商品管理や販売状況を一元的に管理するPOSレジの導入は、生産性向上に大きな役割を果たします。業務のDX化にも貢献するPOSレジ導入は、2024年も複数の支援事業で対象になる可能性があります。
今回はPOSレジ導入に活用できる主な補助金・助成金を紹介します。なお、記事内容は、記事更新日時点の情報のため最新情報は、必ず公募要領や公式HPをご確認ください。
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この記事の目次
POSレジ導入に使える各種制度
POSレジの導入に活用できる主な制度は、以下の4つです。
①小規模事業者事業者持続化補助金 |
②IT導入補助金(インボイス枠(インボイス対応類型)) |
➂ものづくり補助金(省力化(オーダーメイド)枠) |
④業務改善助成金 |
まずは各制度の概要と、POSレジ導入に使える枠について見ていきましょう。
小規模事業者事業者持続化補助金
小規模事業者事業者持続化補助金は、制度変更等への対応に取り組む小規模事業者等を対象とした制度です。経営計画に基づく販路開拓等の取組や業務効率化(生産性向上)の取組を支援し、経費の一部を補助します。
地域の雇用や産業を支える小規模事業者等の生産性向上と、持続的発展を図ることが目的です。
POSレジ導入は、「業務効率化(生産性向上)」の取組のひとつであるIT利活用の補助対象に含まれます。
IT導入補助金(インボイス対応類型)
2023年度までIT導入補助金の「デジタル化基盤導入枠」でハードウェアとして対象だったPOSレジは、2024年度も「インボイス枠(インボイス対応類型)」で補助対象となりました。
この枠で対象となるのは、インボイス制度に対応した「会計ソフト」「受発注ソフト」「決済ソフト」の導入です。これらのソフトを利用するためのハードウェアとして、「PC」や「タブレット」とともに「POSレジ」が補助対象となっています。
出典:IT導入補助金2024
ものづくり補助金(省力化(オーダーメイド)枠)
ものづくり補助金は、働き方改革や被用者保険の適用拡大、賃上げなどに対応する中小企業等を補助します。革新的な製品・サービスの開発、生産プロセス等の省力化を行い、生産性を向上させるための設備投資等が支援の対象です。
2024年のものづくり補助金では、「省力化(オーダーメイド)枠」が新設されました。人手不足の解消に向け、デジタル技術等を活用した専用設備(オーダーメイド設備)を導入する取組等が対象です。この枠では、設備やシステム投資を通じて、生産やサービスの効率化・高度化を支援します。
第18次締切分のものづくり補助金の概要は、以下の表も参照してください。
出典:第18回公募要領
業務改善助成金
業務改善助成金は、機械設備やコンサルティング導入、人材育成等とともに、賃上げに取り組む企業を支援する制度です。賃上げ額は、各コースで定められています。
POSレジの導入は「生産性向上に資する設備投資」のひとつとして、対象経費に含まれます。
出典:厚生労働省
小売店・飲食店POSレジ導入向け補助金:小規模事業者持続化補助金
各制度でPOSレジを導入する場合について、もう少し詳しく見ていきましょう。
小売店や飲食店が活用できる小規模事業者持続化補助金では、業務効率化(生産性向上)の取組は販路開拓とあわせて行う必要がありますので、業務効率化のPOSレジ導入単独では申請できません。小規模事業者持続化補助金には「通常枠」「賃金引上げ枠」「卒業枠」「後継者支援枠」「創業枠」と「インボイス特例」があります。各申請類型の概要は以下の図を参照してください。
出典:ガイドブック
補助上限と補助率は、以下のとおりです。
【補助上限】
■通常枠:50万円
■賃金引上げ枠・卒業枠・後継者支援枠・創業枠:200万円
【補助率】
2/3(賃金引上げ枠のうち、赤字事業者は3/4)
なお、インボイス特例対象事業者は、上記金額に50万円の上乗せがあります。
中小企業向けPOSレジ導入:IT導入補助金
中小企業等でPOSレジを導入するには、IT導入補助金の活用がおすすめです。本事業はIT導入支援事業者のサポートを受けながらITツールを導入し、経営課題の解決を目指します。IT導入補助金には「インボイス枠(インボイス対応類型)」のほか、「通常枠」「インボイス枠(電子取引類型)」「セキュリティ対策推進枠」「複数社連携IT導入枠」があります。インボイス対応類型の対象者の主な要件は、以下のとおりです。
■生産性の向上を目的として、インボイス制度への対応および企業間取引のデジタル化を推進するためにITツールを導入する中小企業・小規模事業者等である
■日本国内で事業を営む法人または個人である
■経済産業省等から補助金等指定停止措置又は指名停止措置が講じられていないこと
■風俗営業者や暴力団関係者等でないこと
また、ハードウェアの補助率と補助上限は、以下のとおりです。
■PC・タブレット等
・補助率:1/2
・補助上限額:10万円
■レジ・券売機等
・補助率:1/2
・補助上限額:20万円
オリジナルPOSレジ開発向け:ものづくり補助金
ものづくり補助金は、事業の形態や特質にあわせ、オリジナルのPOSレジを開発する際に活用できる可能性があります。ものづくり補助金に新設された「省力化(オーダーメイド)枠」では、専用設備(オーダーメイド設備)の開発・導入等により、革新的な生産プロセス・サービス提供方法の効率化・高度化を図る取組が支援対象です。
この枠における専用設備(オーダーメイド設備)とは、ICTやIoT、AI、ロボット、センサー等を活用して生産工程を自動化するシステムを指します。外部のシステムインテグレータ(SIer)との連携などを通じ、事業者の個々の業務に応じて専用で設計された機械装置やシステム(ロボットシステム等)が対象です。
デジタル技術等を活用せず、単に機械装置等を導入する事業は補助金の対象にならないため注意が必要です。省力化(オーダーメイド)枠の主な要件は、以下のとおりです。
■3~5年の事業計画期間内に、設備投資前と比較して労働生産性が2倍以上となる事業計画を策定すること
■3~5年の事業計画期間内に、投資回収可能な事業計画を策定すること
■外部SIerを活用する場合、3~5年の事業計画期間内における保守・メンテナンス契約を締結すること
■SIerは必要な保守・メンテナンス体制を整備すること
なお、ものづくり補助金には別途基本要件が定められています。
また、補助率は、以下のとおりです。
■中小企業
・補助金額1,500万円まで、1/2
■小規模企業者・小規模事業者・再生事業者
2/3
いずれも補助金額が1,500万円を超える部分については、補助率は1/3です。
POSレジ導入向け助成金:業務改善助成金
業務改善助成金では、POSレジなどの導入を、賃上げとともに行うことが必要です。設備導入だけで申請はできません。また助成金額は、賃上げの金額などによって変わります。助成率は、以下のとおりです。
事業場内最低賃金額
■900円未満:9/10
■900円以上950円未満:4/5(生産性要件に該当する場合は9/10)
■950円以上:3/4(生産性要件に該当する場合は4/5)
助成額の上限は、賃金の引き上げ額と対象となる労働者数、事業場の規模で決まります。例えば事業者30人未満の事業所で労働者5人の賃金を60円引き上げた場合、助成上限額は「190万円」となります。
助成上限額等は、以下の図を参照してください。
出典:厚生労働省
まとめ
多くの業界で人手不足が深刻化する一方、人や経済の動きは活発になりつつあります。ニーズをとらえて企業成長につなげるためには、業務のDX化や生産性向上が不可欠です。
POSレジの活用に使える補助・助成制度には、それぞれ特徴があり、目的や要件が異なります。各特徴を見極めて、最も適した制度を選びましょう。