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勤務間インターバル導入コースとは?最大150万円+加算【2026年度】義務化の最新動向と申請要件を解説

公開日:2022/7/4 更新日:2026/9/7
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厚生労働省の令和7年就労条件総合調査によると、勤務間インターバル制度を導入している企業はわずか6.9%。導入を予定または検討している企業を足しても2割に届きません。一方で国は「過労死等の防止のための対策に関する大綱」で、令和10年(2028年)までに労働者30人以上の企業の導入率を15%以上に引き上げる数値目標を掲げています。

制度は2019年4月から努力義務ですが、義務化に向けた議論も続いています。厚生労働省の労働基準関係法制研究会が2025年1月に公表した報告書では勤務間インターバル制度の導入義務化が提言され、現在も労働政策審議会の労働条件分科会で審議が続いています。

働き方改革推進支援助成金の勤務間インターバル導入コースは、この制度の導入にかかる費用の4分の3(小規模事業者は5分の4)を助成し、上限は最大150万円。賃上げ加算・割増賃金率引上げ加算を組み合わせれば、上限額はさらに積み上がります。令和8年度の交付申請期限は令和8年11月30日(月)午後5時です。

この記事では、自社がいくらもらえるのか、就業規則に何を書けばいいのか、勤怠管理システムやパソコンは対象になるのかを、令和8年度の交付要綱・支給要領をもとに解説します。

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【働き方改革推進支援助成金 各コース詳細】
・業種別課題対応コース
・労働時間短縮・年休促進支援コース
・【★本記事】勤務間インターバル導入コース
・団体推進コース
・取引環境改善コース(2026年新設)

働き方改革推進支援助成金とは?【2026年度・令和8年度】各コースの違い・助成額・申請手順まとめ

この記事の目次

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勤務間インターバル導入コースとは?対象・助成額・成果目標をわかりやすく解説

勤務間インターバル導入コースは、生産性を向上させながら勤務間インターバル制度の導入に取り組む中小企業事業主に対し、設備導入費・研修費・コンサルティング費などの一部を助成する制度です。働き方改革推進支援助成金の5コースのうちの1つで、インターバル制度の導入に特化しています。

項目内容
対象全業種の中小企業事業主(労災保険の適用事業主)
補助率4分の3(常時使用する労働者数30人以下かつ設備・機器等の所要額が30万円超の場合は5分の4)
助成上限額50万円〜150万円(休息時間数と適用範囲による)
加算制度賃上げ加算(最大720万円)、割増賃金率引上げ加算(最大100万円)
成果目標一定時間以上の勤務間インターバルを、一定範囲を超える労働者に導入すること
交付申請期限令和8年11月30日(月)午後5時
事業実施期間交付決定の日から令和9年1月31日(日)まで
申請窓口企業の所在地を管轄する都道府県労働局 雇用環境・均等部(室)

助成額は「成果目標ごとの助成上限額と加算額の合計」と「対象経費の合計額×補助率」を比べ、低いほうが支給されます。上限額いっぱいを受け取るには、それに見合う投資が必要です。

そもそも勤務間インターバル制度とは?

勤務間インターバル制度とは、前日の終業から翌日の始業までに一定時間以上の休息時間(インターバル時間)を確保する仕組みです。労働時間等設定改善法の改正により、2019年4月1日から事業主の努力義務となっています。

単に残業を制限するのではなく、遅い時間まで働いた場合は翌日の始業時刻を繰り下げることで、休息時間を自動的に保障できる点が特徴です。厚生労働省は9時間から11時間以上の休息時間を推奨しており、本助成金も9時間以上の導入を助成の条件としています。

なお支給要領では、勤務間インターバルを「既に導入している」とは、労働契約の内容として終業から次の始業までの休息時間が現に確保されていることを指すとされています。終業後の所定外労働を禁止しているだけ、または始業前の所定外労働を禁止しているだけでは、導入しているとは扱われません。

勤務間インターバル制度の義務化はいつから?【2026年9月時点】

2026年9月時点で、勤務間インターバル制度の義務化時期は決まっていません。制度は現在も努力義務であり、罰則を伴う法的義務にはなっていません。

ただし議論は継続しています。時系列で整理すると次のとおりです。

時期できごと
2019年4月労働時間等設定改善法の改正により、勤務間インターバル制度の導入が事業主の努力義務に
2024年8月「過労死等の防止のための対策に関する大綱」を閣議決定。令和10年(2028年)までに、労働者30人以上の企業の導入率15%以上、制度を知らなかった企業割合5%未満という数値目標を設定
2025年1月厚生労働省の労働基準関係法制研究会が報告書を公表し、勤務間インターバル制度の導入義務化を提言
2025年末2026年通常国会への労働基準法改正案の提出が見送りに
2026年9月時点労働政策審議会の労働条件分科会で引き続き審議中

研究会報告書では、11時間を原則としつつ、適用除外や代替措置を労使で決める考え方、11時間より短い時間から段階的に始める考え方、経過措置を設けて全面施行まで一定期間を置く考え方などが示されています。あわせて、連続勤務の上限規制、法定休日の特定義務、つながらない権利に関するガイドラインなど7つの論点が検討対象となっています。

法案提出が見送られたことで施行時期は後ろ倒しになりましたが、改正の方向性そのものが撤回されたわけではありません。義務化されれば勤怠管理体制の整備や就業規則の改定が必要になるため、努力義務である今のうちに助成金を使って導入しておくのが現実的な備えになります。

2026年度(令和8年度)の変更点は?

令和8年度は3つの拡充がありました。特に「労働者の4分の1超2分の1以下」区分の新設により、全社一斉ではなく一部門から始める導入でも申請できるようになっています。

① 助成上限額の引上げ:11時間以上のインターバルを労働者の2分の1超に新規導入する場合の上限額が、令和7年度の120万円から150万円に引き上げられました。

② 適用対象者の要件緩和:従来は労働者の2分の1以上への適用が必要でしたが、4分の1超2分の1以下への適用でも申請できる区分が新設されました(上限額は50万円または75万円)。

③ 適用範囲拡大の回数緩和:「適用範囲の拡大」の取組回数に係る要件が、1回限りから2回までに緩和されました。

どんな企業が対象?5つの要件

対象は、次の5つをすべて満たす中小企業事業主です。同一年度内の交付決定は1事業主につき1回のみとなります。

要件内容
①労災保険の適用事業主であること労働者災害補償保険の適用を受けていること(暫定任意適用事業の事業主を除く)
②中小企業の規模要件を満たすこと業種ごとの資本金または常時使用する労働者数の基準に該当すること
③年休管理簿と就業規則を整備していることすべての指定事業場で、年次有給休暇の付与実績にかかわらず年休管理簿を作成していること。加えて常時10人以上の事業場は、年休の時季指定に関する定めがある就業規則を交付申請前に労働基準監督署へ届け出ていること
④対象となる事業場を持つこと勤務間インターバルを導入していない事業場、9時間以上を導入済みだが対象が労働者の半数以下の事業場、9時間未満を導入済みの事業場のいずれかがあること
⑤時間外労働の実態があること原則として、令和8年4月1日以前の2年間に、少なくとも1か月、月45時間(1年単位の変形労働時間制の場合は月42時間)を超える時間外労働の実態があること

③は「10人未満の事業場だけ年休管理簿が必要」と誤解されがちですが、令和8年度の支給要領では規模にかかわらずすべての指定事業場で年休管理簿の作成が必要とされています。申請前に必ず確認してください。

⑤には例外があります。次のいずれかに該当すれば、月45時間超の時間外労働の実態がなくても申請できます。

・交付申請時に、9時間以上の勤務間インターバルを確保できていない場合(事業場の体制や勤務形態により、構造的に9時間以上の休息が確保されないケース)
・改善事業を実施しなければ9時間以上の勤務間インターバルが確保できない、具体的かつ客観的な特段の事由がある場合

※納期の逼迫や取引先の事情による納期前倒しなど、労働時間等設定改善指針上の例外事由に該当する事由は、ここでいう「特段の事由」には当たりません。

中小企業の規模要件は、資本金・出資額または常時使用する労働者数のいずれかを満たせば対象です。

主たる事業資本金または出資の総額常時使用する労働者数
卸売業1億円以下100人以下
小売業5,000万円以下50人以下
サービス業5,000万円以下100人以下
医療・福祉のうち病院、診療所、介護老人保健施設、介護医療院問わない300人以下
その他の事業3億円以下300人以下

建設・運送・病院・情報通信・宿泊業は業種別課題対応コースも検討を

建設業、運送業、病院等、砂糖製造業、情報通信業、宿泊業に該当する場合は、業種別課題対応コースでも勤務間インターバルの導入を成果目標にできます。情報通信業・宿泊業では9時間以上11時間未満で120万円、11時間以上で150万円が上限に設定されており、36協定の縮減など他の成果目標と組み合わせて上限額を積み上げられる点が違いです。

同一の成果目標で複数コースを重ねて受給することはできないため、対象6業種の企業はどちらで申請するかを事前に比較してください。

働き方改革推進支援助成金 業種別課題対応コース|建設・運送・医療等対象、最大250万円【2026年度・令和8年度】

いくらもらえる?成果目標別の助成上限額

助成上限額は、成果目標の種類(新規導入/適用範囲の拡大/時間延長)と、導入する休息時間数、適用する労働者の範囲の組み合わせで決まります。最も高いのは、11時間以上を労働者の2分の1超に新規導入する場合の150万円です。

新規導入する場合の上限額

勤務間インターバルを導入していない事業場が新たに導入する場合の上限額です。適用する労働者の範囲で2段階に分かれます。

成果目標休息時間数9時間以上11時間未満休息時間数11時間以上
新規導入(労働者の2分の1超に適用)100万円150万円
新規導入(労働者の4分の1超2分の1以下に適用・令和8年度新設)50万円75万円

休息時間数は、事業実施計画で指定した事業場に導入するインターバルのうち、最も短い時間数で判定されます。複数事業場に異なる時間数で導入する場合は注意してください。

適用範囲の拡大・時間延長の場合の上限額

すでにインターバルを導入している企業が対象範囲を広げる、または休息時間を延ばす場合の上限額です。基本は次の2段階になります。

取組内容導入後9時間以上11時間未満導入後11時間以上
適用範囲の拡大/時間延長(2時間以上の延長が必要な場合あり)50万円75万円

9時間未満のインターバルを導入している事業場が時間延長で申請する場合は、2時間以上延長したうえで9時間以上とすることが必要です。自社がどのパターンに該当するかは、支給要領の別表または交付申請書類(様式第1号別添)の成果目標一覧表で確認できます。

2回目の申請で上限100万円になるパターンとは

過去にこの助成金で労働者の4分の1超2分の1以下にインターバルを導入した事業主は、2回目の申請で適用範囲を2分の1超に拡大できます。このとき、適用範囲の拡大と時間延長を同時に行い、休息時間数を11時間以上とする一部のパターンでは上限100万円が適用されます。

1回目に9時間以上11時間未満で導入し、2回目に2分の1超かつ11時間以上まで引き上げるケースが典型です。段階的に導入を進める場合は、1回目の設計次第で2回目の上限額が変わるため、初回の申請時から2回目まで見据えて計画を立てると総額を大きくできます。

補助率が5分の4に上がる小規模事業者の特例

次の条件をすべて満たす場合、補助率が4分の3から5分の4に引き上げられます。自己負担は実質2割です。

・常時使用する労働者数が30人以下であること
・改善事業として、労務管理用ソフトウェア・労務管理用機器・デジタル式運行記録計、または労働能率の増進に資する設備・機器等の導入・更新を実施すること
・その所要額が30万円を超えること

賃上げ加算はいくら上乗せされる?

成果目標に加えて労働者の時間当たり賃金額を引き上げると、助成上限額に加算されます。加算額は引上げ率と対象人数で決まり、次の表が基本となります(常時使用する労働者数が30人を超える場合)。

引上げ率1〜3人4〜6人7〜10人11人〜30人
3%以上6万円12万円20万円1人あたり2万円(上限60万円)
5%以上24万円48万円80万円1人あたり8万円(上限240万円)
7%以上36万円72万円120万円1人あたり12万円(上限360万円)

企業規模が小さいほど1人あたりの加算は手厚くなります。常時使用する労働者数が10人以上30人以下の場合は上表の5%以上・7%以上の区分が2倍、10人未満の場合は2.5倍の額が加算されます。3%以上の区分は倍率の対象外で、上表のままです。

労働者数5%以上引上げ(11人〜30人)7%以上引上げ(11人〜30人)
30人超1人あたり8万円(上限240万円)1人あたり12万円(上限360万円)
10人以上30人以下1人あたり16万円(上限480万円)1人あたり24万円(上限720万円)

賃上げ加算の最高額は、常時使用する労働者数が10人以上30人以下の企業が30人の賃金を7%以上引き上げた場合の720万円です。10人未満の企業は、7%以上・7〜9人の区分で最大300万円が加算されます。

【賃上げ加算の主な条件】
・賃上げ対象労働者は30人以下の範囲で指定すること
・引上げ後に支払われる賃金が1か月分に満たない見込みの労働者は対象に含められないこと
・就業規則・労働協約またはこれらに準ずるものの作成・変更により賃金を引き上げ、引上げ後も継続的に賃金水準を維持すること(一定期間限りの賃上げは不可)
・「引き上げられた賃金の計算期間の始期」と「就業規則等の作成・変更時点」の双方が、交付申請日から事業実施予定期間の終期までの期間に含まれること
・賃上げから6か月分の賃金を支払った日以降に、賃金の支払状況を労働局へ報告すること(報告を怠ると交付決定の取消しにつながる場合があります)

割増賃金率引上げ加算

所定割増賃金率を法定水準より引き上げると、次の加算を受けられます。両方を達成すれば合計100万円です。

取組内容加算額
月60時間以内の時間外労働に係る所定割増賃金率を5%以上引き上げる25万円
月45時間超60時間以内の時間外労働に係る所定割増賃金率を5割以上とし、かつ交付申請後から事業実施予定期間の終期までのいずれか1か月における時間外労働時間数を、交付申請日の属する月を基準として労働者1人あたり10時間以上削減する75万円

75万円の成果目標を選ぶには、令和8年4月1日以前の2年間に月45時間を超える時間外労働を行った労働者が1名以上いることが前提です。管理監督者など法定時間外労働が観念されない者を除いた全労働者のうち、1名でも該当すれば要件を満たします。

就業規則には何を書けばいい?成果目標達成の必須要件

助成金を受け取るには、勤務間インターバルについて就業規則または労働協約に4つの事項を定める必要があります。設備を導入しただけでは成果目標を達成したことになりません。

・対象となる労働者の範囲
・勤務間インターバルの時間数
・勤務間インターバルを確保することによって、翌日の始業時刻を超えてしまう場合の取扱い
・勤務間インターバルを確保できない場合の取扱い

常時10人以上の労働者を使用する指定事業場では、事業実施予定期間内にこの就業規則を所轄労働基準監督署長へ届け出て、施行する必要があります。常時10人未満の事業場で就業規則を届け出ていない場合は、届出に代えて、事業実施計画について意見聴取をした労働者の申立書(参考様式)を事業実施結果報告に添付します。

なお、ここでいう就業規則・労働協約は事業場全体または企業全体に適用されるものを指し、個々の労働者に適用される労働条件通知書や労使協定は含まれません。派遣労働者を対象にする場合は、就業規則等を派遣元事業場で整備する必要がある点にも注意してください。

何に使える?助成対象となる改善事業と経費

助成対象となる取り組み(改善事業)は次の9区分で、1つ以上を実施します。

改善事業具体例
①労務管理担当者に対する研修外部講師による管理職向けの労働時間管理研修、生産性向上に資する外部セミナーへの参加
②労働者に対する研修、周知・啓発インターバル制度や業務研修の実施、ノー残業デーの周知、年休取得率の目標設定に係る啓発
③外部専門家によるコンサルティング社会保険労務士・中小企業診断士等による業務体制の現状把握と改善提案
④就業規則・労使協定等の整備勤務間インターバル規定の新設、関連する労使協定の作成・変更
⑤人材確保に向けた取組採用ページの作成・更新、求人広告の掲載、採用説明会への出展、面接官研修
⑥労務管理用ソフトウェア等の導入・更新勤怠管理ソフトの導入、既存の労務管理ソフトと給与システムのAPI連携
⑦労務管理用機器の導入・更新タイムレコーダー、ICカードおよび読取装置
⑧デジタル式運行記録計の導入・更新デジタコ本体、記録媒体、読取装置、分析ソフトウェア
⑨上記以外の労働能率の増進に資する設備・機器等の導入・更新POS装置、自動車整備用の油圧式リフト、自動洗車機、自動食器洗い乾燥機

⑨の設備・機器等は「労働者が行う作業単位あたりの労働時間の削減に資すること」を客観的かつ合理的に説明できる必要があります。専門知識のない一般人が通常理解できる程度の説明が求められ、同一機種や能力が同等以下の機種への買い替え、新規事業の展開を目的とした導入、単なる経費削減(LED電球への交換など)や快適化(エアコン更新、スポットクーラー設置など)を目的とした導入は対象外です。

助成対象経費の区分と上限額

助成対象経費は、交付決定日から支給申請日までに実際に支出した費用のうち、次の14区分です。

経費区分内容
謝金/旅費専門家謝金、専門家旅費、職員旅費
借損料機器・ソフトウェアのレンタル・リース費用、ICTサービスの利用料(初期設定費用を含む)
会議費/印刷製本費会場借料、通信運搬費、茶菓代、研修資料やマニュアルの作成費用
雑役務費研修等受講料、機器・ソフトウェアの保守費用
原材料費/広告宣伝費資材購入費用、求人広告の掲載・合同企業説明会への出展等の費用(人材確保に向けた取組に係るものに限る)
機械装置等購入費/造作費機器・設備類の購入・改良・設置・撤去等の費用(初期設定費用、研修費用、送料を含む)
人材育成・教育訓練費/経営コンサルティング経費外部団体が行う人材育成セミナー等の受講費、外部専門家によるコンサルティング経費
備品費/委託費図書、ICカード、自動車(乗用自動車等を除く)等の購入費用、ソフトウェアの購入・改良費用、調査会社やシステム開発会社等への委託費用

資格取得を目的とした研修を改善事業として実施する場合は、合否にかかわらず受験料や交通費も対象に含められます。一方、改善事業を実施するうえで必要な資格の取得費用は対象外です。

改善事業の内容ごとに、次の経費上限が設けられています。

改善事業経費上限額
労務管理担当者・労働者に対する研修合計30万円まで(社労士等の提出代行者・事務代理者が受託する場合は合計10万円まで)
周知・啓発合計10万円まで
外部専門家によるコンサルティング合計10万円まで
就業規則・労使協定(36協定を除く)の整備合計10万円まで
36協定の整備(時間外・休日労働時間数を短縮させる場合に限る)合計1万円まで
就業規則・労使協定の届出合計1万円まで
人材確保に向けた取組合計10万円まで

労務管理用ソフトウェアや設備・機器等の導入・更新には経費上限額の定めがありません。高額の助成を狙う場合は、この区分が中心になります。

勤怠管理システムやパソコンは対象になる?

勤怠管理ソフトウェアやタイムレコーダー、ICカードとその読取装置は、労務管理用ソフトウェア・労務管理用機器として明確に対象です。既製の労務管理ソフトの自社専用カスタマイズや、労務管理ソフトと給与システムのAPI連携、RPAによる自動化も対象になります。

一方、パソコン・タブレット・スマートフォンは汎用事務機器に当たるため原則対象外です。PCモニター、ワークステーション、シュレッダー、SDカード、外付けハードディスクなども同じ扱いになります。ただしPOSシステムや会計給与システムなど特定業務専用のシステムを稼働させるために導入することが明らかな場合は対象に含められます。NASとサーバーは、パソコンとは質的に異なるものとして汎用事務機器には該当しません。

なお、単にパソコンの制御・ログ収集・資産管理機能を持つだけで労働時間管理に使うことが想定されていないセキュリティソフトの導入は、対象になりません。

助成対象にならない経費

対象外の費用補足
乗用自動車等の購入費用乗車定員10人以下で貨物・特種用途以外のもの。送迎用自動車や大型オートバイ(排気量251cc以上)も含む。貨物自動車、乗合自動車、除雪車、福祉車両は対象になりうる
原動機付自転車、軽二輪自動車、電動アシスト自転車、超小型EV汎用的な乗り物として対象外
通常の事業活動に伴う費用事務所の賃借料、光熱費、労働者の賃金、消耗品費、通信費、事業場内の監視カメラの設置費用
リース契約等の超過期間分の費用契約期間が事業実施予定期間を超える場合、超過分は対象外
改善事業の実施に必要な資格の取得費用助成対象経費の範囲外
損害を補償する保険等の費用、振込手数料・分割払いの手数料旅費に係る航空保険料は対象
外国旅費、日当、宿泊費、グリーン車・ビジネスクラスの割増運賃旅費区分の除外項目

パソコンや車両も対象になる「長時間労働恒常化特例」

原則として対象外の乗用自動車等やパソコン等も、次のすべてに該当する事業主は例外的に助成対象経費に含められます。

・自然災害や商慣行等の外的要因により、容易に労働時間を短縮し難い状況にあること
・すべての指定事業場について、交付申請日を含む過去2年間にわたり1日も途切れることなく36協定が有効であること
・交付申請日を含む過去2年間にわたり、36協定における特別延長時間が1か月60時間を超えていること

この特例に該当すると、本体購入価格200万円以下の乗用自動車等または乗車定員7人以上の乗用自動車等の購入費用と、パソコン・タブレット・スマートフォンの購入費用が対象になります。慢性的な長時間労働が続く運送業・建設業などは確認する価値があります。

なお自動車を購入する場合、検査登録手続や車庫証明手続の代行費、納車費用は対象に含められますが、預かり法定費用、リサイクル料金、自動車税環境性能割・種別割、自動車重量税、自賠責保険料は含められません。

申請方法とスケジュールは?

令和8年度の交付申請は令和8年4月13日(月)に受付が開始されました。期限は令和8年11月30日(月)午後5時です。

手続き期限
交付申請令和8年4月13日(月)から令和8年11月30日(月)午後5時まで
事業実施交付決定の日から令和9年1月31日(日)まで
支給申請(事業実施結果報告)事業実施予定期間の終了日から起算して30日後の日、または令和9年2月5日(金)のいずれか早い日

国の予算額に制約されるため、11月30日以前でも予告なく受付が締め切られる場合があります。年度後半は申請が集中するため、早めの着手が確実です。

交付申請に必要な書類

提出書類ポイント
交付申請書(様式第1号)と事業実施計画(様式第1号別添)厚生労働省のページから様式をダウンロード。記載例は申請マニュアルに掲載
改善事業を実施する前の勤務間インターバルの導入状況が分かる書類就業規則など
時間外・休日労働時間数や労働時間、年休の取得状況を確認するための書類36協定、賃金台帳、タイムカード等の労働時間管理記録、年休管理簿
賃金台帳の写し(交付申請日の属する月の前月1か月分)賃上げ加算・割増賃金率引上げ加算を選択する場合に必要
経費の算出根拠を確認するための書類見積書は原則2社以上から取得(相見積り)。同一企業グループ内の2社では相見積りと認められない
委任状等社労士などが申請代理を行う場合に必要

提出先は、企業の所在地(原則として本店所在地)を管轄する都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)です。窓口持参・郵送のほか、電子申請システムJグランツも利用できます。相見積りが困難な場合は、市場参考価格がわかる資料の提出を求められることがあります。

どんな課題に使える?活用事例

厚生労働省の公式ページでは、次の活用事例が紹介されています。

企業の課題取り組み改善結果
インターバル制度の導入にあたり、新たな機械や設備の導入による生産性向上が必要だった生産性向上に貢献する設備や機器等を導入した新たな機器や設備の使用によって労働能率が改善され、時間あたりの生産性が向上した
始業および終業時刻を手書きで記録しているため、管理上のミスが多かった労務管理用機器やソフトウェアを導入した記録方法を台帳からICカードに切り替えたことで、始業・終業時刻を正確に管理できるようになった
インターバル制度を導入するにあたり、業務上の無駄な作業を見直す必要があった外部の専門家によるコンサルティングを実施した専門家のアドバイスを受けて業務の抜本的な見直しに成功し、効率的な業務体制の構築につながった

いずれも「制度を作る」だけでなく、労務管理の可視化や業務効率化の設備導入をセットで行うことで、無理なく休息時間を確保する体制をつくっている点が共通しています。

不支給・減額になりやすい注意点は?

要件を満たしていても、進め方によって不支給や減額になることがあります。特につまずきやすい5点です。

注意点どうなるか
交付決定前に発注・契約・購入してしまったその経費は対象外。見積りの取得までは交付申請前に可能
就業規則に4つの事項を定めなかった、届出・施行が事業実施期間内に間に合わなかった成果目標が未達成と判定され、助成金は支給されない
すでに就業規則にインターバル規定があった「新規導入」と認められず、成果目標を選択できない
設備の労働時間削減効果を説明できない労働能率の増進に資すると認められず、改善事業として不採用になる
賃上げ加算の支払状況報告を怠った交付決定が取り消される場合がある

勤務間インターバル導入コースに関するよくある質問

勤務間インターバル導入コースはいくらもらえる?

改善事業に要した経費の4分の3(常時使用する労働者数30人以下かつ設備・機器等の所要額が30万円超の場合は5分の4)が助成され、上限額は成果目標に応じて50万円から150万円です。11時間以上のインターバルを労働者の2分の1超に新規導入する場合が最高額の150万円となります。さらに賃上げ加算(最大720万円)と割増賃金率引上げ加算(最大100万円)を上乗せできます。

勤務間インターバル制度の義務化はいつから?

2026年9月時点で義務化の時期は決まっていません。制度は2019年4月から努力義務のままです。2025年1月に厚生労働省の労働基準関係法制研究会が報告書で導入義務化を提言しましたが、2026年通常国会への労働基準法改正案の提出は見送られ、現在も労働政策審議会の労働条件分科会で審議が続いています。報告書では11時間を原則としつつ、段階的導入や経過措置を設ける考え方も示されています。

2026年度(令和8年度)はどこが変わった?

変更点は3つです。①11時間以上のインターバルを労働者の2分の1超に新規導入する場合の上限額が120万円から150万円に引き上げられました。②従来は労働者の2分の1以上への適用が必要でしたが、4分の1超2分の1以下に適用する区分が新設され、上限50万円または75万円で申請できるようになりました。③「適用範囲の拡大」の取組回数に係る要件が1回限りから2回までに緩和されました。

就業規則には何を書けばいい?

対象となる労働者の範囲、勤務間インターバルの時間数、インターバルを確保することによって翌日の始業時刻を超えてしまう場合の取扱い、インターバルを確保できない場合の取扱いの4つを、就業規則または労働協約に定める必要があります。常時10人以上の労働者を使用する事業場では、事業実施予定期間内に労働基準監督署へ届け出て施行することも必要です。10人未満で届出をしていない事業場は、届出に代えて労働者の申立書を事業実施結果報告に添付します。

勤怠管理システムの導入費用は対象になる?

対象になります。勤怠管理ソフトウェアやタイムレコーダー、ICカードとその読取装置は、労務管理用ソフトウェア・労務管理用機器として明確に助成対象です。既製の労務管理ソフトの自社専用カスタマイズや、給与システムとのAPI連携も含められます。これらの区分には経費上限額の定めがないため、高額の助成を狙う場合の中心になります。ただし労働時間管理に使うことが想定されていないセキュリティソフトは対象外です。

パソコンやタブレットの購入も対象になる?

原則として、パソコン・タブレット・スマートフォンなどの汎用事務機器は対象外です。ただしPOSシステムや会計給与システムなど特定業務専用のシステムを稼働させるために導入することが明らかな場合や、過去2年間にわたり36協定が途切れず有効で特別延長時間が月60時間を超えている「長時間労働恒常化特例」に該当する場合は、対象に含められます。NASとサーバーは汎用事務機器に該当しないため、対象になりえます。

残業がほとんどない会社でも申請できる?

条件次第で申請できます。原則は令和8年4月1日以前の2年間に月45時間(1年単位の変形労働時間制の場合は月42時間)を超える時間外労働の実態が必要ですが、交付申請時に9時間以上の勤務間インターバルを構造的に確保できていない場合や、改善事業を実施しなければ9時間以上を確保できない具体的かつ客観的な特段の事由がある場合は例外として認められます。ただし納期の逼迫など指針上の例外事由に該当する事由は、この「特段の事由」には当たりません。

同じ年度に2回申請できる?

できません。同一年度内の交付決定は1事業主につき1回のみです。ただし年度をまたぐ場合、過去に労働者の4分の1超2分の1以下にインターバルを導入した事業主が、適用範囲を2分の1超に拡大する目的で2回目の申請を行うことは可能です。このとき、適用範囲の拡大と時間延長を同時に行い休息時間数を11時間以上とする一部のパターンでは、上限100万円が適用されます。

個人事業主でも申請できる?

労災保険の適用事業主であり、中小企業の規模要件を満たせば個人事業主も申請できます。ただし労働者を雇用していることが前提のため、従業員のいない一人親方は対象外です。また経費の支払いは事業主本人の名義または当該事業の名義で行う必要があり、ともに事業を営む家族など本人以外の名義で支払った費用は認められません。

成果目標を達成できなかったらどうなる?

事業実施期間内に所定の時間数・適用範囲のインターバルを導入できなかった場合や、就業規則等が必要な手続を経て施行されなかった場合、その成果目標は未達成と判定され助成金は支給されません。賃上げ加算・割増賃金率引上げ加算についても同様で、加算の要件を満たさなかった場合はその加算分が支給されません。成果目標は、改善事業の結果として確実に達成できるものを選ぶことが重要です。

交付決定前に購入したものは対象になる?

対象になりません。交付決定の前に契約・発注・購入した費用は助成対象外です。改善事業に係る契約や支出は必ず交付決定後に行ってください。ただし契約行為の準備として、交付申請前に見積書を取得すること自体は問題ありません。また支払いは支給申請日までに完了している必要があり、クレジットカードや小切手の場合は口座からの引き落としが済んでいることが条件です。

他のコースや助成金と併用できる?

同一の改善事業・同一の成果目標について重ねて受給することはできません。特に建設業・運送業・病院等・砂糖製造業・情報通信業・宿泊業に該当する場合は、業種別課題対応コースでも勤務間インターバルの導入を成果目標にできるため、どちらで申請するかの比較が必要です。なお、本助成金の賃上げ対象労働者と業務改善助成金の事業場内最低賃金引上げの対象者が重複すること自体は差し支えありませんが、同一の機器・設備について両方を受給することはできません。


まとめ

働き方改革推進支援助成金の勤務間インターバル導入コースは、休息時間を確保する仕組みを整えたい中小企業向けの制度です。令和8年度は11時間以上を労働者の2分の1超に新規導入する場合の上限額が150万円に引き上げられ、労働者の4分の1超2分の1以下への適用でも申請できる区分が新設されました。全社一斉ではなく、一部門から段階的に導入する進め方が取りやすくなっています。

勤務間インターバル制度の導入率は6.9%にとどまる一方、義務化に向けた議論は労働政策審議会で続いています。努力義務である今のうちに、補助率4分の3から5分の4の支援を使って勤怠管理体制と就業規則を整えておくことが、将来の法改正への備えになります。

交付申請の期限は令和8年11月30日(月)午後5時ですが、予算上限に達し次第、予告なく受付が終了します。まずは36協定と就業規則の現状確認、そして相見積りの取得から着手してください。

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【働き方改革推進支援助成金 各コース詳細】
・業種別課題対応コース
・労働時間短縮・年休促進支援コース
・【★本記事】勤務間インターバル導入コース
・団体推進コース
・取引環境改善コース(2026年新設)

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