間はハローワークまたは職業紹介事業者の紹介による就職のみが対象です。倒産・解雇などの会社都合退職は、待期期間経過後なら就職経路を問いません。自己都合退職の給付制限期間は2025年4月から原則1か月(5年間で3回以上の自己都合退職は3か月)です。
ハローワーク以外(転職エージェント・自己応募)で就職が決まった場合でも受給できますか?
受給できる場合があります。許可・届出のある転職エージェント(職業紹介事業者)の紹介は「ハローワーク等の紹介」に含まれるため、給付制限がある方でも待期期間満了後1か月以内の就職で対象です。求人サイトからの自己応募や知人の紹介は、待期期間満了後1か月を過ぎた就職であれば対象です。会社都合退職なら待期期間経過後は経路を問いません。
退職前・受給手続き前にすでに内定している場合や、口約束の内定はどうなりますか?
ハローワークでの受給資格決定(求職申込み)より前に内定していた会社への就職は、原則として対象外です。口約束でも、事業主から明確に「採用します」と伝えられていた場合は内定とみなされる可能性があります。再就職手当を受け取るには、受給手続きの後に応募・内定した就職である必要があります。
2026年8月1日の改定で再就職手当の上限額はいくら増えましたか?
再就職手当の計算に使う基本手当日額の上限額は、60歳未満が6,570円から6,745円(+175円)、60歳以上65歳未満が5,310円から5,454円(+144円)に引き上げられました。所定給付日数90日・支給率70%の上限額は424,935円、330日なら1,558,095円です。現在の上限額は2027年7月31日まで適用される予定です。
ハローワークの審査では何を調べられますか?
主に「再就職先に在籍しているか」「1年を超えて勤務する見込みがあるか」「雇用保険に加入しているか」が確認されます。多くの場合、ハローワークから再就職先へ電話で在籍確認が行われます。受給手続き前の内定やグループ会社への就職が疑われる場合は、追加書類の提出を求められることもあります。
再就職手当に税金はかかりますか?
かかりません。再就職手当を含む雇用保険の給付は非課税のため、所得税や住民税の対象にはならず、確定申告も不要です。
まとめ
再就職手当は、失業保険(基本手当)の支給残日数を所定給付日数の1/3以上残して就職した方に支給される一時金です。支給額は「基本手当日額×支給残日数×60%または70%」で、2/3以上を残して就職すれば支給率70%が適用されます。2026年8月1日からは、計算に使う基本手当日額の上限が60歳未満6,745円、60歳以上65歳未満5,454円に引き上げられました。
受給するには、受給手続きの後に内定を得ること、待期期間満了後に就職すること、給付制限がある方は待期満了後1か月間をハローワークまたは職業紹介事業者の紹介で就職することなど、8つの要件をすべて満たす必要があります。
申請は就職日の翌日から1か月以内が原則です。再就職手当支給申請書・雇用保険受給資格者証・採用証明書をそろえ、窓口・郵送・代理人のいずれかでハローワークへ提出しましょう。振込は申請から約1〜2か月後が目安です。内定日の扱いや就職経路など、判断に迷う点は事前に管轄ハローワークへ確認してください。
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