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サブスク型の研修が対象の助成金。令和5年は助成率60%に引き上げ予定!

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従業員の育成に人材研修サービスを導入するにあたり、従来とは異なり「定額制」「オンライン型」など研修形態は多様化しており、使い勝手のよさから活用を検討している企業もあるでしょう。定額制の人材研修は令和4年度から助成金の対象にもなっているため、本格的な従業員の育成に乗り出すのであれば今がチャンスです。

今回の記事では、定額制の研修が補助対象となる「人材開発支援助成金の定額制訓練」の支給要件や必要な申請書類、期限などについて詳しく解説します。

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この記事の目次

定額制(サブスク型)の訓練も助成金の対象に?

世の中には、音楽サービスをはじめとして数多くの定額制(サブスク型)の商品が存在します。人材研修についても、従来の単発教育だけでなく継続的に利用できる定額制のサービスが増加しています。

とはいえ定額制訓練は、1回の訓練に対して発生する対象経費が明確でないこともあり、助成金の対象にはなりにくいものでした。助成金の対象にならず金額的な負担もあることから、定額制の人材研修の導入を躊躇していた企業も多かったでしょう。

しかし「人材開発支援助成金(人への投資促進コース)」という助成金の中において、令和4年度から人材研修の定額制訓練も補助の対象に含まれるようになりました。定額制訓練は継続的に利用できるため、従業員への高い教育効果が見込まれる魅力的なサービスです。使い勝手のよい研修を手軽に利用したい企業は、助成金を積極的に活用しましょう。

人材開発支援助成金(人への投資促進コース)の定額制訓練とは

「人材開発支援助成金(人への投資促進コース)」は、事業主が自社の従業員に対してスキルアップにつながる育成を実施した際、訓練経費や訓練期間中に発生した賃金の一部を助成する制度です。

人への投資促進コースには、以下の5種類があります。

1.デジタル/成長分野:高度デジタル人材訓練/成長分野等人材訓練
2.IT分野未経験:情報技術分野認定実習併用職業訓練
3.サブスクリプション:定額制訓練
4.自発的能力開発:自発的職業能力開発訓練
5.教育訓練休暇:長期教育訓練休暇等制度

今回の記事では3番目の「サブスクリプション:定額制訓練」について解説します。定額制訓練では、定額制の研修サービスを利用して事業主が従業員に訓練を実施した場合に助成金が支給されます。

支給要件

定額制訓練の支給要件は「事業主の要件」「労働者の要件」「訓練の要件」の3つが規定されています。

事業主の要件:
以下のすべてに該当する事業者が対象です。

1.雇用保険適用事業所の事業主である。
2.労働組合等の意見をもとに事業内職業能力開発計画、およびこれに基づく年間職業能力開発計画を作成し、計画内容を労働者に周知している。
3.職業能力開発推進者を選任している。
4.年間職業能力開発計画の提出日前日から起算して6ヶ月前の日から支給申請書の提出日までの間に、当該計画を実施した事業所において雇用する被保険者(雇用保険法第38条第1項に規定する短期雇用特例被保険者および同法第43条第1項に規定する日雇労働被保険者を除く)を解雇等の事業主都合により離職させていない。
5.年間職業能力開発計画の提出日前日から起算して6ヶ月前の日から支給申請書の提出日までの間に、雇用保険法第23条第1項に規定する特定受給資格者となる離職理由のうち、離職区分1Aまたは3Aに区分される離職理由により離職した者として同法第13条に規定する受給資格の決定が行われた人物の数を、当該事業所における支給申請書提出日における被保険者数で除した割合が6%を超えていない。
6.従業員に職業訓練を受けさせる期間中も、賃金を適正に支払っている。eラーニングによる訓練、および通信制による訓練を実施する場合でも、支給対象訓練は業務上義務付けられた労働時間に該当するため、当該訓練中に賃金を支払うことが必要。ただし、育児休業中の者に対する訓練は除く。
7.助成金の支給または不支給の決定に係る審査に必要な書類等を整備して、5年間保存している事業主である。
8.助成金の支給または不支給の決定に係る審査に必要であると管轄労働局長が認める書類等を、管轄労働局長の求めに応じて提出または提示する、管轄労働局長の実地調査に協力する等、審査に協力する事業主である。

労働者の要件:
以下のすべてに該当する労働者のいる事業者が対象です。

1.助成金を受けようとする事業所において、被保険者である。
2.訓練実施期間中において、被保険者である。
3.訓練実施計画届時に提出した「訓練別の対象者一覧」に記載のある被保険者である。
4.訓練を受講した時間数が、実訓練時間数の8割以上である。
5.定額制訓練については、上記1〜3をすべて満たしたうえで定額制サービスに含まれる教育訓練を修了した者であり、修了した訓練の合計時間数が1時間以上である。

訓練の要件:

1.定額制サービスによる訓練である。
2.業務上義務付けられ、労働時間に実施される訓練である。
3.OFF-JTであり、以下の事業外訓練に該当すること。
・公共職業能力開発施設、職業能力開発総合大学校、職業能力開発促進法第15条の7第1項ただし書に規定する職業訓練を行う施設、認定職業訓練を行う施設
・助成金の支給を受けようとする事業主以外の事業主・事業主団体が設置する施設
・学校教育法による大学等
・各種学校等(学校教育法第124条の専修学校、同法第134条の各種学校、同水準の教育訓練を行うことのできる施設)
・その他、職業に関する知識、技能、技術を習得させ、向上させることを目的とする教育訓練を行う団体が設置する施設
4.各支給対象労働者の受講時間数を合計した時間数が、支給申請時において10時間以上である。合計に含められる時間数は、「計画時に提出する訓練別の対象者一覧に記載されている者であり、修了訓練の時間数の合計が1時間以上の者が実施した訓練」「職務に関連した専門的な知識および技能の習得をさせるための訓練(職務関連訓練) 」に限る。

助成額・助成率

受講者1人当たりの経費助成の上限額:なし

1事業所が一年度中に受けられる経費助成の上限:1,500万円

助成率:
中小企業45%
大企業30%

支給対象経費

基本料金、および以下のような「訓練に直接必要なオプション料金」が対象経費です。

  • 初期設定費用
  • アカウント料
  • 管理者ID付与料金
  • 修了証の発行
  • IPアドレス制限機能
  • データ容量追加料金
  • LMSの管理者研修

以下のように「訓練に直接必要ではないと判断できるオプション料金」は対象外です。

  • タブレットレンタル
  • ルーターレンタル
  • LMSの入力代行サービス

以下のような契約方法を取った場合も対象経費として認められません。

  • 「支給対象訓練」「支給対象外訓練(パンフレットのP.28参照)」を区分して契約できるにもかかわらず、支給対象外訓練の経費を含めて契約している場合における、当該支給対象外の経費部分
  • 訓練受講者数に応じて契約料が設定される場合において、「訓練別の対象者一覧」の記載人数を超えた区分で高額に契約している場合の当該差額部分
  • より安価な契約方法が可能にもかかわらず、合理的な理由なく当該契約方法による契約額を超えた額により契約している場合の当該差額部分

助成金の支給の流れ

定額制訓練については、以下の流れで助成金が支給されます。

1.事業内職業能力開発計画の作成などを実施する(計画の詳細はパンフレットのP.39
2.計画届を申請する
「訓練実施計画届(様式第1号)」「年間職業能力開発計画(様式第3-1号)」を作成し、訓練開始日から起算して1ヶ月前までに必要書類を都道府県労働局に提出する(詳細はパンフレットのP.33
3.訓練を実施する
4.支給申請を実施する
訓練計画に記載される訓練終了日の翌日から2ヶ月以内に「支給申請書(様式第5号)」と必要な書類を労働局に提出する(詳細はパンフレットのP.36

提出期間および提出先

書類などの提出期間および提出先は「計画提出時」「支給申請時」で異なります。

【計画提出時】
提出期間:訓練開始日から起算して原則1ヶ月前まで
提出先:事業所の事務所の所在地を管轄する労働局。都道府県によってはハローワークでも受け付け可能

【支給申請時】
提出期間:訓練終了日の翌日から起算して2ヶ月以内必須。訓練終了日とは、年間計画番号ごとの訓練終了日
提出先:事業所の事務所の所在地を管轄する労働局。都道府県によってはハローワークでも受け付け可能

申請書類

 
申請に必要な書類は「計画提出時」「支給申請時」で異なります。

【計画提出時】
必要な様式は詳細は厚生労働省のサイト(人材開発支援助成金)よりダウンロードしてください。

〜必須〜
- 訓練実施計画届(様式第1号) *申請者が代理人の場合は委任状(原本)が必要
- 年間職業能力開発計画(様式第3-1号)
- 訓練別の対象者一覧(様式第4号)
- 事前確認書(様式第11号)
- 訓練対象者が被保険者であること、および職務内容が確認できる書類(雇用契約書の写しなど)。訓練計画届提出時に雇用契約前の方等については、雇用契約書案の写しを提出する
- OFF-JTの実施内容等を確認するための書類(実施主体の概要、目的、訓練日ごとのカリキュラム、実施日時、場所が分かる書類 (事前に対象者に配布したもの等)や訓練カリキュラムなど)
- 提供される講座の一覧および内容がわかる書類
- 定額制サービスによる訓練であることを確認するための書類(受講案内等)
- LMSの機能を有していることを確認するための書類(受講案内等)

〜中小企業事業主に該当する場合〜
企業全体で常時雇用している労働者数がわかる書類(事業所確認票様式第17-1号、会社案内・パンフレット等)

〜事業外訓練の場合〜
- 訓練を実施する教育訓練機関との契約書・申込書など
- 受講料を確認できる書類(教育訓練機関が発行するパンフレットなど)

【支給申請時】
必要な様式は詳細は厚生労働省のサイト(人材開発支援助成金)よりダウンロードしてください。

〜必須〜
- 支給要件確認申立書(共通要領様式第1号)
- 支払方法・受取人住所届。登録済みの場合は提出不要。提出する場合は、口座番号が確認できる資料(通帳の写しなど)を添付する
- 支給申請書(様式第5号)
- 申請事業主が、訓練経費を支給申請日までに全額負担していることを確認できる書類(領収書、振込通知書など)。請求書および領収書の場合は、総勘定元帳、現金出納帳、請求内訳書を提出する
- 訓練実施計画届提出時に雇用契約書(案)を提出した場合、実際に本人と締結した雇用契約書の写し。訓練実施計画届提出時に、雇用契約書の写しから雇用契約内容に変更があった場合、変更後の雇用契約書の写し
- 訓練実施計画届の提出時に未進出の事業に係る訓練を実施した場合、税務署に提出した個人事業の開業・廃業等届出書(控用)の写し
- 定額制訓練の経費助成の内訳(様式第7-5号)
- 定額制訓練実施結果報告書(様式第8-4号)
- 訓練別の対象者一覧の人物が受講したことを証明する書類(修了証など)
- 受講予定者の訓練実施状況が分かる書類(LMS情報の写しなど)。ただし、労働局から求めがあった場合に限る
- 定額制訓練に関する事業所確認票(様式第17-2号)

〜事業外訓練の場合〜
- 入学料・受講料・教科書代等(受講案内等で定められているものに限る)の支払いを確認できる書類
- 請求書および領収書または振込通知書。請求書および領収書の場合は、総勘定元帳または現金出納帳などの写しを提出する
- 受講料の案内(一般に配布されているもの)の写しおよび請求書
- 支給申請承諾書(訓練実施者)。ただし、海外の大学院での訓練を除く

助成金利用時の留意事項

上記以外に、助成金利用時に留意すべき事項は以下の通りです。

- 労働者が「自宅等において自発的に学習する」などの場合は、業務命令として労働時間中に実施させる意図がないため助成金の支給対象にはならない
- 契約期間の初日が「令和4年4月1日以後」の定額制サービスは助成対象となる
- 受講予定者ではなかった人物に訓練を受講させることできるが、変更届を提出していない場合は「10時間要件」の時間数に含まないため、その他の「訓練別の対象者一覧(様式第4号)」に記載される者(当初から受講予定としていた者)により、助成金の支給要件を満たすことが必要。万が一、変更届の提出をしないまま「訓練別の対象者一覧」に記載されていない人物が訓練を受講して契約額が増加している場合、当該増額分は支給対象とならない

令和5年度の拡充内容

令和5年度以降、人材開発支援助成金(人への投資促進コース)は拡充が予定されています。定額制訓練については、助成率が以下の通りに引き上げられます。

中小企業:45%→60%
大企業:30%→45%

さらに、定額制訓練の実施と「キャリアアップ助成金の正社員化コース」を組み合わせることで、キャリアアップ助成金の助成額を引き上げることも可能です。人材開発支援助成金における「人への投資促進コース」の修了後に正社員化した場合に助成額を加算する措置は令和4年度も実施されていますが、令和5年に拡充が予定されています。

「キャリアアップ助成金の正社員化コース」とは、有期雇用労働者等を正規雇用労働者に転換、あるいは直接雇用した場合、事業主に助成を行う制度を指します。

【令和5年度 キャリアアップ助成金の拡充】
人材開発支援助成金「定額制訓練」あるいは「自発的職業能力開発訓練」の修了後に、研修を受けた人物を正社員化した場合、キャリアアップ助成金における事業主への助成額に加算措置が行われます。以下は、加算による支給額の変化です。
有期雇用労働者からの転換の場合 無期雇用労働者からの転換の場合
中小企業 57万円→68万円に引き上げ 28万5,000円→34万円に引き上げ
大企業 42万7,500円→53万7,500円に引き上げ 21万3,750円→26万8,750円に引き上げ

まとめ

人材開発支援助成金(人への投資促進コース)内の「定額制訓練」では、定額制研修サービスを利用して従業員を教育する事業主への助成が行われています。

また、令和4年4月から人材開発支援助成金のすべての訓練コースにおいて、オンライン研修(eラーニング)と通信制による訓練も新たに対象化されていますので、幅広い企業の支援が可能となるでしょう。

自社の負担を抑えながら従業員の教育を実施したい企業は積極的に活用することをおすすめします。

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