
令和7年度のエイジフレンドリー補助金は、高年齢労働者の労働災害防止を目的とした設備改善や専門家による指導に要する経費の一部を補助する制度です。本年度は制度が改編され、コースが4つとなりました。
今回は各コースの内容や対象事業者、補助率・上限額、申請方法など、エイジフレンドリー補助金の概要を詳しく解説します。
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この記事の目次
令和7年度エイジフレンドリー補助金とは
エイジフレンドリー補助金は、高年齢労働者の労働災害防止のための設備改善や専門家による指導を受けるための経費の一部を補助する制度です。
高年齢労働者の雇用状況や対策・取組の計画を審査の上、効果が期待できるものが対象となります。
令和7年度のコースは、以下の4つです。
(1) 総合対策コース | 労働安全衛生に係る専門家による、高年齢労働者の特性を考慮したリスクアセスメントの経費と、リスクの低減措置に要する経費を補助します。 |
(2) 職場環境改善コース | 高年齢労働者の身体機能の低下を補う設備・装置の導入その他の労働災害防止対策に要する経費を補助します。 また、熱中症予防対策として導入する装置も対象です(熱中症予防対策プラン)。 |
(3) 転倒防止・腰痛予防のための運動指導コース | 労働者の身体機能低下による転倒災害や腰痛災害を防止するため、専門家による身体機能のチェックや運動指導に要する経費を補助します。 |
(4) コラボヘルスコース | 医療保険者と事業者が積極的に連携し、労働者に対する健康づくりを効果的・効率的に実行する取組を補助します。事業主健診情報が、保険者に提供されていることが前提となります。 |
それぞれの概要は、以下の図も参照してください。
出典:「令和7年度エイジフレンドリー補助金」のご案内
なお助成金の交付は1年度につき1回までです。複数コースへの申請はできません。また、過去に補助を受けた対策への補助は受けられません。
それぞれ、詳しくみていきましょう。
令和7年度の変更点
令和7年度は、コースの変更がありました。主な変更点は、以下のとおりです。
コース内容の比較 | |
■令和6年度 | ・高年齢労働者の労働災害防止コース ・転倒防止や腰痛予防のためのスポーツ・運動指導コース ・コラボヘルスコース |
■令和7年度 | ・総合対策コース ・職場環境改善コース ・転倒防止・腰痛予 ・コラボヘルスコース |
活用できる取組が広がり、より幅広い職場改善が可能となりました。また、「職場環境改善コース」には「熱中症予防対策プラン」も新設されています。
対象事業者
コースごとの主な対象事業者は、以下のとおりです。
■共通 | ・中小企業事業者 ・1年以上事業を実施していること |
■総合対策コース■職場環境改善コース | ・役員を除き、労災保険適用の高年齢労働者が常時1名以上いること ・高年齢労働者が対策を行う作業に就いていること |
■転倒防止・腰痛予防のための運動指導コース ■コラボヘルスコース | ・役員を除き、労災保険適用の労働者が常時1名以上いること |
主な対象経費
各コースの主な対象経費は、以下のとおりです。
■総合対策コース | ・労働安全衛生の専門家によるリスクアセスメントに要する経費 ・リスクアセスメント結果を踏まえた、優先順位の高い労働災害防止対策に要する経費 |
■職場環境改善コース | ・高年齢労働者の身体機能の低下を補う設備、装置の導入 ・その他の労働災害防止対策に要する経費 ・熱中症予防対策に要する経費(熱中症予防プラン) |
■転倒防止・腰痛予防のための運動指導コース | 「労働者の転倒災害防止」または「労働者の腰痛災害の予防」のため、身体機能のチェックおよび運動指導を受けるための経費 |
■コラボヘルスコース | 労働者の健康保持増進のための取組に要する経費 |
それぞれ、対象の取組に必要なもののみに限られます。
対象の取組
補助の対象となる取組は、以下のとおりです。
■総合対策コース
・専門家による、高年齢労働者の労働災害の防止のためのリスクアセスメントを受ける
・上記のリスクアセスメント結果を踏まえた、優先順位の高い労働災害防止対策を事業者が実施する
それぞれで交付申請が必要です。なお、リスクアセスメントのみを実施した場合でも、補助の対象となります。
■職場環境改善コース
(1) 転倒・墜落災害防止対策
・作業場所の床や通路の滑り防止のための対策
・階段への手すりの設置
・高所作業台の導入 など
(2) 重量物取扱いや介護作業における労働災害防止対策
・不自然な作業姿勢を解消するための作業台等の設置
・重筋作業を補助するパワーアシストスーツの導入
・介護職員の身体負担軽減のため、介護技術を修得する教育の実施 など
(3) 熱中症防止対策(熱中症予防対策プラン)
・屋外作業等における体温を下げるための機能のある服やスポットクーラーの導入
・小型携帯機器(ウエアラブルデバイス)による健康管理システムの導入 など
(4) その他の高年齢労働者の労働災害防止対策
・業務用車両への踏み間違い防止装置の導入 など
■転倒防止・腰痛予防のための運動指導コース
(1) 専門家を事業場に招き、対象労働者に対する身体機能のチェック評価を受ける
(2) チェックの結果に基づき、専門家が運動指導を実施する
(3) 効果の確認のため、専門家によるチェックを受ける
■コラボヘルスコース
(1) 健康教育・研修等
健康診断結果等を踏まえた禁煙指導、メンタルヘルス対策等の健康教育、研修 など
(2) システムの導入
健康診断結果等を電磁的に保存・管理し、コラボヘルスを推進するためのシステムの導入
(3) 栄養・保健指導
栄養指導、保健指導等の労働者への健康保持増進措置
なお「総合対策コース」「職場環境改善コース」は60歳以上の労働者、「転倒防止・腰痛予防のための運動指導コース」「コラボヘルスコース」はすべての労働者が対象です。
補助率・上限額
補助率と上限額は、以下のとおりです。
補助率・上限額 | |
■総合対策コース | ・補助率 4/5 ・上限額 100万円 |
■職場環境改善コース | ・補助率 1/2 ・上限額 100万円 |
■転倒防止・腰痛予防のための運動指導コース | ・補助率 3/4 ・上限額 100万円 |
■コラボヘルスコース | ・補助率 3/4 ・上限額 30万円 |
なお予算額は、コースごとに定められています。
エイジフレンドリー補助金の申請方法
エイジフレンドリー補助金では、「総合対策コース」と「職場環境改善コース」「転倒防止・腰痛予防のための運動指導コース」「コラボヘルスコース」の申請の流れが異なります。それぞれ大まかな流れは、以下のとおりです。■総合対策コースの申請の流れ (1) 交付申請 (2) 審査 (3) 交付決定 (4) リスクアセスメント実施 (5) 実施結果報告書を取得 (6) 交付申請書類提出 (7) 審査 (8) 交付決定 (9) 事業開始 (10) 事業完了後、支払請求書類提出 (11) 補助金交付 |
■職場環境改善コース ■転倒防止・腰痛予防のための運動指導コース ■コラボヘルスコース の申請の流れ (1) 交付申請 (2) 審査 (3) 交付決定 (4) 事業開始 (5) 事業完了後、支払請求書類提出 (6) 補助金交付 |
そのほか、申請期間や方法をまとめました。
申請受付期間と申請方法
令和7年(2025年)5月15日(木)から10月31日(金)まで
ただし予算額に達した場合は、受付期間の途中に申請受付を終了することがあります。
【申請方法】
申請書類は、郵送または宅配便で送付します。メール等は使用できませんので、注意して下さい。
【必要な書類】
すべてのコースで提出が必要な主な書類は、以下のとおりです。
- 令和7年度エイジフレンドリー間接補助金交付申請書
- 間接補助金の対象となる安全衛生対策等の実施計画書
- 誓約及び申立書
- 高年齢労働者名簿
- 対象経費内訳書
- 労働保険申告書
- 労働保険料領収書
- 見積書
そのほか、コースごとに必要な書類が指定されています。
よくある質問
厚生労働省のサイトでは、よくある質問と回答が公開されています。ここではそのうち、主なものをみていきましょう。
Q1.年間を通じた専門家の指導には、補助は受けられますか
A1. 本補助金の交付対象は、交付決定後から令和8年1月31日までに実施・支払いが済まされているものとなります。最終締切日を超えて引き続き実施される取組については、補助金の交付はできません。
Q2. 資本金または出資がいずれもない社会福祉法人や医療法人は、対象となりますか
A2. 資本金・出資のない場合、常時使用する労働者数が、法人全体で100人以下であることが要件です。
Q3. 不交付とされた取組を、別のコースで再度申請することはできますか。
A3. 申請できます。
まとめ
令和7年度エイジフレンドリー補助金は、高年齢労働者の安全で健康的な職場環境整備を支援する重要な制度です。令和7年度は「総合対策コース」「職場環境改善コース」「転倒防止・腰痛予防のための運動指導コース」「コラボヘルスコース」の4つのコースが設けられました。申請は郵送、または宅配便のみです。
少子高齢化が進む昨今、働く意欲のある高齢者も増えています。働きたい人が、できるだけ長く働けるよう環境を整備することは、企業にとってもメリットの多い取組です。支援策を上手に活用し、職場環境を整えていきましょう。
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