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農業者出産・育児期支援事業とは?妊娠・出産で農作業を休む間の代替人材雇用に東京都が最大100万円助成【2026】

公開日:2023/7/18 更新日:2026/8/7
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「妊娠中、農作業はいつまで続けられるのだろう」「出産や育児で休んだら、畑や経営が回らなくなるのでは」――農業に従事する方やそのご家族にとって、出産・育児期の労働力確保は切実な悩みです。特に家族経営が中心の東京の農業では、一人が休業するだけで事業規模の縮小を迫られるケースも少なくありません。

そこで活用したいのが、出産・育児等による休業期間中の代替人材雇用を支援する東京都の「農業者出産・育児期支援事業」です。代替人材の雇用にかかる経費の2分の1(1回の出産あたり上限100万円)が助成され、現在随時受付中です。

本記事では、令和7年4月1日の要綱改正を反映した最新の制度内容を、対象者・対象経費・申請の流れ・よくある質問まで詳しく解説します。安心して出産・育児に臨める環境づくりと、安定した農業経営の両立を目指す都内の農業者の方は、ぜひ参考にしてください。

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この記事の目次

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妊娠・出産・育児期の農業経営、労働力不足をどう乗り切る?

農作業には、重量物の運搬や長時間の立ち作業、炎天下での収穫作業など、身体への負担が大きい業務が数多くあります。妊娠中は体調に合わせて作業を制限したり、産前・産後は一定期間の休業が必要になったりするため、これまで通りの労働力を確保することは困難です。

東京の農業は家族経営が多く、担い手の約4割を女性農業者が占めています。かつては収穫や調整作業が中心だった女性農業者も、近年は自ら作付計画を立てて栽培・販売まで手がけるケースが増えており、経営の中核を担う存在です。その分、出産・育児期に休業した際の影響は大きく、労働力不足による経営の不安定化が懸念されてきました。

こうした課題への対応策のひとつが、「休業する本人の代わりに働く人材(代替人材)を雇用し、その経費の助成を受ける」という選択肢です。次章から、その仕組みである農業者出産・育児期支援事業を詳しく見ていきましょう。

農業者出産・育児期支援事業とは

農業者出産・育児期支援事業は、農業者が出産や育児等により就業困難になった場合に、休業期間中の業務を代替する人材の雇用等に必要な経費の一部を助成する制度です。東京都との契約に基づき、公益財団法人東京都農林水産振興財団が実施しています。

代替人材の確保を支援することで、農業者が安心して出産・育児できる環境を整備するとともに、農業経営体の安定的な農業生産の維持を目的としています。

なお、本事業の交付要綱は令和7年4月1日に一部改正されており、対象者の明確化や電子申請への対応などが行われています。本記事は改正後の最新情報に基づいて解説します。

支援対象者【令和7年改正対応】

支援対象者は、「申請できる人(申請者)」と「休業の対象となる人」に分けて確認しましょう。

申請できる人(申請者)

申請者となれるのは、農業生産による農畜産物の販売収入があり、以下のいずれかに該当する都内の農業事業体(農業者、農業法人等)の経営主です。

・認定農業者
・認定新規就農者
・家族経営協定を締結して経営上役割を持っている農業者

産休・育休を取得する本人が経営主である場合も申請できます。また、助成対象者は都内在住の方に限られますが、性別は問いません。男性農業者の育児休業も対象です。

休業の対象となる人

助成対象となる産休・育休を取得できるのは、申請者が経営する農業事業体において、一定の農業経営に従事(おおむね年間150日以上)していることが確認できる者です。

具体的には、申請者本人やその家族(構成員)のほか、正社員の雇用就農者も対象になります。ただし雇用就農者の場合は、正社員として期間の定めのない雇用契約を締結していることが要件です。

対象期間

対象期間の開始日と終了日は次のとおりです。

支援開始日出産予定日の6週間前
※双子以上の場合は14週間前、養子縁組等(里親制度による里親を含む)の場合はその開始日がわかる書類による
支援終了日支援対象児童が満1歳を迎える日の前日まで(原則)
※満1歳に達した後も保育園に入所できず子の養育が困難な場合は、満3歳を迎える日の前日まで延長可

支援対象経費

支援対象となる経費は次の①~③です。

支援対象経費
①代替人材の雇用に必要な下記の人件費等
・雇賃金・給与手当
・通勤手当(最も経済的・合理的な経路や方法、燃油代等を除く実費)
・労働災害保険料
・雇用保険料
・厚生年金並びに健康保険のうち使用者負担分
・労働安全衛生規則に基づいた必要な健康診断の経費等
②人材派遣に必要な経費
③その他知事が認めた経費
【注意事項】
・代替人材の雇用や人材派遣にあたっては書面契約が必要です。
・代替人材の労働時間は、1日8時間・週40時間が上限です。
・雇賃金等は、全国農業会議所「農作業料金・農業労賃に関する調査結果」における「農業臨時雇賃金・農作業一般・専門作業」の額が上限となります。
・賃金・給与等の支払いは振込に限られます。現金や現物支給は助成対象外となるため注意しましょう。

助成対象外経費

次のような経費は助成対象になりません。

・申請書に記載されていない経費
・書類不備で支払実績等が書面で確認できない場合
・賃金、給与等が振込以外で支払われている場合(現金、現物支給は対象外)
・所定労働時間を超過する時間外労働
・農業に直接関連のない業務への従事(家事手伝い、保育・福祉サービス等)
・代表者、役員、構成員の自らに対する報酬
・国や他機関からの人件費助成等の受給が、本助成と重複している場合
・間接経費(消費税、振込手数料、通信費、光熱水費等)
・提出書類の作成等、申請に必要な経費、会議費、消耗品等の事務的経費
・交付決定を受けた助成対象期間外に行われた契約や取引に関する経費
・その他、公的資金の用途として社会通念上不適切とみなされる経費

助成率・助成限度額

助成率と助成限度額は次のとおりです。

助成率助成対象経費の2分の1以内
助成限度額1回の出産あたり100万円
※養子縁組等の場合はこれに準ずる
※やむを得ない事情で満1歳以降に延長する場合は、満1歳以上は1年あたり100万円が上限

なお、助成対象額に千円未満の端数が生じる場合は切り捨てとなります。

助成額の計算例

たとえば、時給1,200円の農業アルバイトを1日8時間・週3日、6か月間(約26週)雇用した場合を考えてみましょう。

賃金総額1,200円×8時間×3日×26週=約748,800円
助成額748,800円×1/2=374,400円 → 374,000円(千円未満切り捨て)

このように、休業期間や雇用日数に応じて、上限100万円の範囲内で経費の半分の助成が受けられる計算になります。

なお、雇賃金には、全国農業会議所の調査結果をもとに上限が設けられています。具体的な上限額は、申請前に東京都農林水産振興財団へ確認してください。

申請方法・申請の流れ

申請にあたって特に重要なのがタイミングです。順番に確認していきましょう。

申請のタイミングに注意!雇用契約の前に申請を

本事業で最も注意したいのが申請のタイミングです。交付決定前に行われた雇用は助成対象外となるため、代替人材との雇用契約を結ぶ前に申請する必要があります。出産予定日が明らかになった時点で申請できるので、休業の見通しが立ったら早めに準備を始めましょう。

受付期間

現在、随時受付中です。本事業は基金事業のため、支援対象期間が翌年度にまたがる場合でも利用できます。

申請書類

申請書(交付要綱別記様式第1号)は公式ホームページからダウンロードできます。申請書には次のような内容を記載します。

申請書に記載する内容
助成金交付申請額
助成対象期間
助成金交付を受ける目的(出産・育児期支援を受けたい理由や状況等)
休業にかかる内容
予算計画
他の助成等の受給状況
申請者連絡先
農業経営の概要(営農類型、農業経営の規模・構成等)
代替人材雇用等の計画
【その他添付書類】
・雇用契約書(案)や見積書の写し等、経費の内訳・積算根拠が確認できる資料
・母子健康手帳の写し等、出産・育児期の該当要件を証明できる資料
・農業従事日数が年間150日以上であると確認できる資料
・支援対象児童の年齢が1歳を超える期間で申請する場合は、区市町村が発行する保育所入所不承諾通知書、利用調整結果通知書(保留)の写し等
・その他、財団が必要とみなす書類

なお、申請は代替人材との雇用契約を締結する前に行うため、申請時点の契約書は案の段階で構いません。申請様式でも、代替人材雇用等の計画はパート募集要項(案)、雇用契約書(案)、人材派遣契約書(案)等の資料に代えられるとされています。

また、令和7年の要綱改正により、交付申請や実績報告等の手続きは、財団が指定する電子情報処理組織(補助金申請システム)でも行えるようになりました。

公式ページを確認する

助成金の支払時期

助成金は、助成対象期間を6か月毎の期に区切り、各期の終了後に実績報告書を提出して、その都度支払われます。実績報告書の審査で助成額が確定した後、助成金交付請求書を提出すると支払いを受けられる流れです。

申請の撤回・変更について

交付決定の内容や条件に異議がある場合、申請を取り下げられる期間は、交付決定通知を受けた日から起算して14日を経過した日までです。

また、次のいずれかに該当する場合は、変更承認申請書を事前に提出して承認を受ける必要があります(軽微な変更を除く)。

・助成事業の内容に大きな変更がある
・助成事業者の住所、名称、代表者に変更がある
・助成対象期間を延長する

活用イメージ

制度の活用イメージを2つの想定ケースで紹介します。

ケース1:経営主本人が出産する場合

たとえば、野菜農家の経営主本人が出産する場合、出産予定日の6週間前から収穫・出荷作業が難しくなります。そこで事前に本事業へ申請し、交付決定後に農業アルバイトと雇用契約を締結すれば、休業期間中の作業を代替してもらいながら、支払った賃金の2分の1の助成が受けられます。経営規模を縮小することなく、安心して出産・育児に臨める使い方です。

ケース2:保育園に入園できず、育休を延長する場合

子どもが満1歳を迎えても保育園に入園できないケースでは、区市町村発行の入所不承諾通知書を添えて対象期間の延長を申請できます。入園できるまでの間、引き続き農業アルバイトによる代替(満1歳以降は年間100万円を上限)で農作業をカバーする、といった活用が可能です。

よくある質問

男性農業者の育休も対象になる?

対象になります。助成対象者は都内在住の方に限られますが、性別は問いません。

正社員の産休・育休も対象?

対象です。年間おおむね150日以上農業経営に従事し、正社員として期間の定めのない雇用契約を締結している雇用就農者の休業が対象になります。

いつから申請できる?

出産予定日が明らかになれば申請できます。交付決定前の雇用は助成対象外のため、必ず雇用契約前に申請してください。

助成金はいつ支払われる?

助成対象期間を6か月毎の期に区切り、各期終了後に実績報告を行うことで、その都度支払われます。

子どもが1歳を過ぎても延長できる?

保育園に入園できなかったことを証明する書類(入所不承諾通知書等)を添えて延長申請すれば、満3歳となる日の前日まで延長できます。満1歳以降は1年あたり100万円が上限です。


女性農業者・子育て農業者が使えるその他の支援制度

本事業は東京都内の農業者向けの制度ですが、出産・育児と仕事の両立を支援する制度は国にも用意されています。たとえば厚生労働省の「両立支援等助成金」には、育児休業の取得や職場復帰を支援するコースがあり、農業法人など労働者を雇用する事業主であれば活用できる場合があります。

また、女性農業者の活躍を後押しする取り組みとして、農林水産省の「農業女子プロジェクト」や、各自治体独自の就農支援・経営支援策もあります。自身の経営状況やライフステージに合わせて、複数の制度を比較検討してみましょう。

まとめ

農業者出産・育児期支援事業は、出産・育児期の労働力不足という農業経営の大きな課題に対し、代替人材の雇用経費を最大100万円まで助成する心強い制度です。現在随時受付中で、基金事業のため年度をまたぐ利用も可能です。

活用にあたって最も重要なポイントは、代替人材の雇用契約前に申請すること。交付決定前の雇用は助成対象外となるため、出産予定日がわかったら早めに財団へ相談しましょう。

出産・育児を経営縮小の理由にせず、次世代の担い手が安心して働き続けられる農業経営を実現するために、本事業の活用をぜひ検討してみてください。

〈お問い合わせ先〉
公益財団法人東京都農林水産振興財団 農業支援課 担い手支援係
TEL:042-528-1357

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