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令和5年度 デジタル田園都市国家構想 デジタル人材育成などの予算はどうなる?

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デジタル田園都市国家構想とは、デジタル技術の活用によって地方が抱える課題の解決を図り、活性化を推進する取り組みを指します。東京への人材流出など、多くの課題を抱える地方をサポートすることで、日本全体の底上げを図ることが期待できるでしょう。

今回の記事では、デジタル田園都市国家構想の概要やデジタル人材など人材の育成・確保について解説します。

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この記事の目次

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デジタル田園都市国家構想を簡単にいうと

地方が抱える課題としては、過疎化、人口減少、地域産業の空洞化、少子高齢化などがあります。デジタル田園都市国家構想とは、地方が抱えるさまざまな課題に対してデジタル技術を活用することで、地方活性化を図る取り組みを指します。

地方における仕事づくりとデジタル人材など人材の育成・確保について

なぜ「地方における仕事づくり」が重要であると言われているのでしょうか?それは、地方から東京への人材流出が原因のひとつとなっています。

総務省が発表した2022年の調査によると、東京都は転入過多(転入者が転出者を上回る状態)になっており、超過幅は「38,023人」という結果になりました。東京以外の3県(埼玉・千葉・神奈川)も転入過多の状態になっています。

一方で、一都三県以外のほぼすべての県では、転出者の数が上回っています。テレワークの普及により、一時は東京への流入は減少していましたが、出社に戻す企業も増えたことで「地方への転入」は再び減っている状態です。

こうした状態が続けば、ますます地方の人材は減少し、仕事に従事する人数も減るでしょう。地方から東京への人材流出を防ぐ方法はいくつかありますが、ひとつの方向性として「地方で仕事を生み出す」ということも重要です。

デジタル田園都市国家構想では、具体的に以下のような施策を実施することで、地方に仕事を作ろうと目指しています。

  • スタートアップ・エコシステムの確立
  • 中小・中堅企業のDX推進
  • スマート農林水産業・食品産業との連携強化等の推進
  • 観光のDX推進
  • 地方大学を核としたイノベーション創出

上記のような施策の実施には「デジタル人材」の確保が必須です。デジタル人材とは、専門的なデジタル知識や能力を持つ人のことです。内閣府は2026年度までに、デジタル人材を230万人育成して、地域の課題解決を牽引できる人物を世の中に生み出すことを目指しています。

【デジタル人材創出に向けて実際されている施策例】

  • デジタルスキル標準(ビジネスパーソン共通で必要な学びの指針となるDXリテラシー標準等)
  • デジタルスキル標準に紐づける形での教育コンテンツ(民間事業者や大学等が提供するもの)の整備
  • 地方におけるDX促進活動支援(企業のDXに必要なデジタル人材確保に向けた学びの場等の提供)

とはいえ、実は、デジタル人材不足が迫っているというのが現状です。

2022年2月に発表された調査によると、国内事業会社の9割近くが「IT人材が不足している」と回答する結果になりました。また、全国のIT技術者のうち「58.1%」が東京圏に集中しているという状態にもあり、地方で活躍するデジタル人材の確保は、日本にとって急務と言えるでしょう。

今回は、令和5年度予算の要求の中から「地方における仕事づくりとデジタル人材などの育成・確保」について解説します。「地方における仕事づくりとデジタル人材などの育成・確保」で主に実施される施策は、下記の5つです。

1.地方創生テレワーク推進事業
2.「デジタル人材地域還流戦略パッケージ」関連事業
3.地方創生カレッジ事業
4.地域経済分析システム(RESAS)による地方版総合戦略支援事業
5.地域の担い手展開推進事業

一つずつみていきましょう。

1.地方創生テレワーク推進事業

地方創生テレワーク推進事業とは、転職なき移住(東京圏の企業に勤めたまま地方に移住すること)などを活用して、地方への人材流入を推進するための施策を指します。令和5年度の予算要求額は「2億円」です。

地方公共団体や企業等に対する情報提供や相談対応などを実施し、自己宣言・表彰制度を通じて地方創生テレワークに取り組む企業を一層拡大することが目的です。また、地方創生テレワーク推進事業では、過去の事例をもとに重要ポイントを整理して、さまざまな形で提供することも目的としています。

実際、過去には以下のような地方創生テレワークの事例がありました。

【山梨県の事例】
山梨県はもともと別荘地が多く、東京から近いこともあり、東京圏在住者が週末に訪問する機会が多い場所でした。さらに、テレワークの普及によって「平日は山梨で仕事・必要に応じ東京に戻る」という個人が増えたことに着目。企業へのアプローチを積極的に実施することで、二拠点居住の推進を図っています。

具体的な取り組みは以下の通りです。

  • ワーケーションツアーの実施
  • 山梨県二拠点居住推進センターの設置
  • 山梨県内の企業と東京の企業の担当者同士をつなげるコーディネーターの育成

2.「デジタル人材地域還流戦略パッケージ」関連事業

「デジタル人材地域還流戦略パッケージ」関連事業とは、主に以下2つの事業を指します。

(1)企業人材等の地域展開促進事業
企業人材等の地域展開促進事業とは、以下A・Bの2つを軸に稼働している事業です。令和5年度の予算要求額は「1.7億円」です。

A:プロフェッショナル人材事業
46道府県に「プロフェッショナル人材戦略拠点」を設置し、潜在成長力のある地域企業に対して、経営戦略の策定支援やプロフェッショナル人材の活用支援を行います。

また、地域金融機関との連携強化に加え、ベンチャーキャピタル等との協力を促進することで、スタートアップを含む幅広い地域企業の経営課題解決に必要な、デジタル人材等のマッチングもサポートします。ちなみに「プロフェッショナル人材」とは、地域企業の経営者の右腕として、新商品やサービスの開発、販売の開拓、生産性向上などに取り組み、企業の成長戦略を具現化できる人材を指します。

B:地方創生人材支援制度
デジタル実装等、地域課題の解決に向けた派遣者の取り組みを推進するため、派遣者サポートおよび横連携や情報発信の強化を実施します。

(2)DX地域活性化推進事業
DX地域活性化推進事業とは、地域のDX人材育成を図るための事業を指します。予算要求額は「1.3億円」です。

デジタルの力を使った地域課題解決を加速しつつ地域のDX人材育成を図るため、自治体のニーズ等に合わせて「DXチーム(異なるスキル・経験・属性の専門人材を掛け合わせたチーム)」を作り、地域へ派遣することでモデル実証を行います。

3.地方創生カレッジ事業

地方創生カレッジ事業とは、デジタル人材を含めた地方創生に必要な人材の育成・確保に向けて、eラーニング等による実践的知識を提供する施策を指します。予算要求額は「2.2億円」です。

地方創生カレッジは内閣府主導のもと運営されており、2023年現在では約190講座を受講できます。受講者数は38,000人を突破しており、住んでいる場所を問わず、地方創生に必要な知識の指導に成功しています。

eラーニングによる講座だけでなく、専用掲示板も利用可能です。掲示板では、地方創生に関する質問はもちろん、全国のイベントや観光情報も掲載されています。

4.地域経済分析システム(RESAS)による地方版総合戦略支援事業

そもそも地域経済分析システム(RESAS)とは、地方自治体による地方版総合戦略の策定や地方創生の推進に向けた取り組み等を「情報面」で支援するシステムのことです。RESASの活用によって、地域経済に関する官民のビッグデータを活用し、地域の特性や課題をわかりやすく「見える化」できます。

本事業では、このRESASを活用したデータに基づく政策立案や、経営判断を行うデジタル人材の育成・確保をサポートしてくれます。予算要求額は「1.4億円」です。

地域の課題に対応したデータを活用することで、ビッグデータ活用のモデルケースを提供し、デジタル田園都市実現に向けた地域の効果的な取り組みを促進することが期待できます。

5.地域の担い手展開推進事業

地域の担い手展開推進事業とは、地域資源を活かして「地域の稼ぐ力」を高めるために実施する取り組みを指します。予算要求額は「2,000万円」です。

地域商社やNPO、住民などとの連携強化を図るために、「地域商社ネットワーク」の運営やデジタル技術活用も含めた人材育成、ノウハウ共有等を行い、地域商社等の市場変化への対応力を含めた稼ぐ力の向上を支援します。

まとめ

デジタル田園都市国家構想は、地方に仕事を生み出し、地域活性化を推進するために実施されている取り組みです。企業は、自社の目的に合った事業が行われているかを確認してみましょう。

例えば「DX化を推進したい地方の中小企業」であれば、地方創生テレワーク推進事業やプロフェッショナル人材事業を活用できるでしょう。

予算額は限られているので、自社で取り組みたい施策に近しい分野のサポートがあれば、是非とも導入を検討してみてください。

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