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在籍型出向による雇用調整を支援する新たな助成金制度、厚労省の「産業雇用安定助成金」とは?

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厚労省が新型コロナの影響を受ける企業に向けた新たな助成金制度「産業雇用安定助成金」の受付を開始しました。

この助成金は新型コロナウイルス感染症の影響により事業活動の一時的な縮小を余儀なくされた事業主が、労働者の雇用を維持するために在籍型出向を行う場合に、出向元と出向先の双方の事業主に対して、その出向に要した賃金や経費の一部を助成するものです。

今回は「残業雇用安定助成金」の概要と、制度の利用方法等について紹介いたします。

この記事の目次

在籍型出向とは?

「出向」とは、労働者が出向元企業との雇用関係をそのまま継続しながら別の企業へ異動することを指し、代表的な例としては「親会社から子会社への出向」があります。

しかし、上記のような元の職場への復職の補償がない出向は「左遷」とも呼ばれネガティブに扱われることが多く、対象労働者には転職に近い精神的な負担が伴うため、人材流出の契機にもなりがちです。

今回助成対象となっている「在籍型出向」と言うのは、出向元企業と出向先企業との間で「出向契約」を締結し、対象となる労働者は出向契約で定めた条件(期間など)の終了後に、再度出向元企業に復職することが保証されている出向の形態です。

労働者に過度な負担がなく、また、企業にとっては「社員のキャリア形成」や「企業間交流」などといったメリットもあるため、「休業や休職」に代わる雇用調整の施策として、政府は在籍型出向の活用促進に取り組んでいます。

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「厚労省 産業雇用安定助成金」の概要

事業主が在籍型出向により労働者の雇用を維持する場合に、出向元と出向先の双方の事業主に対し、「1.出向運営経費(教育訓練や労務管理に関する調整経費など)」として、一日当たり最大12000円、「2.出向初期経費(機器や備品の整備などに要した費用)」として一人当たり10万円(一定の要件を満たす場合は5万円加算)の助成を行います。

本助成金の支給対象となる「事業主」

◆出向元事業主
・解雇や労働量の減少がないこと
・コロナで事業活動が縮小(売上高または生産量などが5%以上減少)していること など

◆出向先事業主(労働者を受け入れる事業主)
・出向先で別の人を離職させるなど、玉突き出向を行っていないこと
・出向元と親会社、子会社の関係にないこと
・代表取締役が出向元と同じではないこと
・その他資本的、経済的・組織的関連性などからみて独立性が認められること など
※令和3年8月1日から、独立性が認められない事業主(子会社間など)で実施される出向も一定の要件を満たせば助成対象になります。

本助成金の支給対象となる「出向労働者」

・出向元事業所において雇用される雇用保険の被保険者であって、本助成金の支給対象となる「在籍型出向」を行った労働者であること。

ただし、下記のいずれかに該当する方の場合は対象外となります。

・出向元事業主に引き続き雇用保険被保険者として雇用された期間が6か未満である方
・解雇を予告されている方、退職願を提出した方または事業主による退職勧奨に応じた方
・日雇労働被保険者である方
・併給調整の対象となる他の助成金などの支給対象となっている方

支給対象となる「出向」

コロナの影響で雇用調整が必要な状況にあることや、出向先企業が出向元企業と実質的な支配関係にないことなどいくつかの要件を満たす「在籍型出向」が助成対象となります。

・新型コロナの影響を受ける事業主が、雇用の維持を図ることを目的に行う出向であること
・出向期間終了後は元の事業所に戻って働くことを前提としていること
・出向元と出向先が、親会社と子会社の間の出向でないこと
・代表取締役が同一人物である企業間の出向でないこと
・資本的、経済的・組織的関連性などからみて独立性が認められること
・出向先で別の人を離職させるなど、玉突き出向を行っていないこと
・出向先における労働者の賃金が出向前の賃金に相当する額であること(具体的には、出向前の賃金に対する支給対象期の賃金の割合が、85%から115%の範囲内である必要があります)
※令和3年8月1日から、独立性が認められない事業主(子会社間など)で実施される出向も一定の要件を満たせば助成対象になります。

受給額について

(1)出向運営経費

出向元事業主及び出向先事業主が負担する労働者の賃金、教育訓練および労務管理に関する調整経費など、出向中に要する経費の一部を助成します。※賃金については出向前の賃金額が助成対象の上限額となります。

【上限額(日)】
12000/円※出向元・出向先の合計

【上限人数】
最大500人※期間中に出向を実施した日が1日でもあれば、その労働者は「一人として」カウントされます。

【対象期間】
令和3年1月1日以降に行った出向が対象
※助成対象となる出向期間は1ヶ月~最長2年間まで

【助成率】
出向元が労働者の解雇などを行っていない場合:中小企業9/10(その他2/3)
出向元が労働者の解雇などを行っている場合:中小企業4/5(その他2/3)

※中小企業の範囲
小売業:資本金 5,000万円以下、又は従業員 50人以下
サービス業:資本金 5,000万円以下、又は従業員 100人以下
卸売業:資本金 1億円以下、又は従業員 100人以下
その他の業種:資本金 3億円以下、又は従業員 300人以下

(2)出向初期経費

就業規則や出向契約書の整備費用、出向元事業主が出向に際してあらかじめ行う教育訓練、出向先事業主が出向者を受け入れるための機器や備品の整備などの出向の成立に要する措置を行った場合に助成します。

【助成額】
各10万円/1人当たり

【加算額】
各5万円/1人当たり
※出向元事業主が雇用過剰業種の企業や生産量要件が一定程度悪化した企業である場合、出向先事業主が労働者を異業種から受け入れる場合について、助成額の加算を行います。

出向先企業との無料マッチング制度

取引先や自社グループ内などに出向先企業の候補が見つからない場合は、「公益財団法人 産業雇用安定センター」による無料のマッチング支援を利用する事が可能です。

産業雇用安定センターは、企業間の出向や移籍を支援し「失業なき労働移動」を実現するために国と事業主団体などが協力し、1987年に設立された公益財団法人で、具体的には下記のような方法で支援を行っています。

(1)民間企業から出向している協力員による企業訪問
(2)企業間の情報交換会議の開催
(3)出向者の送り出しおよび受け入れに係る情報を収集した上で、企業間の出向に関する話し合いの場の設定等をハローワークや経済団体等と連携しながら行います。

全国47都道府県にセンターの事務所がありますので、支援を希望する事業者の方はお近くの窓口までお気軽にお問い合わせください。

都道府県別産業雇用安定センター事務所一覧
http://www.sangyokoyo.or.jp/about/location/index.html#01

受給までの流れ

【1.出向の計画】
出向の具体的な内容を検討し、計画を策定します。

【2.計画届】
出向の計画内容について出向元が計画届を提出します。
※出向元が、出向先の作成した書類もまとめて都道府県労働局に提出します。

【3.出向の実施】
計画届に基づいて労働者の出向を実施します。

【4.支給申請】
出向の実績に基づいて出向元が支給申請を行います。
※複数の出向先がある場合には、それぞれについて出向元が支給申請を行います。

【5.審査・支給決定】
支給申請の内容について労働局が出向元と出向先それぞれの審査を行い、支給を決定します。

【6.支給額の振込】
出向元と出向先に支給決定された額がそれぞれに振り込まれます。

計画届の提出や支給の窓口は、原則として都道府県労働局ですが、書類の受付についてはハローワークが行う場合もあります。詳しくは最寄りの労働局またはハローワークいお問合せください。

まとめ

今回は厚労省の新たな助成金制度「産業雇用安定助成金」について紹介しました。

休業による雇用調整を行う企業に向けた助成金制度「雇用調整助成金」では現在、コロナ対応として上限額を1万5000円まで引き上げる特例措置が設けられていますが、政府はこの特例措置における上限額の引上げを5月以降段階的に引き下げていくことを発表しています。

休業による雇用調整を行う場合の企業負担はますます大きくなっていきますので、新たな対策として産業雇用安定助成金を活用した在籍型出向を検討してみるのはいかがでしょうか。

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