育児休業給付金は、会社で働く人が出産後の育児のために休業する際に受け取れる給付金です。2025年4月からは改正雇用保険法が施行され、要件を満たすと支給率が80%まで引き上げられる「出生後休業支援給付金」が創設され、実質的に休業前賃金の10割相当が受け取れる制度も定着しています。さらに2025年10月からは育児介護休業法が改正され、男性の育休取得率の公表義務も拡大されるなど、育休を取りやすい環境整備が続いています。
本記事では、育児休業給付金の金額や計算方法、支給率の引き上げについても解説します。働けない時の生活を守るための大切な給付金なので、制度内容をよく知っておきましょう。
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この記事の目次
育児休業給付金(育休手当)とは?
育児休業給付金は、雇用保険の被保険者が一定の要件を満たし、育児休暇を取ると受け取れる給付金です。男女問わず対象となるほか、夫が会社員(被保険者)で妻が専業主婦といったケースでも支給対象となります。
2回まで分割取得もできるため、保育園の入園時期まで一時復帰して、再度休業するといった使い方もできます。また、2025年10月からの育児介護休業法改正により、男性育休取得率の公表義務が従業員数300人超の企業にも拡大され、育休が取りやすい職場環境の整備が進んでいます。
育児休業給付金を受け取る条件
育児休業給付金を受け取るためには、以下の要件を満たしている必要があります。
②休業開始日前2年間に、賃金支払基礎日数が11日以上ある月が12か月以上あること
③一支給単位期間中の就業日数が10日以下であること(10日を超える場合は就業時間数が80時間以下であること)
②の賃金支払基礎日数とは、賃金を支払う対象となった日を指します。時短勤務やパートの方、2人目の出産の方は、この要件に該当しない場合があるため注意が必要です。
また、③の「一支給単位期間中の就業日数」とは、育児休業を開始した日から起算した1か月ごとの期間を指します。つまり、育休中に働いても構いませんが、一支給単位期間中に10日を超える就業日数があれば育児休業給付金を受けられなくなります。
育児休業給付金をもらえる期間
育児休業給付金は、育児休業の開始とともに支給期間が始まります。詳しくは、以下の図をご覧ください。

出典:育児休業等給付の内容と支給申請手続
母親の場合、産後8週間は産後休業となり、その後育児休業給付金が支給されます。父親の場合、出産予定日または産後から育児休業を取得可能です。
その後、基本的には子が1歳になるまで受け取ることができますが、「保育園に申し込んだのに入所できない」等の条件を満たせば、最大で2歳まで延長されます。なお、2025年4月からは、延長手続きの際に市区町村が発行する「保育所等の利用ができない旨の通知(入所保留通知書・入所不承諾通知書等)」の提出が必要となっています。
育児休業給付金の金額と計算方法
育児休業給付金の支給金額は、以下の計算式で算出します。休業開始時賃金日額×休業期間日数×67%
【育児休業開始から181日目以降】
休業開始時賃金日額×休業期間日数×50%
休業開始時賃金日額とは、育児休業開始前6か月間の総支給額(賞与・保険料等は除く)を180で割った金額です。この金額は毎年8月1日に見直されており、令和8年7月31日までの上限額は16,110円、下限額は3,014円となります。
休業開始時賃金日額の上限と下限を基にすると、支給日数が30日の場合の、育児休業給付金の支給上限額と支給下限額は以下のようになります。
| 給付率 | 金額(令和8年7月31日まで) |
| 給付率67%(育休開始〜180日) | 支給上限額:323,811円 支給下限額:60,581円 |
| 給付率50%(育休開始181日〜) | 支給上限額:241,650円 支給下限額:45,210円 |
なお、支給下限額は、育児休業期間に事業主から賃金が支払われなかった場合の額です。育児休業中に支払われた賃金額によっては、上記の下限額を下回る可能性もあります。
ご自身が具体的にいくらもらえるか知りたい人は、以下の記事で詳しく解説しているので読んでみてください。
出生後休業支援給付で実質10割支給も
2025年4月より育児休業給付が拡充され、実質的に休業前賃金の10割支給となる「出生後休業支援給付」が創設されました。本制度は、出生直後の一定期間に両親ともに14日以上の育児休業を取得した場合、最大28日間休業前賃金の13%分が上乗せされ、合計最大80%となる制度です。
育児休業中は社会保険料が免除されることから、80%へ引き上げられると、休業前賃金の実質10割相当の支給を受けられる計算となります。具体的な支給時期については、以下をご覧ください。

出典:育児休業等給付の内容と支給申請手続
給付率が引き上げられるのは、父親の場合は「子の出生日または出産予定日のうち早い日」から8週間です。母親の場合、産後8週間は産後休業となり、その後最大28日間が給付率の引き上げ期間となります。
出生後休業支援給付を受けるためには、以下の要件を満たす必要があります。
■被保険者とその配偶者の両方が14日以上の育児休業を取得すること
※配偶者が専業主婦(夫)の場合やひとり親の場合は、配偶者の育児休業取得を要件とせずに給付率が引き上げられます
なお、出生後休業支援給付金の支給上限額は、28日間支給された場合で58,640円(令和8年7月31日まで)です。
本制度は、両親そろって育休を取ると、父親だけでなく母親も加算を受けられる仕組みです。なお、父親も上限4週間(28日間)よりも長く育児休業を取得したい場合は、通常の育児休業を取得することもできます。
育休復帰後に時短勤務で賃金の約10%を受け取れる育児時短就業給付金
令和7年4月1日より、復職後に時短勤務等で労働時間を短縮した場合、子どもが2歳になるまで賃金の約10%相当の「育児時短就業給付金」を受け取れます。子育て中の時短勤務により減ってしまった所得の一部が補助されるので、復帰後に時短勤務を検討している方はチェックしておきましょう。
育児時短就業給付金の支給額は、原則として次のとおりです。
対象となるのは、以下の要件を満たす方です。
② 育児休業給付の対象となる育児休業から引き続き、同一の子について育児時短就業を開始したこと、または、育児時短就業開始日前2年間に、賃金支払基礎日数が11日以上ある完全月が12か月あること
ただし、賃金額が時短就業開始時の賃金月額を超える場合は、賃金が減少していないものと見られるため、育児時短就業給付金の対象外となります。また、支払われた賃金額が471,393円以上の場合や、算定された支給額が2,411円以下の場合も対象外となるためご注意ください。(令和8年7月31日までの額)
育児休業給付金の申請手続き
育児休業給付金の申請手続きは、対象の労働者を雇用している事業主(所属している会社等)が行います。育児休業を取得する人は、母子手帳等の妊娠・出産の事実がわかるものの写しを事業主に提出します。
申請時は、事業所の所在地を管轄するハローワークで受給資格確認手続きが必要です。初めて育児休業給付金を受ける人の場合、「育児休業給付受給資格確認通知書」が被保険者に渡されます。なお、被保険者本人が希望する場合は、本人が申請手続きを行うことも可能です。
申請に必要な書類
申請に必要な書類は、以下のとおりです。
| 区分 | 詳細 |
| 提出書類 | ①雇用保険被保険者休業開始時賃金月額証明書 ②育児休業給付受給資格確認票・(初回)育児休業給付金支給申請書 |
| 添付書類 | ①賃金台帳、労働者名簿など、育児休業を開始・終了した日や賃金の額、支払状況を証明できるもの ②母子健康手帳など、育児の事実、出産予定日及び出生日を確認することができるもの |
これまでに出生時育児休業給付金または育児休業給付金の支給を受けている場合は、「雇用保険被保険者休業開始時賃金月額証明書」の提出は不要です。また、2人目の出産等で2回目以降に支給申請する場合にも、育児休業給付金支給申請書等の提出が必要となります。
育児休業給付金に関するよくある質問
第1子に係る育児休業給付金を受給中に第2子を妊娠した場合、最初の育児休業給付金はいつまで支給されますか。
第2子の産前休業開始日の前日(産前休業を取得しない場合は出産日)までです。ただし受給条件を満たせば、第2子の育児休業開始時点で育児休業給付金を受給することが可能です。
育児休業給付の支給申請は、被保険者が行うのでしょうか。
育児休業給付の申請手続は、原則として事業主が行います。ただし、被保険者本人が希望する場合は、本人が申請手続を行うことも可能です。
育児休業給付はどのくらいで口座に入金されますか。
育児休業給付金支給決定通知書を確認してください。概ね支給決定日から1週間程度で指定いただいた口座に振込がされます。なお、初回の支給は育休開始から2〜3か月後となるのが一般的です。
出生後休業支援給付金はどんな場合にもらえますか。
2025年4月1日以降に育休を開始した方が対象です。子の出生後8週間以内(母親は産後休業後8週間以内)に、夫婦ともに14日以上の育児休業を取得した場合に、最大28日間、通常の育児休業給付金に賃金の13%が上乗せされ、合計最大80%の給付率となります。社会保険料の免除と合わせると、実質的に手取りで10割相当を受け取れます。配偶者が専業主婦(夫)の場合やひとり親の場合は、配偶者の育休取得がなくても対象となります。
育児休業給付金の支給上限額はいくらですか。
令和8年7月31日までの額として、給付率67%(育休開始〜180日)の支給上限額は323,811円、給付率50%(181日目以降)の支給上限額は241,650円です。なお上限額は毎年8月1日に見直されます。
育児休業給付金は課税されますか。
育児休業給付金は非課税です。所得税・住民税はかかりません。また育児休業中は健康保険料・厚生年金保険料も免除されます。このため、給付率67%であっても手取りでは育休前の約80%程度を受け取れる計算となります。
育児休業給付金は2歳まで延長できますか。
保育所等に入所できないなど一定の要件を満たす場合は、1歳6か月、さらに2歳まで延長できます。延長手続きには市区町村が発行する「保育所等の利用ができない旨の通知(入所保留通知書・入所不承諾通知書等)」の提出が2025年4月から必要となっています。事業所の所在地を管轄するハローワークに書類を提出してください。
育児時短就業給付金はいくらもらえますか。
時短勤務中に支払われた賃金額の10%相当が支給されます。ただし、支払われた賃金額が471,393円以上の場合や、算定された支給額が2,411円以下の場合は対象外です(令和8年7月31日までの額)。子が2歳になるまでの期間が支給対象となります。
育休中にアルバイト・副業はできますか。
育休中に働いても構いませんが、一支給単位期間(1か月)中の就業日数が10日を超える場合(10日超の場合は就業時間が80時間以下)は給付金が支給されなくなります。また、育休前賃金の80%以上の賃金が支払われると支給が停止されます。就業する場合は勤務先や管轄のハローワークに確認することをおすすめします。
パート・派遣社員でも育児休業給付金はもらえますか。
雇用保険に加入していれば、パート・派遣社員・契約社員でも受け取ることができます。ただし、休業開始日前2年間に賃金支払基礎日数が11日以上ある月が12か月以上あることが必要です。また、期間雇用者の場合は育児休業期間中に労働契約が満了することが明らかでないことも要件となります。
まとめ
育児休業給付金は、育休中の収入を支えるために活用できる公的制度です。2025年4月から出生後休業支援給付金が創設され、夫婦ともに14日以上の育休を取得すると最大28日間は実質手取り10割相当の支給が受けられるようになりました。また、育休後の時短勤務時には育児時短就業給付金(賃金の約10%)も活用できます。
支給額は休業前の賃金をもとに計算され、申請は勤務先を通じて行うのが一般的です。2回までの分割取得や延長にも対応しており、夫婦どちらでも活用できます。不安がある場合は、勤務先やハローワークに早めに相談してみましょう。
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