「2027年4月から食料品の消費税率が1%に下がると聞いたが、今のレジで対応できるのか」「補助金を使いたいが、交付決定を待っていたら間に合わないのでは」――こうした不安を抱える小売店・飲食店の経営者に向けて、中小企業庁が2026年9月15日、新しい支援策を発表しました。
「デジタル化・AI導入補助金」に事前着手制度が設けられ、2026年9月15日以降に導入したスマートレジやPOSレジの改修費用を、あとから補助金申請できるようになります。通常は「交付決定前に買ったものは補助対象外」が原則ですが、消費税率引下げに間に合わせるための特例として、この順序が逆転する形です。
9月24日には事務局(中小企業デジタル化・AI導入支援事業事務局)からも告知が出され、申請受付は2027年1月頃の予定と案内されています。補助額は小規模事業者で最大350万円(補助率最大4/5)。中小企業ではない中堅小売企業向けにも、経済産業省が上限2,500万円の別事業を用意しました。
本記事では、事前着手制度の対象者・対象経費・補助額・申請時期を整理したうえで、補助額の計算例、スマートレジ類型とPOSレジ類型の選び方、対象外になりやすいケース、今のうちに準備しておくべきことまで、図解を交えて解説します。
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・POSレジ・スマートレジ導入に利用できる補助金・助成金【2026年・令和8年】
・【2026年最新】デジタル化・AI導入補助金のインボイス枠とは?補助率・対象レジも解説
・消費減税の事業者対応は「待つ」と手遅れ?POSレジ改修9〜11.5ヶ月の逆算と使える補助金
- 対象者:中小企業・小規模事業者(個人事業主を含む)。中堅小売企業は経済産業省の別事業が対象
- 対象になる取組:従来型レジからスマートレジへの切り替え(スマートレジ類型)、POSレジ等の改修・入れ替え(POSレジ類型)
- 補助額:ソフトウェア・役務は最大350万円(補助率は小規模事業者4/5、中小企業3/4、50万円超の部分は2/3)、ハードウェアは最大20万円(補助率1/2)
- 対象期間:2026年9月15日〜2027年3月(調整中)に行った導入・改修
- 申請時期:2027年1月頃から受付開始予定、2027年3月まで(調整中)
- 注意点:事務局に登録された製品に限る/契約・納品・支払いの書類をすべて保管/改修費・役務費は複数見積が必要になる場合あり
この記事の目次
事前着手制度とは?交付決定前に買ったレジも補助対象になる特例
事前着手制度とは、補助金の交付決定を待たずに事業者が先にスマートレジの導入やPOSレジの改修を行い、あとから補助金を申請できる特例的な仕組みです。中小企業庁が2026年9月15日に公表しました。
デジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金)では、これまで「交付申請→交付決定→契約・導入・支払い」の順番が厳格なルールでした。交付決定前に契約・購入したレジは、どれだけ要件を満たしていても補助対象外です。
今回の事前着手制度では、この順序が入れ替わります。導入を先に済ませ、申請はあと。2027年4月の税率変更までに現場の準備を間に合わせるための措置です。
| 比較項目 | 通常の申請 | 事前着手制度 |
|---|---|---|
| 導入・購入のタイミング | 交付決定後 | 2026年9月15日以降であれば申請前でも可 |
| 申請のタイミング | 導入前 | 導入後(2027年1月頃に受付開始予定) |
| 対象 | 登録ITツール全般 | スマートレジ導入・POSレジ改修等 |
| 書類の管理 | 交付決定後に事務局の手順に沿って整える | 導入時点から事業者自身がすべて保管しておく必要がある |
2019年10月の軽減税率導入時にも、複数税率対応レジの導入を支援する「軽減税率対策補助金」が設けられ、レジの導入後に申請する方式がとられました。今回の事前着手制度は、その前例に近い設計といえます。
なぜレジ改修が必要?2027年4月から飲食料品の消費税率が1%に
レジ改修が必要になる理由は、2027年4月1日から2029年3月31日までの2年間、飲食料品の消費税率を8%から1%に引き下げる方針が決まったためです。
2026年9月15日、「飲食料品消費税率の臨時的な引下げ及び就業者負担軽減支援金の導入に関する大綱」が閣議決定されました。大綱で示された主な内容は次のとおりです。
| 飲食料品の消費税率引下げの概要(大綱の内容) | |
|---|---|
| 期間 | 2027年4月1日〜2029年3月31日の2年間 |
| 引下げ後の税率 | 1%(国税0.78%+地方消費税0.22%) |
| 対象 | 現在8%の軽減税率が適用されている飲食料品(範囲は変更なし) |
| 変わらないもの | 外食・酒類は10%、定期購読の新聞は8%のまま |
| 施行の前提 | 法案が国会で可決・成立することが必要 |
つまり引下げ期間中は、10%・8%・1%の3つの税率が併存します。テイクアウトは1%、店内飲食は10%、新聞は8%というように、1台のレジで複数の税率を正しく扱えなければなりません。
さらに2年後の2029年4月には、税率が元に戻る見込みです。税率の設定をソフトウェアの更新で変えられないレジを使っている場合、2027年4月と2029年4月の2回、改修や入れ替えが必要になる可能性があります。
こうした対応を2027年4月までに間に合わせるため、交付決定を待たずに着手できる事前着手制度が設けられました。消費税率引下げと、あわせて導入される就業者負担軽減支援金の詳細は、以下の記事で解説しています。
消費減税のレジ改修に使える補助金は?企業規模別の全体像
消費減税に伴うレジ改修で使える国の補助金は、中小企業・小規模事業者なら「デジタル化・AI導入補助金(事前着手制度)」、中堅小売企業なら経済産業省の「レジシステム改修支援」の2本立てです。どちらも2026年9月15日以降の着手分を事後に申請できる特例になっています。
| 比較項目 | デジタル化・AI導入補助金(事前着手制度) | 経済産業省 中堅小売企業向け改修支援 |
|---|---|---|
| 所管 | 中小企業庁 | 経済産業省 商務・サービスグループ 流通政策課 |
| 対象 | 中小企業・小規模事業者等 | 飲食料品を扱う中堅小売企業(中小企業を除く) |
| 補助上限 | ソフトウェア・役務350万円、ハードウェア20万円 | 2,500万円/者 |
| 補助率 | 3/4(小規模事業者4/5)、50万円超の部分は2/3、ハードウェアは1/2 | 1/3 |
| 主な対象経費 | スマートレジ・POSレジのシステム購入費、改修費、クラウド利用料、役務費、PC・タブレット・レジ購入費 | POSレジシステム改修費、基幹システム(受発注・請求書管理等)改修費、役務費 |
| 対象期間 | 2026年9月15日〜2027年3月(調整中) | 2026年9月15日〜2027年3月(調整中) |
| 申請受付 | 2027年1月〜3月(調整中) | 2027年1月〜3月(調整中) |
このほか、現行のデジタル化・AI導入補助金「インボイス枠(インボイス対応類型)」でも、スマートレジやPOSレジの導入は補助対象です。ただしこちらは通常どおり交付決定後の発注が必要で、事前着手は認められていません。両者の使い分けは、記事後半の「今のインボイス枠で申請するか、事前着手制度を待つか」で整理しています。
レジ改修の工期や、税率変更までに逆算して準備を進める方法は、以下の記事が参考になります。
対象になるのは誰?中小企業・小規模事業者・個人事業主の条件
事前着手制度の対象は、デジタル化・AI導入補助金の申請対象となる中小企業・小規模事業者等です。業種ごとに「資本金」または「常時使用する従業員数」のどちらかが基準以下であれば、中小企業に該当します。
以下は、現行のデジタル化・AI導入補助金2026で示されている主な基準です。事前着手制度の正式な要件は今後公表される公募要領で確定するため、最終的にはそちらで確認してください。
| 業種 | 資本金(以下) | 常時使用する従業員数(以下) |
|---|---|---|
| 製造業・建設業・運輸業・その他 | 3億円 | 300人 |
| 卸売業 | 1億円 | 100人 |
| サービス業(ソフトウェア業・情報処理サービス業・旅館業を除く) | 5,000万円 | 100人 |
| 小売業(飲食店を含む) | 5,000万円 | 50人 |
| ソフトウェア業・情報処理サービス業 | 3億円 | 300人 |
| 旅館業 | 5,000万円 | 200人 |
小規模事業者の基準は?補助率4/5が適用される条件
小規模事業者に該当すると、補助率が3/4から4/5に上がります。判定は常時使用する従業員数のみで行います。
| 業種 | 常時使用する従業員数 |
|---|---|
| 商業・サービス業(宿泊業・娯楽業を除く) | 5人以下 |
| 宿泊業・娯楽業 | 20人以下 |
| 製造業・その他 | 20人以下 |
個人経営の飲食店や青果店、小さな小売店の多くは、この小規模事業者に当てはまります。パート・アルバイトを「常時使用する従業員」に数えるかどうかは労働基準法の考え方に沿って判断されるため、迷う場合は事務局のコールセンターに確認しておくと確実です。
個人事業主・医療法人・NPOは対象になる?
個人事業主は、現行のデジタル化・AI導入補助金で申請対象に含まれています。事前着手制度も同じ補助金の中に設けられるため、同様に対象となる見込みです。
また現行制度では、医療法人、社会福祉法人、学校法人、商工会・商工会議所、NPO法人などの一部の法人も、従業員数を基準に対象とされています。院内売店や福祉施設の販売所などでレジを使っている場合も、公募要領の公表後に対象かどうかを確認してみてください。
中堅企業・大企業はどうなる?
中小企業に該当しない企業は、事前着手制度の対象外です。ただし、飲食料品を扱う中堅小売企業は、経済産業省の別事業(上限2,500万円・補助率1/3)を利用できます。要件の詳細は、記事後半の「中堅小売企業向けのレジ改修支援とは?」で解説しています。大企業やみなし大企業は、いずれの制度の対象にもなりません。
補助内容は?スマートレジ類型とPOSレジ類型の対象経費
事前着手制度には、従来型レジからの切り替えを支援する「スマートレジ類型」と、既存POSレジの改修を支援する「POSレジ類型」の2つがあります。どちらもソフトウェア・役務・ハードウェアの3区分で補助を受けられます。
| 区分 | スマートレジ類型 | POSレジ類型 |
|---|---|---|
| 想定する取組 | 従来型のレジからスマートレジへの切り替え | 既存のPOSレジ等を改修し、新しい税率に対応 |
| ソフトウェア | スマートレジシステムの購入費、クラウド利用料(最大2年間)、受発注システム・請求書管理システムの改修費 | POSレジ・受発注・請求書管理等のシステム改修費、POSレジシステムの購入費、クラウド利用料(最大2年間) |
| 役務 | 導入設定、マニュアル作成、導入研修、保守サポート | 導入設定、マニュアル作成、導入研修、保守サポート |
| ハードウェア | PC・タブレット購入費(上限20万円・補助率1/2) | レジ購入費(上限20万円・補助率1/2) |
注目したいのは、レジ本体だけでなく、受発注・請求書管理システムの改修費や、導入後の研修・保守サポートまで対象になっている点です。税率が変われば、仕入れの受発注や請求書の税率表示も変える必要があります。レジと周辺システムをまとめて対応できる設計です。
補助率と補助上限額はいくら?
ソフトウェア・役務の補助上限額は、会計・受発注・決済のうちいくつの機能を持つツールかによって変わります。1機能なら50万円まで、2機能以上なら350万円までです。
| 区分 | 補助上限額 | 補助率 |
|---|---|---|
| ソフトウェア・役務(1機能) | 50万円まで | 3/4(小規模事業者は4/5) |
| ソフトウェア・役務(2機能以上) | 350万円まで | 50万円以下の部分は3/4(小規模事業者は4/5)、50万円超〜350万円の部分は2/3 |
| ハードウェア | 20万円まで | 1/2 |
※「機能」とは「会計」「受発注」「決済」の3つを指します。どの機能に該当するかは、事務局に登録されたツールごとに決まっています。
補助額はいくらになる?ケース別の計算例
補助額は「補助対象経費×補助率」で計算し、上限額を超える部分はカットされます。ここでは、計算方法が明確な1機能・50万円以下のケースで試算してみます。
| 項目 | ケースA:個人経営のテイクアウト店(小規模事業者) | ケースB:従業員30人の食品スーパー(中小企業) |
|---|---|---|
| ソフトウェア・役務の経費 | 40万円(スマートレジシステム2年分+導入設定) | 40万円(POSレジの税率改修+導入研修) |
| ソフトウェア・役務の補助額 | 40万円×4/5=32万円 | 40万円×3/4=30万円 |
| ハードウェアの経費 | タブレット等16万円 | レジ16万円 |
| ハードウェアの補助額 | 16万円×1/2=8万円 | 16万円×1/2=8万円 |
| 補助額の合計 | 40万円 | 38万円 |
| 自己負担額 | 16万円(経費56万円のうち) | 18万円(経費56万円のうち) |
ケースAでは、56万円の導入費用に対して約7割にあたる40万円が補助される計算です。
2機能以上で経費が50万円を超える場合は、50万円を超える部分に2/3の補助率が適用される段階制になります。ハードウェアは上限20万円・補助率1/2のため、補助が満額になるのは経費40万円までです。なお現行制度では、消費税は補助対象経費に含まれません。正式な計算方法は公募要領で確認してください。
スマートレジ類型とPOSレジ類型、どちらを選ぶ?
類型は、今使っているレジの種類で決まるのが基本です。ガチャレジ・メカレジなどの従来型レジを使っているならスマートレジ類型、すでにPOSレジを使っていて税率対応の改修や入れ替えが必要ならPOSレジ類型になります。
POSレジを使っている事業者がスマートレジへ乗り換える場合にどちらの類型になるかは、現時点の公表資料では明らかになっていません。導入する製品によって類型が決まる場合もあるため、販売元のIT導入支援事業者に確認しましょう。
スマートレジとは?ガチャレジ・POSレジとの違い
スマートレジとは、タブレットやスマートフォンなどの汎用端末にアプリをインストールして使うレジのことです。事務局は「モバイルPOSレジ等」を指すと説明しています。
売上・在庫・顧客情報をまとめて管理でき、税率の設定もソフトウェア側で変更できる製品が主流です。専用機を入れ替えずに済むため、2027年4月の引下げと2029年4月に税率が戻るタイミングの2回を、機器の買い替えなしで乗り切れる可能性があります。
| 比較項目 | ガチャレジ・メカレジ | 据置型POSレジ | スマートレジ |
|---|---|---|---|
| 端末 | 専用のレジスター | 専用端末+周辺機器 | タブレット・スマートフォン等の汎用端末 |
| 会計・集計 | レジ締め・集計は手作業中心 | 自動集計 | 売上・会計データを自動集計 |
| 売上の把握 | 合計額のみ | 商品別・時間帯別に分析 | 商品別・時間帯別に見える化 |
| 税率変更への対応 | 設定変更や買い替えが必要になりやすい | システム改修が必要な場合が多い | ソフトウェア更新で対応できる製品が多い |
| 導入コスト | 初期費用は低め | 初期費用が高め | 補助金を活用すれば負担を抑えやすい |
事務局の資料では、スマートレジの導入でレジ締めの時間短縮、タッチパネル操作による会計ミスの防止、売上データを使った経営判断などの効果が期待できるとしています。消費税率の引下げ対応を、レジ業務そのものを見直すきっかけにする事業者も少なくありません。
スマートレジに使えるほかの補助金や、主な製品の特徴は以下の記事でまとめています。
現行のインボイス枠とどこが違う?
事前着手制度と現行のインボイス枠(インボイス対応類型)の最大の違いは、交付決定前に購入・発注できるかどうかです。補助率や上限額の骨格は共通ですが、ハードウェアの上限や対象経費にも違いがあります。
| 比較項目 | 現行インボイス枠(インボイス対応類型) | 事前着手制度(チラシVer1.0時点) |
|---|---|---|
| 購入・発注のタイミング | 交付決定後 | 2026年9月15日以降なら申請前でも可 |
| ソフトウェアの補助 | 1機能50万円まで、2機能以上350万円まで | 1機能50万円まで、2機能以上350万円まで |
| PC・タブレットの上限 | 10万円(補助率1/2) | 20万円(スマートレジ類型・補助率1/2) |
| レジ本体の上限 | POSレジ・モバイルPOSレジ・券売機は20万円(補助率1/2) | 20万円(POSレジ類型・補助率1/2) |
| システム改修費 | 明示なし | POSレジ・受発注・請求書管理等の改修費が対象と明示 |
| クラウド利用料 | 最大2年分 | 最大2年間 |
| 対象製品 | 事務局に登録されたITツール | 事務局に登録されたスマートレジ・POSレジ等 |
| 申請スケジュール | 第6次締切 2026年10月30日17:00、第7次締切 2026年12月1日17:00 | 2027年1月頃受付開始予定 |
特にPC・タブレットの補助上限額が、現行の10万円から20万円に引き上げられている点は、スマートレジ導入を強く後押しする内容です。また、既存POSレジの改修費が対象として明示されたことで、「新しいレジを買うわけではないから補助金は使えない」と考えていた事業者にも活用の道が開けました。
インボイス枠そのものの対象レジや申請手順は、以下の記事で詳しく解説しています。
申請時期はいつ?対象期間と申請受付のスケジュール
事前着手制度の申請受付は2027年1月頃に開始予定で、2027年3月までの受付が見込まれています。補助対象になる導入・改修の期間は、2026年9月15日から2027年3月まで(調整中)です。
| 項目 | 予定 |
|---|---|
| 対象期間(導入・改修の実施) | 2026年9月15日〜2027年3月(調整中) |
| 申請受付期間 | 2027年1月頃〜2027年3月(調整中) |
| 公募要領 | 後日、事務局ホームページに掲載予定 |
| 飲食料品の税率引下げ | 2027年4月1日〜2029年3月31日(法案成立が前提) |
対象期間・申請受付期間は、いずれも中小企業庁の資料で「調整中」とされており、確定していません。特に「対象期間の終わり」が2027年3月のどの時点になるかは、導入を年明け以降に予定している事業者にとって重要です。申請に際しては、必ず公募要領で最新の日程を確認してください。
事後申請までの流れと、今のうちにやっておくべき5つの準備
公募要領が公表される前でも、事後申請に備えてできる準備はあります。「製品選び」「見積」「書類保管」「アカウント取得」の4点を先に進めておくと、申請受付が始まってから慌てずに済みます。
①導入・改修する製品が事務局に登録されているか確認する
補助対象となるのは、あらかじめ事務局に登録されているスマートレジ・POSレジ等の製品です。登録のない製品を導入しても補助対象になりません。
レジベンダーやIT導入支援事業者に、検討中の製品が対象として登録されているかを必ず確認しましょう。事務局サイトの「ITツール検索」でも、登録済みのツールと支援事業者を調べられます。
②販売元がIT導入支援事業者かを確認する
現行のデジタル化・AI導入補助金は、事務局に登録された「IT導入支援事業者」と事業者が共同で申請する仕組みです。事前着手制度でも、登録製品であることが前提とされています。
契約前に、販売元がIT導入支援事業者として登録されているか、2027年1月からの事後申請をサポートしてくれるかを確認しておくと安心です。事務局は、IT導入支援事業者の一覧を毎週のように更新して公開しています。
③改修費・役務費は複数見積を取る
改修費や役務費については、複数見積等が必要となる場合があると中小企業庁のチラシに明記されています。事後申請では、あとから見積を取り直すことはできません。
相見積を取ったうえで、どの業者を選んだか、その理由は何かを記録しておきましょう。
④取引に関する書類をすべて保管する
事後申請のため、契約・納品・支払いに関するすべての書類の保管が求められています。9月15日以降の取引は、日付が確認できる形で必ず残してください。
| 段階 | 保管しておきたい書類の例 |
|---|---|
| 検討・選定 | 製品の仕様書、複数社の見積書、業者の選定理由のメモ |
| 契約 | 契約書・注文書・発注書(契約日がわかるもの) |
| 納品・導入 | 納品書、導入設定の完了報告、研修の実施記録 |
| 支払い | 請求書、領収書・レシート、銀行振込の明細 |
| クラウド利用 | 利用契約書、利用期間と月額がわかる書類 |
中小企業庁は例として「仕様書、見積書、レシート等の取引を証明できる書類」を挙げています。現金払いやクレジットカード払いは支払いの証跡が残りにくいため、振込での支払いを選ぶと管理しやすくなります。
⑤gBizIDプライムとSECURITY ACTIONを先に取得する
現行のデジタル化・AI導入補助金では、すべての申請枠で「gBizIDプライム」の取得と「SECURITY ACTION」の宣言が必須です。事務局によれば、gBizIDプライムの発行には約2週間、SECURITY ACTIONのアカウント発行には2〜3日かかります。
事前着手制度でこれらがどう扱われるかは公募要領待ちですが、申請が集中する2027年1月以降に取得しようとすると間に合わないおそれがあります。早めに済ませておきましょう。
なお、デジタル化・AI導入補助金には、過去に交付を受けた事業者が2回目以降に申請する場合の追加要件があります。過去にIT導入補助金を利用したことがある事業者は、以下の記事も確認しておいてください。
申請の条件は?補助対象外になりやすい6つのケース
事前着手制度は「先に買って、あとで申請」できる便利な仕組みですが、条件を満たさないまま購入すると、補助金を受け取れず全額自己負担になります。公表資料から、対象外になりやすいケースを整理しました。
- 2026年9月15日より前に契約・導入したもの:対象は9月15日以降の導入・改修です。契約日・納品日・支払日のどれが基準になるかは公募要領で確認が必要です
- 事務局に登録されていない製品:家電量販店や通販で単体購入したタブレット・レジなどは、登録製品でなければ対象外となる可能性があります
- 取引書類が不足している:契約・納品・支払いを証明できる書類がそろわないと、事後申請が認められないおそれがあります
- 複数見積が求められる経費で相見積を取っていない:改修費・役務費は複数見積が必要となる場合があります
- 対象期間外に導入したもの:対象期間の終わりは2027年3月(調整中)とされています
- 同じ経費で別の補助金を受けている:同一の経費に対して、インボイス枠などほかの補助金と重複して補助を受けることは原則できません
中小企業庁は「申請要件を満たしている限り、交付対象となります」と説明しています。裏を返せば、要件の確認は事業者自身の責任です。公募要領が公表されたら、導入済みの内容と要件を1つずつ照らし合わせてください。
今のインボイス枠で申請するか、事前着手制度を待つか
現行のインボイス枠と事前着手制度のどちらを使うかは、「確実性を取るか、スピードを取るか」で判断するのが基本です。
現行のインボイス枠(インボイス対応類型)の第6次締切は2026年10月30日(金)17:00です。事業実施期間と実績報告の期限は2027年5月31日17:00(予定)とされています。その次の第7次締切は、12月1日(火)17:00と案内されています。スマートレジシステムの導入に係る申請は、3次締切分から優先採択の対象です。
| 比較項目 | 現行インボイス枠で申請 | 事前着手制度を利用 |
|---|---|---|
| メリット | 要件・スケジュールが確定している。交付決定を得てから発注できる安心感がある | 導入を先行できる。PC・タブレットの上限が20万円、改修費・役務費が明示されている |
| 注意点 | 交付決定(第6次は12月10日予定)まで発注できない | 公募要領が未公表で要件が変わる可能性がある。事後申請のため書類不備のリスクを自分で負う |
| 向いている事業者 | 交付決定後の発注でも2027年4月の税率変更に間に合う見通しがあり、確実性を重視する | 早急にレジを入れ替えたい、改修が必要なPOSレジを使っている |
第6次締切分で申請する場合、発注できるのは交付決定(12月10日予定)のあとです。そこから2027年4月1日の税率変更までに導入・設定を終えられるか、販売元に納期を確認したうえで判断してください。
なお、同一の経費(同じレジ本体など)に対して両制度から重複して補助を受けることはできません。インボイス枠で交付申請中の事業者が、別のレジや別の取組で事前着手制度を使えるかどうかは、公募要領の公表を待つ必要があります。判断に迷う場合は、IT導入支援事業者や中小企業診断士などの専門家に相談することをおすすめします。
中堅小売企業向けのレジ改修支援とは?上限2,500万円・補助率1/3
中小企業に該当しない中堅小売企業向けには、経済産業省がPOSレジシステム等の改修を補助上限2,500万円・補助率1/3で支援します。2026年9月15日に経済産業省のホームページで公表されました。こちらも9月15日以降に改修に着手し、事後に申請できる特例的な制度です。
| 中堅小売企業向け支援の概要 | |
|---|---|
| 補助対象 | 次の4要件をすべて満たす中堅企業(中小企業を除く) |
| 要件① | 飲食料品を取り扱っている小売業者であること |
| 要件② | 常時使用する従業員の数が2,000人以下であること |
| 要件③ | みなし大企業の要件に合致しないこと |
| 要件④ | 直近の財務諸表上、自己資本比率が40%未満であること |
| 主な補助対象経費 | POSレジシステム改修費、基幹システム(受発注・請求書管理等)改修費、役務費 |
| 補助上限 | 2,500万円/者 |
| 補助率 | 1/3 |
| 対象期間 | 2026年9月15日〜2027年3月(調整中) |
| 申請受付期間 | 2027年1月〜2027年3月(調整中) |
| 問い合わせ先 | 経済産業省 商務・サービスグループ 流通政策課(03-3501-1511 内線4161) |
自己資本比率40%未満という財務要件がある点が、中小企業向けの事前着手制度との大きな違いです。公募要領は後日、経済産業省のページに掲載される予定です。
食料品減税に伴うレジ改修補助金(事前着手制度)に関するよくある質問
食料品減税に伴うレジ改修補助金の対象者は誰ですか?
デジタル化・AI導入補助金の申請対象となる中小企業・小規模事業者等です。個人事業主も現行制度では対象です。中小企業に該当しない中堅小売企業は、経済産業省の別事業(上限2,500万円・補助率1/3)の対象となります。
申請はいつからできますか?
事務局は2027年1月頃に申請受付を開始する予定と案内しています。受付期間は2027年3月まで(調整中)の見込みです。詳細は後日公表される公募要領で確定します。
9月15日より前に買ったレジは対象になりますか?
中小企業庁の資料では「9月15日以降」の導入・改修が対象とされており、それ以前の購入分は対象外となる見込みです。契約日・納品日・支払日のどれを基準にするかは公募要領で確認が必要です。
今すぐレジを買っても補助金は出ますか?
申請要件を満たしている限り交付対象になるとされていますが、公募要領はまだ公表されていません。事務局に登録された製品を選び、契約・納品・支払いの書類をすべて保管したうえで、公募要領の公表後に要件を再確認してください。
補助金はいくらもらえますか?
ソフトウェア・役務は1機能で最大50万円、2機能以上で最大350万円です。補助率は中小企業3/4、小規模事業者4/5で、50万円を超える部分は2/3です。ハードウェアは最大20万円・補助率1/2です。たとえば小規模事業者がソフトウェア・役務40万円とタブレット等16万円を導入した場合、補助額は合計40万円の計算になります。
個人事業主も申請できますか?
デジタル化・AI導入補助金は個人事業主も申請できます。事前着手制度も同じ補助金の中に設けられるため、同様の扱いになると考えられますが、公募要領で確認してください。従業員5人以下の商業・サービス業であれば小規模事業者として補助率4/5が適用されます。
見積だけ先に取ってもいいですか?
はい、問題ありません。改修費・役務費は複数見積が求められる可能性があるため、契約前に複数社から見積を取っておくことをおすすめします。
家電量販店や通販で買ったタブレットも対象になりますか?
レジの導入では、あらかじめ事務局に登録されているスマートレジ・POSレジ等の製品が対象とされています。現行のデジタル化・AI導入補助金では、ハードウェアもIT導入支援事業者を通じて申請するのが原則です。単体で購入した端末が対象になるかは公募要領で確認し、購入前に販売元へ問い合わせてください。
今のインボイス枠で申請中でも使えますか?
現時点では公表資料に記載がありません。同一経費への重複補助はできないため、別のレジ・別の取組であれば可能性はありますが、公募要領の公表を待って確認してください。
スマートレジ類型とPOSレジ類型はどう選べばいいですか?
従来型レジ(ガチャレジ・メカレジ)から切り替えるならスマートレジ類型、すでにPOSレジがあり税率対応の改修や入れ替えが必要ならPOSレジ類型が基本です。導入する製品によって類型が決まる場合もあるため、IT導入支援事業者に確認しましょう。
2年後に税率が元に戻るときの改修費も対象になりますか?
事前着手制度の対象期間は2026年9月15日〜2027年3月(調整中)で、2029年4月の税率変更に向けた改修についての支援は現時点で公表されていません。税率をソフトウェアの更新で変更できるスマートレジを選んでおくと、2回目の変更にかかる負担を抑えやすくなります。
消費税率の引下げ法案が成立しなかった場合はどうなりますか?
税率の引下げは法案が国会で可決・成立して初めて実施されます。法案が成立しなかった場合の事前着手制度の扱いは、現時点の公表資料には記載がありません。今後公表される公募要領や事務局の案内を確認してください。
まとめ
事前着手制度の登場で、レジをめぐる判断はこれまでより単純になりました。「補助金の交付決定を待つか、それまでに導入を終えるか」という板挟みがなくなり、2026年9月15日以降に導入したスマートレジや改修したPOSレジは、2027年1月頃からの事後申請で補助対象になります。
補助額は、小規模事業者で最大350万円(補助率4/5)、中小企業で最大350万円(補助率3/4)、ハードウェアは最大20万円(補助率1/2)です。中堅小売企業には、経済産業省の上限2,500万円・補助率1/3の支援も用意されています。
ただし、公募要領はまだ出ておらず、対象期間や受付期間も調整中です。制度の詳細が固まるまでの間も、登録製品の確認、複数見積、書類の保管、gBizIDプライムとSECURITY ACTIONの取得を進めておくことで、確定後にスムーズに申請できます。従来型のレジを使っていて税率変更に不安があるなら、スマートレジへの切り替えを前倒しで検討してみてはいかがでしょうか。
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【参考】
・中小企業庁「変化の時代に対応できるスマートレジの導入支援(事前着手制度)」
・中小企業庁「デジタル化・AI導入補助金(消費税率引き下げ対策)」チラシVer1.0
・デジタル化・AI導入補助金2026 事務局「変化の時代に対応できるスマートレジの導入(事前着手制度)を行います」(9月24日更新)
・デジタル化・AI導入補助金2026 事務局「スマートレジ導入支援」
・経済産業省「飲食料品消費税率の臨時的な引下げに関する対応について」
・内閣官房「飲食料品に係る消費税率の引下げ及び給付付き税額控除について」


