東京都中小企業振興公社(以下:公社)は、都内中小企業等が自社の技術・製品等を販路開拓のために展示会等に出展する場合に助成を行う「市場開拓助成事業」の公募に向けて、令和2年2月17日より事業説明会の受付を開始します。
※東京都中小企業振興公社配布資料より
東京都中小企業振興公社 令和二年度助成事業説明会のご案内
https://www.tokyo-kosha.or.jp/topics/1911/0014.html
「市場開拓助成事業」は都内中小企業等の振興を図るため、展示会等への出展小間料、出店に付随する経費及び新聞・雑誌等による広告費に対し最大で300万円(助成率1/2)の助成を行う東京都の助成金事業です。
助成対象となる取り組みは、既に東京都(及び公社)の支援等を受けて開発・改良、販路開拓を実施した自社製品についての「国内及び海外の市場開拓」と、東京都が規定する成長分野の製品等における「海外の市場開拓」の2種類です。
今回は令和二年4月に公募予定の「東京都市場開拓助成事業」について、詳しく紹介していきたいと思います。
この記事の目次
国内外での自社製品等の展示会出展を支援
対象事業は既に商品化が完了し、いつでも販売が出来る製品やサービスです。
区分その1.「国内及び海外の市場開拓助成」について
この申請区分では、東京都及び公社の事業において既に一定の評価、認定、支援等を受け、開発・改良、販路拡大を実施した自社製品を対象に、国内及び国外での展示会出展などに対し助成を行います。
国内での展示会出展で助成が受けられるのはコチラの区分のみとなりますので、申請要件を満たしていない中小事業者の方は下記の支援事業から利用できる制度がないか是非ご検討ください。
対象となる事業と要件
下記は申請要件を満たす東京都及び公社の支援事業等の一覧です。
【受賞など】
1.世界発信コンペティション
2.東京ビジネスデザインアワード
3.東京都ベンチャー技術大賞
※事業者が上記で大賞、優秀賞、奨励賞又は特別賞を受賞した事。
【承認・認定・評価など】
1.経営革新計画の承認
2.東京都トライアル発注認定制度(新事業分野開拓者認定制度)
3.事業可能性評価事業
4.事業化チャレンジ道場(ものづくりイノベーション企業創出道場など)
5.知財先着導入支援事業(ニッチトップ育成支援事業)
6.「東京手仕事」プロジェクト(伝統工芸品の商品開発・普及促進支援事業)
※上記の承認・認定等を受けた製品やサービスである事
【販路開拓支援】
1.ニューマーケット開拓支援事業
2.海外販路ナビゲータによるハンズオン支援(海外展開総合支援事業など)
3.中小企業世界発信プロジェクト2020マーケットサポート事業
※上記で支援対象になった事
【助成事業】
1.新製品・新技術開発助成事業
2.TOKYOイチオシ応援事業(地域の魅力を活かした新ビジネス創出事業)
3.次世代イノベーション創出プロジェクト2020助成事業
4.製品改良・企画等適合か支援事業※規格適合・認証取得のみを除く
5.先進的防災技術実用化支援事業(受注型中小製造業競争力強化支援事業)
6.外国特許出願費用助成事業
7.受注型中小企業競争力強化支援事業(受注型中小製造業競争力強化支援事業)
8.地域中小企業応援ファンド(地域資源活用イノベーション創出助成事業)
9.試作品等顧客ニーズ評価・改良支援助成事業※顧客にニーズ評価は除く
10.海外展開技術支援助成事業
11.連携イノベーション促進プログラム助成事業
12.ものづくり企業グループ高度化支援事業
※上記の助成事業で助成額が確定した事
区分その2.「成長分野の海外市場開拓助成」
こちらは東京都が策定した「イノベーションマップ」に示された開発支援テーマ(成長産業分野)に合致する製品の展示会出展が助成対象です。
事前に都や公社の支援制度を利用しているなどの要件はありませんが、製品・技術の評価基準が厳しく、展示会についても海外で行う場合のみが助成対象となっています。
東京都が策定したイノベーションマップとは??
東京都の基本計画である「2020年に向けた実行プラン」で示された、都市課題を解決する為に策定された技術開発の指針の事で、以下の9つの産業分野を都が重点的に開発支援を行う「成長産業分野」に規定しています。
1.防災・減災・災害予防に関する技術・製品の開発
2.インフラメンテナンスに関する技術・製品技術・製品の開発
3.安全・安心の確保に関する技術製品の開発
4.スポーツ振興・障害者スポーツに関する技術・製品の開発
5.子育て・高齢者・障害者等の支援に関する技術・製品の開発
6.医療・健康に関する技術・製品の開発
7.環境・エネルギーに関する技術・製品の開発
8.国際的な観光・金融都市の実現に関する技術・製品の開発
9.交通・物流・サプライチェーンに関する技術・製品の開発
これらの産業分野に該当する製品やサービスであれば、東京都や公社の支援事業をこれまでに利用していない場合でも「成長分野の海外市場開拓助成」として海外での展示会出展等で助成を受ける事が可能です。
令和二年度「東京都 市場開拓助成事業」の概要
市場開拓助成事業の申請には「申し込み期間」に書類提出の予約を行い、「書類提出期間」に書類を持参するという二段階の手続きが必要です。
窓口の混雑を回避する為の措置とのことですが、書類提出期間に至ってはわずか4日しか猶予がないため日程調整には十分注意が必要です。
【公募期間】
申込期間:令和2年2月17日~4月6日まで
書類提出期間:4月13日~4月16日まで
【申請対象】
都内の中小企業等
【対象事業】
下記の2種類の区分に関する展示会出展等
1.国内及び海外の市場開拓
※指定期間内に東京都の支援事業などを活用した製品等の出展であること。
2.成長産業分野の海外市場開拓
※東京都の規定する成長産業分野の製品等の出展であること。
【対象経費】
展示会等への出展小間料、出店に付随する経費及び、新聞・雑誌等による広告費の一部
【助成内容】
助成限度額:300万円
助成率:1/2以内
手続きの流れについて
実際に出展が行える展示会の開催時期は7月1日~9月30日までと範囲が限られていますので、まずはこの時期に開催される展示会への参加を決定する必要があります。
その後の手続きは申込期間内に公社に書類提出の予約、提出期間内の予約日に窓口に書類を持参、書類選考を通った場合は面接による二次審査、事務局による総合審査を経て助成対象者決定となります。
※面接による二次審査は「成長分野の海外市場開拓助成」での申請の場合のみ実施されます。
【必要書類】
下記は「国内及び海外の市場開拓助成」の場合の必要書類ですが、「成長産業分野の海外市場開拓助成」の場合でも、提出書類はほぼ同等の内容となります。
※東京都中小企業振興公社令和元年度の公募資料より
上記の中で特に書類のボリュームが大きくなるのが「製品やサービスの説明資料」ですが、既に展示会への出展を決定した商品やサービスであれば、準備に困る事はないのではないでしょうか。
まとめ
市場開拓助成事業は特定の商品・サービスを対象に展示会出展の助成を行う助成金制度ですが、展示会では同時にその他の製品を出展する事もできるため、会社全体で取り扱う複数の製品を展示することも可能です。
東京都の支援制度を既に受けている事業者の場合は申請のハードルは決して高くはありませんので、是非活用をご検討ください。