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【設備投資に最大100万円】平成30年度版「業務改善助成金」とは?

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この記事の目次

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1.はじめに

政府は,最低賃金の引き上げに取り組んでおり,2020年までの目標として,全国平均1000円を掲げています(平成29年度の全国平均は848円)。
政府目標を実現させるため,厚生労働省は,中小企業向けに業務改善助成金を交付しています。

そこで今回は,設備投資に最大100万円が交付される業務改善助成金についてご紹介させていただきます。


2.業務改善助成金とは?

業務改善助成金とは,中小企業・小規模事業者の生産性向上を支援し,事業場内で最も低い賃金(事業場内最低賃金)の引上げを図るための制度です。

顧客・在庫・帳票管理システムの導入による業務の効率化,POSレジシステム導入による在庫管理の短縮など,生産性向上のための設備投資やサービス利用を行い,事業場内最低賃金を一定額以上引き上げた場合,設備投資などにかかった費用の一部が最大で100万円助成されます。

3.助成金の概要

助成金の対象事業者と要件は、以下のとおりです。

支給対象者事業場内最低賃金が1,000円未満の中小企業・小規模事業者
要件(1)賃金引上げ計画を策定すること事業場内最低賃金を一定額以上引き上げる(就業規則等に規定)(2)引上げ後の賃金額を支払うこと(3)生産性向上に資する機器・設備などを導入することにより業務改善を行い、その費用を支払うこと※ただし、以下の経費は除くア.単なる経費削減のための経費イ.職場環境を改善するための経費ウ.通常の事業活動に伴う経費(4)解雇、賃金引下げ等の不交付事由がないこと
受付期間平成31年1月31日(木) ※東京都の場合

参考:厚生労働省HP

※生産性要件とは?

厚生労働省は,事業所における生産性向上の取組みを支援するため,生産性を向上させた事業所に対して,労働関係助成金の助成額又は助成率の割増交付を行っています。

○算定式
付加価値(営業利益+人件費+減価償却費+動産・不動産賃料+租税公課)÷雇用保険被保険者数

助成金の支給申請を行う直近の会計年度における「生産性」が次の要件を充たす必要があります。
ア.その3年度前に比べて6%以上伸びていること または、
イ.その3年度前に比べて1%以上(6%未満)伸びていること

※イの場合,金融機関から一定の「事業性評価」を得ていることが必要となります。
「事業性評価」とは,都道府県労働局が,助成金を申請する事業所の承諾を得た上で,事業の見立てを与信取引等のある金融機関に照会し,その回答を参考にして,割増支給の判断を行うものです。

なお,生産性要件を充たした場合,本助成金以外の労働関係助成金(地域雇用開発助成金,キャリアアップ助成金など)も割増対象となっていますので,注目・活用すべき数値であるといえますね。


4.導入事例

こちらで少し、導入事例を見てみたいと思います。

①タクシー業

設備投資等の内容:
タクシー配車システム(CTIシステム)

導入前の状況:
繁忙時間帯などでは的確な配車をするのに時間を要し、また、所要時間等の点で最適でない配車となることがあった。

導入の効果:
CTIシステムの導入により、顧客の位置情報だけでなく、そこに至る経路などが配車室の地図画面で表示されるようになった。)このシステムの導入により配車業務の負担が大幅に改善され、繁忙時間帯などの配車処理がスムーズに行われるようになった。乗務員に対しても、顧客位置情報を基にして、よりわかりやすく指示が出せるようになり、豪雪地帯の当社管内での最短距離・時間での移動が可能になるなど労働時間等の短縮が図られた。さらに、人員不足の中、熟練者でなくともこの業務に携われるようになったので、今まで配車業務を担当したことのない従業員にもこの業務を行わせることができるようになり、結果、今まで以上に効率的な人員配置が可能となった。

②衣料品小売業

設備投資等の内容:
タグラベルプリンター

導入前の状況:
小サイズのタグ作成は手作業で行っていた。

導入の効果:
タグラベルプリンター(小サイズ印字可)を導入し、今までの手作業で行っている小サイズのタグ作成を、プリンターで作成できるようにし、効率改善を図った。手作業がなくなり、効率よく時間を使うことができるようになった。売り場での商品の取り扱いも簡単になり、商品仕分け作業にミスがなくなった。

③整骨院

設備投資等の内容:
高周波温熱機器

導入前の状況:
手作業での施術(マッサージ)に限られていたので、施術に時間がかかっていた。

導入の効果:
高周波温熱機器を導入し、手作業でのマッサージと併用して温熱と電流刺激による施術を行うことができるようにした。従来の手作業での施術に温熱と電流刺激を加えることで、短時間の施術で高い効果を得ることができるようにしたことで、施術時間を短縮できるようにした。設備の移動、持ち運びができるため、多くの場面での施術で活用することができている。手作業のみでの施術と比較して、患者1人あたりの施術時間が15%短縮されたことで、スタッフが対応することが出来る患者数も15%程度増えたことにより、大幅な業務改善効果を得ることができている。


④生花小売業

設備投資等の内容:
電動日よけ

導入前の状況:
現在、開店の際に、鉢物を店内から店先に並べているが、全部並べ終えるのに、2人がかりで20分から30分程かかっていた。同じように閉店の際も店内に戻すのに同じ時間を費やしていた。

導入の効果:
今回の、電動日よけの導入により、店先に並べたままにできるためその作業がなくなり、この作業に必要となる時間を18%から27%程短縮する事ができ、労働能率の増進を図ることができた。

⑤保育所

設備投資等の内容:
大型業務用冷蔵庫

導入前の状況:
従前の大きさの業務用冷蔵庫では材料保存や仕入れ方法が効率的でなかった。

導入の効果:
厨房内の業務用冷蔵庫を大型化させることにより、給食用の食材保存や調理後の保管が効率的に行え、食材や飲み物の発注回数が減り、調理に従事する職員の業務改善につながった。


5.助成金交付までの手続

助成金交付までの流れは以下のとおりです。

①提出

業務改善計画(設備投資などの実施計画)と賃金引上計画(事業場内最低賃金の引上計画)を記載した交付申請書を作成し,都道府県労働局に提出します。

②審査・交付決定

都道府県労働局において審査が行われ,内容が適正と認められれば助成金の交付決定が通知されます。

③事業実施

業務改善計画と賃金引上計画の実施をします。

④事業実績報告

業務改善計画の実施結果と賃金引上げ状況を記載した事業実績報告書を都道府県労働局に提出します。

⑤助成金の受給

都道府県労働局において事業実績報告書の審査が行われ,内容が適正と認められれば助成金が交付されます。


6.注意点

助成金を受け取るためには,事業場内最低賃金の引き上げと設備投資等が必要となりますが,賃金引上げは交付申請書の提出後,設備投資等は交付決定通知後に行う必要があります。
期限前に設備投資や賃金引上げ行った場合には本助成金の対象外となりますので注意が必要です。

7.最後に

今回は,業務改善助成金についてまとめてみました。
生産性向上のための設備投資などを行い、事業場内最低賃金を一定額以上引き上げた場合、その設備投資などにかかった費用の一部を助成する制度です。

導入事例を見てみると、タクシー業から小売業、保育所まで幅広く活用されているようです。
業務改善が見込まれ、かつ賃金向上に繋がる導入であれば、比較的汎用性の高い助成金といえるかと思います。

計画書を提出し,計画に基づく設備投資と賃上げを実施することにより,最大100万円の助成を受けることができるため,事業者のみならず,従業員にも大きな恩恵をもたらす制度であるといえますね。

せっかくであれば活用して損はない助成金!
設備投資などをお考えになっている事業者様がいらっしゃれば、是非一度ご検討いただくのはいかがでしょうか。

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