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産業雇用安定助成金の創設から1年!在籍型出向で雇用を守る活用事例をあつめました

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株式会社 帝国データバンク「新型コロナウイルス関連倒産」動向調査によると、新型コロナウイルスの世界的大流行のさなか、社会情勢の変化を背景にして日本国内では2989件の企業が倒産した、とあります。コロナ禍前の2019年には「完全雇用に近い状況」と言われていた失業率も、なかなか回復せずにいます。

そんななか従業員の雇用を守るため、厚生労働省は令和3年に「産業雇用安定助成金」を創設しました。創設から1年が経ち、この助成金を活用して在籍出向を行う企業も増えてきました。
今回は、産業雇用安定助成金とその活用事例について紹介します。

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この記事の目次

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新型コロナが雇用に与えた影響

2020年1月15日に国内で初めての新型コロナウイルス感染者が確認されて以後、世界的な感染拡大をせき止めるために、さまざまな対策が講じられてきました。特に複数回におよぶ緊急事態宣言の発令により、わたしたちの生活習慣は大きな変化を遂げています。

出典:令和3年版 労働経済の分析 厚生労働省─新型コロナウイルス感染症が雇用・労働に及ぼした影響

厚生労働省の「労働経済の分析」によると、経済活動が大幅に抑制されたこの時期、就業者・雇用者数は108万人減少しました。その結果、2019年の平均で2.4%だった完全失業率は、2020年は2.8%まで上昇しています。2022年1月の時点での完全失業率は2.8%と、依然として横ばい傾向です。

出典:総務省統計局 労働力調査(基本集計) 2022年(令和4年)1月分結果

新型コロナウイルスが及ぼした社会的影響により、わたしたちは生活様式の変化だけでなく、いかにして雇用を守るかという問題にも対応を余儀なくされているのです。

産業雇用安定助成金とは?

産業雇用安定助成金は、雇用を維持するために在籍型出向を行う場合に、出向元・出向先の双方の事業者に対して支給されます。
まずはその目的や、助成対象などの概要をみていきましょう。

【助成金の概要】
産業雇用安定助成金はコロナ禍において、一時的な事業縮小によって雇用調整を余儀なくされている企業を支援する目的で創立されました。そのため対象の従業員は出向期間後、元の事業所に戻ることが前提となっています。また令和3年8月1日以降に関しては、子会社への出向も対象になりました。出向元・出向先の双方の事業者が助成の対象となります。

助成内容

従業員を送り出す企業・受け入れる企業双方の事業主は、以下の助成を受けることができます。

① 出向運営経費
賃金や教育訓練及び労務管理に関する調整経費などの出向中に要する経費の一部
→上限額は出向元・出向先の合計で従業員1人につき1日あたり12000円
・出向元が労働者の解雇などを行っていない場合の補助率:9/10(中小)、3/4(中小以外)
・出向元が労働者の解雇などを行っている場合の補助率:4/5(中小)、2/3(中小以外)

② 出向初期経費
就業規則や出向契約書の整備費用、出向に際して行う教育訓練、対象従業員を受け入れるための機器や備品の整備などの設置に関する費用
→助成額は出向元・出向先で従業員1人につき各10万円 (定額) 。ただし、各5万円の助成額の加算が受けられる場合があります。

在籍型出向のメリットとは

では在籍型出向には、どんなメリットがあるのでしょうか。厚生労働省が出向元・出向先・出向した従業員を対象に行ったアンケートでは、以下の項目が挙げられています。

【出向元企業】
労働意欲の維持・向上、能力開発効果
【出向先企業】
自社従業員の業務負担軽減、即戦力の確保
【出向した従業員】
能力開発・キャリアアップ、雇用の維持

出向元の企業ではこれまで育ててきた労働力を失わずに済むだけでなく、従業員の労働意欲や能力開発が期待できることは大きなメリットです。一方で出向先企業にとっても、即戦力となる人員に業務を分担できることで、自社の従業員の働き方を見直す機会にもなります。

また出向した従業員は、雇用先とは別の企業での就労経験を通してスキルアップを図ることで、自分自身のキャリア形成に役立てることができます。在籍型出向は、誰にとってもメリットの大きい取り組みといえるでしょう。

参考:在籍型出向のメリット

産業雇用安定助成金の活用事例

それでは、実際に産業雇用安定助成金を活用した事例をみていきましょう。厚生労働省が公開している産業雇用安定助成金の活用事例から、業種や状況の違う3件を紹介します。

事例1・飲食店 (調理・接客) → 倉庫業 (物流センターの構内作業)…出向期間90日・出向労働者29名
【取り組み内容】
①マッチング~企業間調整
<出向元>
・出向先を探して、産業雇用安定センターへ相談。
・受入を希望する企業の情報提供を受け、出向先を訪問。
<出向先>
・出向元を探して、産業雇用安定センターへ相談。
・送出を希望する企業の情報提供を受ける。
・社内にて出向労働者受入について協議、承諾。
・出向元企業との打合せ実施。
・産業雇用安定センターへ希望条件等伝え、出向元企業からの回答を待つ。
②企業間調整~契約
・労働条件などの協議のため、両社の協議を実施。
・出向規定制定、出向協定の締結後、出向対象労働者本人の同意を得る。
・出向契約書の作成、産業雇用安定助成金受給のための出向実施計画届の提出に関する書類の準備。
・両社間において出向契約の締結。
③契約~出向開始
・出向元の社長自ら出向先の職場を見学。
・産業雇用安定助成金受給のため、出向実施計画届を出向元から労働局に提出。
④出向開始~
・出向労働者の状況把握に努め、職場内でサポートできる体制強化を図る。
・出向元に対し、出向労働者の状況など定期的に情報提供を行う。

「出向元企業の声」では出向を成功させるために取り組んだこととして、社会保険労務士の助言を受けながら出向規定を作成したことなどがあげられました。「よかったこと」としては、コロナ禍による休業の長期化で従業員のモチベーションが低下することへの不安が軽減されたことにも言及されています。

一方で出向先の企業、出向した従業員双方からは業種の違いによる体力面への不安もあったことがコメントに寄せられていましたが、実際の現場ではそれほど苦労なく業務に慣れることができたとも述べられています。また従業員からは、期間が終われば元の企業に戻れるということが安心感につながったという言葉もありました。

事例2・製造業 (基盤組立・検査) → 製造業 (検品・梱包) …出向期間140日・出向労働者10名)
【取り組み内容】
①マッチング~企業間調整
・契約しているコンサルティング会社からの紹介により、出向元と出向元が契約する会計事務所、計4社で顔合わせを実施。
②企業間調整~契約
・契約までの調整は出向元と直接実施。
・出向労働者の就業場所が確保できず、賃貸契約物件を新たに探すという状況で、出向元工場建屋内の一部を借りることで協議をすすめ、出向契約とは別に賃貸契約を締結し就業場所とした。
③契約~出向開始
・契約書類作成 。
④出向開始~
・申請書類作成のうえ、助成金申請。
・出向労働者に対して社内ルールを説明。

出向先企業からは、同業種からの出向のために新たに職業訓練等の必要がなく、業務がスムーズに行えたとの声がありました。生産量や売り上げもあがったそうです。
この事例では出向元のノウハウや仕事に対する姿勢を吸収することで、出向先の企業にとっても大きな利益がありました。

事例3・生活関連サービス業、娯楽業 (旅行代理店での事務 全般) → 情報通信業(事務補助、HP作成等) …出向期間270日・出向労働者1名)
【取り組み内容】
①マッチング~企業間調整
・社労士より、在籍型出向及び産業雇用安定センターの案内を受ける。
・同センターに求人を登録し、出向元の紹介を複数受け選択。
・今後も出向者受入ニーズはあり、同センターに登録中(グループ企業間出向も検討中)
②企業間調整~契約
・面接実施。
・出向元との調整(業務内容、能力開発等)。
③契約~出向開始
・契約の締結。
④出向開始~
・教育訓練をOJTとして実施中。
・出向元による出向者へのフォロー。

この事例では、出向前の1~3か月間にHP作成に関するOJTを実施しました。これにより、出向期間終了後はこれまで外注していたHP作成が内部業務として可能となる見込みだそうです。
出向による従業員のスキルアップが、その後の企業の成長にもつながる有益な取り組みとなりました。また従業員からは、休業状態が続くなかでも仕事ができることへの喜びがコメントとして寄せられています。

まとめ

創設から1年で、産業雇用安定助成金を利用した出向者は1万人を越えました。在籍型出向を示す「雇用シェア」という言葉も普及しつつあります。働き方への考え方が変化するなかで、今後、こういった新しい雇用の形はますます社会的需要を伸ばすことが予想されます。

企業の規模または業種に関わらず、従業員の横断的な雇用の繋がりや人脈は、企業にとっても大きな財産となります。産業雇用安定助成金を活用した在籍型出向は、従業員の雇用の維持と企業的発展の両立に悩む事業主にこそ検討してほしい取り組みです。

参考:産業雇用安定助成金

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