先日、厚生労働省のプレスリリースにて今年の最低賃金の改定目安が公表されました。この決定は、第67回中央最低賃金審議会によって行われ、その答申がとりまとめられたものです。この新たな目安が適用された場合、全国平均の最低賃金は1,002円となる見込みです。これは昭和53年度に最低賃金の目安制度が始まって以来、最高額の上昇となります。
今回、発表された情報をベースに全国の最低労働賃金がどのように推移するのかを予測し、事前にどのような対策ができるのかについて触れていきたいと思います。
この記事の目次
令和5年度地域別最低賃金額改定の目安について
この新しい改定目安では、都道府県ごとに異なる引き上げ額が設定されています。その基準は、都道府県の経済実態に基づいてA、B、Cの3つのランクに分けられています。各ランクの目安は次のとおりです。
Aランクの都道府県では、最低賃金は41円引き上げられる見込みです。現在、このランクには6つの都府県が該当しています。一方、Bランクの都道府県では、最低賃金は40円引き上げられる予定で、このランクには28つの道府県が含まれます。最後に、Cランクの都道府県では、最低賃金は39円引き上げられるとされており、このランクには13の県が該当しています。
これらの引き上げ額は、都道府県ごとの経済の状況を反映したもので、すべての労働者が一定の生活水準を維持できるように設定されています。
ランク | 都道府県 |
---|---|
A(41円) | 埼玉、千葉、東京、神奈川、愛知、大阪 |
B(40円) | 北海道、宮城、福島、茨城、栃木、群馬、新潟、富山、石川、福井、山梨、長野、岐阜、静岡、三重、滋賀、京都、兵庫、奈良、和歌山、島根、岡山、広島、山口、徳島、香川、愛媛、福岡 |
C(39円) | 青森、岩手、秋田、山形、鳥取、高知、佐賀、長崎、熊本、大分、宮崎、鹿児島、沖縄 |
令和5年度の最低賃金改定予想とその影響
今年度の最低賃金改定は、これまでにない大幅な引き上げが予想されています。中央最低賃金審議会によると、最低賃金の全国加重平均は1,002円となり、これは昭和53年度に目安制度が始まって以降、最大の引き上げとなります。
都道府県別の最低労働賃金は以下の表のように推移することが予想されます。
都道府県名 | 最低労働賃金 2022年度 | 最低労働賃金 2023年度 | 引き上げ金額 |
---|---|---|---|
北海道 | 920 | 960 | 40 |
青森県 | 853 | 892 | 39 |
岩手県 | 854 | 893 | 39 |
宮城県 | 883 | 923 | 40 |
秋田県 | 853 | 892 | 39 |
山形県 | 854 | 893 | 39 |
福島県 | 858 | 898 | 40 |
茨城県 | 911 | 951 | 40 |
栃木県 | 913 | 953 | 40 |
群馬県 | 895 | 935 | 40 |
埼玉県 | 987 | 1028 | 41 |
千葉県 | 984 | 1025 | 41 |
東京都 | 1072 | 1113 | 41 |
神奈川県 | 1071 | 1112 | 41 |
新潟県 | 890 | 930 | 40 |
富山県 | 908 | 948 | 40 |
石川県 | 891 | 931 | 40 |
福井県 | 888 | 928 | 40 |
山梨県 | 898 | 938 | 40 |
長野県 | 908 | 948 | 40 |
岐阜県 | 910 | 950 | 40 |
静岡県 | 944 | 984 | 40 |
愛知県 | 986 | 1027 | 41 |
三重県 | 933 | 973 | 40 |
滋賀県 | 927 | 967 | 40 |
京都府 | 968 | 1008 | 40 |
大阪府 | 1023 | 1064 | 41 |
兵庫県 | 960 | 1000 | 40 |
奈良県 | 896 | 936 | 40 |
和歌山県 | 889 | 929 | 40 |
鳥取県 | 854 | 893 | 39 |
島根県 | 857 | 897 | 40 |
岡山県 | 892 | 932 | 40 |
広島県 | 930 | 970 | 40 |
山口県 | 888 | 928 | 40 |
徳島県 | 855 | 895 | 40 |
香川県 | 878 | 918 | 40 |
愛媛県 | 853 | 893 | 40 |
高知県 | 853 | 892 | 39 |
福岡県 | 900 | 940 | 40 |
佐賀県 | 853 | 892 | 39 |
長崎県 | 853 | 892 | 39 |
熊本県 | 853 | 892 | 39 |
大分県 | 854 | 893 | 39 |
宮崎県 | 853 | 892 | 39 |
鹿児島県 | 853 | 892 | 39 |
沖縄県 | 853 | 892 | 39 |
最低賃金の引き上げは、労働者の生活保障や労働意欲の向上、そして所得格差の縮小に寄与します。特に、働き手が減少する中で賃金の上昇は労働市場を活性化させ、雇用の安定につながると期待されています。
しかし、引き上げが大きすぎると、経営に困難を抱える中小企業にとっては重大な負担になり得ます。特に今、経済的な打撃を受けている業種や地域では、賃金上昇による経費増加が事業継続に影響を与える可能性があります。
さらに、最低賃金の大幅な引き上げは、自動化やAIによる労働力の置き換えを促進するとの意見もあります。その結果、一部の労働者が仕事を失う可能性も出てきます。
最低賃金改定の影響は、労働者だけでなく企業、そして社会全体に及びます。そのため、労使両者のバランスを考慮した適切な最低賃金の設定が求められるとともに、各都道府県の経済状況や業界の特性に応じた柔軟な対応が重要となります。令和5年度の最低賃金改定は、我々全体が注視すべき重要な社会的課題と言えるでしょう。
令和5年度最低賃金の改定はいつごろ?
最低賃金・最低時給の引き上げは毎年度ごとに行われ、その決定は中央最低賃金審議会から示される引き上げ額の目安を参考にしながら、地域別最低賃金審議会により行われます。この審議会は毎年夏に開かれ、各都道府県労働局長が決定した新たな最低賃金額が公表されるという流れになります。
新しい最低賃金は通常、その年の秋、具体的には10月から施行されます。そのため最低賃金の引き上げに該当する企業の方は、今の内に準備を進めておくことをおすすめします。
また、最低賃金の引き上げに伴う助成金として厚生労働省の「業務改善助成金」がございます。以下のリンクにて業務改善助成金についてご確認いただけます。
まとめ
最低賃金の引き上げは企業にとって大きな挑戦ですが、これを機にビジネスモデルの見直しを行うことで、新たな成長機会につなげることも可能です。補助金ポータルではは引き続き、最新の補助金・助成金の情報を発信し、みなさまのビジネスの成功をサポートしてまいります。