今回はLED照明の代替工事で活用できる補助金・助成金制度について調べてみました。
2018年に行われた冬季平昌オリンピックでは国際大会として初めてLED照明が採用され、いよいよ来年開催される東京オリンピック2020に向けて国内の競技場なども一斉に水銀灯などからLED照明への代替を進めています。
東京オリンピック2020のメイン会場「新国立競技場」は現在まだ建設途中となりますが、一体どのようなライトアップがされるのか今から期待が膨らみます。
ゴルフ場やテニス場などでも最近は水銀灯に替わりLED照明の普及が進んでいるようですが、物流倉庫や中小規模の工場などではまだまだ水銀灯が現役で利用されている場合も多いようです。
2021年には水銀灯の国内製造が禁止されることもありますので、代替工事が終わっていない場合には、そろそろ具体的が計画も必要になってきそうです。
LED照明への代替工事に活用できる補助金・助成金について下記に詳細を記載します。
この記事の目次
1.はじめに
以前はスポーツ照明といえば学校の体育館などに設置されていた水銀灯が主流でしたが、現在は各メーカーが水銀灯代替照明として超高輝度のLED高天井用照明を開発しています。
1964年に続き2度目のオリンピック会場(共に柔道)となる日本武道館は、2018年に既にLED化工事が完了し、岩崎電気製の高天井用LEDが採用されています。
岩崎電気は1964年の東京オリンピックの際に旧国立競技場の照明に水銀灯が採用された歴史があり、2015年には日本で初めてプロ野球の屋外ナイター用照明として同社の製品が採用されています。
新国立競技場やその他のオリンピック会場にも同社の製品が採用される可能性は高そうですね。
屋外スポーツ施設のLED照明※画像は岩崎電気HPより
こちらの「横浜スタジアム」でも岩崎電気製の超高輝度LEDが採用されています。
LED照明は配光に自由度が高い為、近隣住宅への光漏れを防ぐことが可能です。
こちらは従来の「水銀灯」とよばれるタイプの高天井用照明です。
一台平均1000w程度で、ちょうど電子レンジと同じくらいの消費電力です。
こちらが実際に横浜スタジアムで屋外照明として採用されている製品「LEDioc FLOOD DUELL(レディオック フラッド デュエル)」です。
水銀灯などに比べ発熱量が圧倒的に少ない為、同程度の明るさを確保しつつ消費電力は80%以上削減に成功しています。
水銀灯は点灯までに時間がかかってしまう特性がある為、LEDへの代替工事による省エネ効果はカタログ値以上が期待できます。
2.LED照明の導入に活用できる補助金・助成金制度
LED照明の導入に活用できる補助金・助成金には様々なものがあり、最も代表的なものとしては経産省の「エネルギー使用合理化事業者等支援事業(エネ合)」、その他にも環境省の「先進対策の効率的実施によるCO2排出量大幅削減事業※現在はLED照明が対象外」、国交省の「既存建築物省エネ化推進事業」があり、各自治体が実施しているリフォーム関連の補助金などにも複数の制度が存在します。
それぞれの制度によって申請要件や対象範囲は異なっていますが、省エネ化に寄与する設備としてLED照明が対象になっている点は共通している部分です。
エネルギー使用合理化事業者等支援事業(⇒2019年度は「省エネ補助金」と「省電力補助金」に分割)
2019年度からは2つの補助金に分割されるエネ合ですが、LED照明の導入で活用できるのは「省電力補助金」です。
概要は下記の通りで、設備単位の申請では器具の購入費に対して1/3以内の補助率で最大3000万円の補助金が交付されます。
執行団体:SII一般社団法人環境共創イニシアチブ
https://sii.or.jp/
下記は省電力補助金の概要です。※省エネ補助金はLED照明は対象外です。
設備単位の申請では2019年度から対象となる照明器具の基準が厳しくなっています。
※ただし、人感センサーや調光制御などの省エネに関する付随機能がある製品は、去年と同程度の固有エネルギー効率でも対象製品となります。
この基準に適応する製品には下記の様な製品があります。
エネルギー効率の基準値がだいぶ厳しくなっている印象ですが、主要メーカーの現行品であれば基準を下回る製品はほとんどありませんのでご安心ください。
参考までに、過去記事も合わせてご参照ください。
先進対策の効率的実施によるCO2排出量大幅削減事業(ASSET事業)
環境省が推進する補助金制度で、CO2の大幅な削減を目標に先導的な低炭素技術(L2-Tech)の認定を受けた製品や、その他のCO2削減効果が極めて高い製品の導入事業が対象となっています。
要件にはL2-Tech製品の50%以上の導入と相当量のCO2排出削減を約束することが盛り込まれており、CO2削減に対する費用効率性が高い事業から採択される仕組みです。
政府は、CO2の増加に伴う地球温暖化を抑制する為、2050年までにその排出量を40%~70%削減することを目標に掲げており、環境省は省エネ関連の補助金制度によりエネルギー使用に起因するCO2排出量の低減を促進しています。
執行団体:一般社団法人温室効果ガス審査協会HP
https://www.asset.go.jp/
公募期間:4月下旬から1か月程度の予定
対象者:民間団体など
補助対象:CO2排出量の大幅な削減を目標にL2-Techと呼ばれる認証制度によって登録された先進的な省エネ設備を全体の50%以上導入することを条件に、対象設備費と導入に係る経費に補助金の支給を行います。
補助率:L2-Tech認証製品の導入は1/2
それ以外の設備については1/3
補助額:上限1.5億円
採択率:非公開となっています。
参考までに、過去記事も合わせてご参照ください。
既存建築物省エネ化推進事業
国交省は既存建築物の省エネ改修を対象にした補助金の交付を行っており、この事業では同時に行うバリアフリー改修や、耐震改修なども支援対象となっています。
補助金の交付要件には「躯体(外壁や屋根を含む)の改修を行うこと」「改修後に耐震性を有している事」などがあり、老朽化した建築物の改修による長寿命化を主として、それに伴う省エネ工事、バリアフリー工事が補助対象となっています。
対象となる建築物はオフィスビルや病院・福祉施設など非生産施設のみで、工場や実験施設、倉庫などは対象外です。
この事業では政府のCO2削減目標の達成に向けて住宅・建築物の省エネ改修を促進すると共に、建築物ストック(中古建築物)の有効活用を促進し、近年増加する空家や廃屋に係る問題の解決を図っています。
執行団体:一般社団法人環境共生住宅推進協議会
https://www.kkj.or.jp/kizon_se/index.html
公募期間:平成31年度4/15~5/27
対象者:民間団体など
補助対象:躯体の省エネ改修工事、バリアフリー改修工事
補助率:1/3
補助額:省エネ改修:2500万円+バリアフリー改修:2500万※合計5000万円まで
採択率:一昨年までは90%前後の高い水準でしたが、去年突然30%台まで低下。今年の結果が気になるところです。
参考までに、過去記事も合わせてご参照ください。
小規模事業者持続化補助金
省エネ関連の補助金というわけでは有りませんが経産省(中小企業庁)の小規模事業者持続化補助金もLED照明の導入では活用事例の多い制度です。
中小企業を対象に、地域の商工会・商工会議所と一体となって事業者の経営計画を推進することを目的とした制度で、補助率が2/3と高くなっているのが特徴で、個人事業者などにも人気が高い補助金です。
執行団体(事業を管轄するどちらかの機関)
:日本商工会議所
https://h29.jizokukahojokin.info/
:全国商工会連合会
http://www.shokokai.or.jp/?post_type=annais&p=5703
※下記資料は中小企業HPより
公募期間:平成30年度は3月の前半から公募が行われていましたが、今年度の公募日程はまだ公表されていません。
対象者:
「商工会及び商工会議所による小規模事業者の支援に関する法律」に基づく小規模事業者
補助対象:HPの作成や看板作成、内装の改装など様々なものに活用できる制度です。
補助率:2/3
補助額:50万円まで
採択率:近年では65%~70%程度となっているようです。
参考までに、過去記事も合わせてご参照ください。
LED照明等節電促進助成金(東京都)
東京都の中小企業(製造業)の振興を目的とした事業で、都内の中小企業等を対象に、省エネルギー化を目的としたLED照明や、デマンド監視装置(需要電力を監視する装置)などを自社の工場に設置する際の費用に対し助成を行っています。
申請は執行団体の中小企業振興公社から派遣される節電促進アドバイザーによる「節電診断」を基に行ない、事業完了後5年間は設備の稼働状況などについての報告義務があります。
執行団体:東京都中小企業振興公社
http://www.tokyo-kosha.or.jp/support/josei/setsubijosei/led.html
公募期間:令和元年(2019年)5月7日(火)~令和元年(2019年)10月25日(金)
対象者:都内の中小製造事業者
助成対象:節電促進アドバイザーによる節電診断によって決定。
助成率:対象経費の1/2
助成額:30万円~1500万円の範囲で助成が行われます。
採択率:予算に達し次第終了※平成30年度は採択予定数50件
3.おわりに
LED照明の代替工事に活用できる補助金・助成金にはこのほかにも、自治体などが実施する奨励金など様々な支援制度が用意されています。
全ての制度を把握するのは中々難しいことなので、これから行う事業に利用できる補助金・助成金などに興味がある場合にはお気軽に補助金ポータルまでお問い合わせください。
各種ご相談はお気軽に補助金ポータルまで。
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