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月60時間超え時間外労働の割増賃金率、引き上げへ!対応できる助成金は?

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これから適用される法改正(労働基準法)の「月60時間超割増賃金率引き上げ」についてご存じですか?2023年4月1日、中小企業の猶予期間が終了し、月60時間を超える時間外労働の割増賃金率が中小企業も「50%」となります。今まで中小企業の割増賃金率は「25%」であったため、4月以降は時間外労働を行った従業員に対する賃金支払い額が増加します。中小企業は資金的な余裕が少ないケースもあるため、割増賃金率の増加は大きな痛手でしょう。

そこで今回は、働き方改革に取り組む中小企業事業主を対象に、労働時間の縮減等に取り組むための環境整備費用を助成する「働き方改革推進支援助成金」をご紹介します。申請の締め切りが「2022年11月30日」と差し迫っているため、詳細を確認して活用できるかを速やかに検討するとよいでしょう。

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この記事の目次

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改正のポイント

「月60時間を超える時間外労働に対する割増賃金率の引き上げ」に関する改正のポイントは以下の5点です。

  • 中小企業の定義
  • 深夜・休日労働の取扱い
  • 代替休暇
  • 就業規則の変更
  • 具体的な算出方法

それぞれ確認しましょう。

(1)中小企業の定義
中小企業に該当するかは、以下の表に記載した①あるいは②を満たすかで判断されます。

業種 ①資本金額あるいは出資総額 ②常時雇用している労働者数
小売業 5,000万円以下 50人以下
サービス業 5,000万円以下 100人以下
卸売業 1億円以下 100人以下
上記以外の業種 3億円以下 300人以下

(2)深夜・休日労働の取扱い
【深夜労働を行なった場合】
月60時間を超える時間外労働を深夜の時間帯(22時~5時)に行わせる場合、4月以降 割増賃金率は以下のようになります。
深夜割増賃金率25%+時間外割増賃金率50%=75%の割増

【休日労働を行なった場合】
法定休日労働の割増賃金率は35%です。ただし、法定休日以外の休日に行った労働時間は、月60時間の時間外労働時間の算定に含まれます。

(3)代替休暇
月60時間を超える法定時間外労働を行った労働者の健康を確保するため、引き上げ分の割増賃金を支払う代わりに、有給休暇(代替休暇)を付与できます。

(4)就業規則の変更
割増賃金率の引き上げに合わせて就業規則の変更が必要な場合は、「モデル就業規則」 も参考にしながら、以下のような形式で就業規則を記載してください。

(割増賃金)
第○条 時間外労働に対する割増賃金は、次の割増賃金率に基づき、次項の計算方法により支給する。
(1)1ヶ月の時間外労働の時間数に応じた割増賃金率は、次のとおりとする。この場合の1ヶ月は、毎月1日を起算日とする。
①時間外労働60時間以下・・・・25%
②時間外労働60時間超・・・・・50%
(以下略)

(5)具体的な算出方法
1ヶ月の起算日から時間外労働時間数を累計して60時間を超えた時点から、50%以上の率で計算した割増賃金を支払う必要があります。厚生労働省の公式サイトに記載された具体的な算出例は以下の通りです。なお条件は以下のように設定しています。

  • 1ヶ月の起算日は毎月1日
  • 法定休日は日曜日
  • カレンダー中の時間数は「時間外労働時間数」を表す
  • 時間外労働の割増賃金率:「60時間以下→25%」「60時間超→50%」
  • 赤字:法定休日
  • 青字:月60時間を超えた分の時間外労働
1(5時間) 2(5時間) 3 4(2時間) 5(3時間) 6(5時間)
7(5時間) 8(2時間) 9(3時間) 10(5時間) 11 12(5時間) 12(5時間)
14 15(3時間) 16(2時間) 17 18(3時間) 19(3時間) 20(3時間)
21 22(3時間) 23(3時間) 24(2時間) 25(1時間) 26(2時間) 27(1時間)
28(3時間) 29(1時間) 30(1時間) 31(2時間)

上記の時間数を見ると、割増賃金率は以下のようになります。

  • 時間外労働(60時間以下):カレンダーの白色部分=25%
  • 時間外労働(60時間超):カレンダーの青色部分=50%
  • 法定休日労働:カレンダーの赤字部分=35%

労働時間の縮減等に活用できる助成金

時間外労働に対する割増賃金率が引き上げられることによって、中小企業には費用負担の増加や業務効率改善に向けた施策の実施が要求されることになります。しかし、中小企業の中には資金や人的リソースが限られているところも多いため、施策や引き上げの実施がプレッシャーとなるケースもあるでしょう。

「働き方改革推進支援助成金」とは、労働時間の縮減や、業務効率向上に必要な設備導入などにかかる費用の一部を助成してくれる制度です。働き方改革へ積極的に取り組もうとする中小企業の負担を軽減するためのサポートを行います。

働き方改革推進支援助成金は、中小企業事業主を対象に「2022年11月30日までの締め切り」で、以下のコースの申請を受け付けています。
※交付決定後は、2023年1月31日までに取組を実施する必要があります。

コース名 概要 詳細
勤務間インターバル導入コース 勤務終了後から次の勤務までに一定時間以上の「休息時間」を設け、従業員の生活や睡眠時間を確保するためのインターバル制度を導入する中小企業に対して、助成金が支払われる。 厚生労働省「働き方改革推進支援助成金(勤務間インターバル導入コース)」
労働時間適正管理推進コース 賃金台帳等の労務管理書類の保存期間が5年に延長されたことを受けて、労務・労働時間を適正管理するための環境整備に取り組む中小企業に対して、助成金が支払われる。 厚生労働省「働き方改革推進支援助成金(労働時間適正管理推進コース)」

本来は「労働時間短縮・年休促進支援コース」も設けられていますが、申請者数が予想以上に多く2022年10月4日から申請受付を停止しています。受付の再開時期は未定です。再開時期は厚生労働省の公式サイトで発表されるためチェックしておきましょう。

相談窓口のご案内

割増賃金の引き上げや働き方改革関連法などについては、以下の窓口で相談しましょう。

窓口名 相談内容
労働基準監督署
労働時間相談・支援コーナー
「時間外労働の上限規制」「年次有給休暇」などの法令に関する知識や労務管理体制についての相談に対して、窓口・電話で対応している。希望があれば、個別訪問での相談・支援もできる。
都道府県労働局
・パートタイム労働者、有期雇用労働者関係の相談→雇用環境・均等部(室)
・派遣労働者関係の相談→需給調整事業部(課・室)
正規雇用労働者と非正規雇用労働者(パートタイム労働者・有期雇用労働者・派遣労働者)の間にある不合理な待遇差の解消に関する相談ができる。
働き方改革推進支援センター 「働き方改革関連法に関する相談」「労働時間管理のノウハウ」「賃金制度等の見直し」「助成金の活用」など、労務管理に関する課題について社会保険労務士等の専門家が相談に応じる。
産業保健総合支援センター 医師による面接指導等、労働者の健康確保に関する課題について、産業保健の専門家が相談に応じる。
働き方改革推進支援センター 「働き方改革関連法に関する相談」「労働時間管理のノウハウ」「賃金制度等の見直し」「助成金の活用」など、労務管理に関する課題について社会保険労務士等の専門家が相談に応じる。
よろず支援拠点 「生産性向上」「人手不足への対応」など、経営上のあらゆる課題について、専門家が無料で相談に応じる。
ハローワーク 「求人充足に向けたコンサルティング」「事業所見学会」「就職面接会」などを実施している。
医療勤務環境改善支援センター 医療機関に特化した支援機関として、個々の医療機関のニーズに応じ総合的なサポートを行う。

まとめ

中小企業の割増賃金率の引き上げは2023年4月から適用となります。今後、自社の業務効率改善や環境改善へ本格的に乗り出す中小企業であれば、紹介した「働き方改革推進支援助成金」の活用を検討してみましょう。労働時間短縮等に向けた支援を上手に活用して、自社の負担をなるべく減らした状態で割増賃金率の引き上げに対応してください。

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