会計・請求書・経費精算から給与・勤怠まで、バックオフィス業務をまとめて効率化できる「マネーフォワード クラウド」は、デジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金)を使って導入できます。申請できるのは通常枠とインボイス枠(インボイス対応類型)の2つで、小規模事業者がインボイス枠を使えば、補助率は最大4/5です。
ただし、見落としやすい条件が3つあります。マネーフォワードの公式サイトから自分で契約したものは対象外になること、交付決定より前に契約すると対象外になること、そして過去にIT導入補助金を使った事業者には申請の制限があることです。
直近の締切は、6次締切分の2026年10月30日(金)17:00です。また、2026年10月9日には7次締切分(12月1日締切)以降に適用される公募要領が公表され、過去にIT導入補助金を使った事業者などに課される賃上げ要件に「1年後の目標」が加わりました。本記事では、対象となるサービス、補助額の試算、過去に補助金を使った事業者の制限、申請の流れまでを整理して解説します。
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制度全体の解説はこちら:
・【2026年最新】デジタル化・AI導入補助金のインボイス枠とは?補助率・対象レジも解説
・デジタル化・AI導入補助金2026【通常枠】補助率1/2~2/3・最大450万円の条件と申請締切
・【2026年】デジタル化・AI導入補助金で2回目以降の申請要件が追加
この記事の目次
マネーフォワードはデジタル化・AI導入補助金の対象?
マネーフォワード クラウドは、デジタル化・AI導入補助金の対象ITツールです。旧「IT導入補助金」は2026年度から「デジタル化・AI導入補助金」に名称が変わっており、「マネーフォワードにIT導入補助金を使いたい」という場合も、この制度が該当します。
制度には5つの申請枠がありますが、マネーフォワード クラウドが対応しているのは「通常枠」と「インボイス枠(インボイス対応類型)」の2つです。クラウド利用料は最大2年分が補助対象になり、導入設定や保守サポートといった導入関連費もあわせて申請できます。
なお、補助対象になるのは、事務局に登録されたIT導入支援事業者から購入したITツールに限られます。自身で導入した場合、対象外となるためご注意ください。
通常枠とインボイス枠、どちらで申請する?
2つの枠は、対象になるサービスの範囲と補助率が異なります。主な違いは以下のとおりです。| 比較項目 | インボイス枠(インボイス対応類型) | 通常枠 |
|---|---|---|
| 対象になるITツール | インボイス制度に対応した「会計」「受発注」「決済」の機能を持つソフトウェア | 業務プロセスを1つ以上含むソフトウェア |
| 補助率 | 補助額50万円以下の部分:3/4以内(小規模事業者は4/5以内) 50万円超の部分:2/3以内 | 1/2以内(賃金に関する条件を満たす場合は2/3以内) |
| 補助額 | 下限なし~350万円 | 5万円~150万円未満(1プロセス以上) 150万円~450万円以下(4プロセス以上) |
| パソコン等 | 対象(上限10万円・補助率1/2以内) | 対象外 |
インボイス枠(インボイス対応類型)|会計・請求書が中心なら補助率が高い
インボイス枠(インボイス対応類型)は、インボイス制度に対応した会計・受発注・決済の機能を持つソフトウェアの導入を支援する枠です。補助額50万円以下の部分は補助率3/4以内、小規模事業者は4/5以内と、通常枠より手厚く設定されています。
補助額が50万円を超える場合は、会計・受発注・決済のうち2機能以上を持つITツールを選ぶ必要があり、50万円を超える部分の補助率は2/3以内になります。
この枠では、ソフトウェアとあわせて導入するパソコン・タブレット等も上限10万円・補助率1/2以内で補助対象です。マネーフォワードの公式ページでは、同社での取り扱いはPCのみと案内されています。パソコン購入の要件は「デジタル化・AI導入補助金でパソコン購入」で解説しています。
詳しくはこちら:【2026年最新】デジタル化・AI導入補助金のインボイス枠とは?補助率・対象レジも解説
通常枠|給与・勤怠など人事労務まで含めるなら
通常枠は、自社の課題に合ったITツールを幅広く導入できる枠です。給与計算や勤怠管理など、インボイス枠の対象にならない人事労務系のサービスも申請できます。
補助率は1/2以内です。地域別最低賃金に近い水準で雇用している従業員が全従業員の30%以上である月が3か月以上あることを示した場合は、2/3以内に引き上げられます。基準となる期間は締切回で異なり、6次締切分までは令和6年10月~令和7年9月の間の「当該期間における地域別最低賃金以上~令和7年度改定の地域別最低賃金未満」、7次締切分以降は令和7年10月~令和8年9月の間の「当該期間における地域別最低賃金以上~令和8年度改定の地域別最低賃金未満」で雇用している従業員が対象です。
補助額は、導入するITツールが対応する業務プロセスの数で決まります。1プロセス以上なら5万円~150万円未満、4プロセス以上なら150万円~450万円以下です。150万円以上で申請する場合は、賃上げ目標の達成が必須要件になります。
詳しくはこちら:
どちらを選ぶ?判断の目安
会計・請求書・経費精算が中心で、導入規模が小さい事業者は、補助率の高いインボイス枠(インボイス対応類型)が向いています。給与・勤怠・社会保険手続きまでまとめて導入したい場合は、通常枠が選択肢になります。
注意したいのは、通常枠には補助額5万円という下限があることです。補助率1/2の場合、対象経費が10万円に満たないと申請できません。利用料が小さい少人数向けのプランだけでは下限に届かないことがあるため、その場合は下限のないインボイス枠を検討しましょう。
対象となるマネーフォワードのサービスは?
マネーフォワードの公式ページでは、デジタル化・AI導入補助金に対応するサービスとして、以下が案内されています。
| 分野 | サービス名 |
|---|---|
| 経理・確定申告 | マネーフォワード クラウド会計 マネーフォワード クラウド会計Plus マネーフォワード クラウド請求書 マネーフォワード クラウド請求書Plus マネーフォワード クラウド請求書発行 マネーフォワード クラウド経費 マネーフォワード クラウド債務支払 マネーフォワード クラウド債権管理 マネーフォワード クラウド固定資産 マネーフォワード クラウド個別原価 マネーフォワード クラウド連結会計 |
| 人事労務 | マネーフォワード クラウド給与 マネーフォワード クラウド勤怠 マネーフォワード クラウド年末調整 マネーフォワード クラウド人事管理 マネーフォワード クラウド社会保険 マネーフォワード クラウドマイナンバー |
| その他 | マネーフォワード クラウド契約 Manageboard STREAMED |
※公式ページでは「2026年3月現在申請予定のもの」とされています。申請の際は最新の登録状況を確認してください。
インボイス枠(インボイス対応類型)で申請できるのは、会計・受発注・決済の機能を持つITツールとして登録されたサービスです。各サービスがどの枠・プロセスで登録されているかは、公式サイトの「ITツール・IT導入支援事業者検索」でツール名に「マネーフォワード」と入力して確認できます。
いくら補助される?補助額シミュレーション
マネーフォワードの公式ページに掲載されている例をもとに、2つのケースを見てみましょう。なお、金額は全て税別となります。
小規模事業者がインボイス枠で導入する場合
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 申請金額(対象経費) | 600,000円 |
| 補助率 | 4/5 |
| 補助額 | 480,000円 |
| 自己負担 | 120,000円 |
対象経費60万円に対して48万円が補助され、自己負担は12万円になります。中小企業(小規模事業者以外)の場合は補助率3/4以内のため、補助額は45万円、自己負担は15万円です。
通常枠で導入する場合
対象経費が200万円の場合、補助率ごとの補助額は以下のとおりです。
| 補助率 | 補助額 | 自己負担 |
|---|---|---|
| 1/2 | 1,000,000円 | 1,000,000円 |
| 2/3(賃金に関する条件を満たす場合) | 約1,333,000円 | 約667,000円 |
対象経費には、クラウド利用料(最大2年分)のほか、導入設定・マニュアル作成・導入研修・保守サポートなどの役務費も含められます。ただし、役務の補助対象経費は合計200万円が上限で、導入するITツールに比べて役務費の割合が著しく高い申請は認められません。
公式サイトには「補助金シミュレーター」も用意されています。見積もりが出たら、自社の条件で試算してみるとよいでしょう。
過去にIT導入補助金を使った事業者は申請できる?
会計ソフトは、過去のIT導入補助金で導入した事業者が多いITツールです。2026年度は、過去の交付決定歴によって申請できない枠があるため、最初に確認しておきましょう。
| 過去の交付決定 | 2026年度の制限 |
|---|---|
| IT導入補助金2022・2023のデジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型・商流一括インボイス対応類型) IT導入補助金2024・2025のインボイス枠 | インボイス枠(インボイス対応類型)に申請できない |
| IT導入補助金2025の通常枠・複数社連携IT導入枠 | 交付決定日から12カ月以内は、通常枠に申請できない |
| IT導入補助金2024・2025で交付決定を受けたソフトウェアと、今回導入するソフトウェアのプロセスが重複 | 審査で減点。プロセスが完全に一致する場合は不採択 |
たとえば、過去のインボイス枠でマネーフォワード クラウド会計を導入した事業者は、今回インボイス枠には申請できません。通常枠で申請する場合も、前回交付決定を受けたソフトウェアとプロセスが完全に一致すると不採択になるため、導入するサービスの構成をIT導入支援事業者と確認してください。
申請できる場合も、賃上げ要件と減点がある
IT導入補助金2022~2025のいずれかで交付決定を受けた事業者は、申請できる場合でも次の条件が加わります。
・【7次締切分以降】上記に加え、1年後に1人当たり給与支給総額を3.5%以上向上させること
・交付申請時点で、賃金引上げ計画を従業員に表明していること
・通常枠で補助額150万円以上を申請する場合は、事業場内最低賃金を地域別最低賃金+30円以上の水準にすること
・審査で減点の対象になること
賃上げ目標が未達の場合は、補助金の全部または一部の返還を求められることがあります。「1年後の目標」は2026年10月9日に公表された公募要領(第7回公募以降)で追加されたもので、6次締切分までは3年間の年平均成長率のみが要件です。なお、保険医療機関・保険薬局、介護サービス事業者、社会福祉事業者、学校等は、この賃上げ要件の適用外です。
詳しくはこちら:【2026年】デジタル化・AI導入補助金で2回目以降の申請要件が追加
申請前に確認したい注意点
交付決定前に契約・支払いをしない
交付決定より前に契約・発注・納品・支払いを行ったITツールは、補助対象になりません。基準は「申請前」ではなく「交付決定前」です。交付申請を出した後でも、交付決定の通知を受け取る前に契約すると対象外になります。
すでに契約しているマネーフォワードの利用料も、補助対象にはなりません。契約中の事業者がサービスを追加する場合の扱いは、IT導入支援事業者に確認してください。
公式サイトから自分で契約したものは対象外
補助対象になるのは、IT導入支援事業者が提供し、事務局に登録されたITツールです。マネーフォワードの公式サイトから通常どおり申し込んだ契約は、補助の対象になりません。IT導入支援事業者と共同で交付申請を行い、交付決定後にその事業者を通じて契約します。
支払いは銀行振込かクレジットカード1回払い
ITツール代金の支払方法は、原則として銀行振込またはクレジットカード1回払いに限られます。分割払い・リボ払い・現金払いでは補助金を受け取れません。法人は法人名義の口座から決済されるカード、個人事業主は代表者本人名義のカードを使う必要があります。
途中で解約すると返還になる場合がある
補助金で導入したITツールを解約・利用停止した場合は、辞退の手続きが必要です。交付された補助金の全部または一部の返還が必要になることがあるため、補助を受けた利用期間は使い続ける前提で申請しましょう。
導入後も報告が続く
補助金を受け取った後も、効果報告が続きます。通常枠では、労働生産性を1年後に3%以上、事業計画期間の年平均成長率で3%以上向上させる3年間の計画を立て、事業計画期間前と1~3年度目に報告します。ただし、IT導入補助金2023の通常枠(A・B類型)もしくはデジタル化基盤導入枠(複数社連携IT導入類型)、またはIT導入補助金2024・2025の通常枠もしくは複数社連携IT導入枠で交付決定を受けた事業者は、いずれも4%以上が求められます。
インボイス枠(インボイス対応類型)の報告は、事業計画期間前・1年度目・3年度目の3回です。
マネーフォワードを導入するまでの流れ
申請から補助金の交付までは、以下の流れで進みます。
| ステップ | 内容 |
|---|---|
| ①事前準備 | GビズIDプライムの取得(おおむね2週間)と、SECURITY ACTION(★一つ星または★★二つ星)の宣言 |
| ②事業者・ITツールの選定 | 導入するサービスを決め、IT導入支援事業者に相談・見積依頼を行う(この段階では契約しない) |
| ③交付申請 | IT導入支援事業者から申請マイページの招待を受け、共同で申請内容を作成し、申請者が提出する |
| ④交付決定 | 審査を経て、申請マイページで採否が通知される |
| ⑤契約・導入・支払い | 交付決定後に契約・発注し、導入して代金を支払う |
| ⑥実績報告 | 請求書、支払いの証憑、ITツールの利用が分かる資料などを提出する |
| ⑦補助金の交付 | 確定検査の結果を承認した後、補助金が交付される |
| ⑧効果報告 | 定められた期間内に、導入後の状況を報告する |
IT導入支援事業者は、公式サイトの「ITツール・IT導入支援事業者検索」で探せます。マネーフォワードも公式ページで、ツールの選定と交付申請のサポートを案内しています。
2026年度のスケジュールと次回締切
デジタル化・AI導入補助金2026の交付申請は、2026年3月30日(月)10:00から受付が始まっています。通常枠・インボイス枠とも、直近の締切は6次締切分の2026年10月30日(金)17:00です。
| 項目 | 日程 |
|---|---|
| 交付申請の締切(6次締切分) | 2026年10月30日(金)17:00 |
| 交付決定日 | 2026年12月10日(木)(予定) |
| 事業実施期間 | 交付決定~2027年5月31日(月)17:00(予定) |
| 事業実績報告期限 | 2027年5月31日(月)17:00(予定) |
その次の7次締切分は、2026年12月1日(火)17:00が締切です。締切日当日の17:00を過ぎると受付されず、締切直前は申請マイページへのアクセスが集中します。GビズIDプライムの取得に時間がかかることも踏まえ、余裕を持って準備を進めましょう。
詳しくはこちら:デジタル化・AI導入補助金の公募スケジュール一覧
よくある質問
マネーフォワードはIT導入補助金の対象?
対象です。旧IT導入補助金は2026年度から「デジタル化・AI導入補助金」に名称が変わりました。マネーフォワード クラウドは、通常枠とインボイス枠(インボイス対応類型)で申請できます。
自己負担はどれくらい減る?
申請枠と事業規模によって異なります。インボイス枠(インボイス対応類型)では、補助額50万円以下の部分に3/4以内(小規模事業者は4/5以内)の補助率が適用されます。通常枠の補助率は1/2以内です。
すでに契約しているマネーフォワードにも使える?
使えません。交付決定前に契約・支払いをしたITツールは補助対象外です。補助金を使う場合は、交付決定後にIT導入支援事業者を通じて契約する必要があります。
過去にIT導入補助金を使っていても申請できる?
枠と過去の交付決定歴によって異なります。過去にインボイス枠やデジタル化基盤導入枠で交付決定を受けた事業者は、インボイス枠(インボイス対応類型)に申請できません。申請できる場合も、賃上げに関する要件と審査上の減点があります。
個人事業主も申請できる?
申請できます。個人事業主の場合は、本人確認書類、所得税の納税証明書、確定申告書の控え、青色申告決算書または収支内訳書が必要です。
次の申請締切はいつ?
6次締切分の2026年10月30日(金)17:00です。その次の7次締切分は、2026年12月1日(火)17:00が締切です。
まとめ
マネーフォワード クラウドは、デジタル化・AI導入補助金の通常枠とインボイス枠(インボイス対応類型)で導入できます。会計・請求書が中心ならインボイス枠で最大4/5、給与・勤怠まで含めるなら通常枠で1/2以内の補助を受けられます。
一方で、公式サイトから自分で契約したものや、交付決定前に契約したものは対象外です。過去にIT導入補助金を使った事業者は、インボイス枠に申請できない場合や、賃上げ要件が加わる場合があります。導入したいサービスが決まったら、早めにIT導入支援事業者へ相談し、申請できる枠と必要な準備を確認しましょう。
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