誰もが一度は聞いたことがある地球温暖化問題、その対策の動きは世界規模で大幅に進んでいます。新型コロナウイルスの影響でCO2排出量は減少していますが、排出量のリバウンドを回避するための施策が今後大きな焦点になっていきます。
今回ご紹介する「グリーンリカバリーの実現に向けた中小企業等のCO2削減比例型設備導入支援事業」は、CO2削減に取り組む中小企業等に向けた省CO2型設備導入を支援するものです。
▼▼▼日々配信中!無料メルマガ登録はこちら▼▼▼
メルマガ会員登録する
この記事の目次
グリーンリカバリーの実現に向けた中小企業等のCO2削減比例型設備導入支援事業とは?
環境省では、国家の重要戦略ともなってくる脱炭素化への対応策として、「グリーンリカバリーの実現に向けた中小企業等のCO2削減比例型設備導入支援事業(令和3年度補正予算:30億円)」を、中小企業等の脱炭素設備投資を促進するための補助制度として設けることとなりました。この事業ではCO2削減量に比例した導入支援を行い、コロナ後のCO2排出量のリバウンドを回避しつつ、グリーンリカバリー(持続可能で脱炭素な⽅向の復興)の実現を目的としています。
今回の事業では、⼀般財団法⼈環境イノベーション情報機構(以下、「機構」という。)を執行団体とし、⼯場・事業場の脱炭素化に向けた取り組みを進めている中⼩企業等に対し、CO2排出削減余地の診断を行い、その結果を基にCO2削減量に応じて設備導入の費用補助を行います。
【事業スキーム】
本事業は「診断事業」「導入事業」の2種類の取組みで構成されます。
診断事業
事業所のCO2排出削減余地の事前診断を新たに実施する際の費⽤補助を行います。
※事後に省CO2型設備導入を前提とします。
導入事業
診断済み、あるいは新たに診断した結果を基に省CO2型の設備導⼊を図る際の費⽤補助を⾏います。
補助対象事業者
以下の要件を全て満たすものが、本補助金の事業対象者となります。
- 民間企業、社会福祉法人、医療法人、学校法人、協同組合、一般社団・財団、公益社団・財団等のいずれかであること。
- 補助事業を的確に遂⾏するのに必要な費⽤の経理的基礎を有すること。
- 直近2期の決算において連続の債務超過がなく、適切な管理体制・能力があること。
- 日本国内において補助対象施設・設備の所有者であること。
※診断事業にあたっては、令和元年度(2019年度)の年間CO2排出量が50t以上3000t未満の事業所を保有する者であること。
※設備の所有者と施設の所有者が異なる場合は共同で応募すること。
補助対象事業
対象事業の主な要件は以下のとおりです。
診断事業
- 令和4年7⽉29⽇までに環境省が指定する診断機関による診断を完了し、その診断結果に基づいて本事業の導⼊事業の2次公募に応募すること。
導入事業
- 導入する設備は未使用品であり、既存設備と併用しないこと。
- 導入後の設備が基準年度(2019年度)の年間CO2排出量より少ないこと、また既存設備の出力と同等以下であること。
- 補助事業の投資回収年数が3年以上であること。
※投資回収年数の定義
◆[投資回収年数]=[総事業費]/[年間のランニングコスト削減額]
複数設備で応募する場合は設備ごとではなく、事業全体で評価されます。
補助対象設備
対象とする機器・設備は、次の16の分類に属するものとします。
- 空調システム(換気設備含む)
- 蒸気システム
- 冷却⽔システム
- 圧空システム
- 照明設備
- 受変電・配電設備
- 電動機・ポンプ・ファン
- ⼯業炉
- 冷凍・冷蔵設備
- 排⽔処理設備
- 昇降設備
- 給湯設備
- 発電設備
- ⽔利⽤設備
- エネルギー管理設備(他設備とあわせて導入)
- その他機構が認めるもの
※LED照明設備を導入する場合は法定耐用年数期間で全CO2削減量の1/2以下の分のみが補助対象となります。
CO2排出量・削減量の算定方法
CO2排出量の算定は、重油や電気や熱といった、エネルギーの使用に伴って排出される「エネルギー起源CO2排出量」が対象となります。
◆「年間CO2排出量」=「年間エネルギー使用量」✕「排出係数」
◆「年間CO2削減量」=「設備導⼊前(2019年)の年間CO2排出量」-「設備導⼊後の年間CO2排出量」
※排出係数:電気の供給1kWhあたりどれだけのCO2を排出しているかを示す数値
対象経費
診断事業
事業を⾏うために必要な委託料及びその他必要な経費で機構が承認した経費が対象となります。
導入事業
省CO2型設備等導事業を行うために必要な以下の経費が対象となります。
【補助対象外経費の一部例】
- 交付決定前に発生した経費
- 既存設備を更新して新設時の状態に戻すような「単なる機能回復」に係る経費
- 既存設備の撤去・移設・廃棄費
補助率、上限額
診断事業
- 上限額:50万円
導入事業
- 上限額:5,000万円
- 以下の2つの計算式で算出される金額のうち、いずれか低い額となります。
①「年間CO2削減量」✕「法定耐⽤年数」✕「5,000円/t-CO2」(円)※
②「補助対象経費」✕ 1/2(円)
※中⼩企業等、省CO2型換気設備(⾼機能換気設備)を導⼊する者、グリーン冷媒(ノンフロン)使⽤設備を導⼊する者は、①の[5,000 円/t-CO2]を[7,700 円/t-CO2]に読み替えてください。
診断事業・導入事業で、同一法人・団体が複数の事業所に応募する場合は、5事業所まで応募可能。複数の事です業所で応募する場合は、事業所別の申請となります。
申請方法
事業の流れは、それぞれ以下のとおりです。
診断事業
①診断機関選定
②応募申請
③採択通知
④診断機関との契約の締結
⑤完了実績報告書
⑥導入事業2次応募申請
⑦清算払請求
⑧補助金交付
導入事業
①応募申請
②採択通知
③交付申請
④交付決定
⑤工事業者との契約
⑥工程表提出
⑦完了実績報告書
⑧交付額決定
⑨清算払請求
⑩補助金交付
⑪事業報告書提出
公募期間
診断事業
令和4年3月25⽇(⾦)〜令和4年5⽉6⽇(⾦)17時必着
※先着順にて採択し、約300件に達した時点で終了となります。診断事業へ応募される事業者は、診断結果に基づいた導⼊事業2次公募への応募が必須となります。
導入事業
1次︓令和4年3⽉25⽇(⾦)〜令和4年4⽉22⽇(⾦)17時必着
2次︓令和4年7⽉8⽇(⾦)〜令和4年8⽉5⽇(⾦)17時必着
必要書類
診断事業
- 交付申請書
- 実施計画書
- 要件確認票
- 経理的基礎の確認
- ⼯場・事業場の基準年度におけるエネルギー起源CO2排出量
- 経費内訳
- 補助事業に係る消費税仕⼊税額控除の取り扱いチェックリスト
- 暴⼒団排除に関する誓約事項
導入事業
- 応募申請書
- 実施計画書
- 要件確認表
- 経理的基礎の確認
- ⼯場・事業場の基準年度におけるエネルギー起源CO2排出量
- 主要機器とエネルギーフロー図
- 申請排出削減量・申請排出削減率
- 個票(設備導⼊対策⽤)
- 活動種別と単価
- 事業の実施スケジュール
- 経費内訳
- 経費内訳表
- 資⾦計画表
- 「ファイナンスリース契約」の料⾦の設定根拠
- 補助事業に係る消費税仕⼊税額控除の取り扱いチェックリスト
- 暴⼒団排除に関する誓約事項
申請方法
応募様式を機構のWebページからダウンロードし、添付資料とともに書留郵便や宅配便等の配達記録が残る⽅法で期日までに下記提出先へ送付してください。
【提出先】
⼀般財団法⼈環境イノベーション情報機構
「グリーンリカバリーの実現に向けた中⼩企業等のCO2削減⽐例型設備導⼊⽀援事業」担当宛
〒101-0042 東京都千代⽥区神⽥東松下町38⿃本鋼業ビル3階
グリーンリカバリーの実現に向けた中⼩企業等のCO2削減⽐例型設備導⼊⽀援事の活用イメージ
本補助金は例えば、飲食店様の空調機、冷蔵庫などの厨房機器の入替えにも役立てることが可能です。現在、ロシアによるウクライナ侵攻の影響で、電気料金などが高騰しています。今回の補助金を使うことでよりエネルギー消費量の少ない効率的な設備を導入することが可能です。
参考:日本経済新聞 電気料金上昇、夏も続く ウクライナ侵攻でLNG高騰
まとめ
今回の補助金は中小企業等に向けて省CO2型設備への投資を支援するもので、企業側にとっても新しい設備に切り替える機会となり得ます。
前項にも記述した通り、電気料金などは今後更に高騰する見込みもあり、できるだけエネルギー効率の良い設備に切り替えることで長期的には経費を抑えることもできるでしょう。
設備の更新などをお考えの企業・団体様は、この機会に省CO2型設備への置き換えを検討してみてはいかがでしょうか?