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団体推進コースとは?補助率なしで最大500万円【2026年度】商工会・組合が使える働き方改革推進支援助成金

公開日:2023/4/24 更新日:2026/9/7
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「会員企業の残業が減らない」「若い人が入ってこない」「賃上げしたくても原資がない」。会員からそんな声を聞きながら、団体として何ができるか悩んでいる担当者は多いのではないでしょうか。

働き方改革推進支援助成金の団体推進コースは、一社では動きにくい中小企業の労働環境改善を、団体単位でまとめて後押しする制度です。セミナーの開催、専門家による巡回指導、共同利用する設備の導入など、団体が主体となって行う取り組みに最大500万円が助成されます。

最大の特徴は、補助率が掛からない定額方式である点です。個別企業向けのコースが「対象経費の4分の3」といった補助率で算定されるのに対し、団体推進コースは対象経費の合計額と500万円を比べて低いほうが支給されます。500万円の枠内であれば、自己負担なしで取り組める設計です。

令和8年度(2026年度)の交付申請期限は令和8年11月30日(月)午後5時。この記事では、どの団体が申請できるのか、何に使えるのか、成果目標のハードルはどの程度かを、令和8年度の交付要綱・支給要領をもとに解説します。

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【働き方改革推進支援助成金 各コース詳細】
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・【★本記事】団体推進コース
取引環境改善コース(2026年新設)

働き方改革推進支援助成金とは?【2026年度・令和8年度】各コースの違い・助成額・申請手順まとめ

この記事の目次

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団体推進コースとは?対象団体・助成額・成果目標をわかりやすく解説

団体推進コースは、中小企業の事業主団体やその連合団体が、傘下の構成事業主の労働条件改善のために時間外労働の削減や賃金引上げに向けた取り組みを実施した場合に、その費用を最大500万円まで助成する制度です。個々の会社ではなく「団体」が申請者になる点が、働き方改革推進支援助成金の他コースとの最大の違いです。

項目内容
申請主体事業主団体(商工会議所、商工会、事業協同組合、一般社団法人など)または共同事業主
助成上限額500万円
助成方式定額(補助率は掛からない)
成果目標構成事業主の2分の1以上に対して、改善事業または改善事業の実施結果を活用すること
改善事業市場調査、セミナー開催、巡回指導、共同利用設備の導入、人材確保など10区分から1つ以上
交付申請期限令和8年11月30日(月)午後5時
事業実施期間交付決定の日から令和9年2月14日(日)まで
申請窓口団体(共同事業主は代表事業主)の所在地を管轄する都道府県労働局 雇用環境・均等部(室)

助成額はどう決まる?補助率が掛からない仕組み

団体推進コースの助成額は、次の3つのうち最も低い額です。補助率という考え方がないため、500万円の範囲内であれば対象経費がそのまま助成額のベースになります。

判定要素内容
①対象経費の合計額改善事業の実施に実際に要した費用
②総事業費から収入額を控除した額試作品のテスト販売などで収入が発生する場合に算定する。寄付金は収入に含めない
③助成上限額500万円

②は収入が見込まれる場合にだけ算定すれば足り、その場合は控除後の額がわかる資料を添付します。経費は原則税抜きで申請するため、上限額の判定も税抜きベースです。

2026年度(令和8年度)の変更点は?

令和8年度の変更点は2つあります。いずれも申請可否に直結する内容です。

① 助成上限額を500万円に統一:これまで広域的な取組(都道府県単位または複数都道府県単位で構成し、構成事業主が10以上の団体)に設けられていた1,000万円の特例が廃止されました。

② 構成事業主の要件を強化:従来は「3者以上で構成されていること」でしたが、令和8年度は「常時使用する労働者数が10人以上の構成事業主が3以上あること」が要件になっています。小規模事業者が中心の団体は、申請前に構成事業主の労働者数を確認しておく必要があります。

どの団体が申請できる?事業主団体と共同事業主の2ルート

申請ルートは「事業主団体」と「共同事業主」の2つです。組合や商工会などの組織があれば事業主団体、組織がなくても複数事業主が集まれば共同事業主として申請できます。

事業主団体の5つの要件

事業主団体として申請する場合、次の5要件をすべて満たす必要があります。

要件内容
①団体の種類法律で規定された団体、または一定要件を満たすその他の団体に該当すること
②構成事業主常時使用する労働者数が10人以上の構成事業主が3以上あること
③活動実績1事業年度以上の活動実績があること
④労災保険事業主団体自らが労働者災害補償保険の適用事業主であること(暫定任意適用事業を除く)
⑤中小企業割合構成事業主のうち中小企業事業主の占める割合が2分の1超であること(特定業種等団体は5分の1超)

①の「法律で規定された団体」は、支給要領で具体的に列挙されています。

【法律で規定された団体】
事業協同組合、事業協同小組合、信用協同組合、協同組合連合会、企業組合、協業組合、商工組合、商工組合連合会、中小企業団体中央会(都道府県・全国)、商店街振興組合およびその連合会、商工会議所・日本商工会議所、商工会・都道府県商工会連合会・全国商工会連合会、生活衛生同業組合およびその小組合・連合会、一般社団法人・一般財団法人、砂糖製造関連3団体

特定業種等団体は中小企業割合が5分の1超に緩和

建設業(工作物の建設の事業等)、自動車運転の業務に従事する労働者が所属する事業主、病院・診療所・介護老人保健施設・介護医療院を運営する事業主で構成される団体は「特定業種等団体」として扱われ、中小企業割合の要件が5分の1超に緩和されます。

さらに、全国または都道府県単位の特定業種等団体が定款等に基づく支部組織を持つ場合は、支部組織のうち少なくとも1組織がこの要件を満たしていれば足ります。連携している市町村単位の特定業種等団体がある場合は、その団体も含めて判定できます。

法定団体に該当しない任意団体でも申請できる?

申請できます。上記の法定団体に該当しない団体等でも、次の4要件をすべて満たせば事業主団体として扱われます。

・団体の目的、組織、運営および事業内容を明らかにする規約や規則等を有する団体であること
・法人格を有する代表者が置かれているほか、事務局の組織が整備されていること
・過去の事業活動状況や財政能力からみて、構成事業主における労働時間等の設定の改善に向けた気運の醸成、啓発等の事業を効果的かつ適正に実施できること
・定款や会則等において、構成事業主への指導等の規定を有していること

共同事業主の6つの要件

団体組織がなくても、複数の事業主が共同体をつくって申請する方法があります。事業主団体より必要な構成数が多く、10者以上が求められます。

要件内容
①構成数代表事業主と構成事業主を合わせて10以上の事業主から組織されていること
②活動実績1年以上の活動実績があること(事業主団体が他の事業主団体等と共同で実施する場合を除く)
③代表事業主代表事業主が法人格を有すること
④協定書すべての構成事業主の合意に基づく協定書を締結していること
⑤労災保険代表事業主が労働者災害補償保険の適用事業主であること
⑥中小企業割合中小企業事業主の占める割合が構成事業主の2分の1超であること

④の協定書には、代表事業主の名称、共同事業主の名称、改善事業の実施に要する経費の負担に関する事項(助成金の支払いを受けようとする事業主の名称を明記)、有効期間および協定年月日を記載し、すべての構成事業主の代表者が記名する必要があります。

中小企業事業主の範囲

要件で判定に使う「中小企業事業主」とは、労災保険の適用事業主であり、資本金・出資額または常時使用する労働者数のいずれかが次の基準に該当する事業主です。

主たる事業資本金または出資の総額常時使用する労働者数
小売業(飲食店を含む)5,000万円以下50人以下
サービス業5,000万円以下100人以下
卸売業1億円以下100人以下
その他の事業3億円以下300人以下
医療・福祉のうち病院、診療所、介護老人保健施設、介護医療院問わない300人以下

常時使用する労働者数には、常態として使用する短時間労働者も含めます。

連合会・中央会が申請する場合の「下部団体」の扱いは?

連合会や中央会など、構成事業主との間に下部団体がある団体は注意が必要です。原則として、構成事業主は傘下の会員企業等(労働者を雇用する事業主)であり、下部団体は構成事業主になりません。そのため成果目標も、会員企業等の2分の1以上に対して活用することが求められます。

ただし例外があります。連合会等と会員企業等の関係が希薄で、下部団体を通じたほうが効果的な場合、傘下の会員企業等に周知・展開することを改善事業の目的としたうえで、下部団体を相手方として改善事業を行うことができます。この場合は、事業主団体等の要件・改善事業・成果目標のすべてにおいて一貫して、下部団体を構成事業主として交付申請します。

何に使える?助成対象となる10の改善事業

助成対象となる取り組み(改善事業)は10区分です。時間外労働の削減または賃金引上げにつながる内容であることが前提で、1つ以上を選んで実施します。

改善事業具体例
①市場調査構成事業主や業界全体の働き方改革の取組に関するアンケート・ヒアリング調査
②新ビジネスモデル開発、実験販路開拓に向けた試作品の製造およびテスト販売
③材料費、水光熱費、在庫等の費用の低減実験(労働費用を除く)1商品当たりの製造に係る材料費等の低減実験
④取引適正化への理解促進等、取引先等との調整発注者・荷主・顧客等に労働時間等の設定改善への理解と協力を求める連絡会議の開催、資料作成
⑤販路拡大等の実現を図るための展示会開催および出展試作品や既存製品の販路拡大に向けた展示会・商談会の開催
⑥好事例の収集、普及啓発好事例を収集し、好事例集を作成して構成事業主に配布
⑦セミナーの開催等労務管理セミナー、勤務間インターバル制度に関する研修の開催または受講
⑧巡回指導、相談窓口の設置等社会保険労務士など外部専門家による継続的な指導、相談窓口の設置
⑨構成事業主が共同で利用する設備・機器の導入・更新共同で使用するビジネス用プロジェクター、福祉車両、工作機械等の導入、利用マニュアルの策定
⑩人材確保に向けた取組求人募集を団体が取りまとめて求人サイトや新聞に掲載、採用説明会の開催

外部講師・外部専門家としては、労務管理・経営面では社会保険労務士、中小企業診断士、経営コンサルタント、健康面では医師(産業医)、保健師、労働衛生コンサルタントが想定されています。

共同利用する設備・機器(⑨)はどこまで対象になる?

⑨で求められる「構成事業主が共同で利用する」とは、複数の構成事業主が自ら使用することを指します。団体自身が使用し、構成事業主が間接的に利益を得るだけの設備は対象になりません。

支給要領では、構成事業主からのオンライン相談に対応するために団体の事務所内にオンライン会議用ブースを設置する例が挙げられています。構成事業主にとってオンライン相談ができるという間接的な利益はあるものの、構成事業主自身がそのブースを使うことは困難なため、⑨の改善事業にはできないという整理です。ただしこの例では、⑧の「相談窓口の設置等」に該当するかを検討する余地は残されています。

また「労働能率の増進に資する」ことは、業界知識のない一般人が通常理解できる程度に説明できる必要があります。同一機種や能力が同等以下の機種への買い替え、事業経営に最低限必要な範囲の設備を備えることは対象外です。不動産や建築物などの施設も、社会通念上「設備・機器等」に当たりません。

テスト販売(②)を行う場合の5つの条件

②の新ビジネスモデル開発・実験でテスト販売を行う場合、次の5条件をすべて満たす必要があります。通常の販売活動と区別できることが求められる点に注意してください。

・試作品を販売するものであること
・テスト販売品の販売期間がおおむね1か月以内であること
・同一の場所および同一の趣旨で複数回行わないこと(試作品の改良、販売予定価格の改訂をした場合を除く)
・「テスト販売価格」などと明示し、通常の販売商品とテスト販売品を区別できること
・消費者等にアンケート等の調査を行い、テスト販売の効果を検証できること

なお、テスト販売で収入が発生した場合、その収入額は総事業費から控除されて助成額の判定に反映されます。

改善事業にできないものは?

次のような内容は、改善事業として認められません。

認められない内容具体例
法令等で義務づけられている措置新たに36協定を作成し届け出ること、フォークリフトの特定自主検査
単なる経費削減が目的の内容LED電球への交換
単なる不快感の軽減や作業快適化が目的の内容スポットクーラー設置、空調服の購入、オフィスのエアコン更新、執務室の拡大、内装工事、机・椅子の増設
構成事業主が自ら行うべき内容の代行個別の構成事業主の企業ウェブページを団体が作成すること、構成事業主のウェブページに団体が管理するページのリンクを貼ること
日本国外で実施する内容海外の自社工場への労務管理システム導入など、日本の労働基準関係法令が適用されない場合
交付決定前に契約した内容交付決定より前に締結した売買・請負契約に係る内容(見積りの取得は交付申請前でも可)

4つ目は特に注意が必要です。本助成金は、団体が自らにしかできない役割を果たしながら改善事業を行い、構成事業主に波及的効果をもたらすことを前提としています。構成事業主が本来やるべきことを団体がまとめて代行する形は、効率的であっても対象になりません。

成果目標「構成事業主の2分の1以上に活用」とは?

成果目標は1つだけで、構成事業主の2分の1以上に対して、改善事業または改善事業の実施結果を活用することです。

ここでいう「活用」とは、団体が自ら管理する媒体(ホームページ、会報誌、メールマガジン等)を通じて改善事業やその実施結果を周知し、構成事業主が確認できる状態にすることなどを指します。改善事業そのものの成果、たとえば人材確保の取組を実施した結果として実際に何人採用できたか、といった数値まで求められるわけではありません。

改善事業そのものに参加する構成事業主数の制限もありません。支給要領には次の例が明記されています。

100者の構成事業主を対象としたセミナーを計画し開催したところ、実際に参加した構成事業主は10者だった。しかし開催後にセミナーを録画した動画をホームページに公開し、すべての構成事業主が視聴できる状態にすれば、100者すべてに対して「改善事業または改善事業の実施結果を活用」したものと評価される。

逆に、構成事業主の2分の1以上に対して取組またはその結果を活用しなかった場合は、成果目標が未達成と判定されます。周知に使った媒体の写しは支給申請時の証拠書類になるため、会報誌の該当ページやホームページの画面を保存しておきましょう。

対象になる経費・ならない経費は?

助成対象経費は15区分です。他コースにはない原材料費・広告宣伝費・展示会等出展費・試作実験費が含まれる点が、団体推進コースの特徴です。

経費区分主な内容
謝金専門家等への謝礼。単価の根拠が団体の規程等で明確であることが必要
旅費会議・打合せへの参加、専門家の招聘に要する旅費(公共交通機関の実費)
借損料機器・ソフトウェアのレンタル・リース費用、ICTサービス利用料
会議費会議やセミナー等の開催費用(会場借料、会場装飾費、茶菓代)
雑役務費研修等受講料、機器・ソフトウェアの保守費用、改善事業のために臨時的に雇い入れた者(改善事業推進員を含む)の賃金・交通費
印刷製本費研修資料やパンフレット、ポスター等の作成費用
原材料費原材料・副資材等の購入費用(試作・開発を目的とするものに限る)
広告宣伝費求人広告の掲載、合同企業説明会への出展、求人パンフレット等の作成費用
展示会等出展費展示会等への出展費用(通訳料・翻訳料、保険料、運搬費を含む)
通信運搬費郵便物や物品の発送費用
機械装置等購入費機器・設備類の購入、製作、改良、据付、借用、修繕の費用
造作費機械装置の据付け等の費用
備品費図書、ICカード、自動車(乗用自動車等を除く)、ソフトウェア等の購入・改良費用
委託費調査会社、コンサル会社、システム開発会社、広告代理店等への委託費用
試作・実験費試作品等の設計・製造・改良・実験・分析およびテスト販売の費用

広告宣伝費とホームページ・ECサイト等の作成費用は、⑩人材確保に向けた取組に係る費用に限って対象です。機関誌等への掲載費用は、掲載部分に係る費用のみが対象になります。

経費ごとの上限額はいくら?

謝金・旅費等に関する規程等がない事業主団体、および共同事業主が改善事業を行う場合は、次の経費上限が適用されます。規程を整備している団体には適用されません。

改善事業経費上限
セミナーの開催等に係る経費構成事業主1者あたり合計10万円まで
巡回指導または相談窓口の設置等に係る経費構成事業主1者あたり合計10万円まで
人材確保に向けた取組に係る経費構成事業主1者あたり合計10万円まで

助成対象にならない費用は?

次の費用は一律に助成対象経費から除かれます。実務でつまずきやすいものを整理しました。

対象外の費用補足
乗用自動車等(乗車定員10人以下で貨物・特種用途以外)の購入費用貨物自動車、乗合自動車、除雪車、福祉車両は対象に含められる
原動機付自転車、軽二輪自動車、電動アシスト自転車、超小型EV汎用的な乗り物として対象外
汎用事務機器(電話機、パソコン、タブレット、スマートフォン、PCモニター、シュレッダー、SDカード、外付けハードディスク等)POSシステム等の専用システムを稼働させるための導入は対象。NASとサーバーは汎用事務機器に該当しない
事務所の賃借料、光熱水費、労働者の賃金、消耗品費、通信費、監視カメラの設置費用通常の事業活動に伴う費用
団体または構成事業主が保有する施設で会議・セミナー等を実施するための費用自前の会議室を使う場合は会議費に計上できない
販売を目的とした製品や商品等の生産に係る費用テスト販売に係る費用は除く
印刷物・原材料・備品の未使用残存品に係る費用数量は最小限にとどめ、受払簿の提出が必要
税務申告や決算書作成のために税理士・公認会計士に支払う費用、訴訟対応の弁護士費用助成対象経費の範囲外
飲食、奢侈、娯楽、接待の費用会議費における茶菓代は対象
商品券等の金券、公租公課、支払利息・遅延損害金同上
損害保険料、資格取得費用、銀行振込手数料・分割払い手数料展示会等出展費に係る保険料は対象
外国旅費、日当、宿泊費、グリーン車・ビジネスクラスの割増運賃砂糖製造関連団体は外国旅費・宿泊費を対象にできる特例あり

経費の流用は10%未満なら変更申請が不要

交付決定後に事業実施計画を変更する場合は原則として変更申請が必要ですが、軽微な変更、または助成対象経費の配分の10%未満の範囲で流用する場合は、事業実施計画変更申請が不要です。ここでいう配分とは、経費区分ごとの助成対象経費の額を指します。

判定は「変更する2つの配分のうち、低いほうの額の10%未満か」で行います。たとえば展示会等出展費50万円と広告宣伝費30万円の間で2万円を流用する場合、低いほうの広告宣伝費30万円の1割である3万円未満なので変更申請は不要です。一方、旅費10万円と広告宣伝費30万円の間で2万円を流用する場合は、低いほうの旅費10万円の1割である1万円を超えるため変更申請が必要になります。

ただし助成対象経費全体の額を増額させる場合は、金額の多寡にかかわらず変更申請が必要です。

団体推進コースの活用事例

ここでは、厚生労働省「生産性向上のヒント集」(令和6年3月)に掲載された令和4年度の採択事例を紹介します。いずれも「1団体の取組を構成事業主全体に広げる」という団体推進コースらしい設計になっています。

事例①MR(複合現実)グラスで採寸作業を半減(建設関連の協同組合)

MRグラス一体型ヘルメットを装着して採寸作業を行う様子を示した活用事例の図

活用した改善事業は、⑨構成事業主が共同で利用する設備・機器の導入・更新です。

項目内容
団体広域関東圏建設関連協同組合(茨城県・20事業主)
課題新規入職者が少なく人手不足が共通課題。少人数で作業できる省力化策としてAR・MRの活用を模索していた
取組MRグラス一体型ヘルメットとソフトウェアを導入し、構成事業主に貸し出し。CADの図面データを取り込み、図面上の寸法と製品の実寸をグラス上で比較できるほか、画面をWeb会議ツールで共有して遠隔から指示を受けることも可能にした
結果従来2人がかりで30分かかっていた採寸作業が1人・約25分で完結し、作業時間は累計で半減。若手社員が最新デバイスの体験を周囲に発信したことで業界の魅力向上にもつながり、採用応募を検討する例も出てきた

事例②共同展示会と大学連携コンサルで販路と生産性を両取り(異業種の協同組合)

羽田空港での共同展示に使用した商品陳列什器と展示風景を示した活用事例の図

活用した改善事業は、⑤展示会開催・出展と⑧巡回指導・コンサルティングの組み合わせです。

項目内容
団体SAGA COLLECTIVE協同組合(佐賀県・11事業主)。地場産業・伝統産業の異業種11社で構成
課題売上拡大には県外への販路開拓が必要。受注生産と見込み生産が混在し、計画どおりに生産できない企業もあった
取組テストマーケティング用の商品陳列什器を開発し、羽田空港で約2週間の共同展示を実施。あわせて早稲田大学の学生6名による組合員1社への生産性改善提案・個別指導を受け、内容を他の10社にも共有した
結果展示で得た知見を活かし、翌年度には都内2か所のポップアップイベントで共同販売を実現。1社の学びを組合全体に広げる好循環をつくった

事例③県産食材の新商品開発を組合ぐるみで支援し2社が商品化(菓子工業組合)

県産食材を使ったスイーツの試作品と技術講習会の様子を示した活用事例の図

活用した改善事業は、⑦セミナーの開催と②新ビジネスモデル開発・実験の組み合わせです。

項目内容
団体岩手県菓子工業組合(岩手県・135事業主)
課題大手菓子店やコンビニの出店で会員の売上縮小・廃業が続き、他社と差別化できる新商品が必要だった
取組県産食材を使ったスイーツづくりのセミナー・技術講習会を開催。試作品を開発し、盛岡市内と東京都内で試食会と来場者アンケートを実施
結果構成事業主のうち15社が試作品を考案し、うち2社が商品化を実現。参加企業は今後の菓子づくりのヒントを獲得した一方、原材料の安定供給など次の課題も明確になった

出典:厚生労働省「働き方改革推進支援助成金・業務改善助成金活用のてびき 生産性向上のヒント集」(令和6年3月)

申請方法は?必要書類と手続きの流れ

手続きは交付申請、改善事業の実施、支給申請の3ステップです。最も重要な注意点は、交付決定前に契約した内容は改善事業に含められないことです。見積りの取得までは交付申請前に行えます。

ステップ内容
①交付申請交付申請書・事業実施計画等を、団体(共同事業主は代表事業主)の所在地を管轄する都道府県労働局 雇用環境・均等部(室)に提出
②交付決定労働局が審査し、交付決定または不交付決定の通知が届く
③事業実施交付決定後、計画に沿って改善事業を実施(令和9年2月14日まで)
④支給申請事業実施予定期間の終了から30日後、または令和9年2月26日のいずれか早い日までに提出
⑤助成金の支給審査のうえ交付額が確定し、指定口座に振り込み

窓口持参のほか、郵送(期限当日の消印有効)、電子申請システムのJグランツでも申請できます。Jグランツの場合、交付申請は11月30日午後5時まで、支給申請は期限当日の午後11時59分までに送信を完了する必要があります。支部組織を有する団体は、原則として本部の所在地を管轄する労働局に申請します。

交付申請に必要な書類

提出書類ポイント
交付申請書(様式第1号)と事業実施計画(様式第1号別添)構成事業主一覧を含む
定款や会則等の組織としての根拠規程団体の目的・組織・運営・事業内容がわかるもの
直近2事業年度に係る収支報告書活動期間が2事業年度に満たない場合は、作成している範囲で提出すれば足りる
経費の算出根拠を確認するための書類見積書は原則2者以上から取得(相見積り)。同一企業グループ内の2社では相見積りと認められない
活動実績が分かる資料、協定書共同事業主の場合に必要
委任状等申請を代理人に依頼する場合に必要

支給申請時に必要な証拠書類

支給申請では、改善事業を実施したことが客観的にわかる資料が改善事業の区分ごとに求められます。写真は後から撮り直せないため、実施のたびに記録を残してください。

・調査・実験系(①②③):調査票、調査結果資料、試作品の写真、実験結果報告書
・会議・展示会系(④⑤):取決め文書、議事録、会場の写真、アンケート結果
・啓発・研修系(⑥⑦⑧):好事例集、研修次第、出席者名簿、相談票の写し、結果報告書、満足度調査結果、実施風景の写真
・設備・採用系(⑨⑩):納品書、導入した機器の写真、利用手順書、掲載した求人誌等の写し

このほか、領収書の写しや銀行振込受領書などの支出証拠書類、印刷製本費・原材料費・備品費については受払簿、成果目標の達成状況に関する資料(効果検証資料、構成事業主に周知した媒体の写し)が必要です。

改善事業推進員の指名と費用の支払名義

事業実施計画では、改善事業の進行と経理の管理を行う「改善事業推進員」を、団体(共同事業主は代表事業主)に所属する人の中から指名する必要があります。改善事業のために臨時に雇い入れた場合、その賃金や交通費は雑役務費として対象になりますが、作業日報や雇用関係書類の提出が必要です。

費用の支払いは、団体の名義(法人名または代表者名)で行う必要があります。共同事業主の場合は代表事業主が支払い、代表事業主が助成金を受け取るのが原則です。代表事業主以外の構成事業主が支払う場合は、協定書にその事業主が費用を負担することを明記し、支給申請でも支払状況を疎明する資料を添付します。

2026年度(令和8年度)のスケジュールと申請期限は?

令和8年度の団体推進コースは、令和8年4月13日(月)から令和8年11月30日(月)午後5時まで申請を受け付けています。

手続き期限
交付申請令和8年4月13日(月)から令和8年11月30日(月)午後5時まで
事業実施交付決定の日から令和9年2月14日(日)まで
支給申請事業実施予定期間の終了から30日後、または令和9年2月26日(金)のいずれか早い日

国の予算額に制約されるため、11月30日より前に予告なく受付が締め切られる場合があります。支給申請の標準的な審査期間は1か月とされていますが、厚生労働省の申請パンフレットによれば、交付申請から交付額の確定までは過去の実績で平均5〜6か月程度(個別企業向けコースの実績)です。事業実施期間が2月14日までと決まっていることも踏まえると、早めの申請が確実です。

団体が使える他の助成金との違いは?

事業主団体が使える国の助成金は、団体推進コースだけではありません。組合が申請できる制度としては、人材確保等支援助成金の中小企業団体助成コースがあり、こちらは上限1,000万円と規模が大きくなります。目的が異なるため、団体の課題に応じて選び分けが必要です。

制度上限額目的向いているケース
働き方改革推進支援助成金 団体推進コース500万円時間外労働の削減、賃金引上げに向けた労働条件の改善セミナー、巡回指導、好事例集の作成、共同利用設備の導入などを団体主導で行いたい
人材確保等支援助成金 中小企業団体助成コース1,000万円構成中小企業者の労働環境の向上を目的とした人材確保・定着認定を受けた改善計画に基づき、雇用管理の改善事業を実施したい
働き方改革推進支援助成金 取引環境改善コース100万円トラックドライバーの荷待ち・荷役時間の短縮荷主・倉庫事業者と運送事業者の集団で取引環境を改善したい

同一の改善事業または同一の成果目標について、複数の補助金・助成金を重ねて受給することはできません。ただし改善事業の内容が異なれば組み合わせは可能です。

【2026年度】人材確保等支援助成金 中小企業団体助成コースとは?事業協同組合が最大1,000万円を活用【令和8年度】

申請前に知っておきたい3つの注意点

要件を満たしていても、進め方によって対象外や不支給になることがあります。特につまずきやすい3点を整理しました。

【交付決定前の契約はできない】
改善事業に関する売買・請負などの契約は、交付決定の後に行う必要があります。交付決定前に契約すると、その内容は助成対象になりません。見積りの取得は交付申請前でも問題ありません。

【支払いの証拠を必ず残す】
費用を支払う際は、誰が・誰に・何の取引で・いつ・いくら(内訳を含む)がわかる書面やデータを残しましょう。インターネットバンキングの支払履歴の項目が不足していたために費用が確認できず助成対象外となった例や、領収書に合計額しか記載がなく審査が長引いた例があります。

【不正受給のペナルティは重い】
不正受給が判明した場合は交付決定が取り消され、助成金の返還を求められます。あわせて事業主団体名等が記者発表され、労働局のホームページに交付決定の取消日から5年間掲載されます。この5年間は助成金の交付決定を受けられません。

団体推進コースに関するよくある質問

団体推進コースとはどんな制度?

中小企業の事業主団体やその連合団体が、傘下の構成事業主の労働条件改善のために時間外労働の削減や賃金引上げに向けた取り組みを実施した場合に、その費用を最大500万円まで助成する厚生労働省の制度です。働き方改革推進支援助成金の5コースのうち、団体が申請者になる唯一のコースで、補助率が掛からない定額方式のため、500万円の範囲内であれば対象経費がそのまま助成額のベースになります。

2026年度(令和8年度)はどこが変わった?

変更点は2つです。①助成上限額が500万円に統一され、広域的な取組に設けられていた1,000万円の特例が廃止されました。②構成事業主の要件が「3者以上で構成されていること」から「常時使用する労働者数が10人以上の構成事業主が3以上あること」に変わりました。小規模事業者が中心の団体は、申請前に構成事業主の労働者数を確認してください。

助成額の上限はいくら?補助率はある?

1団体あたり上限500万円で、補助率は掛かりません。「対象経費の合計額」「総事業費から収入額(寄付金を除く)を控除した額」「500万円」のうち最も低い額が支給されます。ただし、謝金・旅費等に関する規程がない団体や共同事業主の場合は、セミナーの開催等、巡回指導・相談窓口の設置等、人材確保に向けた取組の経費について、構成事業主1者あたりそれぞれ合計10万円までという上限があります。

商工会や任意団体でも申請できる?

商工会・商工会議所・事業協同組合・商店街振興組合・一般社団法人・一般財団法人・中小企業団体中央会などは法律で規定された団体として対象です。これらに該当しない任意団体も、規約等の整備、法人格を有する代表者と事務局組織の存在、事業を効果的かつ適正に実施できる財政能力、定款や会則における構成事業主への指導等の規定という4要件を満たせば対象になります。いずれの場合も「労働者10人以上の構成事業主が3以上」「1事業年度以上の活動実績」などの要件を満たす必要があります。

組合がなくても申請できる?共同事業主とは

団体組織がなくても、複数の事業主が共同体をつくって申請できます。代表事業主と構成事業主を合わせて10以上の事業主で組織され、1年以上の活動実績があり、代表事業主が法人格と労災保険の適用を有し、中小企業事業主の割合が2分の1超であることが必要です。あわせて、代表事業主名・共同事業主名・経費の負担に関する事項・有効期間および協定年月日を記載し、すべての構成事業主の代表者が記名した協定書の締結が求められます。

建設業や運送業の団体は要件が緩和される?

緩和されます。工作物の建設の事業等を営む事業主、自動車運転の業務に従事する労働者が所属する事業主、病院・診療所・介護老人保健施設・介護医療院を運営する事業主で構成される団体は「特定業種等団体」として扱われ、中小企業事業主の割合の要件が2分の1超から5分の1超に緩和されます。さらに、全国または都道府県単位の特定業種等団体が定款等に基づく支部組織を持つ場合は、支部組織のうち少なくとも1組織がこの要件を満たしていれば足ります。

成果目標の「構成事業主の2分の1以上に活用」は難しい?

ハードルは比較的低く設定されています。「活用」とは、団体が自ら管理する媒体(ホームページ、会報誌、メールマガジン等)を通じて改善事業やその実施結果を周知し、構成事業主が確認できる状態にすることなどを指します。支給要領には、100者を対象としたセミナーで実際の参加が10者にとどまっても、録画動画をホームページに公開して全構成事業主が視聴できる状態にすれば100者すべてに活用したと評価される、と明記されています。各企業が実際に残業削減を達成したかどうかまでは問われません。

共同利用する設備の購入はどこまで対象になる?

複数の構成事業主が自ら使用する設備・機器が対象です。ビジネス用プロジェクター、福祉車両、工作機械などが例示されています。一方、団体自身が使用して構成事業主が間接的に利益を得るだけの設備は対象外で、支給要領では団体事務所内へのオンライン会議用ブースの設置が対象外の例として示されています。また、乗用自動車等(乗車定員10人以下で貨物・特種用途以外)の購入費用や、パソコン・タブレット等の汎用事務機器も原則として対象になりません。

連合会や中央会が申請する場合、構成事業主は誰になる?

原則として、構成事業主は傘下の会員企業等のうち労働者を雇用する事業主であり、下部団体は構成事業主になりません。そのため成果目標も、会員企業等の2分の1以上に対して活用することが求められます。ただし、連合会等と会員企業等の関係が希薄で下部団体を通じたほうが効果的な場合は、傘下の会員企業等への周知・展開を目的としたうえで、下部団体を相手方として改善事業を行うことができます。この場合は団体要件・改善事業・成果目標のすべてにおいて一貫して、下部団体を構成事業主として交付申請します。

他の補助金と併用できる?

同一の改善事業または同一の成果目標について、国や自治体の他の補助金を重ねて受給することはできません。ただし改善事業の内容が異なれば組み合わせは可能です。支給要領には、労働能率の増進に資する機器Aを本助成金で購入し、「年次有給休暇の時間単位取得制度の導入」を交付対象とする他の補助金で別の機器Bを購入することは、改善事業の内容が異なるため可能である、という例が示されています。なお、併給が禁じられる「他の補助金の交付」に税制上の優遇措置は含まれません。

入金までどれくらいかかる?

支給申請の標準的な審査期間は1か月とされています。厚生労働省の申請パンフレットによると、交付申請から交付額の確定までは過去の実績で平均5〜6か月程度(個別企業向けコースの実績)です。助成金は後払い(精算払い)のため、事業実施中の費用はいったん団体が立て替える必要があります。改善事業の費用は支給申請日までに支払いが完了している必要があり、クレジットカードや小切手で支払う場合は口座からの引き落としが済んでいることが条件です。


まとめ

働き方改革推進支援助成金の団体推進コースは、事業主団体が中心となって中小企業全体の労働環境を底上げするための支援策です。上限500万円という規模に加え、補助率が掛からない定額方式であること、「構成事業主の2分の1以上への活用」という成果目標が会報誌やホームページでの周知でも達成できることなど、団体にとって取り組みやすい設計になっています。

一方で、令和8年度からは「労働者10人以上の構成事業主が3以上」という要件が加わり、1,000万円の特例も廃止されました。交付決定前の契約が対象外になること、団体自身が使う設備は共同利用設備として認められないことなど、実務上の注意点もあります。

交付申請の期限は令和8年11月30日(月)午後5時ですが、予算上限に達し次第、予告なく受付が終了します。まずは構成事業主の労働者数の確認と、定款・収支報告書の準備から始めましょう。要件の判断に迷う場合は、各都道府県の働き方改革推進支援センターまたは都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)に相談できます。

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