働き方改革推進支援助成金(取引環境改善コース)は、荷主集団などがトラックドライバーの時間外労働の削減等のために、荷待ち・荷役時間の短縮に向けた取引環境整備の取組を実施した場合に、その荷主集団などに対して助成する 制度です。
物流業界では2024年4月からトラックドライバーへの時間外労働上限規制が適用され(いわゆる「2024年問題」)、荷主と運送事業者が連携して労働環境を改善することが急務となっています。本コースはそうした課題に対応するための支援策として、令和8年度に新設されました。
本記事では、取引環境改善コースの詳細と申請方法について詳しく解説します。
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この記事の目次
取引環境改善コースの詳細
国土交通省の調査によると、トラック1運行あたりの荷待ち・荷役時間は合計で平均約3時間(国土交通省調べ)に上ります。2024年度の最新調査でもこの数値はほとんど改善されておらず、業界全体での連携した対応が急務となっています。
問題の核心は、荷待ちの発生が荷主側の受け入れ体制に起因することが多く、運送事業者だけでは解決できない構造にあります。本コースはこうした課題に対し、荷主・倉庫事業者・運送事業者が連携して取引環境の改善に取り組む「荷主集団等」を助成する制度です
支給額と対象となる取組
取引環境改善コースでは、対象の「成果目標」の達成に向けて取り組んだ場合に、その取組の実施にかかった経費が支給されます。対象経費の合計額または上限額の低い方が支給額となり、助成上限額は100万円です。
| 助成率 | 実費 (対象経費の合計額と上限額の低い方) |
|---|---|
| 助成上限額 | 100万円 |
助成を受けるには、以下の成果目標の達成が必要です。
「効果を上げること」とは、運送事業者が改善事業に自ら関与したことを指します。改善事業や実施結果を周知して確認できる状態にするだけでは足りません。一方、実際に削減された労働時間数などの定量的な成果を直接証明することまでは求められていません。
対象となる取組(改善事業)は、以下の5種類から1つ以上を選択して実施します。
| ①取引適正化への理解促進・取引先との調整 |
|---|
| 取引先に対して、労働時間等の設定改善や賃金引上げへの理解と協力を求める連絡会議の開催・資料作成等。荷主集団等自らに関わる会議等も含みます。 |
| ②好事例の収集・普及啓発 |
| 労働時間改善に向けた好事例を収集し、好事例集を作成して構成員に配布すること等。 |
| ③セミナーの開催等 |
| 構成員における労働時間改善の気運醸成のための、セミナーの開催または受講等。勤務間インターバル制度に関する事項を含めることができます。 |
| ④巡回指導・相談窓口の設置等 |
| 労働時間削減や賃金引上げに向けた外部専門家による継続的な指導、相談窓口の設置等。 |
| ⑤運送事業者等が利用する労働能率向上のための設備・機器の導入・更新 |
| ハンドリフター、搬入予約(トラック予約)システムなどの導入や、利用マニュアルの策定等。荷主・倉庫事業者のみが利用し、運送事業者が利用しない設備は原則対象外ですが、荷主・倉庫・運送事業者が共同利用する場合や、運送事業者の附帯業務を解消する目的であれば対象になります。 |
助成対象経費の範囲
対象となる経費は交付決定日から支給申請日までの間に実際に支出した費用に限られます。主な経費区分は以下のとおりです
| 経費区分 | 主な内容 |
|---|---|
| 謝金 | 専門家等への謝礼 |
| 旅費 | 情報収集・会議参加・専門家招聘のための旅費(公共交通機関利用の実費) |
| 借損料 | 機器・ソフトウェアのレンタル・リース料、ICTサービス利用料 |
| 会議費 | 会場費、茶菓代等 |
| 雑役務費 | 研修受講料、機器保守費用、改善事業のために臨時雇用した者の賃金等 |
| 印刷製本費 | 資料・パンフレット等の作成費 |
| 通信運搬費 | 郵便・物品の発送費用 |
| 機械装置等購入費 | 設備・機器の購入・製作・改良・据付・修繕等 |
| 造作費 | 機械装置据付等の費用 |
| 備品費 | 図書、ICカード、ソフトウェア等の購入費用 |
| 委託費 | 調査会社・コンサルタント・システム開発会社等への委託費 |
一部の取組については、以下の経費上限があります。
巡回指導・相談窓口の設置等構成員:1者あたり合計10万円まで
助成対象にならない主な費用は、以下のとおりです。
・事務所の賃借料、光熱水費、通常の通信費
・汎用事務機器(パソコン、タブレット、スマートフォン等)の購入費(特定業務専用システムを稼働させるための導入は対象)
・飲食・接待費用(茶菓代を除く)
・損害保険料
・外国旅費・日当・グリーン車料金
見積りを取る際は原則として2社以上から取得し、交付申請時に見積書を提出する必要があります。費用の支払いは支給申請日までに完了していることが必要です。(クレジットカード・小切手等は申請日までに口座引き落とし済みであること)
費用の支払いは原則として代表事業主が行います。
対象となる荷主集団等
個社ではなく、複数の事業者が連携した「荷主集団等」が申請主体となります。以下の要件を満たす必要があります。
・1以上の荷主・倉庫事業者と、1以上の運送事業者で構成されていること
・代表事業主が法人格を有すること
・代表事業主・全構成員が同一企業グループに属していないこと
・代表事業主が労働者災害補償保険の適用事業主であること
・構成員たる運送事業者の2分の1超が中小企業事業主であること
本制度の中小企業事業主とは、以下の「資本金・出資額」または「常時使用労働者数」のいずれかの要件を満たす中小企業です。
| 業種 | 資本金・出資額 | 常時使用労働者数 |
|---|---|---|
| 小売業(飲食店含む) | 5,000万円以下 | 50人以下 |
| サービス業 | 5,000万円以下 | 100人以下 |
| 卸売業 | 1億円以下 | 100人以下 |
| その他の業種 | 3億円以下 | 300人以下 |
想定される活用事例
本制度は、倉庫事業者や運送事業者、トラックドライバー等集団で、荷待ち・荷役に係る業務の効率化のための活用が想定されています。
【活用例①:トラック予約システムの導入】
倉庫事業者・運送事業者・トラックドライバーが物流拠点への荷役時間を事前予約できるシステムを導入。特定時間帯へのトラック集中を防ぎ、1台あたりの荷役時間と荷待ち時間を削減した。
【活用例②:ハンドリフトの導入】
これまで人力で行っていた荷役作業にハンドリフトを導入。一度に運べる荷物量が増え、ピッキングにかかる作業時間を短縮。連動して1台あたりの荷役時間も削減された。
参考:令和8年度「働き方改革推進支援助成金」取引環境改善コースのご案内
申請スケジュール
令和8年度の申請受付は、令和8年4月13日から令和8年11月30日(月)午後5時までとなります。
| ステップ | 期限 |
|---|---|
| ①交付申請書の提出 | 令和8年11月30日(月)午後5時まで |
| ②改善事業の実施 | 交付決定日〜令和9年2月14日(日)まで |
| ③支給申請書の提出 | 事業終了後30日以内 または 令和9年2月26日(金)のいずれか早い日 |
予算額に制約があるため、11月30日以前でも予告なく受付を終了する場合があります。申請先は、都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)となります。
主な申請の流れは、以下のとおりです。
①交付申請:
都道府県労働局 雇用環境・均等部(室)に交付申請書(様式第1号)と事業実施計画を提出。申請後、原則1ヶ月以内に交付決定または不交付決定の通知が届きます。
②改善事業の実施
交付決定を受けた後、事業実施計画に沿って改善事業を実施。計画内容の変更が生じた場合は、事前に変更申請(様式第4号)が必要です。
③支給申請
改善事業の完了後、支給申請書(様式第10号)と事業実施結果報告書(様式第11号)を提出。審査後、原則1ヶ月以内に交付額が確定・振り込まれます。
よくある質問
1社だけで申請できる?
できません。代表事業主を含め3以上の事業主で構成される荷主集団等として申請する必要があります。
荷主だけで集まれば申請できる?
できません。1以上の荷主・倉庫事業者に加え、1以上の運送事業者が構成員に含まれている必要があります。
同一グループの企業同士で集まって申請できる?
できません。代表事業主・全構成員が同一企業グループに属していないことが要件です。
助成額は何円?
対象経費の合計額と上限額100万円のいずれか低い方が支給されます。実際の助成額は取組にかかった経費によります。
設備・機器の導入も助成対象になる?
はい。「運送事業者等が利用する労働能率の増進に資する設備・機器の導入・更新の事業」が対象取組の1つとして明記されています。
申請窓口はどこ?
各都道府県労働局 雇用環境・均等部(室)が窓口です。
まとめ
本コースは、物流の「2024年問題」を業界全体で乗り越えるために設けられた新しい助成金です。荷主・倉庫・運送事業者が連携して取引環境の改善に取り組む集団に対し、最大100万円が支給されます。
申請受付は令和8年11月30日が期限ですが、予算には上限があるため早期の対応が有利です。
申請を検討している事業者は、今から連携先(荷主・倉庫・運送事業者)の確保や、都道府県労働局・働き方改革推進支援センターへの相談を開始しておくことをお勧めします。
公式ページ:厚生労働省 働き方改革推進支援助成金(取引環境改善コース)
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