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国土の7割を占める森林を守る、林野庁の令和3年度予算概算要求を紹介

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今回は令和3年度の概算要求の中から林野庁の予算案について紹介します。

農林水産庁の外局である林野庁は、日本の国土約7割(2500万ha)の森林の保全や有効活用等を推進する行政機関です。

近年は、遊びにおいても電子機器を扱う時間の多い現代の子供達に、木のおもちゃに触れる体験や木工ワークショップ等を通じた教育を行う「木育(もくいく)」や、国産木材の利用促進によって森林育成のサイクルを健全化し、樹木による二酸化炭素の吸収を向上させる「木づかい運動」の推進など、教育から地球環境保全まで幅広い分野でその活動を行っています。

令和3年度の概算要求額は3033億円で、これに令和2年度の3次補正1555億円が加わった4588億円が令和3年度の林野関係予算となります。

この記事の目次

日本の森林と環境問題

日本は国土の約7割を森林が占める森林大国でありながら、林業の衰退等を背景に木材資源のおよそ7割を海外からの輸入に頼っており、国内では既に収穫期を超えた植林地の荒廃が進み、森林の公益的機能(CO2吸収による温暖化防止機能や、大雨や地震などから山地災害を防ぐ機能など)の低下が大きな社会問題となっています。

政府は緊急対策として「間伐等促進法(平成20年施行、25年改正)」や「公共建築物等木材利用促進法(平成22年施行)」などの法律を整備し、林業施業に対する助成や税制などの支援措置、消費者に対する木造住宅のエコポイントの制定等をによる国産材の積極的な利用の促進など、官民一体となった環境貢献活動に取り組んでいます。

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令和3年度林野関係予算概算要求

森林資源の適切な管理と林業の成長産業化の実現
~コロナを契機とした山村での事業・雇用と定住環境の創出~

① 森林整備事業<公共> 1,492億円(1,223億円)
森林資源の適切な管理と林業の成長産業化を実現し、国土強靱化や地球温暖化防止等にも貢献するため、間伐や主伐後の再造林、幹線となる林道の開設・改良等を推進

➁ 治山事業<公共> 741億円(607億円)
激甚な山地災害からの復旧とともに、地球温暖化に伴う豪雨の増加等を踏まえ、
山地災害危険地区におけるレーザ計測による災害リスクの把握や治山施設の設置等のハード・ソフト一体的な対策、流木対策等を強化

③ 農山漁村地域整備交付金<公共> 1,131億円(943億円)
地方の裁量によって実施する農林水産業の基盤整備や農山漁村の防災・減災対策に必要な交付金を交付

④ 林業成長産業化総合対策 173億円(129億円)
意欲と能力のある林業経営者の育成や経営の集積・集約化を進めるため、路網の整備・機能強化、間伐、高性能林業機械の導入、木材加工流通施設の整備等のほか、スマート林業・新素材開発等の「林業イノベーション」の推進、都市の木造化の促進、CLT(直交集成板)等の木質建築資材の利用環境の整備等、川上から川下までの取組を総合的に支援

  1. 林業・木材産業成長産業化促進対策
    意欲と能力のある林業経営者を育成し、木材生産を通じた持続的な林業経営を確立するため、出荷ロットの大規模化のための共同販売体制の構築、主伐と再造林を一貫して行う施業、路網の整備・機能強化、山村の雇用等を支える保育間伐、高性能林業機械の導入、労働安全・省力化に資する木材加工流通施設、特用林産振興施設の整備等を総合的に支援
  2. 林業イノベーション推進総合対策
    ICTによる資源管理・生産管理を行うスマート林業、早生樹・エリートツリー等の利用拡大、植林作業の自動化機械や木質系新素材の開発等による「林業イノベーション」の取組を支援
  3. 木材の需要拡大・流通改革
    都市における木材需要の拡大に向けた木質耐火部材等の利用実証、先駆的な建築物・まちづくりの実証といったCLT等の利用環境の整備、大径化した原木の利用のための製材・乾燥方法等の技術の開発、民間との連携による中高層・非住宅建築物等への木材利用の促進、無垢材も活用したオフィス等非住宅建築物の内装の木質化の促進、公共建築物の木造化・木質化等による新たな木材需要の創出、高耐久処理木材等の高付加価値な木材製品の輸出の拡大、木質バイオマスの持続的活用のための地域の体制づくり、サプライチェーン構築に向けた実需者とのマッチング等の取組を支援するとともに、林業のDXにつながる流通木材の合法性確認システムの構築に向けた調査・検討、普及啓発を実施
  4. 現場技能者キャリアアップ・林業労働安全対策
    林業の現場管理責任者や統括現場管理責任者、施業の集約化を担う森林施業プランナーや木材の有利販売等に取り組む経営者(森林経営プランナー)の育成、林業労働安全を推進するための取組等を支援

⑤「緑の人づくり」総合支援対策 53億円(47億円)
林業への就業前の青年に対する給付金の支給、新規就業者を現場技能者に育成するための研修、高校生や社会人を対象としたインターンシップ、森林経営管理制度を担う技術者の育成等を支援

⑥ 新たな森林空間利用創出対策 2億円(1億円)
働き方改革や健康寿命の延伸にも資する健康・観光・教育といった分野での森林空間の活用を図るため、ワーケーション等による森林サービス産業のモデル的な実施、産学官コンソーシアムにおける技術課題の調査・研究等の支援、国有林の観光利用を推進するための多言語による情報発信、木道整備等を実施

⑦ 森林・山村多面的機能発揮地域力支援対策 19億円(-)
森林・山村の多面的機能の発揮や山村地域の活性化を図るため、地域の活動組織が実施する森林の保全管理、森林資源の利用、関係人口の拡大を図る取組等を支援

⑧ 花粉発生源対策推進事業 2億円(1億円)
花粉症対策苗木や広葉樹等への植替え、花粉飛散防止剤の実証、花粉飛散量予測の精度向上につながるスギ・ヒノキの雄花の着花状況調査等の取組のほか、これらの成果の普及啓発等を一体的に支援

 シカ等による森林被害緊急対策事業 2億円(2億円)
シカ被害の甚大化を防止するための林業関係者による捕獲効率向上対策やICT等を活用した新技術の開発・実証、国有林野内で国土保全のための捕獲事業を実施するとともに、ノウサギ被害の対策手法の検討を実施

まとめ

今回は令和3年度の林野関係概算要求について紹介しました。

国産木材の需要低下を背景に、国内の林業従事者数は昭和平成27年度の時点でわずか4万5千人にまで減少してしまいましたが、平成15年から始まった林野庁の「緑の人づくり総合支援対策(緑の雇用)」の成果により新規就業者数が一定の水準を維持し、近年は34歳以下の若い世代の比率も増加傾向にあります。

林野庁は今後もICTやロボット技術等ハイテク導入による林業生産の効率化への支援や、国産バイオマスや老朽化した公共施設の木造化・木質化など需要喚起などに継続的に取り組み、国内林業の成長産業化に取り組みます。

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