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ICT、IoTなどデジタル技術の導入・活用支援「生産性向上のためのデジタル技術活用促進事業」とは?

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近年では新型コロナウイルスの影響もあり、国内の企業では生産性向上への取り組みが重要な課題となっています。特に中小企業は大企業に比べ、生産性の低下や伸び悩みの問題を多く抱えているのが現状です。

そこで都内中小企業が活用したいのが、デジタル技術の導入や活用をサポートし、生産性向上を図る「生産性向上のためのデジタル技術活用促進事業」です。この事業でアドバイザーによる支援を受けた企業が必要に応じて使える助成金は、第2回募集が10月に実施されます。

生産性を向上させることで、企業にはもちろん従業員にもメリットをもたらし、さらに市場での競争力強化も期待できます。生産性向上について理解を深めたい、人手不足・コスト削減に悩んでいるなどの都内中小企業の対象事業者は、ぜひこの記事を参考にしてください。

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この記事の目次

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生産性の向上が求められる理由

「生産性」は、投入した労力や資源(インプット)に対し、どれだけの成果が生み出せているか(アウトプット)の指標です。「生産性向上」は、インプットの縮小もしくはアウトプットの拡大に取り組むことで実現できます。

なお「生産性向上」と「業務効率化」は混同されやすいですが、業務効率化は業務の無駄やムラを削減し合理化する取り組みなので、意味合いが異なります。ただし、業務効率化の促進が生産性向上に繋がるケースもあります。

日本国内では労働力人口が年々減少傾向にあり、2021年は前年比で約8万人減少しています。

出典:総務省統計局 労働力調査(基本集計)2021年(令和3年)平均結果の概要

この影響により、特に中小企業では人材確保が困難な状況に陥っています。よって、人材が限られた中でアウトプットを増やすためには、生産性向上の取り組みが必須です。

さらには、国際競争力の面でも生産性向上が重要です。日本生産性本部の「労働生産性の国際比較2021」によると、下記のように日本の労働生産性低下が深刻化しています。

時間あたり労働生産性 OECD加盟38カ国中23位
1人あたり労働生産性 OECD加盟38カ国中28位
製造業の労働生産性 OECDに加盟する主要31カ国中18位

参考:日本生産性本部 労働生産性の国際比較2021

生産性向上のためのデジタル技術活用促進事業とは

本事業は、デジタル技術(ICT・Iot・AI・ロボット等)の「導入」もしくは「活用」を検討している対象企業に対し、アドバイザーのサポートによる提案書に基づき、必要な費用の一部を支援する取り組みです。

支援は全て無料で受けられます。なお、提案書作成は助成金の申請条件や加点対象に含まれますが、作成には最低3カ月程度を要するためご了承ください。

次に、支援を利用する手順について順番に解説します。

①情報収集
Webや窓口での無料相談、巡回員による情報提供、導入・活用セミナー、ポータルサイトなどを利用して、情報収集を行ってください。

②検討
専門家が現地訪問し、各社の経営課題を明確化した上で、支援内容を決定します。

③導入・活用
各社の課題に適したアドバイザーが選任され、解決策検討、導入計画策定、提案書作成等に取り組み、導入・活用までをサポートします。

【募集期間】
令和4年10月11日(火曜日)~ ※予算に到達次第、募集を終了します。

出典:東京都中小企業振興公社 生産性向上のためのデジタル技術推進事業

活用できる助成金のご紹介

本事業では必要に応じて、助成金の活用ができます。
なお、助成金を利用する際には審査があるため、採択をお約束するものではありません。

(1)デジタル技術活用推進助成金
都内中小企業者が行う事業活動において、生産性向上をサポートするのが目的です。生産活動やサービス提供等でデジタル技術を活用する際に、機器・システム等の導入に関する費用の一部を助成します。

(2)躍進的な事業推進のための設備投資支援事業
先端技術活用により持続的発展を目指す都内中小企業者に対し、自ら稼ぐ力を強化するとともに、新たな事業展開やイノベーション創出を促進させるのが目的です。下記①~④に要する機械設備導入の費用を一部助成します。

①更なる発展に向けた競争力の強化
②DX推進
③イノベーション推進
④後継者による新たな取り組み

次に、それぞれの助成金について詳細を解説します。

デジタル技術活用推進助成金

本助成金の令和4年度第1回の募集は終了していますが、10月に第2回募集が予定されています。ここでは、第1回の内容を参考に詳細をご紹介します。

【申請要件】下記①~⑤を全て満たすこと
①中小企業者(株式会社、合名会社、合資会社、合同会社、有限会社、個人事業主)もしくは中小企業団体で、大企業が経営に参画していない。

②下記A・Bのいずれかに該当する者とします。
A.法人
- 東京都内に登記簿上の本店もしくは支店を持ち、東京都内で事業活動を行っている。
- 申請に必要な書類が全て提出可能である。
B.個人事業主
- 都内税務署へ「個人事業の開業届」を提出済みであり、東京都内で事業活動を行っている。
- 申請に必要な書類が全て提出可能である。

③「デジタル技術アドバイザーによる提案書」の内容に則り、機器・システム等の導入を検討している。

④取り組みの実施場所について、下記A~Cの要件を全て満たすこととします。
A.申請者の本社・事業所・工場等(賃借の場合を含みます)であり、以下の条件に当てはまる。
B.完了検査時に、購入品等の現物や支払いに関する経理関係書類が、実施場所で確認可能である。
C.本事業の成果を継続的に活用する予定である。

⑤下記A~Lの要件を全て満たすこととします。
A.公社・国・都道府県・区市町村等から、同一の申請内容で助成金や補助金を重複して交付されていない。また、交付決定後も受けないこととする。
B.同一の内容で公社が行う他の助成事業へ併願申請していない。
C.これまでに本助成事業で採択されている場合は、本募集開始日(第2回は募集予定です)時点で助成金額が確定している。
D.事業税等を滞納していない。(新型コロナウイルス感染症の影響で国税・地方税の徴収猶予を受けている事業者は、徴収猶予許可通知書の写しを提出する必要があります)
E.東京都並びに公社への賃料・使用料等の支払いが滞っていない。
F.以前に公社・国・都道府県・区市町村等から助成を受けている場合、不正等の事故を起こしていない。
G.以前に公社より助成金を交付されている場合は「企業化状況報告書」「事業家状況報告書」「実施結果状況報告書」等を期日までに提出済みである。
H.助成事業終了後も、継続的に生産性向上への取り組みを実施する計画である。
I.民事再生法もしくは会社更生法での申立て等、助成事業の継続に関して不確実な状況が存在しない。
J.助成事業を実施する上で要する許認可を取得し、関係法令を遵守する。
K.暴力団関係者、風俗関連業、ギャンブル業、賭博等、支援対象として社会通念上不適切とみなされる業態を営んでいない。
L.その他、公的資金の助成先として不適切とみなされる業態を営んでいない。

助成対象事業

下記の条件を全て満たす事業が対象になります。
・デジタル技術の活用を前提とした新たな取り組みである。
・将来にわたって継続的に取り組み、自社業務の生産性向上を図る。
・課題解決のために、デジタル技術アドバイザーが必要と認めた取り組みである。

助成対象経費

下記①~⑥の要件に該当し、かつ「助成対象経費一覧」に記載されている経費が助成の対象になります。

①取り組みの実施に係る必要最小限の経費である。
②発注・契約・取得・実施・支払いが助成対象期間内に完了する。
③報告書類で助成対象が確認でき、かつデジタル技術活用によって生産性向上の取り組みに要するものと明確な区分が可能である。
④財産取得の場合、所有権等が助成事業者に帰属する経費である。
⑤委託内容が主要業務jである業者へ直接委託・契約を行うものである。
⑥見積書等が外貨建ての場合、円貨建てに換算した経費である。

【助成対象経費一覧】
・機器、ロボット導入費
・システム構築費
・ソフトウェア導入費
・クラウド利用費
・データ分析費

【助成率】
1/2(小規模企業者は2/3)
<新規>賃金引上げ計画を策定し、実施した場合は3/4

【助成限度額】
300万円(下限額30万円)

【募集期間】
事前予約 令和4年10月28日(金)~11月30日(水)

申請から助成金交付までの流れ

①申請書をダウンロードし作成
②申請書を提出
③書類審査
④審査会の実施・交付決定
⑤助成事業を実施
⑥実績報告書を提出
⑦完了検査
⑧助成金額の確定(完了検査より1か月程度)
⑨助成金交付(請求書到着より2~3週間程度)

申請書類の提出方法

郵送(簡易書留・レターパック等、記録が残る方法)で提出します。持参・宅配便・FAX・電子メール等での提出は認められません。

申請に必要な書類は以下のとおりです。


申請書類
法人の場合 - 申請前確認書
- 申請書
- 見積書、仕様書等
- 見積限定理由書
- 登記簿謄本
- 納税証明書
- 直近2期分の確定申告書
- デジタル技術アドバイザーによる提案書
- 小規模企業者関連書類
個人事業主の場合 - 申請前確認書
- 申請書
- 見積書、仕様書等
- 見積限定理由書
- 開業届
- 納税証明書
- 直近2期分の確定申告書
- デジタル技術アドバイザーによる提案書

参考:令和4年度第1回生産性向上のためのデジタル技術活用推進助成金

躍進的な事業推進のための設備投資支援事業

本助成金を申請するためには、事前の予約が必要になります。第4回募集の申請予約が10月17日~11月10日まで受付中です。

【申請要件】下記①~②を全て満たすこと
①中小企業者(会社並びに個人事業者)もしくは中小企業団体等である。

②下記A~Lの要件を全て満たすこととします。
A.東京都内で2年以上事業を実施しており、かつ本事業の成果を継続的に活用し続ける予定がある。
-法人:東京都内に登記簿上の本店もしくは支店を持っている。(機械設備を都外へ設置する場合は、都内に本店を持っていること)
-個人事業主:都内税務署へ「個人事業の開業届」を提出済みである。
B.東京都へ納税しており税金等の滞納がない。
C.これまでに本助成事業もしくは革新的事業展開設備投資支援事業で採択されている場合は、基準日時点で助成金額が確定している。
D.本助成事業における同一回での申請は、一企業一申請とする。
E.同一機械設備での助成を受けていない。
F.過去の助成事業で不正等の事故を起こしておらず、報告書等を期日までに提出している。
G.事業の継続性に不確実な状況などの問題がない。
H.法令等を遵守している。
I.助成金申請者や設備購入先等の関係者が以下に当てはまらない。
- 暴力団関係者、風俗関連業、ギャンブル業、賭博等、支援対象として社会通念上不適切とみなされない。
- その他、公的資金の助成先として不適切とみなされる業態を営んでいない。

助成対象事業

下記のいずれかに該当するものが対象事業となります。

①競争力・ゼロエミッション強化
事業例)量産体制の構築、安定供給体制の確立、多品種少量生産への対応、生産工程の改善等

②DX推進
事業例)機械制御の自動化・省力化、生産設備の稼働状況把握、異常・故障監視による不良率低減等

③イノベーション
事業例)耐震化対策・不燃化対策に係る製品の生産、セキュリティ対策に係る製品の生産、スポーツ振興に係る製品の生産、子育て・高齢者支援に係る製品の生産等

④後継者チャレンジ
事業例)事業転換を目的とした新商品生産、新事業分野への参入等

助成対象経費

下記①~④の要件に該当し、かつ「助成対象経費一覧」に記載されている経費が助成の対象になります。

①生産や役務の提供に直接使用するもので、かつ必要最小限の経費である。
②契約・納品・支払いが助成対象期間内に完了する。
③助成対象の使途・単価・規模等が確認でき、本事業に要するものと明確な区分が可能である。
④助成事業者へ所有権が貴族する経費である。

【助成対象経費一覧表】

出典:第4回躍進的な事業推進のための設備投資支援事業~設備投資の助成金~募集要項

助成率・助成限度額

「DX推進」「イノベーション」「後継者チャレンジ」は下記の通りです。
助成率:2/3以内
※特に省エネ効果の高い取組については助成率を拡充(3/4)
助成限度額:1億円(下限額100万円)

「競争力・ゼロエミッション強化」に関しては、申請者区分によって助成率・助成限度額が異なります。詳細は下記表をご参照ください。

出典:第4回躍進的な事業推進のための設備投資支援事業~設備投資の助成金~募集要項

申請から助成金交付までの流れ

【申請予約】
令和4年10月17日~11月10日

【申請受付】
令和4年11月15日~11月24日

①公社ホームページから申請予約(必須)
②申請書類提出
③審査後、結果通知送付
④交付決定通知書交付
⑤助成事業を実施
⑥助成事業完了後、完了報告書を提出
⑦完了検査後、助成金交付(完了検査~助成金交付まで約2か月)

申請書類の提出方法

公社の指定日時に、申請書類一式を受付会場へ持参します。

申請に必要な書類は以下のとおりです。
・申請前確認書
・申請書
・確定申告書
・履歴事項全部証明書(個人は開業届の写し)
・直近2期分の納税証明書
・積算根拠書類
・機械設備設置場所関連書類
・会社関連書類
・小規模企業者関連書類
・導入前適正化診断関連書類
・デジタル技術アドバイザーによる提案書関連書類
・地球温暖化対策報告書制度等関連書類
・ゼロエミッション関連書類
参考:第4回 躍進的な事業推進のための設備投資支援事業

デジタル技術の導入・活用のメリット

デジタル技術の導入・活用により生産性が向上すれば、企業はもちろん従業員にもメリットがあります。

①人手不足を補える
従業員一人あたりの生産性が向上することで、同じ人数でもアウトプットが増加し、ある程度の人手不足に対応できます。労働力人口は年々減少傾向にあるため、将来を見据えるなら生産性向上は不可欠でしょう。

②コストが削減できる
一人ひとりの生産性が上がれば、残業代や電気代などのコスト削減に繋がります。より少ない投資で成果が上がり、また資金に余裕が生まれることで、他の事業や人材への投資が可能です。

③国際競争力の強化が期待できる
最小限のインプットでアウトプットが拡大できれば、国内だけでなく国際市場での競争力強化にも効果的です。現在の日本は先進国の中でも労働生産性が低いため、国際面での生産性向上が求められています。

④ワークライフバランスの改善に繋がる
生産性向上によって長時間労働を抑制できれば、従業員のモチベーションやパフォーマンスがアップします。従業員がゆとりを持ち、生活に費やせる時間が増えることで、長期雇用にも繋がります。

まとめ

労働力人口の減少が進み、多くの中小企業では生産性に関して何らかの課題を抱えているでしょう。近年では働き手の確保が難しくなっている上に、グローバル競争も激化しているため、現状維持のままでは生き残れなくなる可能性が高いです。

コロナ禍でのテレワーク導入など、新たな働き方が求められている今の時代は、生産性向上への取り組みは企業存続のために不可欠です。コスト削減、時間短縮などをお考えの都内中小企業の皆さまは、デジタル技術アドバイザーによるトータル支援と助成金を使って、デジタル技術の導入・活用に取り組んでみてはいかがでしょうか。

参考:生産性向上のためのデジタル技術活用促進事業

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