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原材料費高騰を受けている事業所へ業務改善助成金(特例コース)を紹介

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業務改善助成金の特例コースは、生産性向上に取り組む中小企業を支援するために運用されている助成金制度です。一度申請を締め切っていましたが、令和4年9月1日から受付が再開されています。特例コースでは、助成対象事業者の拡充や助成率の引き上げなども行われており、今後生産性向上に向けた取り組みを推進したい事業所にとっては、ぜひチェックしておきたいところです。

今回の記事では、業務改善助成金(特例コース)の拡充ポイントや具体的な要件などを解説します。賃上げ対象期間の延長は令和4年12月31日までのため、年内に間に合わせたい事業者はこれを機に要項などを確認しておきましょう。

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この記事の目次

業務改善助成金(特例コース)とは

「業務改善助成金」とは、生産性向上に取り組む中小企業を支援するために運用されている制度です。生産性向上につながる施策(機械設備の導入や従業員への人材育成など)を実施したうえで事業場内の最低賃金を一定額以上引き上げた事業所に対し助成します。

特例コースでは、助成金対象者事業者に「原材料費の高騰などで利益率が5%ポイント以上低下した事業者」などが追加され、申請期限も延長されたことで従来よりも幅広い事業者が活用できるようになりました。

業務改善助成金(特例コース)拡充のポイントは

業務改善助成金(特例コース)における拡充のポイントは主に以下の5点です。

(1)申請期限の延長
変更前:令和4年7月29日まで
変更後:令和5年1月31日まで

申請日までに賃金の引き上げを完了している必要があります。

(2)賃上げ対象期間の延長
変更前:令和3年7月16日から令和3年12月31日まで
変更後:令和3年7月16日から令和4年12月31日まで

賃金引き上げ額が30円に満たない場合でも、申請時に遡り追加で引き上げを行うことで差額が支払われた場合は「30円以上の引き上げがされた」として取り扱います。

(3)助成対象事業者の拡大
助成対象事業者として以下が追加されます。
原材料費の高騰などの社会的・経済的環境変化等外的要因により、利益率(*1)が前年同月に比べ5%ポイント以上低下した事業者
*1:売上高総利益率または売上高営業利益率(令和3年4月から令和4年12月のうち、任意の1ヶ月の総利益または営業利益の金額を売上高で除した率)

(4)売上高等の比較対象期間の見直し
売上高等が30%以上減少した事業者の「売上高等の比較対象期間」を、「2年前まで→3年前まで」に変更します。
見直し前:令和3年4月から令和3年12月まで
見直し後:令和3年4月から令和4年12月まで

(5)助成率の引き上げ
変更前:一律3/4
変更後:事業場内最低賃金額が920円未満の事業者は4/5

業務改善助成金(特例コース)の要件

上記も含め、改めて業務改善助成金(特例コース)の要件をチェックしておきましょう。

【対象事業者】
以下、1・2の両方を満たす事業者が助成対象となります。

1:以下、「ア」あるいは「イ」のいずれかの要件を満たしている。
ア:新型コロナウイルス感染症の影響により、売上高または生産量等を示す指標の、令和3年4月から令和4年12月までの間の連続した任意の3ヶ月間の平均値が前年、前々年あるいは3年前の同時期に比べ、30%以上減少している
イ:原材料費の高騰など社会的・経済的環境の変化等の外的要因により、令和3年4月から令和4年12月のうち、任意の1ヶ月における利益率(売上高総利益率または売上高営業利益率)が、前年同月に比べ5%ポイント以上低下している

2:令和3年7月16日から令和4年12月末までの間に、事業場内最低賃金を30円以上引き上げている。ただし、引き上げ前の事業場内最低賃金と地域別最低賃金の差額が「30円以内の事業場」に限る。また、申請日までに引き上げを完了し、引き上げ賃金を労働者に支払う必要がある。

【支給要件】
1:就業規則等で引き上げ後の賃金額を、事業場の労働者の下限賃金額とすることを定めている。就業規則等がない場合は、「労働者の下限の賃金額についての申出書」の提出でも認められる。
2:引き上げ後の賃金額を支払う。
3:生産性向上に必要な機器・設備やコンサルティングの導入、人材育成・教育訓練を実施することで業務改善を行い、施策に必要な各種費用を支払う。生産性向上に必要な設備投資等を行う取り組みに関連する費用として、業務改善計画に計上された「関連する経費」がある場合は、その費用も支払う必要がある。
4:解雇、賃金引き下げ等の不交付事由がない など

【助成額、助成率】
助成額:最大100万円(対象経費の合計額×助成率)※助成額の上限については、賃金額を引き上げる労働者数に応じて異なります。

引き上げる労働者数 助成額の上限
1人 30万円
2~3人 50万円
4~6人 70万円
7人以上 100万円

助成率:事業場内の最低賃金により異なります。

最低賃金 助成率
920円未満 4/5
920円以上 3/4

【助成対象経費】
原則として、以下に該当する経費が助成対象となります。

該当する経費の種別 具体例
生産性向上等に必要な設備投資等 ・機械設備(PCやスマホ、タブレットの新規購入、乗車定員7人以上または車両本体価格200万円以下の自動車なども対象)
・コンサルティング導入
・人材育成・教育訓練など
業務改善計画に計上された関連する経費 ・広告宣伝費
・汎用事務機器
・事務室の拡大
・机や椅子の増設など

「業務改善計画に計上された関連する経費」については、以下の点にご注意ください。
・生産性向上に必要な設備投資等を行う取り組みに関連する費用について、業務改善計画に計上されたものに限り対象となります。
・生産性向上に必要な設備投資等の額を上回らない範囲に限られれます。
・関連する経費であっても、事務所借料や光熱費、賃金、交際費、消耗品などは助成対象になりません。

助成金を不正受給したらどうなる?

経営状態が厳しい中小企業にとって、助成金制度は大変ありがたいものです。しかし便利である反面、不正受給によって利益を得ようとする企業も少なからず存在します。

もしも助成金の不正受給が行われた場合、以下のような罰則が与えられます。また、悪質なものは刑法第246条の詐欺罪が適用される可能性があります。

・事案に応じた事業者の名称公表
・不正受給により返還を求められた額+不正受給により返還を求められた額の20%に相当する額+延滞金(不正受給の日の翌日から納付の日まで年3%の割合で算定)の合計額が請求される
・雇用関係助成金の5年間の不支給措置

不正受給の意図がなくても、結果的に不正受給と認定される場合もあります。申請書類には事実を記載し、提出前の確認を徹底しましょう。

業務改善助成金(特例コース)申請の流れ

業務改善助成金(特例コース)は以下の流れで申請しましょう。

1.助成金交付申請書を提出する
業務改善計画(設備投資などの実施計画)を記載した交付申請書(様式第1号)を作成し、都道府県労働局に提出する。
2.助成金交付決定が通知される
都道府県労働局において交付申請書の審査を行い、内容が適正であれば助成金の交付決定通知が行われる。
3.業務改善計画の実施業務改善計画に基づき、設備投資等を行う
交付決定前に行った設備投資等は助成対象外となるため注意する。
4.事業実績報告書を提出する
業務改善計画の実施結果を記載した事業実績報告書(様式第9号)を作成し、都道府県労働局に提出する。
5.助成金額の確定通知が行われる
都道府県労働局において事業実績報告書の審査を行い、内容が適正であれば助成金額が確定されて事業主に通知される。
6.助成金が支払われる
助成金額の確定通知を受けた事業主は、支払請求書(様式第13号)を提出する。

必要書類の様式や記入例は、公式サイト内の「交付要綱・申請様式等」をご確認ください。

業務改善助成金(特例コース)の活用事例

業務改善助成金(特例コース)は、以下のような事例も参考にして活用を検討するとよいでしょう。

【事例1】
飲食店における配達サービスの効率化およびサービスの周知によって生産性を向上した例
通常の業務改善補助金では、飲食店がデリバリーサービス拡充のために導入する3輪バイクは助成対象でしたが、「デリバリーサービスの周知」に投入する広告宣伝費は対象外でした。
特例コースでは広告宣伝費も助成対象となるため、制度を活用し幅広く自社店舗のサービスを周知させて、売り上げアップにつなげられます。

【事例2】
サテライトオフィス内の業務環境整備によってテレワークの機能性や業務の効率化を図った例
通常の業務改善助成金では、テレワーク機器の導入費用は助成対象ですが、オフィスに導入するプリンターや机、椅子など備品類の購入費用は対象外でした。
特例コースでは備品等の購入費用も助成対象となるため、自社の負担をなるべく抑えて新たなサテライトオフィス設立などを推進できます。

参考:業務改善助成金の特例コースの活用例

まとめ

業務改善助成金(特例コース)は、従来の制度よりも幅広い事業者を対象している助成金制度です。補助対象となる経費の範囲も広がっているため、今後自社で取り組もうとしている施策が対象となるか、これを機にしっかり確認してみるのもよいでしょう。

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