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個人や企業の税負担を軽減、今使える新型コロナ対応の税制まとめ

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新型コロナウイルス感染症緊急経済対策では、給付金や補助金制度等の他に税制の優遇等といった税法上の支援も数多く実施されています。

先日閣議決定された2021年度の税制改正大綱でも、新型コロナウイルスで打撃を受けた企業や個人の負担軽減に向けた、土地の固定資産税の税額増加を来年度に限り免除する措置や、住宅ローンの減税が通常より3年長く適用される特例措置を受けるための入居期限の延長など新たな仕組みが盛り込まれており、政府は今後も企業や個人の負担を軽減するため積極的に減税を進めていく方針のようです。

そこで今回は、新型コロナウイルス緊急経済対策として今年から新たに導入された4種類の税制について紹介したいと思います。

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この記事の目次

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納税の猶予する特例制度

新型コロナウイルスの影響によって、事業等に係る収入に相当の減少があった方は、この制度により国税の納付を延滞税なしで1年間猶予する事ができます。

対象となる方

以下のいずれも満たす方(個人、法人問わず)が対象となります。

  1. 新型コロナウイルスの影響により、令和2年2月以降の任意の期間(1カ月以上)において、事業等に係る収入が前年同期に比べ概ね20%以上減少していること
  2. 一時に納税を行う事が困難である事※申請される方の置かれた状況に配慮し判断を行います。

対象となる国税

「所得税」「法人税」「消費税」等、印紙で納めるものを除くほぼすべての税目が対象となります。※既に納期限が過ぎている未納の国税についても、遡ってこの特例を利用する事ができます。

申請手続等

  1. 下記の国税庁HPから「納税の猶予申請書(特例猶予用)」をダウンロードし、猶予を受けたい国税の納期限までに、所轄の税務署に郵送またはe-Taxにて申請を行います。
  2. 猶予が認められると所轄の税務署から「納税の猶予許可通知書」及び「納付書」が送付されます。
  3. 納税は金融機関などで記載された納付期限内に行います。

新型コロナウイルス感染症の影響により納税が困難な方へ 国税庁HP
https://www.nta.go.jp/taxes/nozei/nofu_konnan.htm

2.災害損失欠損金の繰戻しによる還付制度

災害損失欠損金の繰り戻しによる還付制度とは、災害のあった事業年度またはその年度の中間申告時において災害損失欠損金が発生した場合に、その年度の前1年以内(青色申告法人は前2年以内)に開始した事業年度の法人税額から、災害損失欠損金額に対応する部分を還付請求できる制度です。

災害損失欠損金とは?
今回の新型コロナ禍においては下記のような費用や損失が、災害損失欠損金に該当することになります。

・飲食業者等の食材の廃棄損
・感染者が確認されたことにより廃棄処分した器具備品等の除却損
・施設や備品などを消毒するために支出した費用
・感染防止のため、配備するマスク、消毒液、空気清浄機等の購入費用
・イベント等の中止により、廃棄せざるを得なくなった商品等の廃棄損

対象となる方

資本金の額に関係なく災害損失欠損金を有する全ての法人が対象です。

適用要件

  1. 還付対象の所得の発生した事業年度から災害損失欠損金が発生した事業年度まで連続して確定申告書を提出していること。
  2. 欠損事業年度の確定申告書又は仮決算による中間申告書を提出していること。
  3. 確定申告書又は仮決算による中間申告書を提出すると同時に「災害損失の繰戻しによる還付請求書」を提出すること。

欠損金の繰戻しによる還付の請求 国税庁HP
https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/hojin/annai/1554_38.htm

3.テレワーク等のための中小企業経営強化税制

中小企業経営強化税制とは、中小企業・中堅企業が自社の経営力向上のための人材育成や財務管理、設備投資などの取組を記載した「経営力向上計画」を事業所管大臣に申請し、認定されることによって税制の優遇を受ける事ができる制度です。

コロナ禍によりこの制度が拡充され、新たに経営力向上計画に基づいて中小企業者等がテレワーク等のための設備の取得等をした場合にも、設備の即時償却又は設備投資額の7%(資本金が 3,000 万円以下の法人は 10%)の税額控除をすることができるようになりました。

即時償却とは?
設備の購入費の全額を、取得年度の経費として計上することができます。

税額控除とは?
取得価額の10%(資本金3000万円超1億円以下の法人は7%)を、課税対象から控除できます

対象となる方

中小企業、小規模事業者、中堅企業

対象となる設備

  1. 生産性向上設備※従来から変わらず
    ・生産性が旧モデル比年平均1%以上向上する設備
    (機械装置、測定工具及び検査工具、器具備品、建物付属設備、ソフトウェア※情報収集機能及び分析・支持機能を有するもの)
  2. 収益力強化設備※従来から変わらず
    ・投資収益率が年平均5%以上の投資計画に係る設備
    (機械装置、工具、器具備品、建物付属設備、ソフトウェア)
  3. デジタル化設備※テレワーク等のための新たな類型
    ・遠隔操作、可視化、自動制御化のいずれかを可能にする設備

    (機械装置、工具、器具備品、建物付属設備、ソフトウェア)

申請手続き(※デジタル化設備の例)

  1. 事前確認
    ・計画について認定経営革新等支援機関の事前確認を受け「事前確認書」を取得
  2. 経済産業局による認定
    ・経済産業局に申請書と必要書類、事前確認書を提出。「確認書」を取得
  3. 経営力向上計画の申請
    ・業種を所轄する主務大臣に対して、経営力向上計画の認定申請を行う。
  4. 設備を取得
    ・認定を受けた後、設備を取得し事業に使用します。
  5. 税務申告
    ・納税書類に、取得した各書類のコピーを添付して、税務申告を行う。

中小企業経営強化税制について 国税庁
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5434.htm

4.消費税の課税事業者選択届出書等の提出に係る特例

新型コロナウイルス感染症の影響を受けている事業者に対する特例で、通常は課税期間の開始前に行わなければならない課税事業者の選択を、税務署長の承認を受けることにより課税後でも行うことが出来るというものです。

例えば、消費税の課税事業者を選択して課税期間をスタートしていた場合でも、特例により課税期間の基準期間における課税売上高が1000万円以下の事業者等である場合は、売り上げ減少の状況を見て期間の課税期間の途中であっても免税事業者となることが可能です。

申請要件

  1. 特例に係る法律の施行日(令和2年4月30日)以後に申告期限が到来する課税期間が対象
  2. 新型コロナウイルス感染症の影響により、令和2年2月1日から令和3年1月31日までの期間の内、一定期間(1ヵ月以上の任意の期間)の収入が前年同月比概ね50%以上減少していること
  3. 対象となる課税期間の申告期限までに申請書を提出すること
    ・法人の場合の申告期限:課税期間終了日の翌日から2カ月
    ・個人の場合の申告期限:課税期間の翌年の3月末

消費税の課税選択の変更に係る特例について 国税庁
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/kansensho/keizaitaisaku/shohi/index.htm

まとめ

今回は緊急経済対策でスタートした4種類の税制について紹介しました。

給付金制度等にくらべ仕組みがかなり複雑なため、実際に利用する際には専門家などの支援が必要となるケースが多いですが、制度の存在と大まかな内容を抑えて置けばこうした制度を利用できる機会をみすみす逃してしまうことは防ぐことが出来ます。

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