1. 補助金ポータルTOP
  2. 補助金・助成金コラム
  3. 令和4年度「事業承継・引継ぎ補助金」令和3年補正予算事業との違いは?

令和4年度「事業承継・引継ぎ補助金」令和3年補正予算事業との違いは?

image

事業承継・引継ぎ後の設備投資等の新たな取り組みや、引継ぎ時の専門家活用費用等を支援する「事業承継・引継ぎ補助金」の令和4年度当初予算事業の申請受付がまもなく始まります。

令和4年度事業のスケジュールは、令和3年度補正予算「事業承継・引継ぎ補助金」の第2回申請期間と重なるところがあり、令和4年度と令和3年度補正の重複申請はできないことになっています。今回は、この2つの補助事業の違いをまとめました。

この記事の目次

令和4年度当初予算「事業承継・引継ぎ補助金」とは

経営者の高齢化が進む中で、事業承継や引継ぎ(M&A)によって中小企業の経営資源を次世代へ引き継ぐことが重要ですが、新型コロナの影響もあって事業承継を先延ばしする事業者が増えています。

そこで、本補助金により、事業承継をきっかけに新しい取り組み等を行う中小企業者等及び、事業再編、事業統合に伴う経営資源の引継ぎを行う中小企業者等を支援し、事業承継や引継ぎを後押しすることを目指しています。

交付申請期間

2022年7月25日〜8月15日 17:00
※公募は1回のみの予定

補助上限額、補助率

支援の枠組みによって補助上限額は500万円(経営革新事業)、400万円(専門家活用事業)、150万円(廃業・再チャレンジ事業)と、異なります。補助率はどれも1/2です。

事業承継・引継ぎ補助金は、この3つの枠で中小企業等を支援します。
・経営革新事業
・専門家活用事業
・廃業・再チャレンジ事業

それぞれ支援内容の確認と、令和3年度補正予算との相違点を確認しましょう。

経営革新事業の概要

経営革新事業は、創業支援型(Ⅰ型)、経営者交代型(Ⅱ型)、M&A型(Ⅲ型)にわかれています。類型ごとに対象となる事業承継の要件が異なるため、該当する類型を見つけて交付申請を行います。

創業支援型(Ⅰ型)
以下のいずれも満たすこと
・創業を契機として、引き継いだ経営資源を活⽤して経営⾰新等に取り組む者である
・創業にあたって、廃業を予定している者等から、株式譲渡、事業譲渡等により、有機的⼀体としての経営資源を引き継ぐ者である
経営者交代型(Ⅱ型)
以下のいずれも満たすこと
・事業承継を契機として、経営⾰新等に取り組む者である
・産業競争⼒強化法に基づく認定市区町村⼜は認定連携創業⽀援事業者により特定創業⽀援事業を受ける者等、⼀定の実績や知識等を有している者である
・地域の雇⽤をはじめ、地域経済全般を牽引する事業等創業を契機として、引き継いだ経営資源を活⽤して経営⾰新等に取り組む者である
M&A型(Ⅲ型)
以下のいずれも満たすこと
・事業再編・事業統合等を契機として、経営⾰新等に取り組む者である
・産業競争⼒強化法に基づく認定市区町村⼜は認定連携創業⽀援事業者により特定創業⽀援事業を受ける者等、⼀定の実績や知識等を有している者である
・地域の雇⽤をはじめ、地域経済全般を牽引する事業等事業承継を契機として、経営⾰新等に取り組む者である

本事業では、2017年4月1日~2022年12月16日(事業承継対象期間)に事業承継を実施した(予定を含む)中小企業者が補助対象となります。

補助対象経費

⼈件費、店舗等借⼊費、設備費、原材料費、産業財産権等関連経費、謝⾦、旅費、マーケティング調査費、広報費、会場借料費、外注費、委託費、廃業費(廃業⽀援費、在庫廃棄費、解体費、原状回復費、リースの解約費、移転・移設費⽤)等

【経営革新事業】令和3年度補正予算事業との主な相違点

補助対象者、補助対象事業の要件、補助率、上限額が異なります。

令和4年度当初 令和3年度補正
対象者 公募要領で定める中法企業基本法上の中⼩企業・⼩規模事業者等 公募要領で定める中法企業基本法上の中⼩企業・⼩規模事業者等のうち、以下の①〜④のいずれかに該当する者
①⼩規模企業者
②直近決算期の利益が⾚字の者
③新型コロナウイルス感染症拡⼤以前と⽐べて売上⾼が減少している者
④再⽣計画の策定・成⽴者
対象事業 経営⾰新等に係る取組 経営⾰新等に係る取組かつ、デジタル化/グリーン化/事業再構築に資する事業
補助率 1/2以内 2/3以内
(補助額400万円超の部分は1/2以内)
上限額 500万円以内
(生産性向上要件を満たさない場合は300万円)
600万円以内
(生産性向上要件を満たさない場合は400万円)

令和4年度事業は、対象者が公募要領で定める中法企業基本法上の中⼩企業・⼩規模事業者等ですが、令和3年補正予算の事業は、それに加えて小規模企業者、一定期間の売上減少等の定められた要件を満たすものである必要があります。

補助対象事業についても、令和4年度の方は新商品開発や新役務の提供・新分野への進出等を伴う事業(経営⾰新等)が要件ですが、補正予算の事業は、DX化、グリーン化、事業再構築のいずれかに貢献するような経営革新等であることが求められます。

このように、令和4年度事業は要件がシンプルになっていますが、補助率と上限額は引き下げられています。

専⾨家活⽤事業の概要

専⾨家活⽤事業は、後継者不在により、事業継続が困難になることが見込まれている中小企業者等が、事業再編・事業統合による経営資源の引継ぎ(M&A)を行う取組の経費を補助するもので、「中⼩M&A⽀援機関に係る登録制度」に登録された登録FA・仲介業者が⽀援したものに限り補助対象となります。

買い手支援型(Ⅰ型)、売り手支援型(Ⅱ型)の2つの類型があり、類型ごとに補助対象者が異なります。

買い⼿⽀援型 (Ⅰ 型)
事業再編・事業統合に伴って、株式・経営資源を譲り受ける予定の中⼩企業等を⽀援する類型
【対象】株式・経営資源の引継ぎに関する最終契約書の契約当事者(予定含む)となる中⼩企業者等
売り⼿⽀援型 (Ⅱ 型)
事業再編・事業統合に伴い株式・経営資源を譲り渡す予定の中⼩企業等を⽀援する類型
【対象】株式・経営資源の引継ぎに関する最終契約書の契約当事者(予定含む)となる中⼩企業者等
【共同申請】株式譲渡の場合は、⽀配株主または株主代表との共同申請が可能

同⼀のM&A案件について、買い⼿⽀援型(承継者)、売り⼿⽀援型(被承継者)それぞれが申請することが可能です。

補助対象経費

謝⾦、旅費、外注費、委託費、システム利⽤料、保険料、廃業費(廃業⽀援費、在庫廃棄費、解体費、原状回復費、リースの解約費、移転・移設費⽤)等

【専⾨家活⽤事業】令和3年度補正予算事業との主な相違点

加点事由と、補助率、上限額が異なります。

令和4年度当初 令和3年度補正
加点事由 【買い⼿⽀援型】• 中⼩企業基本法上の⼩規模企業者
【売り⼿⽀援型】• 中⼩企業基本法上の⼩規模企業者
• 直近決算期の、営業利益または経常利益が⾚字の者
• 2020年4⽉1⽇以降に決算が⾏われた任意の事業年度の売上⾼が、2020年3⽉末⽇までに決算が⾏われた事業年度のうち、最新の事業年度の売上⾼と⽐較して減少している者
補助率 1/2以内 2/3以内
上限額 400万円以内
(引継ぎが実現しない場合は200万円以内)
600万円以内
(引継ぎが実現しない場合は300万円以内)

令和3年度補正予算の事業で示された加点事由は、令和4年度事業では含まれていません。また、令和4年度は補助率と上限額が引き下げられています。

廃業・再チャレンジ事業の概要

廃業・再チャレンジ事業は、廃業・再チャレンジ事業を単独で申請する「再チャレンジ申請」と、経営革新事業/専門家活用事業とあわせて申請を行う「併用申請」に分かれていて、それぞれ要件が異なります。

単独申請(再チャレンジ申請)…M&Aで事業を譲り渡せなかった廃業・再チャレンジ
【要件】
・2020年以降に売り⼿としてM&Aに着⼿し、6か⽉以上取り組んでいること
・廃業の完了と、その後の再チャレンジ※

※再チャレンジの内容
・新たに法⼈の設⽴
・個⼈事業主としての、新たな事業活動の実施
・⾃⾝の知識や経験を活かせる企業への就職や社会への貢献等

再チャレンジ申請では、補助事業期間内の廃業完了が必須要件です。また、廃業予定の中⼩企業と、その⽀配株主や株主代表との共同申請が必須となっていますので(個⼈事業主を除く)、ご注意ください。


併用申請…経営革新事業/専門家活用事業とあわせて申請するもの
【経営革新…事業承継に伴う廃業】
事業承継(事業再⽣を伴うものを含む)によって事業を譲り受け、新たな取り組みを実施するにあたって、既存の事や、譲り受けた事業の⼀部を廃業する場合
【要件】
事業承継後(M&A後)の新たな取り組みの実施
【専⾨家活⽤(買い⼿)…事業の譲り受けに伴う廃業】
M&Aによって事業を譲り受けるにあたって(他者の経営資源を引き継いで創業した場合も含む)、既存の事業や譲り受けた事業の⼀部を廃業する場合
【要件】
M&Aによる、他者からの事業の譲り受け(全部/⼀部譲渡)
【専門家活用(売り手)…事業の譲り渡しに伴う廃業】
M&Aによって事業を譲り渡す場合に、M&A後も⼿元に残った事業を廃業する場合
【要件】
M&Aによる、他者への事業の譲り渡し(全部/⼀部譲渡)

補助対象となる事業パターンは「会社自体の廃業」と「事業の一部の廃業」で、再チャレンジ申請の場合は、「会社⾃体の廃業」のみが補助対象事業となります。経営革新や専門家活用との併用は、「会社自体の廃業」と「事業の一部の廃業」のどちらも対象になります。

なお、経営⾰新、専⾨家活⽤と併⽤申請する場合は、それぞれの廃業費として申請し、廃業・再チャレンジ事業での申請は不要です。

補助対象経費

廃業費(廃業⽀援費、在庫廃棄費、解体費、原状回復費、リースの解約費、移転・移設費⽤)等

【廃業・再チャレンジ事業】令和3年度補正予算事業との主な相違点

令和3年度補正予算の事業では補助率2/3でしたが、令和4年度事業では補助率1/2へ引き下げられています。

事業承継・引継ぎ補助金のスケジュール

最後に、スケジュールを確認しておきましょう。

令和4年度当初 令和3年度補正(第2回)
申請受付期間 7月25日(月)〜8月15日(月) 7月27日(水)~9月2日(金)
交付決定日 9月中旬~下旬(予定) 10月中旬以降(予定)
事業実施期間 交付決定日〜12月16日(金)
(補助事業完了期限日)
交付決定日〜2023年4月30日(金)
(補助事業完了期限日)

このようにスケジュールにも違いがあります。令和3年度補正予算「事業承継・引継ぎ補助金」と同じ類型の事業(経営革新事業/専門家活用事業/廃業・再チャレンジ事業)で令和4年度の事業に申請をすることはできません。

申請の流れ

交付申請は以下の流れで行います。

  • 「gBizIDプライム」アカウントを取得する
  • 認定経営⾰新等⽀援機関から本補助⾦に係る確認書を取得する※専⾨家活⽤の場合は不要
  • 当てはまる交付申請類型の必要書類を準備する
  • jGrants(オンライン申請フォーム)に必要事項を記⼊
  • 「必要書類チェックリスト」で申請様式、必要書類に相違・不⾜がないかを確認する
  • jGrants(オンライン申請フォーム)に提出する必要書類を添付する
  • 申請処理を⾏い、申請状況を確認する

まとめ

今回は「事業承継・引継ぎ補助金」について、令和4年度当初予算事業と令和3年度補正予算事業の主な違いをまとめました。事業承継にかかるさまざまな経費が補助対象となる事業承継・引継ぎ補助金ですが、令和4年度と令和3年度補正では、支援の枠組みによって対象者要件や補助内容が違っていますので、相違点を理解して、適した補助金の申請準備をすすめるようにしてください。

参考・出典:令和4年度 当初予算 事業承継・引継ぎ補助金
参考・出典:パンフレット総合版

補助金ポータルからの
お知らせ

お知らせ一覧
ITトレンド_IT導入補助金
会員登録
補助金顧問
LINE登録
専門家パートナー募集中
補助金ポータル公式アカウントLINE@ クリックして友達追加する