令和4年度の共創型サービスIT連携支援補助金の公募が始まりました。
「導入したいITツールがあるけど、使い方がわかりにくくて導入できそうになかった。」
「新しく導入したいITツールがあるけど、今使っているツールと相性が悪いから導入できない。」
と断念したことがある方は、そのお悩みを解消できるかもしれません。
この補助金は、中小事業者等の生産性向上やデジタルトランスフォーメーション(DX)を実現するべく、中小事業者等とITベンダーが共同で既存のITツールの連携や機能改善等に取り組むプロジェクトに係る経費の一部を補助するというものです。
今回は、共創型サービスIT連携支援補助金の詳しい内容と申請方法についてご紹介します。
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この記事の目次
共創型サービスIT連携支援補助金とは?
共創型サービスIT連携支援補助金は、近年政府が力を入れてきたIT導入について、既存のITツールが現場の課題感に適応しておらず使い勝手に問題がある、といった課題を解決するための補助金です。利用者目線で設計された ITツールを構築し、本事業で構築した ITツールを汎用化し同様の課題を抱える中小企業へ普及・展開していくことを目的としています。
共創型サービスIT連携支援補助金の対象事業
本補助金では、複数の中小事業者及び複数のITベンダー等がコンソシーアムを組成し、現場の生産性を向上させるべく、API連携等により複数のITツールを連携・組合せたものを導入するとともに、導入後にUI(User Interface)、UX(User Experience)の改善などの機能向上を行う取り組みを支援します。特に、パッケージ化・汎用化による業界内他社や他地域への当該ツールの普及に役立つ案件を重点的に支援します。
※コンソーシアムとは
出典:令和4年 度共創型サービス IT 連携支援補助金 公募要領
①中小ユーザ企業:本事業で導入するITツールの利用者である中小企業等のこと。※
②ITベンダー:本事業で連携対象とするITツールの設計・開発に係る許諾及び本事業で構築したITツールの著作権を有する事業者のこと。
③その他協力者:ITコンサルなど本事業の取組に係る推進のサポートを行う事業者のこと。
※昨年度からの変更点として、コンソーシアムの組成にあたり「複数の中小ユーザ企業」での申請が必須となりました。事業スキームとしては、ITツールを利用する複数の中小ユーザ企業と、連携機能構築等を行う複数のITベンダが中心となり、必要に応じてその他協力者を巻き込みつつ、コンソーシアムを組成し申請するというものです。事務局への交付申請は、幹事社が行います。
共創型サービスIT連携支援補助金の補助の対象となる事業者
以下の条件を満たす中小ユーザ企業、ITベンダが補助対象者となります。
【中小ユーザ企業の定義】
補助の対象となる中小ユーザ企業は、本事業で導入するITツールの利用者で、かつ以下のいずれかに該当する中小企業等です。
業種分類 | 定義 |
①製造業、建設業、運輸業 | 資本金の額又は出資の総額が3億円以下の会社又は常時使用する従業員の数が300人以下の会社及び個人事業主 |
②卸売業 | 資本金の額又は出資の総額が1億円以下の会社又は常時使用する従業員の数が100人以下の会社及び個人事業主 |
③サービス業(ソフトウェア業又は情報処理サービス業、旅館業を除く) | 資本金の額又は出資の総額が5千万円以下の会社又は常時使用する従業員の数が100人以下の会社及び個人事業主 |
④小売業 | 資本金の額又は出資の総額が5千万円以下の会社又は常時使用する従業員の数が50人以下の会社及び個人事業主 |
⑤ゴム製品製造業(自動車又は航空機用タイヤ及びチューブ製造業並びに工業用ベルト製造業を除く) | 資本金の額又は出資の総額が 3 億円以下の会社又は常時使用する従業員の数が 900 人以下の会社及び個人事業主 |
⑥ソフトウェア業又は情報処理サービス業 | 資本金の額又は出資の総額が3億円以下の会社又は常時使用する従業員の数が300人以下の会社及び個人事業主 |
⑦旅館業 | 資本金の額又は出資の総額が5千万円以下の会社又は常時使用する従業員の数が200人以下の会社及び個人事業主 |
⑧その他の業種(上記以外) | 資本金の額又は出資の総額が 3 億円以下の会社又は常時使用する従業員の数が 300 人以下の会社及び個人事業主 |
⑨医療法人、社会福祉法人 | 常時使用する従業員の数が 300 人以下の者 |
⑩学校法人 | 常時使用する従業員の数が 300 人以下の者 |
⑪商工会・都道府県商工会連合会及び商工会議所 | 常時使用する従業員の数が 100 人以下の者 |
⑫中小企業支援法第 2 条第 1 項第 4 号に規定される中小企業団体 | 上記①~⑧の業種分類に基づき、その主たる業種に記載の従業員規模以下の者 |
⑬特別の法律によって設立された組合又はその連合会 | 上記①~⑧の業種分類に基づき、その主たる業種に記載の従業員規模以下の者 |
⑭財団法人(一般・公益)、社会法人(一般・公益) | 上記①~⑧の業種分類に基づき、その主たる業種に記載の従業員規模以下の者 |
⑮特定非営利活動法人 | 上記①~⑧の業種分類に基づき、その主たる業種に記載の従業員規模以下の者 |
【ITベンダの定義】
補助の対象となるITベンダは、本事業で連携対象とするITツールの設計・開発に係る許諾及び本事業で構築しITツールの著作権を有する事業者であることが条件です。単独のITベンダが条件を全て満たさない場合であっても、コンソーシアム内のITベンダのいずれかがその条件を満たしていればよいものとします。なお、ITベンダは中小企業等の定義を満たさない場合であっても、補助対象となります。
【主な申請要件】
- 交付申請時点で、日本国に登録されている事業者であり、日本国内で事業を行っていること
- コンソーシアムは、中小ユーザ企業が 2社以上10社以下、かつITベンダが 2社以上10社以下で構成されていること
- 汎用化を前提にした複数のITツール同士の連携機能構築等を実施し、その後の導入を計画していること
- 連携機能構築等を実施したITツールを汎用化し、他の中小企業に普及・展開することを計画していること
- 補助事業を実施することによる労働生産性の向上について、1年後の伸び率が3%以上、3年後の伸び率が9%以上及びこれらと同等以上の、数値目標を作成すること
共創型サービスIT連携支援補助金の補助対象経費
共創型サービスIT連携支援補助金の補助対象となる経費は、その経費の必要性と妥当性があるもので、かつ、請求書や領収証等の証拠書類によって確認ができるものに限られます。また、補助対象経費は、交付決定を受けた日付以降に発注を行い、補助事業期間内に着金まで完了したものに限られます。補助事業期間は、交付決定日~2023年2月10日です。
補助対象経費区分 | 内容 |
ソフトウェア購入費(※注) | ・中小ユーザ企業が利用するソフトウェアを新規に調達するための経費 ※補助対象にはソフトウェアの設定費、運用保守費を含む。運用保守費の補助対象期間は1年間までとする。 |
クラウドサービス利用費(※注) | ・中小ユーザ企業がクラウドサービスを利用するための経費 ※IoTを伴う事業についても、クラウドサービス利用費に該当するものは補助の対象となる(ただしハードウェアは対象外)。契約期間は1年間までとする。 |
会議費 | ・中小ユーザ企業が連携機能構築等を実施するためにITベンダと会議を開催する際に必要な費用 |
旅費 | ・補助事業者が連携機能構築等を実施するために使用する交通費・宿泊費 ※宿泊費については、さいたま市、千葉市、東京都特別区、横浜市、川崎市、相模原市、名古屋市、京都市、大阪市、堺市、神戸市、広島市、福岡市においては 10,900 円/泊、上記以外については 9,800 円/泊を上限とする。 |
専門家経費 | ・中小ユーザ企業が連携機能構築等を実施するために依頼したその他協力者に支払う謝金 ※学識経験者、兼業・副業、フリーランス等の専門家に技術指導や助言を依頼するための謝金(旅費を含む)を補助対象とすることができる。※謝金については、専門家の種類に応じて以下の金額(消費税抜)を上限とする。・大学教授、弁護士、弁理士、公認会計士、医師:1日5万円・大学准教授、技術士、中小企業診断士、ITコーディネータ:1日4万円 |
人件費 | ・ITベンダが、ITツールの連携機能構築等を実施するために必要な設計・開発~システムテスト、受入テスト、研修までの工程で発生する工数に係る経費 ・中小ユーザ企業が、ITツールの連携機能構築等を実施するために必要な要件定義、受入テスト、及び研修の工程で発生する工数に係る経費 |
委託費 | ・中小ユーザ企業が連携機能構築等を実施するためににITベンダまたはその他協力者に要件定義、受入テスト、研修等を委託する経費 |
※注:調達するソフトウェアや利用するクラウドサービスは、事業計画で予定している取組内容に必要な最小単位に留めること。事務局が最小単位でないと判断した場合は、補助対象経費の見直しを求めることがある。
一方、補助対象とならないものが以下になります。
【補助対象外となる経費の例】
①コンソーシアム構成員以外との売買、請負、その他契約に係る一切の費用
②要件定義工程におけるITベンダの人件費
③設計・開発工程における中小ユーザ企業の人件費
④本補助事業の申請書、報告書等の作成、送付に係る費用
⑤本事業の取組方針、スケジュール、実施体制、費用見積、費用対効果の検討等を行うシステム企画工程に係る費用
⑥以下の導入に伴う購入・レンタル・リース費用
・ハードウェア
・組み込み系ソフトウェア(特定のハード機器を動作させることに特化した専用システム)
・緊急時連絡システムなど定常的に利用されないシステム
・コンソーシアムの運営の効率化等を目的としたITツール
・什器
⑦以下の外注費用
・ホームページ(ECサイトを含む)制作、コンテンツ制作
・ホームページ制作ツール等の CMS による簡易アプリケーション制作
⑧料金体系が従量課金方式等の定額にならないもの
⑨広告宣伝を目的としたもの
⑩情報提供サービスの登録費用 等
共創型サービスIT連携支援補助金の補助上限度額・補助率
共創型サービスIT連携支援補助金の補助上限額と補助率は以下のとおりです。
■補助上限額・下限額
上限額:4,400 万円~1.1 億円
(中小ユーザ企業2者とITベンダ2者の総和事業者数が4者で構成されるコンソーシアムは、上限額を 4,400 万円とし、そこから1者増加するごとに 1,100 万円上限が引き上げられる)
下限額:400 万円
■補助率
・ITベンダが全て中小企業等の場合:2/3 以内
・上記以外の場合:1/2 以内
共創型サービスIT連携支援補助金の申請方法
共創型サービスIT連携支援補助金の申請方法は、幹事社が電子メールに必要書類一式を添付し事務局へ送付する形になります。原則、郵送での受付はしておりませんので、予めお気を付けください。
【公募期間】
令和4年8月3日(水)~令和4年9月9日(金) 17時必着
【提出先メールアドレス】
it-renkei@tohmatsu.co.jp
【件名】
<コンソーシアム名>令和4年度 共創型サービス IT 連携支援補助金 応募書類送付
【差出人情報】
メール本文に会社名、役職、氏名、メールアドレス、電話番号を記載する
【宛名】
令和4年度「共創型サービス IT 連携支援事業」事務局
【添付ファイルの形式 (以下、提出必須のもの)】
- 補助金交付申請書・事業計画書・補助対象経費内訳書:Excel
- 補助事業概要書:Power Point
- 事業者情報入力シート:Excel
- 誓約書:Word
- 合意形成の証跡:Outlook
- 履歴事項全部証明書(個人事業主の場合は住民票の写し):PDF
- 直近3期分の決算書の写し(個人事業主の場合は税務署受付印のある確定申告書の写し):PDF
- 事業計画書に記載したITツールの概要及び料金が分かる資料(カタログ又はWebページリンク):PDF Text
- 提出書類チェックリスト:Excel
※Zip 化及び暗号化して送付することを推奨
【オンライン説明会日程】
オンライン説明会が以下の日程で開催されます。
・2022年8月18日(木)16:00~17:00
・2022年8月25日(木)16:00~17:00
参加希望者は、①参加日程 ②会社名 ③代表者氏名 ④参加人数 ⑤連絡先をit-renkei@tohmatsu.co.jpまでメールで連絡してください。
共創型サービスIT連携支援補助金のまとめ
今回は、共創型サービスIT連携支援補助金の内容と申請方法についてご紹介しました。
本補助金は、ITツールの導入に課題があってうまくDXが進んでいない中小企業を対象とした補助事業になります。
他の補助金と比べると実態に即したものになっているので、申請しやすいのではないでしょうか。実際にITツールの導入を断念したことがある場合は、こういった補助金の活用をご検討ください。