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助成率や提出書類の見直しも!人材開発支援助成金の令和4年度変更点まとめ

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厚生労働省が令和2年度に発表した「能力開発基本調査」では、OJTを実施した企業は59.4%、Off-JTは69.8と、いずれも令和元年を下回る結果でした。また、同調査では「能力開発や人材育成に関する問題がある」と答えた事業所は3/4以上となったことも報告されました。

問題点の内訳としては、指導する人材や時間の不足などに続いて「育成を行うための金銭的余裕がない」が16%を占めています。

事業主が従業員に対して人材開発を行った場合、人材開発支援助成金の利用が可能です。今回は令和4年度の変更点を中心に、人材開発支援助成金についてまとめました。

参考:厚生労働省 能力開発基本調査(令和2年)
参考:厚生労働省 能力開発基本調査(令和元年)

※本記事では、「人への投資促進コースの創設」以外の変更点についてまとめています。人への投資促進コースについては下記リンクからどうぞ。

自発的な訓練も対象に!人材開発支援助成金「人への投資促進コース」創設!

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この記事の目次

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人材開発支援助成金とは

人材開発支援助成金は、事業者が雇用する従業員に対して職務に関連した知識・技能の習得を目的とした訓練を実施する際に助成を受けられる制度です。助成率や要件の違う7つのコースから成り立ちます。

まずは、それぞれのコースの令和3年度までの概要からみていきましょう。

特定訓練コース

対象:厚生労働大臣の認定を受けたOJT付き訓練・若年者への訓練・労働生産性向上に資する訓練等、効果の高い訓練を10時間以上実施した場合

助成額・助成率:
※( )内は中小企業以外の助成額・助成率

<OFF-JT>
1.経費助成…45%(30%) or 生産性要件を満たす場合は60%(45%)
2.賃金助成 (1人1時間あたり)…760円(380円) or 生産性要件を満たす場合は960円(480円)
<OJT実施助成>
1.賃金助成 (1人1時間あたり)…665円(380円) or 生産性要件を満たす場合は840円(480円)

特定訓練コースのうち、特定分野認定実習併用職業訓練、セルフ・キャリアドック制度導入企業の助成率は以下のとおりです。

<OFF-JT>
1.経費助成…60%(45%)or 生産性要件を満たす場合は75%(60%)

一般訓練コース

対象 : 職務に関連した専門的な知識及び技能を習得させるための訓練のうち「特定訓練コース」に該当しないものを20時間以上実施した場合

助成額・助成率:
<OFF-JT>
1.経費助成…30% or 生産性要件を満たす場合は45%
2.賃金助成 (1人1時間あたり)…380円 or 生産性要件を満たす場合は480円

教育訓練休暇付与コース

【教育訓練休暇制度】
有給教育訓練休暇制度を導入し、労働者が当該休暇を取得した場合
【長期教育訓練休暇制度】
30日以上の長期教育訓練休暇制度を導入し、労働者が当該休暇を取得し、訓練を受けた場合

助成額 :
【教育訓練休暇制度】
1.経費助成…30万円 or 生産性要件を満たす場合は36万円

【長期教育訓練休暇制度】
1.賃金助成(1人1日当たり)…6000円 or 生産性要件を満たす場合は7200円
2.経費助成…20万円 or 生産性要件を満たす場合は24万円

特別育成訓練コース

対象 : 有期契約労働者等の人材育成に取り組んだ場合

助成額 :
※( )内は中小企業以外の助成額・助成率

<OFF-JT>
【一般職業訓練・有期実習型訓練】
1.賃金助成 (1人1時間あたり)…760円(475円) or 生産性要件を満たす場合は960円(600円)
2.経費助成…
・訓練時間が20時間~100時間 10万円(7万円)
・訓練時間が100時間~200時間 20万円 (15万円)
・訓練時間が200時間以上 30万円(20万円)

【中長期的キャリア形成訓練】
1.賃金助成 (1人1時間あたり)…760円(475円) or 生産性要件を満たす場合は960円(600円)
2.経費助成…
訓練時間が20時間~100時間 15万円(10万円)
訓練時間が100時間~200時間 30万円 (20万円)
訓練時間が200時間以上 50万円(30万円)

【中小企業等担い手育成訓練】
1.賃金助成 (1人1時間あたり)…760円(475円) or 生産性要件を満たす場合は960円(600円)

<OJT>
【有期実習型訓練・中小企業等担い手育成訓練】
1.実施経費…760円(665円) or 生産性要件を満たす場合は960円(840円)

建設労働者認定訓練コース

対象 : 認定職業訓練または指導員訓練のうち建設関連の訓練

助成率 :
1.経費助成…対象経費の6分の1
2.賃金助成 (1人1時間あたり)…3800円 、生産性要件を満たす場合は1000円割増

建設労働者技能実習コース

対象 : 建設業の事業主等が建設労働者に有給で受講させる技能実習

助成率 :
【中小建設事業主(20人以下)】
1.経費助成…3/4
2.賃金助成 (1人1日あたり)…8550円(建設キャリアアップシステム技能者情報登録者は9405円)

【中小建設事業主(21人以上)】
1.経費助成…<35歳未満の労働者>7/10 <35歳以上の労働者>9/20
2.賃金助成 (1人1日あたり)…7600円 (建設キャリアアップシステム技能者情報登録者は8360円

【中小建設事業主以外の建設事業主が女性建設労働者に技能実習を行う場合】
1.経費助成…3/5 など

障害者職業能力開発コース

対象 : 障害者に対して実施する職業能力開発訓練事業

助成率 :
1.施設または設備の設置・整備または更新…3/4 (更新の場合は1000万円、初めて対象となる場合は5000万円が上限)
2.運営費…
・重度障害者等
訓練時間の8割以上に参加した対象者…1人あたりの運営費 × 4/5 (上限17万円)
上記以外…運営費の4/5 (上限17万円)に、対象期における訓練時間数を分母・当該者の受講時間数を分子にした率を乗じた額

・重度障害者等以外
 訓練時間の8割以上に参加した対象者…1人あたりの運営費 ×3/4 (上限16万円)
 上記以外…運営費の3/4 (上限16万円)に、対象期における訓練時間数を分母・当該者の受講時間数を分子にした率を乗じた額

・重度障害者等が就職した場合
 就職者1人あたり10万円

人材開発支援助成金の令和4年4月からの変更点

令和4年4月より、人材開発支援助成金はみなおしが行われます。変更点があるのは、以下の3つのコースです。

①特定訓練コース
②一般訓練コース
③特別育成訓練コース

出典:厚生労働省リーフレット

以下、それぞれの変更点をまとめました。

共通の見直し

3つのコースすべてで見直されたのは、以下の1と2です。

1.訓練施設の要件の変更
対象となる訓練施設のうち「②事業主・事業主団体の設置する施設」に含まれていた以下の施設が除外されます。

【除外となる施設】
・申請事業主(取締役含む)の3親等以内の親族が設置する施設
・申請事業主の取締役・雇用する労働者が設置する施設
・グループ事業主が設置する施設で、不特定の者を対象とせずに訓練を実施する施設
・申請事業主が設置する別法人の施設

対象となる訓練施設とは、以下の①~④のいずれかです。
①公共職業能力開発施設など
②事業主・事業主団体の設置する施設
③学校教育法による大学等
④各種学校等(専修学校など) など

2.訓練講師の要件の変更
事業内で訓練を実施する場合の講師は、次の①~③いずれかに該当する者に限られます。

①公共職業能力開発施設や各種学校等の施設に所属する指導員等職業訓練指導員免許を有する者
②1級の技能検定に合格した者
③訓練分野の指導員・講師経験が3年以上の者または実務経験が10年以上の者
また、訓練計画提出時に新たに「OFF-JT部外講師要件確認書」の提出が必要です。

各コースの見直し

特定訓練コース・特別育成訓練コースでは、上記以外にも変更された点があります。共通の変更と各コース独自の変更をそれぞれ確認しましょう。

1.特定訓練コース・特別育成訓練コース共通の変更
①OJTを実施した場合の助成額が定額制へ変わります。
※( )内は中小企業以外の助成額・助成率

・特定訓練コース(認定実習併用職業訓練)
1時間あたり665円(380円)⇒1訓練あたり20万円(11万円)

・特別育成訓練コース(有期実習型訓練)
1時間あたり760円(665円)⇒1訓練あたり10万円(9万円)

②OJT訓練指導者が1日に指導できる受講者は3名までになります

2.特定訓練コースの見直し
①対象訓練の統廃合
以下のように、対象訓練が統廃合されます。
・グローバル人材育成訓練の廃止
・特定分野認定実習併用職業訓練を認定実習併用職業訓練に統廃合
・セルフ・キャリアドック制度導入の上乗せ措置を廃止し、定期的なキャリアコンサルティング制度の規定を必須化

②「若年人材育成訓練」の対象労働者の変更
35歳未満を対象とする若年人材育成訓練の対象労働者の要件に、以下のような変更がありました。
・雇用契約締結後5年を経過していない労働者⇒事業所の雇用保険被保険者となった日から5年を経過していない労働者
※被保険者以外で一定年数雇用された後に正社員となった場合も、新たに助成対象となります。

3.特別育成訓練コースの見直し
①助成対象訓練の変更
対象訓練のうち「職業または職務の種類を問わず、職業人として共通して必要となる訓練」に関して、以下の点が変更になります。
・職務に関連した内容に限り制限なく実施可能⇒訓練時間数に占める割合が半分未満であることが必要

②計画届提出時の書類の変更
提出書類は、以下の点が変更になりました。
・【新規】訓練別対象者一覧
・【新規】訓練の実施内容などを確認する書類
・有期実習型訓練に係る訓練カリキュラム⇒様式変更
・有期実習型訓練に係る訓練計画予定表⇒廃止

人材開発支援助成金手続きの流れ

人材開発支援助成金の手続きは、コースによって多少違いがあります。おおまかな全コースの手続きの流れは以下のとおりです。

①訓練実施計画届の提出
②訓練の実施等
③支給申請書の提出

なお、申請の前には職業能力開発推進者を選任する必要があります。職業能力開発推進者の選任や各計画の作成などは労働局に相談ができますので、ご活用ください。

人材開発支援助成金を活用するメリット

厚生労働省の「能力開発基本調査」では、もっとも多くの企業でOJT・OFF-JTが実施されたのは「新入社員」でした。職階があがるにつれて職業訓練の受講者は減り、さらに規模の小さな企業ほど受講者が少ないことが指摘されています。

従業員の少ない中小企業こそ、一人一人の能力向上は業績に大きな影響を及ぼすはずです。入社時の研修以外でも定期的にスキルアップのための訓練を受けることができれば、従業員の就労意欲の向上にもつながることが期待できます。

人材開発支援助成金を活用して予算的な問題を解決することができれば、企業にとって、大きな利益となるのです。

まとめ

若年層や新たな役職についた従業員を対象とする「人材育成」に対し、すべての従業員の能力向上を目指す訓練が「人材開発」です。年齢や経験によって異なる従業員の能力を、それぞれの段階にあった訓練や研修で向上させる人材開発は、すべての企業に必要な事業のひとつと言えるでしょう。

人材開発支援助成金は、そうした事業の推進のために設立されました。若手の指導に悩む企業だけでなく、ステップアップを目指す企業には積極的に活用してほしい制度です。

▼人材開発支援助成金「人への投資促進コースの創設」についてはこちらから!

自発的な訓練も対象に!人材開発支援助成金「人への投資促進コース」創設!

参考:厚生労働省 人材開発支援助成金

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