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【2024(令和6)年版】働き方改革推進支援助成金の業種別課題対応コースとは?

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建設業、運送業、病院等、砂糖製造業の皆様、時間外労働の上限規制への対応は進んでいますか?

働き方改革推進支援助成金の業種別課題対応コースは、時間外労働削減、週休2日制推進、医師の働き方改革など、4月から新たに規制が強化された業種における中小企業事業主の皆様を支援する助成金です。

この記事では、助成金の概要、対象となる事業主、支給額、申請方法などを分かりやすく解説します。規制強化への対応に悩む事業主の方、働き方改革を費用面で躊躇している方は、ぜひ参考にしてください。

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働き方改革推進支援助成金2023年の労働時間短縮・年休促進支援コースとは?~中小企業におすすめの助成金~

働き方改革推進支援助成金とは? 全4コースの概要を解説

この記事の目次

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長時間労働解消に向けた助成金「働き方改革推進支援助成金」とは

「働き方改革推進支援助成金」とは、中小企業の労働時間の設定や改善の促進を目的として、生産性を高めつつ労働時間の縮減等を推進する中小企業・小規模事業者や、傘下企業を支援する事業主団体を助成する制度です。

働き方改革推進支援助成金はいくつかのコースに分かれていますが、この記事では「業種別課題対応コース」について解説します。

働き方改革推進支援助成金 業種別課題対応コースについて

時間外労働の上限規制とは

労働時間は、労働基準法で原則1週40時間、1日8時間(法定労働時間)以内であることが必要と定められています。これを超過して労働する時間(残業時間)の上限に関して、働き方改革を推進するために改正された労働基準法により、下記の通り規定されています。

【2019年4月(中小企業は2020年4月)より適用】
・原則として月45時間、年360時間(限度時間)以内
・臨時的、特別な事情を抱える場合においても、年720時間、単月100時間未満(休日労働を含みます)、複数月平均80時間以内(休日労働を含みます)、限度時間を超過して時間外労働を延長できるのは年6ヶ月が限度

※詳細は、厚生労働省働き方改革特設サイト「時間外労働の上限規制」をご参照ください。

出典:厚生労働省 時間外労働の上限規制の適用猶予事業・業務

2024(令和6)年4月1日から適用猶予業種にも時間外労働の上限規制が適用

上記のような上限規制がある一方で、下記の事業・業務に関しては、時間外労働の上限についての適用が5年間猶予(適用猶予業種)されていました。これは、それぞれの事業・業務が抱える特殊性や取引慣行などの課題が、長時間労働の背景にあるためです。

【適用猶予業種】
・工作物の建設の事業
・自動車運転の業務
・医業に従事する医師
・鹿児島県並びに沖縄県の砂糖製造業

そして2024年4月1日より、これらの適用猶予業種にも時間外労働の上限規制が適用されました。働き方改革推進支援助成金の「業種別課題対応コース」では、時間外労働削減、週休2日制推進など、新たに規制が強化された業種の事業主が環境整備に取り組む際の経費を、成果目標の達成状況に応じて一部助成します。

働き方改革推進支援助成金 業種別課題対応コースの助成額

取組の実施に必要な経費の一部を、成果目標(次項で詳しく説明します)の達成状況に合わせて支給します。支給額は下記のいずれか低い方の額とします。

(1)成果目標1から6の上限額並びに賃金加算額の合計額
(2)対象経費の合計額×補助率3/4(※)
※常時仕様する労働者数が30人以下、かつ支給対象の取組の6から9を実施する場合で、所要額が30万円を超える場合は4/5になります。

成果目標ごとの上限額の詳細

成果目標1から6の上限額はそれぞれ以下のとおりです。

◆「成果目標1」達成時の上限額

事業実施前、36協定における時間外労働時間数等を月80時間超に設定している事業場 事業実施前、36協定における時間外労働時間数等を月60時間超に設定している事業場
事業実施後、時間外労働時間数等を月60時間以下に設定 250万円 200万円
事業実施後、時間外労働時間数等を月60時間超、月80時間以下に設定 150万円       ー

◆「成果目標2」達成時の上限額:25万円

◆「成果目標3」達成時の上限額:25万円

◆「成果目標4」達成時の上限額
・建設業及び砂糖製造業の場合

休息時間数(※) 「新規導入」に該当する取組がある 「新規導入」に該当する取組がなく、「適用範囲の拡大」もしくは「時間延長」に該当する取組がある
9時間以上11時間未満 100万円 50万円
11時間以上 120万円 60万円

・運送業の場合

休息時間数(※) 「新規導入」に該当する取組がある 「新規導入」に該当する取組がなく、「適用範囲の拡大」もしくは「時間延長」に該当する取組がある
10時間以上11時間未満 150万円 75万円
11時間以上 170万円 85万円

・病院等の場合

休息時間数(※) 「新規導入」に該当する取組がある 「新規導入」に該当する取組がなく、「適用範囲の拡大」もしくは「時間延長」に該当する取組がある
9時間以上10時間未満 120万円 60万円
10時間以上11時間未満 150万円 75万円
11時間以上 170万円 85万円

(※)休息時間数は、事業実施計画で指定した、事業場に導入する勤務間インターバルの休息時間のうち、最も短いものとします。

◆「成果目標5」達成時の上限額:1日増加ごとに25万円(最大100万円までとします)

◆「成果目標6」達成時の上限額:50万円

賃金額引上げを加えた場合

成果目標に賃金額引上げを加えた場合、加算額は指定した労働者の賃金引上げ数の合計に応じて、下表の通り上記上限額に加算します。なお、引上げ人数の上限は30人とします。

【常時使用する労働者数が30人を超える中小企業事業主】

引上げ人数 1~3人 4~6人 7~10人 11~30人
3%以上引上げ 15万円 30万円 50万円 1人あたり5万円
(上限150万円)
5%以上引上げ 24万円 48万円 80万円 1人あたり8万円
(上限240万円)

【常時使用する労働者数が30人以下の中小企業事業主】

引上げ人数 1~3人 4~6人 7~10人 11~30人
3%以上引上げ 30万円 60万円 100万円 1人あたり10万円
(上限300万円)
5%以上引上げ 48万円 96万円 160万円 1人あたり16万円
(上限480万円)

働き方改革推進支援助成金 業種別課題対応コースの支給対象

ここからは、業種別課題対応コースの支給対象の要件についてみていきましょう。

支給対象となる事業主

支給対象の事業主は、下記の要件全てに該当する中小企業事業主です。

①労働者災害補償保険の適用事業主である。
②交付申請時点で「成果目標」1から6の設定に向けた条件を満たしている。
③交付申請時点で、全ての対象事業場で年5日の年次有給休暇取得に向け就業規則等を整備している。
④常時使用する労働者数が300人以下、もしくは資本金または出資額が3億円以下(病院等については5,000万円以下)であり、下記のいずれかに該当する中小企業事業主である。

  • 建設業(工作物の建設事業、その他これに関連すると厚生労働省が定める事業)
  • 運送業(自動車運転業務に従事する労働者を雇用している)
  • 病院等(医師が勤務する病院、診療所、介護老人保健施設、介護医療院)
  • 砂糖製造業(鹿児島県並びに沖縄県で砂糖を製造している)

支給対象となる取組

下記のいずれか1つ以上を実施することが条件です。

1.労務管理担当者への研修
2.労働者への研修、周知・啓発
3.社会保険労務士・中小企業診断士など、外部専門家によるコンサルティング
4.就業規則・労使協定等の作成・変更
5.人材確保を実施するための取組
6.労務管理用ソフトウェアの導入・更新
7.労務管理用機器の導入・更新
8.デジタル式運行記録計(デジタコ)の導入・更新
9.労働能率の増進に寄与する設備・機器等の導入・更新(小売業のPOS装置、自動車修理業の自動車リフト、運送業の洗車機など)
※研修とは、勤務間インターバル制度に関連するもの、並びに業務研修も含めます。
※パソコン、タブレット、スマートフォンは原則として対象外です。

成果目標の設定

支給対象となる取組は、下記「成果目標」1から6のうち1つ以上を選び、その達成を目指して実施するものとします。なお、各業種等で選択可能な目標が異なるため、ご注意ください。

【6つの成果目標】
1【全ての業種が選択可能】
■36協定について、時間外・休日労働時間数を縮減し、月60時間以下または月60時間を超え月80時間以下に上限を設定し、所轄労働基準監督署長に届出を行う

2【全ての業種が選択可能】
■全ての対象事業場で、年次有給休暇の計画的付与の規定を新たに導入する

3【全ての業種が選択可能】
■全ての対象事業場で、時間単位の年次有給休暇の規定を新たに導入し、かつ、特別休暇(病気休暇、教育訓練休暇、ボランティア休暇、不妊治療のための休暇、時間単位の特別休暇)の規定をいずれか1つ以上を新たに導入する

4【全ての業種が選択可能】
■全ての対象事業場で、9時間以上の勤務間インターバル制度の規定を新たに導入する

5【建設業が選択可能】
■全ての対象事業場で、4週5休から4週8休以上の範囲で所定休日を増加させる

6【病院等が選択可能】
■医師の働き方改革推進に関する取組として、以下の2つを実施する
①労務管理体制の構築等
・労務管理責任者を設置する
・兼業の場合等の労働時間の通算や、医師の休息時間確保、長時間労働の医師への面接指導の実施に関わる協力体制の整備を行う(副業・兼業を行う医師がいる場合に限る)
・管理者層に対して人事・労務管理のマネジメント研修を実施する

②医師の労働時間の実態把握と管理
・医師の労働時間の実態把握を行う

なお、6の実施内容に関しては「申請マニュアル」並びに「医師の働き方改革推進に係る成果目標に関する報告書」をご参照ください。

上記の成果目標に加え、対象事業場で指定する労働者の時間当たりの賃金額について、3%以上の引上げ実施を成果目標に加えることが可能です。

事業実施期間

交付決定の日から当該交付決定日の属する年度の1月31日までに取り組みを実施してください。なお、改善事業主が砂糖製造業の事業主の場合は3月15日までに実施します。

働き方改革推進支援助成金 業種別課題対応コースの申請方法

最後に、申請の流れや必要書類、スケジュールを確認しましょう。

申請手続きの流れ

次の6つのステップで手続きを行います。

1.交付申請書を提出
2.交付決定通知を受理
3.事業実施
4.支給申請書を提出
5.支給決定通知を受理
6.助成金受取

交付申請時の提出書類

交付申請時の提出書類は以下のとおりです。

  • 交付申請書
  • 事業実施計画
  • 36協定届
  • 労働時間が確認できる書類(賃金台帳、タイムカード、出勤簿、1年単位の変形労働時間制に関する労使協定等)
  • 就業規則の写し(年次有給休暇管理簿)
  • 就業規則の写し(労働条件通知書の写し)
  • 対象労働者の交付申請前1月分の賃金台帳の写し、労働時間が確認できる書類
  • 見積書

【書類の提出方法】
最寄りの都道府県労働局雇用環境・均等部(室)へ、持参もしくは郵送で提出します。

申請スケジュール

2024(令和6)年11月29日まで(必着)
ただし、支給対象事業主数は国の予算額に制約されるため、11月29日以前に受付を締め切る場合があるので、ご注意ください。

まとめ

日本では、少子高齢化による生産年齢人口の減少や、働く人のニーズの多様化などの課題を抱えています。これらに対応していくためには、生産性向上とともに就業機会の拡大や、意欲・能力を十分に発揮できる環境を整えることが重要です。働き方改革をスムーズに進めるためにも、ぜひこの機会に働き方改革推進支援助成金の「業種別課題対応コース」の活用を検討してみてはいかがでしょうか。

参考:働き方改革推進支援助成金(業種別課題対応コース)

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