育児休業給付金の上限額が、令和8年8月1日から引き上げられました。給付率67%の支給上限額は月323,811円から332,454円へ8,643円アップ。あわせて出生後休業支援給付金や育児時短就業給付金の限度額も改定されています。
追い風は制度面だけではありません。厚生労働省の「令和7年度雇用均等基本調査」(2026年7月公表)によると、男性の育児休業取得率は50.9%と前年度から10.4ポイント上昇し、初めて5割を超えました。女性は88.5%です。育休を取ることが特別ではなくなった今、気になるのは「結局いくらもらえるのか」ではないでしょうか。
この記事では、令和8年8月1日から適用される育児休業給付金の上限額・下限額を改定前と比較しながら整理し、支給率67%と50%の切り替わり、受給条件、申請手続きの見直しまでをまとめて解説します。
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この記事の目次
育児休業給付金の上限額は令和8年8月1日からいくらになった?
育児休業給付金の支給上限額は、令和8年8月1日から給付率67%で月332,454円、給付率50%で月248,100円となりました(支給日数30日の場合)。厚生労働省が公表したリーフレット「令和8年8月1日から支給限度額が変更になります」で示された正式な金額です。
上限額は毎月勤労統計の平均定期給与額の増減をもとに、毎年8月1日に見直されます。令和8年度の改定内容は以下のとおりです。
| 項目 | 〜令和8年7月31日 | 令和8年8月1日〜 |
|---|---|---|
| 育児休業給付金 支給上限額(67%) | 323,811円 | 332,454円 |
| 育児休業給付金 支給上限額(50%) | 241,650円 | 248,100円 |
| 出生時育児休業給付金 支給上限額(67%) | 302,223円 | 310,290円 |
| 出生後休業支援給付金 支給上限額(13%) | 58,640円 | 60,205円 |
| 育児時短就業給付金 支給限度額 | 471,393円 | 484,121円 |
すでに育休に入っている方も、令和8年8月1日以後の支給対象期間から新しい額が適用されます。手続きは不要で、ハローワークが自動的に計算し直す仕組みです。
休業開始時賃金日額の上限は16,540円・下限は3,203円に
育児休業給付金の計算のもとになる「休業開始時賃金日額」の上限額は16,110円から16,540円へ、下限額は3,014円から3,203円へ引き上げられました。
休業開始時賃金日額とは、育児休業開始前6か月間の総支給額(賞与・保険料等は除く)を180で割った金額です。厚生労働省のリーフレットでは月額ベースで示されており、休業開始時賃金月額の上限額は483,300円から496,200円、下限額は90,420円から96,090円に改定されています。
| 区分 | 〜令和8年7月31日 | 令和8年8月1日〜 |
|---|---|---|
| 休業開始時賃金月額 上限額 | 483,300円 | 496,200円 |
| 休業開始時賃金月額 下限額 | 90,420円 | 96,090円 |
| 休業開始時賃金日額 上限額 | 16,110円 | 16,540円 |
| 休業開始時賃金日額 下限額 | 3,014円 | 3,203円 |
上限額が適用されるのは月収いくらから?
育児休業給付金が上限額でストップするのは、育休前6か月の平均月収がおおむね49万6,200円以上の場合です。改定前は48万3,300円だったため、上限に到達するラインが約1万3,000円引き上がった形になります。
つまり、月収が49万6,200円を超える方は、実際の収入がいくら高くても給付額は月332,454円(給付率67%)が頭打ちとなります。逆に、月収がこのラインを下回る方は、収入に応じてそのまま67%や50%が計算されるため、今回の改定による影響はありません。
ご自身の月収から具体的な支給額を知りたい方は、月収別の早見表と計算ツールを紹介した以下の記事もあわせてご覧ください。
育児休業給付金の支給率は67%と50%|いつ切り替わる?
育児休業給付金の支給率は、育児休業開始から180日目までが休業前賃金の67%、181日目以降が50%です。180日という区切りは暦上の6か月ではなく、育児休業を開始した日から数えた通算日数で判定されます。
計算式は以下のとおりです。
休業開始時賃金日額 × 支給日数 × 67%
【育児休業開始から181日目以降】
休業開始時賃金日額 × 支給日数 × 50%
なお、父母が交互に育休を取得した場合、67%が適用される180日は父母それぞれで別々にカウントされます。夫婦で分担して取得すれば、67%の期間をより長く活用できる仕組みです。
育児休業給付金の支給下限額はいくら?
休業開始時賃金月額の下限額96,090円(日額3,203円)をもとに計算すると、支給日数30日の場合の支給下限額は給付率67%で64,380円、給付率50%で48,045円となります。改定前はそれぞれ60,581円・45,210円でした。
| 給付率 | 支給上限額(30日) | 支給下限額(30日) |
|---|---|---|
| 67%(育休開始〜180日目) | 332,454円 | 64,380円 |
| 50%(育休開始181日目以降) | 248,100円 | 48,045円 |
支給下限額は、育児休業期間中に事業主から賃金が支払われなかった場合の額です。育休中に会社から一定の賃金が支払われた場合は、その分が調整され、上記の下限額を下回ることもあります。
出生後休業支援給付金の上限額も60,205円に|給付率80%で手取り10割相当
出生後休業支援給付金の支給上限額は、令和8年8月1日から58,640円から60,205円へ引き上げられました(28日間支給された場合)。
出生後休業支援給付金は、2025年4月に創設された上乗せ給付です。出生直後の一定期間に両親ともに14日以上の育児休業を取得すると、最大28日間、休業前賃金の13%分が加算され、育児休業給付金の67%とあわせて合計最大80%になります。育児休業中は健康保険料・厚生年金保険料が免除されるため、実質的に休業前の手取り10割相当を受け取れる計算です。
支給を受けるには、以下の要件を満たす必要があります。
■被保険者とその配偶者の両方が14日以上の育児休業を取得すること
※配偶者が専業主婦(夫)の場合やひとり親の場合は、配偶者の育児休業取得は要件となりません
産後パパ育休(出生時育児休業)を取得した場合に支給される出生時育児休業給付金についても、支給上限額が302,223円から310,290円へ改定されています。制度の詳細は以下の記事で解説しています。
育児時短就業給付金の支給限度額は484,121円に引き上げ
育児時短就業給付金の支給限度額は、令和8年8月1日から471,393円から484,121円へ、最低限度額は2,411円から2,562円へ引き上げられました。
育児時短就業給付金は、2025年4月に創設された制度で、育休から復帰したあとに時短勤務等で労働時間を短縮した場合、子どもが2歳になるまで各月の賃金の10%相当を受け取れます。時短勤務による収入減をカバーする給付金です。
育児時短就業中の各月に支払われた賃金額 × 10%
対象となるのは、2歳未満の子を養育するために所定労働時間を短縮して就業する雇用保険の被保険者です。育児休業給付の対象となる育休から引き続き育児時短就業を開始した方、または育児時短就業開始日前2年間に賃金支払基礎日数11日以上の完全月が12か月ある方が該当します。
ただし、支給対象月に支払われた賃金額が484,121円以上の場合や、算定された支給額が2,562円を超えない場合は支給されません(令和8年8月1日以後の支給対象期間)。
育児休業給付金をもらえる条件は?パート・派遣でも対象になる?
育児休業給付金は、雇用保険に加入していればパート・派遣社員・契約社員でも受け取れます。男女を問わず対象となり、夫が会社員で妻が専業主婦というケースでも支給されます。具体的な要件は次の3つです。
②休業開始日前2年間に、賃金支払基礎日数が11日以上ある月が12か月以上あること
③一支給単位期間中の就業日数が10日以下であること(10日を超える場合は就業時間数が80時間以下であること)
②の賃金支払基礎日数とは、賃金を支払う対象となった日を指します。時短勤務の方やパートの方、2人目の出産で前回の育休から間が空いていない方は、この要件を満たさない場合があるため注意が必要です。
③の一支給単位期間とは、育児休業を開始した日から起算した1か月ごとの期間を指します。育休中に働くこと自体は禁止されていませんが、就業日数が10日を超える(かつ就業時間が80時間を超える)と、その期間の給付金は支給されません。
育児休業給付金はいつからいつまでもらえる?最長2歳まで延長も
育児休業給付金は、育児休業の開始とともに支給が始まり、原則として子が1歳になるまで受け取れます。母親の場合は産後8週間が産後休業となり、その後の育児休業から支給対象です。父親は出産予定日または出産日から取得できます。

出典:育児休業等給付の内容と支給申請手続
「保育所等に申し込んだのに入所できない」など一定の要件を満たす場合は、1歳6か月、さらに最長2歳まで延長できます。ただし2025年4月から延長手続きが厳格化され、市区町村が発行する「保育所等の利用ができない旨の通知(入所保留通知書・入所不承諾通知書等)」の提出が必要です。速やかに復職する意思があることを確認する書類も求められます。
なお、育児休業は2回まで分割して取得できます。保育園の入園時期まで一時的に復帰し、再度休業するといった柔軟な使い方も可能です。
育児休業給付金の申請手続きと令和8年8月1日からの見直し
育児休業給付金の申請手続きは、原則として対象の労働者を雇用している事業主が、事業所の所在地を管轄するハローワークに対して行います。育休を取得する人は、母子健康手帳など妊娠・出産の事実がわかるものの写しを勤務先に提出します。被保険者本人が希望する場合は、本人が申請することも可能です。
申請に必要な書類は以下のとおりです。
| 区分 | 詳細 |
|---|---|
| 提出書類 | 雇用保険被保険者休業開始時賃金月額証明書/育児休業給付受給資格確認票・(初回)育児休業給付金支給申請書 |
| 添付書類 | 賃金台帳・労働者名簿など休業の開始終了日や賃金の額・支払状況を証明できるもの/母子健康手帳など育児の事実・出産予定日・出生日を確認できるもの |
厚生労働省は、事業所等の事務負担を軽減するため、令和8年8月1日から育児休業等給付の申請手続きの事務取扱いを見直しました。主な変更点は次の3つです。
②出生後休業支援給付金について、母親が申請する場合の配偶者の確認書類として、父親と同様に母子健康手帳の写し(出生済証明のページ)を提出できるように
③育児時短就業給付について、証明書様式の改訂や賃金証明書の記載省略など支給要件の確認方法を簡素化
①の見直しにより、休業終了後に次の給与支給日を待たずに申請できるようになり、給付金の振込までの期間が短縮されることが期待されます。給付金の内容や手続きについては、育児休業等給付コールセンター(0570-200-406、平日8時30分〜17時15分)でも相談できます。
育児休業給付金の上限額・支給額に関するよくある質問
育児休業給付金の上限額は令和8年8月1日からいくらですか。
支給日数30日の場合、給付率67%(育休開始〜180日目)の支給上限額は332,454円、給付率50%(181日目以降)の支給上限額は248,100円です。改定前はそれぞれ323,811円・241,650円でしたので、67%の上限額は8,643円引き上げられました。上限額は毎月勤労統計の平均定期給与額の増減をもとに毎年8月1日に見直されます。
すでに育休中ですが、上限額の引き上げは適用されますか。
適用されます。令和8年8月1日以後の支給対象期間から新しい上限額が使われます。受給者側で特別な手続きをする必要はなく、ハローワークが自動的に計算し直します。ただし上限額に達していない方は、もともと実際の賃金にもとづいて計算されているため、支給額は変わりません。
月収がいくらだと育児休業給付金の上限額になりますか。
育休前6か月の平均月収がおおむね49万6,200円以上の場合に上限額が適用されます。これは休業開始時賃金月額の上限額(496,200円、日額16,540円)に対応する金額です。改定前の483,300円から引き上げられました。これを超える収入がある方は、給付率67%で月332,454円が支給額の上限となります。
育児休業給付金の支給下限額はいくらですか。
休業開始時賃金月額の下限額96,090円(日額3,203円)をもとに計算すると、支給日数30日の場合で給付率67%なら64,380円、給付率50%なら48,045円です。改定前はそれぞれ60,581円・45,210円でした。なお育休中に会社から賃金が支払われた場合は調整が入り、この額を下回ることもあります。
育児休業給付金の支給率が67%から50%に変わるのはいつですか。
育児休業を開始した日から数えて181日目以降に50%へ切り替わります。暦上の6か月ではなく通算日数で判定される点に注意してください。また、父母が交互に育休を取得する場合、67%が適用される180日は父母それぞれで別々にカウントされます。
出生後休業支援給付金の上限額はいくらですか。
令和8年8月1日から、28日間支給された場合の上限額は60,205円です(改定前は58,640円)。両親ともに14日以上の育児休業を取得した場合に、最大28日間、休業前賃金の13%が上乗せされます。育児休業給付金の67%と合わせて最大80%となり、社会保険料の免除を踏まえると実質的に手取り10割相当になります。
育児休業給付金は課税されますか。
育児休業給付金は非課税です。所得税・住民税はかかりません。また育児休業中は健康保険料・厚生年金保険料も免除されます。このため、給付率67%であっても手取りベースでは育休前の約8割程度を受け取れる計算になります。
育児休業給付金は2歳まで延長できますか。
保育所等に入所できないなど一定の要件を満たす場合は、1歳6か月、さらに最長2歳まで延長できます。2025年4月から延長手続きが厳格化され、市区町村が発行する「保育所等の利用ができない旨の通知(入所保留通知書・入所不承諾通知書等)」の提出が必要です。書類は事業所の所在地を管轄するハローワークに提出します。
パート・派遣社員でも育児休業給付金はもらえますか。
雇用保険に加入していれば、パート・派遣社員・契約社員でも受け取れます。ただし休業開始日前2年間に賃金支払基礎日数が11日以上ある月が12か月以上あることが必要です。期間雇用者の場合は、育児休業期間中に労働契約が満了することが明らかでないことも要件となります。
育児休業給付金はいつ口座に振り込まれますか。
育児休業給付金支給決定通知書に記載された支給決定日から、おおむね1週間程度で指定口座に振り込まれます。初回の支給は育休開始から2〜3か月後になるのが一般的で、その後は2か月ごとに2か月分がまとめて支給されます。なお令和8年8月1日からの申請手続き見直しにより、出生時育児休業給付金については従来より早く申請できるようになりました。
まとめ
育児休業給付金の上限額は令和8年8月1日に改定され、給付率67%で月332,454円、給付率50%で月248,100円となりました。計算のもとになる休業開始時賃金日額の上限も16,540円に引き上げられ、上限額が適用されるのは月収49万6,200円以上の方です。
あわせて出生後休業支援給付金の上限額は60,205円、育児時短就業給付金の支給限度額は484,121円に引き上げられました。両親ともに14日以上の育休を取得すれば最大28日間は給付率80%となり、社会保険料の免除と合わせて実質的に手取り10割相当を受け取れます。
すでに育休中の方も、令和8年8月1日以後の支給対象期間から自動的に新しい額が適用されるため、手続きは不要です。申請は勤務先を通じてハローワークに行うのが原則ですが、不安がある場合は育児休業等給付コールセンター(0570-200-406)にも相談してみましょう。子育て世帯が使えるその他の支援制度は、以下の記事でまとめて紹介しています。
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