「観光関連事業者の連携促進による経営支援事業補助金」とは、旅行業界を活性化させるための補助金制度です。
地域性をアピールした新たな旅行商品を作る都内の事業者を支援することで、地域の観光地に再び消費者を呼び戻すことを目的にしています。
今回の記事では、経営支援事業補助金の助成額や対象事業者、必要な申請書類などを詳しく解説します。
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この記事の目次
観光事業者がこれから取り組むべきこと
新型コロナウイルスの流行により外出が制限されたことを受け、旅行業界は大きな打撃を被りました。徐々に通常の生活に戻っていますが、一度遠のいた消費者を再び観光地に呼び戻すことは容易なことではありません。
再び観光地に活気を取り戻すためには、魅力ある旅行商品をつくり、効果的に集客できる観光地を作り上げることが大切です。
「観光関連事業者の連携促進による経営支援事業補助金」は、上記のような魅力ある観光商品を作り、地域を盛り上げようと努める旅行事業者を支援する制度です。
観光関連事業者の連携促進による経営支援事業補助金とは
「観光関連事業者の連携促進による経営支援事業補助金」とは、旅行需要の回復を見込んで観光関連業者と協力し、地域性を押し出した新たな旅行商品を作ろうとしている都内の事業者を支援する制度です。時勢に合わせて、オンラインツアーなどの商品も補助金対象となっています。
補助率、上限額
補助率:補助対象経費の2/3以内
上限額:1商品当たり200万円。自社以外の4者以上の観光関連事業者と連携した場合の上限は300万円(同一業種との連携は2者まで可)
対象経費
観光関連事業者の連携促進による経営支援事業補助金における対象経費は以下の通りです。
分類 | 補助対象経費 | 注意事項 |
商品造成経費(企画費) | (1) ・ニーズ調査に必要な経費 ・調査・分析に必要な経費 ・その他に必要な経費 (2) ・受入体制整備に必要な経費 ・ツアー実施検討の際に行う現地の下見にて発生する費用 ・体験型コンテンツに必要な費用 ・アドバイザーへの相談費用 ・その他に必要な経費 【オンラインツアーの場合】 ・ツアー実施検討(リハーサル等)に必要な配信機器のレンタル代、輸送費、会場費用 ・その他に必要な経費 |
(1)(2)に関して 「その他に必要な経費」は、事業の実施に直接必要なものに限る (2)に関して 「現地の下見にて発生する費用」は、島しょ地域(大島町・利島村・新島村・神津島村・三宅村・御蔵島村・八丈町・青ヶ島村・小笠原村)の下見を行う際の費用に限る |
商品販売経費(広告宣伝費) | (1) ・広告掲載に必要な経費 ・テレビやラジオの放映、配信に必要な経費 ・WEBページ等への広告掲載費 ・WEB媒体(ソーシャルメディア等)や紙媒体(雑誌、新聞等)への広告掲載費 (2) ・広報ツール作成に必要な経費 ・テレビやラジオの制作に必要な経費 ・パンフレットやチラシ、ポスター等の作成費 ・自社WEBページ等の作成費 |
(1)(2)に関して ・商品を紹介するものに限る ・制作物に補助対象以外の内容が掲載されている場合は、該当部分のみ対象となる |
連携推進経費(連携費) | ・特典の提供に必要な経費 ・ツアー参加者のみに提供する限定のお土産や特別な食事メニュー、割引クーポン、体験型アクティビティ等を開発、製作するために連携先へ支払う経費 |
・特典は、旅行商品等が扱う地域と関連している場合に限る ・すでに販売されているお土産を購入する費用等は対象外 ・自社で開発や制作を行う場合は対象外 |
コンテンツ作成経費(作成費) | ・商品内で使用する映像やVR等の新技術を組み合わせたコンテンツの作成に必要な経費 ・ツアー当日に参加者へ提供する映像作成に必要な経費、多言語翻訳に必要な費用 ・コンテンツ作成に必要な観光施設等入場料、その他に必要な経費 ・コンテンツ作成を映像作成会社等に委託する経費 ・アドバイザーへの相談費用 |
・コンテンツは東京都内の観光地、あるいは宿泊施設を含むものに限る ・コンテンツ作成に使用する設備や機械、器具、備品の購入費については補助対象外(委託経費内であっても対象外) ・その他に必要な経費は、コンテンツ作成に直接必要なものに限る |
その他にも以下の補足事項があるため確認しておきましょう。
- 外注・委託費について
補助対象者が直接実施できないもの、あるいは実施することが適当でないものについて、外部事業者等に委託する場合のみが補助対象となります。 - 他事業者と連携してツアー参加者に提供するクーポンについて
旅行中に現地で使用可能なもの、あるいは「オンラインツアーの催行後から1年以内」に現地へ訪れた際に使用可能なものとします。ただし、不当景品類及び不当表示防止法(昭和37年法律第134号)等の法律に抵触しないものに限ります。 - ツアー内容と比較して華美と判断されるお土産、および割引クーポンは補助対象外です。
- VR等新技術について
「VR等新技術」とは、VR(仮想現実)やAR(拡張現実)等の先進的なIT技術を活用し、解像度の高い映像やコンピューターグラフィック、音などのコンテンツを組み合わせることで、現地にいるような臨場感ある体験ができる技術、およびこれに類するものを指します。
【対象外経費】
なお、補助金対象外となる経費の例は以下のとおりです。
- 補助対象経費に発生する消費税および地方消費税、その他の租税公課相当額
- 設備・機器等設置後の維持費、メンテナンスに必要な消耗品費
- 設備・機械・器具・備品等の購入費用。レンタル・リースを含む(オンラインツアーの実施検討に必要な配信機器のレンタル代を除く)
- 土地・建物の取得、造成および補償に必要な費用
- 建物の増改築費
- 中古市場で販売されており、価格設定の適正性が明確でない中古品の購入費
- 使用実績がないもの
- 補助事業に直接必要のない経費
- 委託契約において委託先の資産となるもの
- 経常的な性格を有する経費
- 申請者の関係者(申請者の代表者、役員および従業員)および同居する親族(同一生計)に対して支出する経費
- 申請者が支払っていない経費
- 補助対象事業以外の事業と混同して支払いが行われており、補助対象事業に発生する経費が区分できないもの
- 契約から支払いまで一連の流れが補助対象期間内に行われていないもの 等
対象となる事業者は?
東京都内に本社あるいは主たる事業所があり、かつ旅行業法(昭和27年法律第239号)第3条の規定に基づく登録を受けている事業者が対象です。
ただし、暴力団、暴力団員、風俗営業等に該当する場合や宗教活動や政治活動を主たる目的とする団体は支援対象になりません。そのほか、支援対象外となる事業者は以下のとおりです。
- 過去5年以内に、刑事法令による罰則の適用を受けている
- 民事再生法、会社更生法、破産法に基づく申立・手続中、または私的整理手続中など、事業の継続性について不確実な状況が存在している
- 財団・東京都中小企業振興公社・国・都道府県・区市長村等から補助事業の交付決定取
消等を受けているもの、または法令違反等不正の事故を起こしている - 同一テーマ・内容で、財団・東京都中小企業振興公社・国等から補助を受けている(対象経費が明確に区分できる場合はこの限りではない)
- 既に本事業の支援決定を3商品以上受けている
補助対象となる事業は?
上記の対象事業者の要件に当てはまるうえで、以下(1)~(5)の要件を満たす旅行商品等を新たに造成する事業に対し、補助金が交付されます。
(1)募集型企画旅行、またはオンラインツアーのいずれかの商品である
・「募集型企画旅行」とは、旅行会社が事前に旅行の目的地や日程、運送、宿泊などの旅行サービス内容と代金を定めた旅行計画を作成し、旅行者を募集して実施する旅行のこと指す
・「オンラインツアー」とは、観光地の案内をオンラインでライブ配信するなど、映像等で遠隔地にいながら旅行気分を味わうことができ、ライブ配信時はガイドが観光地を解説してツアー参加者の質問に答えるなど、主催者と参加者との間でコミュニケーションがある商品を指す。ただし、ライブ配信時に事前撮影・編集した映像を用いてガイド等が観光地を案内することは問題ないが、映像販売のみである事業は補助対象とならない
(2)主に都内の観光地、観光施設を扱う商品である
(3)自ら主催する新たな商品であり、かつ、地域における新たな観光資源の発掘や観光資源の磨き上げ等に役立つ商品である
(4)地域の魅力を効果的に伝えるため、都内の宿泊施設や飲食店、小売事業者、観光施設と連携して、商品販売に際しては連携先を全面的にPRする。連携先の業種は以下に限る
・東京都内において、旅館業法(昭和23年法律第138号)第3条第1項の許可を受けて、同法第2条第2項または第3項の営業を行っている宿泊事業者
・東京都内において、食品衛生法(昭和22年法律第233号)で定める飲食店営業、または喫茶店営業の許可を受けて営業を行っている飲食事業者
・東京都内において販売場を設けて営業を行っている小売事業者
・その他、東京都内において、旅行者向けのサービス開発・提供や商品開発・製造・販売等
を行っている
(5)ツアー参加者のみに提供されるお土産、特別な食事メニュー、割引クーポン、体験型アクティビティ等の特典を、4番に掲げる事業者との連携により商品の中で用意する
【事業実施期間】
事業の実施は、交付決定通知を受けた日から1年以内に限ります。なお「事業の実施」とは、実績報告書を提出するまでを指しています。
補助事業の流れ
観光関連事業者の連携促進による経営支援事業補助金の事業の流れは以下のとおりです。
(1)事業者が交付申請を行う
(2)東京観光財団による審査が行われる
(3)交付決定後に事業者が事業を実施する
(4)事業実施後に実績報告を行う
(5)東京観光財団が完了検査を実施する
(6)補助金額が確定する
(7)事業者が補助金を請求する
(8)東京観光財団より補助金が支払われる
公募期間
第4ターム:令和4年12月29日(木)〜令和5年2月28日(火)まで
必要書類
以下3つの書類は「正・副を各1部ずつ」ご用意ください。
書類の種類 | 留意事項 |
交付申請書(第1号様式) | 誓約事項も確認が必要 |
事業計画書(第1号様式別紙) | 事業費経費別明細を含む |
商品概要(任意様式) | 企画書等行程や内容の分かるもの |
以下の添付書類は、必ず「以下に記載されている順番」に並べて提出しましょう。
書類の種類 | 留意事項 |
会社概要がわかるもの。ホームページ引用可(写) | 最新のもの |
登記事項証明書 | 発行3ヶ月以内のもの |
決算関係書類。事業報告書、貸借対照表等(写) | 前年度のもの |
旅行業登録票(写)、または旅行業更新登録通知書(写) | 第1種旅行業者は「主たる営業所」が東京都内であること |
補助対象期間の当該年度の事業計画書(写) | 総会資料。持っていない場合は経営計画書、社内収支計画等の資料でも可 |
都税または国税納税証明書直前期分 | 未納額がない |
印鑑証明書 | 発行3ヶ月以内のもの |
事業計画書(第1号様式別紙)の補足資料 | 必要に応じて |
事業に係る経費見積書 | ー |
申請に係る書類は、東京観光財団のホームページからダウンロードできます。添付書類とともに、受付期間内に簡易書留で郵送します。なお「申請書」と「事業計画書」は、指定されたEメールアドレスへも送付するようにしてください。
観光関連事業者の連携促進による経営支援事業補助金活用のメリット
観光関連事業者の連携促進による経営支援事業補助金では、実際に現地を訪れる旅行だけでなくオンラインツアーも補助の対象となります。
外出することに抵抗を覚える人でもオンラインであれば参加できるため、幅広い消費者に対して観光地の魅力をアピールする環境を整えられる点が、本補助金の魅力といえるでしょう。
まとめ
観光関連事業者の連携促進による経営支援事業補助金では、新型コロナウイルスの影響で打撃を受けた旅行業界の活性化を支援しています。地域の特色等を活かした新たな旅行商品を開発して、観光地に活気を取り戻したい対象事業者は活用を検討してみてはいかがでしょうか。