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働き方改革推進支援助成金とは? 全4コースの概要を解説

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「働き方改革推進支援助成金」は、従業員が1人でもいる事業所において、職場環境の改善に取り組む際に利用できる助成金です。特に、従業員が20人以下の中小企業や個人事業主を含むスモールビジネス向けにも適用されます。本記事では、令和6(2024)年度の働き方改革推進支援助成金の概要や特色、支給対象や支給額、申請する際の重要なポイントについてご紹介します。

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この記事の目次

働き方改革推進支援助成金とは

中小企業における労働時間の設定の改善の促進を目的として、生産性を高めながら労働時間の縮減等に取り組む中小企業・小規模事業者や、傘下企業を支援する事業主団体に対して助成する制度です。

働き方改革推進支援助成金を活用して業務プロセスの見直しや効率化ツールの導入を行うことで、同じ時間内での成果を最大化し、業務効率を向上させることができます。これは、労働コストの削減だけでなく、従業員の健康とモチベーションの維持にも寄与し、企業の全体的なパフォーマンス向上につながります。ほかにも、労働時間削減等に向けた環境整備や特別休暇の導入により、従業員が柔軟な労働スケジュールを持ち、仕事と私生活のバランスを取りやすくなります。

働き方改革推進支援助成金を上手く活用することで、企業は従業員の働きやすさを高めるとともに、持続可能な事業運営を実現することが可能となります。

働き方改革推進支援助成金の種類

ではここから、以下の4つのコースについて紹介していきます。

  • 業種別課題対応コース
  • 労働時間短縮・年休促進支援コース
  • 勤務間インターバル導入コース
  • 団体推進コース

※令和6(2024)年度から、労務・労働時間の適正管理を推進する「労働時間適正管理推進コース」がなくなりました。

働き方改革推進支援助成金(業種別課題対応コース)

時間外労働の上限規制が令和6年4月から適用された業種等を対象に、時間外労働の削減や週休2日制の推進等の環境整備に取り組む中小企業事業主を支援します。

対象事業主

支給の対象となるのは、以下のすべてを満たす中小企業事業主です。

①労働者災害補償保険の適用事業主である
②成果目標1から6の設定に向けた条件を満たしている
③年5日の年次有給休暇の取得に向けて就業規則等を整備している
④以下のいずれかに該当する中小企業事業主である
■建設業
■運送業
■病院等
■砂糖製造業(鹿児島県・沖縄県に限る)

成果目標

支給対象となる取組は、以下の1から6の成果目標のうちいずれかを選択し、達成を目指すものです。なお、業種等ごとに選択できる目標が異なりますので注意してください。

1【全ての業種が選択可能】
■36協定について、時間外・休日労働時間数を縮減し、月60時間以下または月60時間を超え月80時間以下に上限を設定し、所轄労働基準監督署長に届出を行う

2【全ての業種が選択可能】
■全ての対象事業場で、年次有給休暇の計画的付与の規定を新たに導入する

3【全ての業種が選択可能】
■全ての対象事業場で、時間単位の年次有給休暇の規定を新たに導入し、かつ、特別休暇(病気休暇、教育訓練休暇、ボランティア休暇、不妊治療のための休暇、時間単位の特別休暇)の規定をいずれか1つ以上を新たに導入する

4【全ての業種が選択可能】
■全ての対象事業場で、9時間以上の勤務間インターバル制度の規定を新たに導入する

5【建設業が選択可能】
■全ての対象事業場で、4週5休から4週8休以上の範囲で所定休日を増加させる

6【病院等が選択可能】
■医師の働き方改革推進に関する取組として、以下の2つを実施する
①労務管理体制の構築等
・労務管理責任者を設置する
・兼業の場合等の労働時間の通算や、医師の休息時間確保に関わる協力体制の整備を行う
・人事・労務管理のマネジメント研修を実施する

②医師の労働時間の実態把握と管理
・医師の労働時間の実態把握を行う

助成額

助成額は、原則として対象経費の合計額に3/4(※)を乗じた額か、以下の成果目標1から6の上限額および賃金加算額の合計額のいずれか低いほうが適用されます。

(※)事業規模30名以下かつ労働能率の増進に資する設備・機器等の経費が30万円を超える場合は4/5を助成

■成果目標1 上限額 250万円
■成果目標2 上限額 25万円
■成果目標3 上限額 25万円
■成果目標4 建設業及び砂糖製造業の場合:上限額 120万円
運送業の場合:上限額 170万円
病院の場合:上限額 170万円
■成果目標5 上限額:1日増加ごとに25万円(最大で100万円まで)
■成果目標6 上限額 50万円

なお成果目標ごとの上限額に関しては、以下の図も参考にしてください。

出典:厚生労働省 働き方改革推進支援助成金(業種別課題対応コース)

働き方改革推進支援助成金(労働時間短縮・年休促進支援コース)

このコースは、時間外労働の削減や年次有給休暇や特別休暇の促進に向けた環境整備に取り組む中小企業事業主が支援の対象です。

働き方改革推進支援助成金2023年の労働時間短縮・年休促進支援コースとは?~中小企業におすすめの助成金~

対象事業主

支給の対象となるのは、以下のすべてを満たす中小企業事業主です。

①労働者災害補償保険の適用事業主である
②成果目標1から3の設定に向けた条件を満たしている
③年5日の年次有給休暇の取得に向けて就業規則等を整備している

成果目標

支給対象となる取組は、以下の1から3の成果目標のうちいずれかを選択し、達成を目指すものです。

■成果目標1
36協定について時間外・休日労働時間数を縮減し、月60時間以下または月60時間から80時間以下に上限を設定し、所轄労働基準監督署長に届け出を行う

■成果目標2
年次有給休暇の計画的付与の規定を新たに導入する

■成果目標3
時間単位の年次有給休暇の規定を新たに導入し、かつ特別休暇の規定を新たに導入する

助成額

助成額は、原則として対象経費の合計額に3/4(※)を乗じた額か、以下の成果目標1から3の上限額および賃金加算額の合計額のいずれか低いほうが適用されます。
(※)事業規模30名以下かつ労働能率の増進に資する設備・機器等の経費が30万円を超える場合は4/5を助成

■成果目標1 ・事業実施前の時間外労働時間数等が、月80時間を超えている場合
①時間外労働時間数等を月60時間以下に:上限額 200万円
②時間外労働時間数等を、月60時間超え80時間以下に:上限額 100万円

・事業実施前の時間外労働時間数等が、月60時間を超えている場合
①時間外労働時間数等を月60時間以下に設定:上限額 150万円
■成果目標2 上限額 25万円
■成果目標3 上限額 25万円

働き方改革推進支援助成金(勤務間インターバル導入コース)

「勤務間インターバル」とは、勤務終了後から次の勤務までに一定時間以上の休息時間を設けることです。このコースでは、勤務間インターバル制度の導入に関する取組が支援されます。

対象事業主

支給の対象となるのは、以下のすべてを満たす中小企業事業主です。

①労働者災害補償保険の適用事業主である
②次のいずれかに該当する事業場を有する事業主である
■現在、勤務間インターバルを導入していない
■既に休息時間数が9時間以上の勤務間インターバルを導入している事業場のうち、対象となる労働者が半数以下である
■既に休息時間数が9時間未満の勤務間インターバルを導入している
③36協定が締結・届出されている
④原則として、過去2年間に月45時間を超える時間外労働の実態がある
⑤年5日の年次有給休暇の取得に向けて就業規則等を整備している

成果目標

勤務間インターバル導入コースの成果目標は、以下の通りです。

休息時間数が「9時間以上11時間未満」または「11時間以上」の勤務間インターバルを導入し、定着を図ること

具体的には、以下のいずれかの取組を行う必要があります。
■勤務間インターバルの新規導入
■勤務間インターバルの適用範囲の拡大
■勤務間インターバルの時間延長

助成額

助成額は、原則として対象経費の合計額に3/4(※)を乗じた額です。ただし、上限額は次のとおりです。
(※)事業規模30名以下かつ労働能率の増進に資する設備・機器等の経費が30万円を超える場合は4/5を助成

■新規導入 ⇒令和6年は、助成額の上限が20万円アップ! ・休息時間数9時間以上11時間未満
80万円⇒100万円
・休息時間数11時間以上
100万円⇒120万円
■適用範囲の拡大または時間延長 ⇒令和6年は上限が10万円アップ! ・休息時間数9時間以上11時間未満
40万円⇒50万円
・休息時間数11時間以上
50万円⇒60万円

働き方改革推進支援助成金(団体推進コース)

事業主団体等が、労働者の労働条件の改善のために時間外労働の削減や賃金引上げに向けた取組を実施した場合に、その事業主団体等に対して助成金が交付されます。

働き方改革推進支援助成金2023年の団体推進コースの活用事例を紹介!

対象事業主

支給対象となる事業主団体等は、3事業主以上で構成され、1年以上の活動実績がある団体のうち、以下のいずれかに該当するものです。

①以下の事業主団体
■法律で規定する団体等
■上記以外の事業主団のうち、一定の要件を満たしたもの
②共同事業主
■支給対象となる事業主団体等が労働者災害補償保険の適用事業主であり、中小企業事業主の占める割合が、全体の1/2を超えること
■支給対象となる事業主団体等が以下の事業主で構成される団体であり、全体の1/5の団体が中小企業事業主であること
・工作物の建設の事業その他これに関連する事業として、厚生労働省令で定める事業を主たる事業として営む事業主
・自動車運転の業務に従事する労働者が所属する事業主
・病院、診療所、介護老人保健施設または介護医療院を運営する事業主
・鹿児島県および沖縄県における砂糖を製造する事業を主たる事業とする事業主

■合意に基づく協定書を作成していること等の要件を満たしていること

成果目標

成果目標は、以下のとおりです。

支給対象となる取組について、事業主団体等が時間外労働の削減または賃金引上げに向けた改善事業の取組を行う。さらに構成事業主の1/2以上に対してその取組・取組結果を活用する。

助成額

成果目標の達成に向けた取組の実施に要した経費を支給します。ただし、以下のいずれか低い方の額が支給額です。

①対象経費の合計額
②総事業費から収入額を控除した額
③上限額500万円

働き方改革推進支援助成金はいくらもえらえる

それぞれのコースでもらえる金額は異なります。ここで、団体推進以外のコースに共通する加算内容について確認しましょう。成果目標に加えて3%以上の賃上げが行われた場合に、助成額の加算が受けられます。賃上げ加算額の詳細は、以下の通りです。(常時使用する労働者数が30人を超える中小企業事業主の場合)

■3%以上引き上げ ・引き上げ人数1~3人:15万円
・4~6人:30万円
・7~10人:50万円
・11人~30人:1人当たり5万円(上限150万円)
■5%以上引き上げ ・引き上げ人数1~3人:24万円
・4~6人:48万円
・7~10人:80万円
・11人~30人:1人当たり8万円(上限240万円)

なお、引き上げ人数の上限は30人です。

常時使用する労働者数が30人以下の中小企業事業主の場合は、別途加算額が設定されています。その場合の加算額は、最大で480万円になります。

成果目標を達成し、一定要件を満たして加算を受けた場合の各コースの上限額は以下のとおりです。

・働き方改革推進支援助成金(業種別課題対応コース):運送業:最大950万円、病院等・建設業:最大1000万円
・働き方改革推進支援助成金(労働時間短縮・年休促進支援コース):最大730万円
・働き方改革推進支援助成金(勤務間インターバル導入コース):最大600万円
・働き方改革推進支援助成金(団体推進コース):最大1000万円 ※都道府県またはブロック単位で構成する、中小企業の事業主団体(傘下企業数が10社以上)の場合

働き方改革推進支援助成金いつまで

令和5(2023)年の交付申請期限は12月28日まで延長され、これにともない、事業実施期間および支給申請期限も下記の通り変更になりました。
・交付申請期限:令和5年12月28日
・事業実施期間:令和6年2月29日
・支給申請期限:令和6年3月8日

支給申請期限は事業実施予定期間の最終日から換算して30日後の日、または上記期限のいずれか早い日となります。たとえば、令和5年12月1日に申請を行い、令和6年1月10日に事業実施期間が終了した場合には、その30日後である2月9日が支給申請期限となります。最終日から換算した30日後が令和6年3月8日以降だった場合でも、支給申請期限は令和6年3月8日となります。

なお、令和6年の交付申請は4月から開始し、11月29日に締め切りの予定です。

働き方改革推進支援助成金 コース共通項目

「業務別課題対応コース」、「労働時間短縮・年休促進支援コース」、「勤務間インターバル導入コース」で共通の項目については、以下のとおりです。

対象となる取組

助成対象となる取組は、以下の①から⑨です。

①労務管理担当者に対する研修
②労働者に対する研修、周知・啓発
③外部専門家によるコンサルティング
④就業規則・労使協定等の作成・変更
⑤人材確保に向けた取組
⑥労務管理用ソフトウェアの導入・更新
➆労務管理用機器の導入・更新
⑧デジタル式運行記録計(デジタコ)の導入・更新
⑨労働能率の増進に資する設備・機器等の導入・更新

団体推進コースで対象となる取り組み

団体推進コースでは、以下のいずれか一つ以上を実施します。

①市場調査の事業
②新ビジネスモデル開発、実験の事業
③材料費、水光熱費、在庫等の費用の低減実験(労働費用を除く)の事業
④下請取引適正化への理解促進等、労働時間等の設定の改善に向けた取引先等との調整の事業
⑤販路の拡大等の実現を図るための展示会開催及び出展の事業
⑥好事例の収集、普及啓発の事業
➆セミナーの開催等の事業
⑧巡回指導、相談窓口設置等の事業
⑨構成事業主が共同で利用する労働能率の増進に資する設備・機器の導入・更新の事業
⑩人材確保に向けた取組の事業

事業実施期間

交付決定の日から当該交付決定日の属する年度の1月31日までに取組を実施します。

ただし、「業種別課題対応コース」において、改善事業主が砂糖製造業の場合は、3月15日までの実施となります(その他の業種は、1月31日まで)。「団体推進コース」は、交付決定の日から当該交付決定の属する年度の2月14日までの間に取組を実施します。

働き方改革推進支援助成金の申請方法は?

それでは、働き方改革推進支援助成金の申請方法について見ていきましょう。なお本助成金は、予算額の上限に達した場合、予告なく受付が締め切られる場合があります。早めに申請の準備を行いましょう。

働き方改革推進支援助成金利用の流れ

利用の流れは、以下の通りです。

①交付申請
「交付申請書」を最寄りの労働局雇用環境・均等部(室)に提出

②事業実施
交付決定後、提出した計画に沿って取組を実施

③支給申請
労働局に支給申請

申請方法

申請は書類の提出を持って行われます。コースごとに申請に必要な書類は違いますので、要項をよく確認してください。なお改善事業の取組は、必ず交付決定後に実施してください。

締め切り

申請の受付は、令和6(2024)年11月29日(金)必着です。

まとめ

労働環境の改善は、従業員の就労意欲の向上につながります。労働者が働きやすい環境になれば、企業全体の業績も上がっていくはずです。

中小企業の成長にとって、従業員の一人ひとりの生産性向上は大切な要素のひとつです。働き方改革推進支援助成金を活用し、従業員にとっても企業にとっても嬉しい改革を目指しましょう。

参考:働き方改革推進支援助成金について

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