2020年12月15日に、経産省の令和2年度第3次補正予算案が閣議決定されました。
この補正予算(案)は3つの大きなテーマで構成されており、一つ目は『「新たな日常」の先取りによる成長戦略』、二つ目は『国内政策と一体となった対外経済政策』、三つ目は『廃炉の安全かつ着実な実施/福島の復興を着実に進める』となっています。
予算の大部分を占めるのはコロナへの対応を主とする『「新たな日常」の先取りによる成長戦略』で、中小企業における雇用の維持と企業の持続化等に向け、資金繰りへの支援や、事業者が取り組む生産性向上への取組み、業態転換や新規事業分野への進出などへの支援を集中的に実施する計画です。
今回は経産省の令和2年度3次補正予算(案)について、実施される事業のポイント等について紹介したいと思います。
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この記事の目次
「新たな日常」の先取りによる成長戦略
1.デジタル改革
社会環境の変化に迅速かつ効果的に対応するため、民間企業や研究機関等が取り組むポスト5G情報通信システムの開発や、先端半導体製造技術の開発などへの支援を行います。
2021年は新たな通信規格「5G」の普及だけでなく、国外では既に普及が進んでいる工場や配送業などでの「ローカル5G」の活用等も推進していく計画です。
- ポスト5G情報通信システム基盤強化研究開発事業 【900億円】
- コンテンツグローバル需要創出促進事業 【401.3億円】
- 経済産業省デジタルプラットフォーム構築事業【1.3億円】
2.グリーン社会の実現
2050年カーボンニュートラルの目標達成に向け、脱炭素に向けた民間投資の後押しや研究開発の促進等を実施します。
最も大きな予算となるのは「カーボンニュートラルに向けた革新的な技術開発に対する継続的な支援を行う基金事業(仮称)」です。
この事業ではカーボンニュートラル社会の実現に必須となる3つの要素(電化と電力のグリーン化、水素社会の実現、CO2固定・再利用)等の重点分野について、約2.0兆円の予算を財源に社会実装につながる研究開発への支援事業を実施します。
- カーボンニュートラルに向けた⾰新的な技術開発に対する継続的な⽀援を⾏う基⾦事業(仮称)【2.0兆円】
- 産業・業務部⾨における⾼効率ヒートポンプ導⼊促進事業【46.5億円】
- 先端低炭素設備導⼊促進補償制度推進事業【37.6億円】
- 災害時にも活⽤可能なクリーンエネルギー⾃動⾞導⼊事業費補助⾦【37.0億円】
- 洋上⾵⼒発電の地域⼀体的開発に向けた調査研究事業 【27.5億円】
- カーボンリサイクル実現を加速するバイオ由来製品⽣産技術の開発事業【15.0億円】
- LNGバリューチェーンの脱炭素化等に向けたインド太平洋イニシアティブ形成事業【5.0億円】
3.中小企業・地域
ポストコロナ時代における「新たな日常」においては、職場や学校、病院や公共交通機関、店舗やイベント会場などあらゆるシーンで、今後も継続的な感染予防や感染症発生時の事業継続に向けた取り組み等が求められます。
経産省は新型コロナウイルス感染症の発生以降継続的に実行されてきた「民間金融機関を通じた資金繰り支援」「中小企業生産性革命推進事業の特別枠」に再び大きな予算を計上し、更に新たな取り組みとして、中小企業等の業態転換や新規事業分野への進出等の新分野展開等を支援する補助金制度「中小企業事業再構築促進事業」に1兆1485億円という巨額の予算を計上しています。
- ⺠間⾦融機関を通じた資⾦繰り⽀援【1兆8980億円】
- ⽇本政策⾦融公庫を通じた資⾦繰り⽀援【186.0億円】
- 中⼩企業等事業再構築促進事業【1兆1485億円】
- 中⼩企業⽣産性⾰命推進事業(特別枠)【2300億円】
- 事業承継・引継ぎ推進事業【56.6億円】
- 中⼩企業再⽣⽀援事業【30.0億円】
- Go To 商店街事業【30.0億円】
- 中⼩企業・⼩規模事業者ワンストップ総合⽀援事業【9.8億円】
4.レジリエンス、健康・医療
本年度創設された、新型コロナウイルス感染拡大に伴い顕在化した我が国サプライチェーンの脆弱性を解決するため、国内生産拠点の確保等に向けた取り組みを支援する補助金制度「サプライチェーン対策のための国内投資促進事業費補助⾦」や、その他災害等への対応力強化に向けた取り組みへの支援制度等について予算の追加が計画されています。
- サプライチェーン対策のための国内投資促進事業費補助⾦【2108億円】
- 海外サプライチェーン多元化⽀援事業【116.7億円】
- 南海トラフ巨⼤地震に備えた亜炭鉱跡対策事業【72.0億円】
- ⽯油コンビナートの強靱化推進事業費【49.1億円】
- 災害時に備えた社会的重要インフラへの⾃衛的な燃料備蓄の推進事業費補助⾦【27.7億円】
- 災害時の対応能⼒強化に資する天然ガス利⽤設備導⼊⽀援事業費補助⾦【12.3億円】
- 産業保安⾼度化推進事業【8.7億円】
- ⽯油製品安定供給確保⽀援事業【7.6億円】
- 停電復旧⾒通しの精緻化・情報共有システム等整備事業費【4.0億円】
- 南海トラフ地下⽔等総合観測点整備費【4.3億円】
- 休廃⽌鉱⼭鉱害防⽌等⼯事費補助事業【3.7億円】
- なりわい再建⽀援事業(中⼩企業等「新グループ補助⾦」)【30.0億円】
- なりわい再建資⾦利⼦補給事業【0.5億円】
- 被災⼩規模事業者再建事業(持続化補助⾦)【11.4億円】
- 商店街災害復旧事業【0.1億円】
5.⼈材育成、イノベーション・エコシステムの創出
コロナ禍で産業分野の研究開発投資意欲が減退し、とりわけ開発期間の⻑い基盤領域は研究開発投資が不⼗分になりかねない状況にあります。
こうした状況を受け、経産省は令和2年5⽉に策定した「産業技術ビジョン」を基に、重点基盤領域における共同研究等を進める研究拠点を整備するため119.2億円の予算を計上しています。
また、コロナ禍での臨時休校・分散投稿時にも子ども達が学びを継続できる環境整備を急ぐため「学びと社会の連携促進事業」等にも追加の予算が投入される見込みです。
- 学びと社会の連携促進事業【29.0億円】
- 重点産業技術に係るオープンイノベーション拠点整備(次世代コンピューティング、マテリアル)【119.2億円】
- 研究開発型スタートアップ⽀援事業【7.0億円】
- Global Technology Governance Summit ⽀援事業【2.7億円】
国内政策と一体となった対外経済政策
地方の中堅・中小企業の海外展開を推進するため、新たに拡大が見込まれる海外市場等への販路開拓等への支援を行います。
コロナ禍で企業の積極的な海外展開が困難な状況にある事もあり、それほど大きな予算は計上されていません。
- コンテンツグローバル需要創出促進・基盤強化事業【54.5億円】
- 中堅・中⼩企業の海外展開等を通じた地域活性化⽀援事業【32.9億円】
- ドバイ国際博覧会政府出展事業【9.8億円】
- アジアDX等新規事業創造⽀援事業【6.6億円】
最重要課題:廃炉の安全かつ着実な実施/福島の復興を着実に進める
東日本大震災からの福島の復興を支援するため、現在も大きな課題となっている廃炉・汚染水対策、風評被害を解決するための広聴・広報事業などに予算が計上されています。
- 廃炉・汚染⽔対策事業【192.1億円】
- 原⼦⼒に関する国⺠理解促進のための広聴・広報事業【5.0億円】
まとめ
今回は12月15日に発表された経産省の令和2年度3次補正予算(案)について、予算の内訳と実施予定の事業のポイントについて紹介いたしました。
一部の事業については来年早々にも実施される可能性がありますので、年末年始も政府の発表には是非ご注目ください。
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