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令和4年働き方改革推進支援助成金 勤務間インターバル導入コースを徹底解説!

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平成31年4月から「勤務間インターバル制度」の導入が努力義務化されました。これは、勤務終了後から始業までに一定時間以上の休息時間を設けることで、労働者の健康保持や過重労働の防止を図る制度です。

しかし、中小企業では費用がかかることを理由に導入をためらっている事例も見られることから、働き方改革に取り組もうとする中小企業事業主に対し、労働環境整備に使った費用の一部を助成する「働き方改革推進支援助成金 勤務間インターバル導入コース」を実施しています。今回はその概要から対象事業者、助成対象経費、申請の流れなどについて詳細に解説します。本助成金の活用を考えている方は、ぜひ参考にしてください。

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この記事の目次

「働き方改革推進支援助成金 勤務間インターバル導入コース」がはじまったきっかけ

現在、労働力人口が減少を続けている日本では、減少に歯止めをかけて経済を活性化しなければなりません。そのために必要なのが、ワーク・ライフ・バランスの実現と一億総活躍社会を作るための改革です。

これを実現するためには、いくつか課題があります。その中で、抜本的に改革しなければならないのが長時間労働の是正です。

ただ、日本社会そのものが長時間労働を前提として作られたこともあり、特に中小企業では人材不足もあってなかなか是正が進みません。そこで労働時間等の設定改善を促進するために設立されたのが、「働き方改革推進支援助成金 勤務間インターバル導入コース」です。

令和4年働き方改革推進支援助成金 勤務間インターバル導入コースとは

勤務間インターバルとは、休息時間数に関係なく就業規則などで「終業より次の始業までの休息時間を確保することを定めること」です。

「働き方改革推進支援助成金 勤務間インターバル導入コース」では、その導入に必要な研修、周知・啓発、労働時間管理の適正化に必要な機械装置の導入を支援して生産性向上を図り、労働時間等の設定改善の推進を促進することをその目的としています。

対象事業者

令和4年働き方改革推進支援助成金 勤務間インターバル導入コースでは、下記のすべてに該当する中小企業事業主が対象事業者です。

(1)労働者災害補償保険の適用事業主であること
(2)下記のいずれかに該当する事業場を持っている事業主であること
・勤務間インターバルが導入されていない事業場(新規導入)
・休息時間数9時間以上の勤務間インターバルが導入済の事業場で、対象となる労働者が該当する事業場に所属する労働者のうち半数以下の事業場(適用範囲の拡大)
・すでに休息時間数が9時間未満の勤務間インターバスが導入済の事業場(時間延長)
(3)すべての対象事業場にて、交付申請時間および支給申請時点にて、36協定が締結・届出されていること
(4)すべての対象事業場にて、原則として過去2年間に月45時間を超える時間外労働の実態があること
(5)すべての対象事業場にて、交付申請時点で、年5日の年次有給休暇の取得に向けて就業規則などを整備していること
(6)下記表のいずれかに該当する中小企業事業主であること

業種 資本または出資額 常時雇用する労働者
小売業(飲食店を含む) 5,000万円以下 50人以下
サービス業 5,000万円以下 100人以下
卸売業 1億円以下 100人以下
その他の業種 3億円以下 300人以下

助成対象となる取り組み

令和4年働き方改革推進支援助成金 勤務間インターバル導入コースにおける助成対象となる取り組みは、下記の9つです。

その中のいずれか1つ以上を実施すると、助成対象になります。

(1)労務管理担当者への研修
(2)労働者に対する研修・周知・啓発
(3)外部専門家(社会保険労務士・中小企業診断士など)によるコンサルティング
(4)就業規則・労使協定などの作成・変更
(5)人材確保に向けた取り組み
(6)労務管理用ソフトウェアの導入・更新
(7)労務管理用機器の導入・更新
(8)デジタル式運行記録計(デジタコ)の導入・更新
(9)労働能率の増進に資する設備・機器などの導入・更新(例:小売業のPOS装置・自動車修理業の自動車リフト・運送業の洗車機など)

【注意点】
研修には、業務研修も含まれます。
パソコン・タブレット・スマートフォンの導入・更新は、原則として対象外です。

成果目標

基本的な成果目標は、下記のとおりです。

事業実施計画において指定されたすべての事業場において、休息時間数(勤務間インターバル)を下記のいずれかになるように設定・導入して、その定着を図ること。
◆9時間以上11時間未満
◆11時間以上

さらに、交付申請時点における状況に合わせ、事業実施計画において指定された各事業場で下記1~3のいずれかに取り組むことを定めています。

1.新規導入
勤務間インターバル未導入の事業場では、下記の条件を満たす勤務間インターバルに関する規定を労働協約または就業規則に定めてください。

◆対象となる労働者が当該事業場に所属する労働者の半数を超える
◆休息時間数が9時間以上

2.適用範囲の拡大
休息時間数9時間以上の勤務間インターバルを導入している事業場で、対象労働者が所属する労働者の半数以下の事業場が対象です。

労働協約または就業規則に、下記の条件を満たした規定を追記してください。
◆所属する労働者の半数を超える者を対象とする旨

3.時間延長
休息時間数9時間未満の勤務間インターバルを導入している事業場が対象です。下記の条件を満たした規定を、労働協約または就業規則に追記してください。

◆所属する労働者の半数を超えるものを対象とする旨
◆当該休息時間数を2時間以上延長して、休息時間数を9時間以上とする旨

【賃金引き上げの達成時の加算額】
上記に加え、対象事業場に所属する労働者のうち指定する労働者について、下記を成果目標に加えることもできます。

◆1時間あたりの賃金額について、3%以上の引き上げ

【助成対象期間】
交付決定日より令和5年1月31日(最長)までに、上記取り組みを実施してください。

助成対象経費

令和4年働き方改革推進支援助成金 勤務間インターバル導入コースにおいて、助成対象となる経費は下記事業にかかる経費です。

労務管理担当者および労働者に対する研修(業務研修を含む)
制度導入に関する周知・啓発
外部専門家によるコンサルティング
就業規則・労使協定などの作成・変更
人材確保に向けた取り組み
下記の導入・更新にかかる経費
・労務管理用ソフトウェア
・労務管理用機器
・デジタル式運行記録計(デジタコ)
・その他労働能率の増進に資する設備・機器など

経理上の勘定科目では、下記のとおりとなります。

謝金(外部専門家へのセミナー講師依頼費、コンサルティング費用など)
旅費交通費(外部専門家の移動交通費など)
借損料
会議費(原則茶菓代程度)
雑役務費
広告宣伝費(自社商品紹介用の商品説明映像の制作費など)
印刷製本費(就業規則など労使関係書類の印刷・製本にかかる経費)
備品費
機械装置等購入費(事業実施に必要な設備・機器などの導入・更新費用、送料)
委託費

上記について、事業を実施するために交付決定日より実際に支出したものが、本補助金における助成対象経費となります。

支払方法は銀行振込が原則です。支払の事実(相手方・支払内容・支払日・支払額など)を証明可能な資料を保管・整理しておいてください。

なお、クレジットカード・小切手・約束手形(支払手形)などによる支払は、支給申請日までに口座から引き落としが実行されている場合のみ助成対象となります。

助成対象外経費

令和4年働き方改革推進支援助成金 勤務間インターバル導入コースにおいて、助成対象外となる経費は下記のとおりです。

  • 消費税・地方消費税にかかる仕入控除税額(仕入控除金額が明らかでない場合を除く)
  • 事業にかかる経費のうち、交付決定前に発注・契約などを行った場合
  • クレジットカード・小切手・約束手形(支払手形)などによる支払で、支給申請日までに口座から引き落とされていない経費
  • 事業実施予定期間経過後に就業規則を施行した際の作成・変更に関する経費
  • 事業実施予定期間経過後に改善措置を実施した際にかかる専門家への謝金
  • 事業実施予定期間経過後に納品された備品・機械装置等の購入費用
  • 事業実施予定期間内に支払いが完了していない経費
  • 飲食店の食品衛生責任者など事業実施のために必須となる資格取得、成果目標の達成に無関係な研修にかかる費用
  • 光熱費
  • 旅費のうち、グリーン車・ビジネスクラスなどの割増運賃相当
  • 申請事業主・申請代理人・提出代行者または事務代行者が事業の受任者になっている場合
  • 通常の事業活動に伴う経費(例:バイク・オートバイ、ETC車載器など)

補助率・助成額

補助率:助成対象経費のうち、3/4(※1)
最大助成額(合計):340万円(※2)

(※1)補助率について
以下の条件を満たした場合、前述の「助成対象となる取り組み」の(6)~(9)に該当する経費の助成率は4/5に変わります。

◆満たすべき条件
①事業規模が30名以下
②労働能率の増進に資する設備・機器などの経費(「助成対象となる取り組み」の(6)~(9)に該当する経費)が30万円超(税込)

(※2) 助成額について
最大助成額は、成果目標の達成状況に応じて変わります。
それぞれの達成状況に応じた助成金支給額の上限については、下記表を参照してください。

【新規導入に該当する取り組みがある場合】

休息時間数 助成上限額
9時間以上11時間未満 80万円
11時間以上 100万円

【適用範囲の拡大または時間延長に該当する取り組みがある場合】

休息時間数 助成上限額
9時間以上11時間未満 40万円
11時間以上 50万円

【賃金引き上げ達成時の加算額】

引き上げ人数 1~3人 4~6人 7~10人 11~30人
3%以上引き上げ 15万円 30万円 50万円 1人あたり5万円(上限150万円)
5%以上引き上げ 24万円 48万円 80万円 1人あたり8万円(上限240万円)

最大助成額の詳細

成果目標ごとにおける加算額を含めた最大助成額は、下記のとおりです。


新規導入
勤務間インターバルが9時間以上11時間未満 ・賃金額3%以上引き上げの場合:230万円
・賃金額5%以上引き上げの場合:320万円
勤務間インターバルが11時間以上 ・賃金額3%以上引き上げの場合:250万円
・賃金額5%以上引き上げの場合:340万円

適用範囲の拡大または時間延長
勤務間インターバルが9時間以上11時間未満 ・賃金額3%以上引き上げの場合:190万円
・賃金額5%以上引き上げの場合:280万円
勤務間インターバルが11時間以上 ・賃金額3%以上引き上げの場合:200万円
・賃金額5%以上引き上げの場合:290万円

公募期間

令和4年働き方改革推進支援助成金 勤務間インターバル導入コースに申請するためには、後述する交付申請に必要な提出書類を揃えて提出することが必要です。

書類については、令和4年11月30日までに必着するように送ってください。

ただし、予算額に達した場合は、締切前に受付を終了することがあるので注意しましょう。

書類提出方法

令和4年働き方改革推進支援助成金 勤務間インターバル導入コースの書類提出方法は、3つあります。ここでは、それぞれの方法について説明します。

【郵送】
後述する必要書類を揃え、所轄の都道府県労働局「雇用環境・均等部(室)」宛に郵送してください。

【持参】
同じく必要書類を揃えた上で、所轄の都道府県労働局「雇用環境・均等部(室)」までお持ちください。

【電子システムによる申請】
本助成金は、下記電子申請システムにて提出できます。

▼「jGrants」ホームページ
https://www.jgrants-portal.go.jp/

「補助金を探す」より「勤務間インターバル導入コース」と入れると、当助成金が出てきます。「GビズID」を取得済の事業主は、オンライン申請が便利です。

交付申請書の作成・提出について

指定様式の書類は、公式ページにてダウンロードができます。本助成金の指定様式は、交付申請書(指定様式第1号)および事業実施計画(様式第1号別添)があります。下記より、忘れずにダウンロードしておきましょう。

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000150891.html

上記にある提出方法のいずれかで申請書類を提出してください。なお、申請書類の書き方の見本は募集要項にもあります。記入の際は参考にしてください。

また、不明点がある際のお問合せ先は、同じく所轄の都道府県労働局「雇用環境・均等部(室)」です。必要書類に関して不明点があったら、問い合わせるようにしましょう。

申請時の提出書類

令和4年働き方改革推進支援助成金 勤務間インターバル導入コースの提出書類は下記のとおりです。

  • 交付申請書
  • 事業実施計画
  • 36協定
  • 労働時間がわかる書類
  • 就業規則の写し
    年次有給休暇管理簿
  • 事業に取り組む前の勤務間インターバルの導入状況を確認するための書類
  • 対象労働者の交付申請前一月分の賃金台帳の写し
    労働時間がわかる書類
  • 見積書
    ※事業を実施するために必要な経費の算出根拠がわかる資料
    ※必要に応じて導入する機器などの内容がわかる資料

交付申請書の作成・提出後の流れは以下のとおりです。
1.申請書類の受付・審査
2.交付決定・不決定の通知
3.事業実施 (事業実施予定期間は令和5年1月31日まで)
4.支給申請書の提出 (提出期限は、事業実施予定期間の終了日から起算して30日後または令和5年2月10日のいずれか早い方)
5.助成金対象事業者の義務 (アンケートへの協力、定着・継続状況の確認)

令和4年働き方改革推進支援助成金 勤務間インターバル導入コースの活用事例

支給対象となる取組の9番「労働能率の増進に資する設備・機器等の導入・更新」については、労働能率の改善(労働時間短縮)につながれば助成対象として認められます。

過去に認められた例でいえば、下記のとおりです。

スロープやリフトが付いていない車両を使用していた障害者支援施設で、車椅子利用者の乗降時間を短縮する目的で車いす仕様車を導入した際の購入経費が認められています。

別の支援施設では、福祉車両にするための改良費用も、当該改良を行ったことで労働能率の増進が図られると認められると、機器の改良費として助成対象経費と認められた例があります。

小売業であればインターネットを活用した自動受注システムの導入に関するシステム開発費用、自動梱包機の新規導入があげられるでしょう。他にも、売上管理システム、在庫管理システム、自動仕入システムの開発・導入費用も助成対象です。

その他、北海道・東北など降雪量の多い地方であれば、大型除雪機・融雪期の導入・更新の経費が認められたという例もあります。

まとめ

本記事では、「令和4年働き方改革推進支援助成金 勤務間インターバル導入コース」の概要・助成対象経費などの詳細と、申請の流れなどについて解説しました。

多様かつ柔軟な働き方実現に向けて、日本社会全体が動き出している以上、中小企業もそれらに対応していくことが必要です。

これまで多額の費用が発生することを理由に二の足を踏んでいた中小企業も、本助成金を活用して勤務間インターバルを導入してみてはいかがでしょうか。

参考:働き方改革推進支援助成金(勤務間インターバル導入コース)

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