
2030年に30万口の充電インフラを整備する目標(うち急速充電器3万口)に向け、令和5年度補正・令和6年度事業では「クリーンエネルギー自動車の普及促進に向けた充電・充てんインフラ等導入促進補助金」が設定されました。令和6年度補正予算事業では、所要の見直しが行われる予定です。
今回は現在公開されている内容や前年度の概要を参考に、令和6年度補正予算事業(2025年)の事業内容を確認していきましょう。
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この記事の目次
クリーンエネルギー自動車の普及促進に向けた充電・充てんインフラ等導入促進補助金とは
2050年カーボンニュートラルの実現に向けては、環境性能に優れたクリーンエネルギー自動車の普及が重要となります。クリーンエネルギー自動車の普及促進に向けた充電・充てんインフラ等導入促進補助金は、車両の普及と表裏一体にある充電・水素充てんインフラの整備を全国各地で進めることを目的とする制度です。
事業は大きく、以下の2つから成り立ちます。
①充電インフラ整備事業等 ②水素充てんインフラ整備事業 |
また電動車を災害による停電等の発生時に非常用電源として活用するため、電動車から電気を取り出すための外部給電機能を有するV2H充放電設備や外部給電器の導入も支援されます。
令和6年度補正予算事業(2025年)の概要
クリーンエネルギー自動車の普及促進に向けた充電・充てんインフラ等導入促進補助金は、令和6年度補正予算事業として引き継がれることが予定されています。現在公開されている概要は、以下のとおりです。
充電インフラ整備事業等
本事業では、電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHV)向けの充電設備、またはV2H(Vehicle to Home)システムの導入を支援します。
【補助対象者】
設備を設置する法人、地方公共団体、個人などです。
1.充電設備の設置支援
設置場所の種類 | 補助対象経費 | 補助率 |
高速道路SA・PA、道の駅等 | 充電設備の購入費および工事費 | 購入費・工事費ともに 定額 |
商業施設・宿泊施設等 | 充電設備の購入費および工事費 | 購入費:1/2以内 工事費:定額 |
マンション、月極駐車場、事務所、工場等 | 充電設備の購入費および工事費 | 購入費:1/2以内 工事費:定額 |
上記のとおり、設置場所の形態によって補助率は若干異なりますが、いずれも設備購入費と設置工事費が補助対象です。
2.V2H充放電設備・外部給電器の導入支援
この項目では、EVを家庭や施設へ電力供給するための「V2H充放電設備」や「外部給電器」の導入を支援します。
設備の種類 | 補助対象経費 | 補助率 |
V2H充放電設備 | 設備購入費・工事費 | 購入費:1/2 工事費:定額 |
外部給電器 | 購入費のみ | 1/3 |
いずれも補助率・補助上限金額は、設備規模、供給能力、供給方式等によって異なります
なお本事業における補助率および交付上限額、その他の要件については、経済産業省とも協議の上で策定されます。
水素充てんインフラ整備事業
本事業では、燃料電池自動車(FCV)等に水素を供給するためのインフラ整備や、新たな水素需要の創出を目的とした取組に対し、経費の一部が補助されます。
【補助対象者】
民間企業、地方公共団体、個人事業主などが対象です。
補助事業名 | 補助対象経費 |
水素供給設備設置補助事業 | 設備機器費、設計費、設備工事費、工事負担金、経費・管理費など |
新規需要創出活動補助事業 | 水素需要創出に関する広報・イベント・キャンペーン等の活動費 |
水素社会の実現に向けたインフラ整備や需要拡大のための活動が支援対象となっています。
令和6年度補正予算事業(2025年)第1期2期 募集対象
充電インフラ事業の令和6年度補正予算事業(2025年)募集について、もう少し詳しく見ていきましょう。令和6年度補助金の結果を踏まえ、補正予算事業ではより効果的な充電器設置を促進するために優先順位制の導入や見直し等が行われます。
補正予算事業第1期2期募集では、急速充電器と普通充電器を併設設置する申請が可能です。ただし併設設置を行う場合には、「急速」の区分において申請を行ってください。
区分ごとの募集対象は、以下のとおりです。
■急速 ①高速道路(SA・PA) ②公道上・道の駅・SS ③空白地域 ④コンビニ・ディーラー ⑤その他 |
事務所・工場以外は、出力が50kW以上の充電器設置に限ります。
■普通(基礎) ①集合住宅(既築分譲) 申請者は管理組合です。 ②その他の集合住宅(既築・新築)、事務所・工場、月極駐車場 1申請における補助金による設置口数が以下を満たすものが対象です ・ケーブル 収容台数の10%以下、かつ10口以下 ・コンセント 収容台数以下、かつ20口以下 |
なお既に充電器が設置されている箇所は、BEV/PHEVの駐車数に対して充電器が設置されている区画の50%以上である場合には、追加設置申請が可能です。
■普通(目的地) 原則、1箇所における充電器設置口数が、既設充電器も含め以下の口数に達するまで申請可能です。 ・駐車区画数200以下 4口 ・駐車区画数201以上 駐車区画数の2%以下、かつ50口以下 |
なお申請箇所に既設の充電器があり、直近3ヶ月の1口当たり平均稼働時間が60時間/月以上である場合には、上記の上限口数を超過して設置が可能です。超過して設置できる口数は、上記の数が上限となります。
そのほか補正予算事業第1期2期募集の概要は、以下の図も参照してください。
出典:経済産業省 充電インフラ整備に向けた補助事業による取組の進展と方向性
令和6年度補正予算事業(2025年)の変更点
令和6年度補正予算事業(2025年)の補助内容には、以下の変更が行われる予定です。
・急速充電器の設置場所における「④コンビニ/ディーラー」の優先順位の見直し |
・既築の分譲集合住宅の管理組合による申請を優先する簡易な申請方式を導入 |
・普通充電器の工事上限額はいずれも変更 |
出典:経済産業省 充電インフラ整備に向けた補助事業による取組の進展と方向性
そのほかの主な変更点は、以下のとおりです。
充電器のOCPP対応について |
---|
急速充電および普通充電については、充電器本体がOCPP1.6以降に準拠することが補助要件となります。 |
普通充電(目的地)の口数制限について |
申請時点で撤去予定の既設充電器が存在しても、実績報告までに撤去することおよび口数制限の範囲内であることを約束すれば、申請が認められます。ただし撤去工事費は補助の対象外です。 |
令和5年度補正・令和6年度の概要
ここでは参考として、令和5年度補正・令和6年度(2024年)の事業を見ていきましょう。なお申請は、すでに締め切られています。
事業内容
令和5年度補正・令和6年度(2024年)「クリーンエネルギー自動車の普及促進に向けた充電・充てんインフラ等導入促進補助金(充電設備)」では、以下の事業が設置されました。
①高速道路SA・PAおよび道の駅等への充電設備設置事業(経路充電) ・高速道路SA・PA等 ・道の駅 ・給油所 ・公道上 ・空白地域 ②商業施設および宿泊施設等への充電設備設置事業(目的地充電) ・商業施設や宿泊施設 ③マンション、月極駐車場および事務所・工場等への充電設備設置事業(基礎充電) ・分譲または賃貸のマンション等の駐車場 ・月極駐車場 ・事務所、工場等に勤務する従業員が利用する駐車場や社有車の駐車場 ・共同利用充電拠点 |
申請要件
申請には「申請の前提条件」と「申請の要件」および「事業ごとの特有の要件」を満たす必要があります。全事業共通の申請の前提条件と申請の要件は、主に以下のものです。
補助対象者 |
・要件に合致した設置計画や日程計画を立てている |
・充電設備の設置場所は、既存の駐車スペースを活用すること(当該駐車スペースの舗装にかかる費用は、補助の対象外です) |
・補助対象となる設置工事は、指定の設置工事項目に該当する工事のみとする |
・申請者は充電設備を設置する土地の使用権限を有していること |
申請の要件 |
・一つの工事ごとに申請していること |
・国の他の補助金と重複していない申請であること |
・土地の所有者が、充電設備を5年間設置することを許諾したことを証する書類を提出すること |
・暴力団関係者等でないこと |
・事業を遂行するための売買、請負その他契約をする場合等は、別途各列記事項に従うこと |
・充電設備をリースする目的で取得する場合はリース会社が申請者となり、値下がりを反映したリース料金を設定すること |
・充電設備は新品であること |
・充電設備の発注は交付決定日後であること |
・申請者と資本関係にある会社からの調達がある場合、申告をすること |
・充電設備の利用状況等の情報を求められた場合には、利用状況に関するデータを提供し、当該データを含む設情報の国への提供を了承すること |
そのほか、事業ごとの要件を満たす必要があります。
申請方法
交付申請は、オンライン申請システムを通じて行う形式が採られています。
過去の公募(令和5年度補正・令和6年度実施分)では、以下のようなスケジュールで実施されました。
種別 | 申請期間開始 | 申請期間終了 | |
第1期 | 急速 | 2024年5月17日(金)15時 | 2024年6月27日(木)13時 |
普通 | 2024年5月17日(金)15時 | 2024年6月27日(木)13時 | |
第2期 | 急速 | 2024年8月19日(月)13時 | 2024年9月2日(月)13時 |
普通 | 2024年8月19日(月)13時 | 2024年9月17日(火)13時 |
また、過去の公募における申請から補助金交付までの流れは、以下のとおりでした。
出典:補助金申請から交付までのプロセスと基本的事項:全事業共通より抜粋
令和6年度補正予算事業(2025年)の申請期間
令和6年度補正予算事業(2025年)の申請期間は、以下のように予定されています。
受付期間(予定) | |
第1期 | 2025年4月下旬~5月中旬 |
第2期 | 2025年7月 |
詳細はホームページ等で提示されます。
まとめ
2025年のクリーンエネルギー自動車の普及促進に向けた充電・充てんインフラ等導入促進補助金の申請は2025年4月下旬から5月中旬の第1期と7月の第2期に受け付けられる予定です。
2050年カーボンニュートラルの実現には、電気自動車の普及基盤強化も欠かせません。持続可能な社会への転換を目指し、新たなビジネス展開の足掛かりとして、クリーンエネルギー自動車の普及促進に向けた充電・充てんインフラ等導入促進補助金をはじめとした支援制度を上手に活用してください。
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