日本のカルチャーが世界的に人気を集めるなか、映画・アニメ・動画コンテンツを取り巻く支援制度も大きく充実してきています。
この記事では、映画・映像・動画制作のプロジェクト資金として2026年時点で活用できる制度を6つ厳選してまとめました。自主映画を撮りたい個人クリエイターから、海外展開を狙う大型制作会社まで、それぞれのフェーズに合う制度が見つかるよう、規模・目的別に整理しています。
支援の対象には、プロデューサー・ディレクター・動画クリエイターなどの制作陣のほか、制作会社などの団体も含まれます。映画制作や映像コンテンツのプロジェクトを立ち上げたい、資金を確保したいと考えている人は、ぜひチェックしてください。
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この記事の目次
映画・映像・動画制作で使える6つの補助金一覧
まずは全体像を一覧で確認しましょう。詳細はそれぞれの項目で解説します。
| 制度名 | 対象作品 | 補助率 | 上限額 |
|---|---|---|---|
| ①日本映画製作支援事業 | 劇映画・記録映画・ アニメ映画 |
ー | 107万円〜2,140万円 |
| ②メディア芸術クリエイター育成支援事業 | メディアアート・ ゲーム・アニメ・マンガ |
ー | 創作500万円/ 発表100万円 |
| ③先進的設備等を活用した放送コンテンツ製作促進事業 | 海外向け 実写放送コンテンツ |
1/2 | 3,000万円〜1.5億円 |
| ④クリエイター事業者支援事業費補助金 | 実写・アニメ・ゲーム | 1/2 | 1,000万円/2億円 |
| ⑤ぐんまフィルムコミッション映像作品制作等支援補助金 | 群馬県内ロケの 実写・アニメ |
1/2 | 2,000万円 (最大2,200万円) |
| ⑥海外作品制作支援事業助成金 | 都内ロケの 海外公開作品 |
1/2〜2/3 | 100万円/1,000万円 |
若手・自主映画・クリエイター向けの補助金
国内で実績を積みたい個人クリエイターや、若手作家を起用する制作団体向けの制度です。比較的小規模な企画から応募できるのが特徴で、自主映画やインディーズ作品の挑戦にも使えます。
①日本映画製作支援事業
国からの補助金(文化芸術振興費補助金)を財源として、優れた日本映画の製作活動を支援する制度です。文化庁の予算で日本芸術文化振興会が実施しています。
劇映画、記録映画、アニメーション映画の3区分に分かれており、上映時間と予算総額に応じて活動区分(特別/A/B、長編/短編A/短編B等)が決まります。映画の完成年度に交付する「単年度助成」と、完成の前年度・完成年度の2か年にわたる「2か年度助成」の2タイプから選べます。
助成金額の目安は以下のとおりです(単年度助成)。
| 区分 | 助成金額 |
|---|---|
| 劇映画 特別 | 2,140万円 |
| 劇映画 A | 1,070万円 |
| 劇映画 B | 535万円 (若手・新進作家を起用した場合は824万円) |
| 記録映画 特別 | 1,605万円 |
| 記録映画 A | 535万円 |
| 記録映画 B | 214万円 |
| アニメ 長編 | 2,140万円 |
| アニメ 短編A | 321万円 |
| アニメ 短編B | 107万円 |
令和8年度の主な変更点は、劇映画区分(特別・A・B)で「日本映画制作適正認定制度(映適)」の認定を受けて活動を実施する場合、助成金額の上限が30%引き上げられる点です。たとえば劇映画B(535万円)は696万円に、若手・新進枠(824万円)は1,071万円になります。アニメーション映画区分の短編A・Bでは、同一団体による複数応募も可能になりました。
また、バリアフリー字幕・音声ガイドの制作費は、上記金額に加えて各100万円を上限に別途計上できます(最大200万円)。
自主映画・若手作家にとって入口となるのが「劇映画B」区分です。主として若手・新進映画作家の育成を目的とした区分で、起用する監督の劇映画監督本数が応募作品を含めて3作品以内であれば「若手・新進映画作家支援」枠として要望額を追加できます。
対象団体は、法人格を有する団体(非営利法人含む)で、映画の製作活動を主たる目的とすること、出資をしている製作団体であること、応募する映画の著作権の全部または一部を保有していることが必須です。製作委員会名義での応募はできません。
令和8年度は第1回(令和7年10月31日〜11月13日)、第2回(令和8年5月18日〜25日)ともに募集を終了しています。次回(令和9年度)の第1回募集は、例年通りであれば令和8年10月下旬から相談受付が始まる見込みです。
②メディア芸術クリエイター育成支援事業
メディアアート、ゲーム、アニメーション、マンガといったメディア芸術分野で、若手クリエイターの創作・発表活動を支援する文化庁の事業です。CG-ARTS(公益財団法人画像情報教育振興協会)が事務局を担っています。
ほかの制度のほとんどが「法人格を持つ制作会社」を対象とするのに対し、この制度は個人または団体(制作チーム・ユニット)が対象で、法人格は不要です。個人クリエイター・動画クリエイターでも応募できる点が大きな特徴。未成年も保護者の承諾書を提出すれば応募可能です。
2つのプログラムが用意されており、それぞれ支援内容が異なります。
| 項目 | 国内クリエイター 創作支援 |
国内クリエイター 発表支援 |
|---|---|---|
| 内容 | 新作の創作企画 | 作品発表の企画 |
| 支援上限 | 500万円 | 100万円 |
| 採択件数 | 14〜20件程度 | 20〜30件程度 |
| 活動歴 | 5年以上 または受賞歴 | 3年以上 |
| 年齢 | 概ね40代まで | 概ね40代まで |
| 国籍 | 日本国籍または永住資格 | |
支援金以外にも、アドバイザーとの面談(創作支援は3回、発表支援は2回)、リーフレット(日英)の作成、他クリエイターとの交流機会、成果発表イベントでのお披露目など、育成サポートが充実しているのが本制度の特長です。
令和6年度(2024年度)には、「手描きの計算」というコンセプトでコンピュータ・アートと手描きの境界を探求する作品、「ものすごくでっかいマイクロプラスチックをつくる」という発想で巨大なオブジェを制作する作品など、実験的で独創的な企画が採択されました。
令和8年度の募集は2026年5月13日〜6月2日18時で終了。採択発表は2026年9月上旬、成果発表イベント「ENCOUNTERS」は2027年2月〜3月に開催予定です。次回(令和9年度)の募集は、例年通り2027年4月下旬から5月下旬頃に始まる見込みです。
商業・大型作品向けの補助金
海外展開を視野に入れた中〜大型の制作プロジェクト向けの制度です。補助上限が1,000万円から1.5億円規模まであり、本格的な商業作品を対象としています。
③先進的設備等を活用した放送コンテンツ製作促進事業
総務省が令和7年度から実施している、海外向けの実写放送コンテンツ制作を支援する制度です。4K、VFX、3DCG、AI技術等の「先進的設備等」を活用する制作費の一部を助成することで、世界水準の放送コンテンツの海外流通を推進することを目的としています。
対象となるのは「海外での放送・配信を前提とした実写コンテンツ」で、アニメ、映画、ショート動画、MV、CM、プロモーション映像、成人向け、YouTube等は対象外です。ドラマ・ドキュメンタリーなど「実写の放送向け作品」に特化した、ちょっと珍しいタイプの制度です。
補助内容は、活用する技術によってタイプAとタイプBに分かれています。
| タイプ | 補助率 | 上限額 | 対象 |
|---|---|---|---|
| タイプA | 1/2 | 3,000万円 | 4K(機材・システム)を活用した 実写コンテンツ制作 |
| タイプB | 1/2 | 1.5億円 | VFX、3DCG、AI技術等の先進的設備等を 活用した実写コンテンツ制作 |
対象者は、当該実写コンテンツの著作権を有し、制作費を負担する国内の放送事業者、番組製作会社等です。外国法人の日本支社等は対象外で、個人での応募はできません。複数事業者連携のコンソーシアム形式での応募も可能です。
仕組みとしては、総務省が「執行管理団体(直接補助事業者)」に補助金を交付し、その団体が事務局となって放送事業者・番組製作会社等(間接補助事業者)に交付する2階建ての方式です。令和8年度の事務局は株式会社電通が務めています。応募は事務局HP経由で、補助金申請システム「Jグランツ」で受け付けます。
令和8年度は、第1回間接補助事業者公募(令和8年3月19日〜4月13日)が終了し、第2回公募が令和8年6月1日〜7月2日12時で実施中です。事業期間は交付決定日〜令和9年3月31日。
④クリエイター事業者支援事業費補助金
経済産業省の「令和6年度補正クリエイター事業者支援事業費補助金」を活用し、日本芸術文化振興会が事務局となって実施する助成金です。VIPO(映像産業振興機構)が運営補助を担っています。
海外市場に訴求する高品質なコンテンツ(映像・ゲーム等)を制作する長期的な取組を支援し、コンテンツの国際競争力や収益基盤の強化を促進することが目的。「助成金1(本制作支援)」と「助成金2(企画開発支援)」の2つの枠が並行して走っており、フェーズごとに使い分けられます。
| 項目 | 助成金1 (プロダクション・ ポストプロダクション支援) |
助成金2 (プリプロダクション支援) |
|---|---|---|
| 支援フェーズ | 本制作工程 (撮影・編集・VFX等) |
企画開発段階 (脚本・企画書・ 権利処理等) |
| 1案件上限 | 2億円 | 1,000万円 |
| 1社あたり総額上限 | 4億円 | 2,000万円 |
| 補助率 | 1/2以内 | 1/2以内 |
| 対象 | 実写映画・アニメ・ゲーム | 映像企画開発/ ゲーム企画開発 |
| 制作費条件 | 3億円以上 (映適認定見込みなら 1.5億円以上) |
なし |
| 制作実態 | 応募事業者が制作費の 50%以上を担うこと |
不問 (企画・プロデュース会社可) |
助成金1は、撮影・照明・美術・録音・VFX・MA・ダビング等の本制作工程を幅広くカバーする大型の枠。応募要件として、海外展開を念頭においた体制、海外市場からの収益見込み、応募事業者が著作権の全部・一部を保有、制作期間が年度を越える作品、などが求められます。
助成金2は、本制作前の脚本・企画書・ピッチ映像制作、Vertical Slice版開発、権利処理といった企画開発段階を支援する枠。応募事業者が将来の本制作に携わる計画があり、著作権保有予定もしくはレベニューシェア、もしくはIP活用権利処理を予定していれば、制作実態は問われません。企画・プロデュース会社からの応募も可能です。
応募者は日本の法令に基づき設立された法人で、コンソーシアム・製作委員会・実行委員会等からの応募はできません。日本映画製作支援事業ほか芸文振の他事業や、経産省・文部科学省・文化庁の支援事業との重複申請は不可です。
本年度の公募スケジュールについては、公式ページの最新情報をご確認ください。
自治体のロケ誘致・地域連携型の補助金
自治体が映像作品の撮影・制作を誘致するために設けている支援制度です。地域の魅力発信や観光振興と連動しているのが特徴で、国の制度と併用できる場合が多くあります。
⑤ぐんまフィルムコミッション映像作品制作等支援補助金
群馬県内で行われる映画、ドラマ、ドキュメンタリーおよびアニメーション等の撮影・制作経費の一部を補助する制度です。群馬県内における大型映像作品の制作可能性や経済効果・PR効果を実証し、将来的なデジタル・クリエイティブ産業の創出を目指しています。
補助の概要は以下のとおりです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 補助率 | 1/2 |
| 補助上限 | 2,000万円 (Gメッセ群馬の展示ホールを1日以上撮影利用する場合は最大2,200万円) |
| 補助下限 | 500万円 |
| 対象作品 | 群馬県内で制作する実写(映画・ドラマ・ドキュメンタリー)/群馬県内が主要な舞台として複数箇所登場するアニメーション |
| 対象条件 | 交付決定の日から5年以内に公開予定の商業作品で、県内事業者への支出が総額1,000万円以上 |
| 受付 | 通年 (交付決定希望日の4週間前まで) |
| 補助対象期間 | 交付決定日〜申請年度の3月7日 |
対象経費は実写とアニメーションで内容が異なり、いずれも県内事業者に支払う費用に限ります。
| 区分 | 主な対象経費 |
|---|---|
| 実写 | 宿泊費(1人1泊税抜12,000円上限)、食事費(1人1食税抜1,380円上限)、施設使用料、人件費、機材費、美術費、車両費、交通費、ロケハン費・シナハン費、プリプロ/ポスプロ費 など |
| アニメ | 原画制作費、人件費、プリプロ/ポスプロ費、ロケハン費・シナハン費 など |
応募者は、日本の法令に基づく法人格を有する団体で、経理・管理能力を有し、暴力団排除、群馬県税の滞納なし、入札参加停止措置の非該当などをクリアすることが必要です。
申請を検討する場合は、まず事前相談を行い、相談後に必要な様式が送付されます。原則として交付決定を希望する日の4週間前までに申請が必要で、審査に約3週間かかります。採択された作品にはクレジット表記、撮影画像の提出、監督・主演キャストによるPR動画の制作、主要キャストのサイン提供などの協力が求められます。
⑥海外作品制作支援事業助成金
東京都と公益財団法人東京観光財団による、都内で行われる映画やドラマ等の海外公開作品のロケハン・撮影を支援する助成金です。映像作品を通じて東京の魅力を世界に発信し、観光客の誘致につなげることが目的です。
「海外公開作品」とは、インターネット動画配信・映画・テレビ番組等の媒体によって日本国外で放映・公開される作品を指します(アニメ映画や短編映画は対象外)。
助成は2種類用意されています。
| 項目 | ロケハン助成 | 撮影助成 |
|---|---|---|
| 助成率 | 1/2以内 | 1/2以内 (ロケハン併用時2/3以内) |
| 上限額 | 1団体100万円 | 1団体1,000万円 |
| 期間 | 交付決定から1年以内 | 交付決定から3年以内 |
| その他 | 1回3名以内、5日間 (宿泊4泊)まで |
ー |
撮影助成の上限額は、令和7年度の700万円から1,000万円に増額されており、令和8年度はより使いやすくなっています。
対象者は、いずれも日本の法人格を有する団体です。ロケハン枠は、外国の制作団体から都内ロケハンのコーディネート業務を受託している団体が対象。撮影枠は、映画等の制作実績があり、A:海外公開作品を制作するため外国の団体と共同制作する団体、または B:海外公開作品を制作するため外国の団体から委託等を受けている団体が対象となります。
令和8年度は年4回程度の募集が予定されており、第1回提出期限は令和8年5月29日(金)でした(終了)。第2回以降は東京ロケーションボックスのHPで順次公表されます。申請は簡易書留での郵送と電子メールの併用です。
応募前に知っておきたい3つのコツ
映画・映像補助金の活用を成功させるために、押さえておきたいポイントを3つにまとめました。
①「対象作品」の定義を最初に確認する
制度ごとに「対象作品」の範囲が大きく違います。たとえば総務省③は実写の放送向けのみで映画・アニメは対象外、東京都⑥もアニメ映画と短編映画は対象外。一方で経産省④は実写・アニメ・ゲームを幅広くカバーします。応募前に必ず公募要領で「自分の作品が対象に含まれるか」を確認しましょう。
②募集時期は集中するため事前準備が肝心
年1〜2回の募集に集中する制度が多く、募集期間は2週間程度と短いものがほとんど。要望書・事業計画書・収支計画書・実績証明書・契約書類などの提出書類が多岐にわたります。撮影開始予定日の最低6か月前から準備を進めるのが現実的です。
③重複申請の制限に注意
国の制度(特に文化庁・経産省系)は重複申請を制限していることが多く、たとえばクリエイター事業者支援事業費補助金は日本映画製作支援事業と同時には使えません。一方、自治体の制度(群馬⑤・東京⑥)は国の制度と併用できる場合が多いので、組み合わせて活用するのも一案です。事前に各事務局に確認しておくと安全です。
まとめ
技術の発展により、映像メディアの可能性は大きく広がりました。映画やドラマだけでなく、「聖地巡礼」といった観光資源としても注目されており、映像・メディア業界への支援は日本全体の経済にも良い影響をもたらします。
2026年度は、国(文化庁・総務省・経済産業省)から自治体(群馬県・東京都)まで、各方面で映像制作支援が出揃った年です。動画クリエイター個人から大型作品の制作会社まで、自分のフェーズに合う制度を選んで活用しましょう。


